研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

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第3章 新しい研磨

13話 救ってもらう条件

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 東の空が明るくなってきた頃、天井に何者かが潜入してきたことに、ヒロトシは気づき天井に威嚇すると、アサシンと思われる人間が4人姿を現した。

「いきなりの訪問を許してください……」

「それで、この俺になんか用ですか?」

「まずは、話を聞いて下さりありがとうございます。ヒロトシ様の力をお借りしたく思い、こうしてこの場に馳せ参じました。お願いします!俺達を闇ギルドから匿ってください」

「ご主人様!このような者達の願いなんて聞く必要はございません」

 ミランダが、険しい顔をして忠告したのだった。

「俺達にはもうヒロトシ様しか頼れないのです。どうか、この願いを叶えて下さい!匿ってくれるのなら、ヒロトシ様を主人と仰ぎ生涯忠誠を誓わせていただきます」

「何を言っているのですか!貴方達は闇ギルドの人間でしょ?今まで、ミトンの町に迷惑をかけ、ご主人様にも危ない目を合わせて来ましたよね。そんな闇ギルドを匿えですって?冗談もほどほどにしなさい!」

 ミランダは、闇ギルドの4人を目の前にして枕元にあった武器を手に持ち4人を威嚇した。

「ちょっとお待ちください!俺達は闇ギルドから抜けたいのです。どうか俺達に力をお貸しください」

「何で貴方達が闇ギルドから抜ける手伝いを、ご主人様が手を貸さないといけないのですか!それこそお門違いです。さっさとここから去りなさい!」

「お願いします!ヒロトシ様に見放されたら俺達はもう行く当てがありません」

「そんなこと、知った事ではありません!ここから去らないのなら……」

 ミランダはサスケの首に剣を向けた。

「「「サスケ!」」」

 残りの3人がサスケの名を呼び、顔を青くした。

「去りません!俺達はもうどこにも行く場所も帰る場所もないのです。俺を殺すなら殺せばいい!しかし、この3人は助けてやってくれ!たのみます。この通りだ!」

 サスケは、抵抗もせず両目をつむり両手を上げて抵抗しない意思表示をした。その姿を見てヒロトシが話しかけた。

「君達は闇ギルドに入った人間だろ?なぜ今更逃げようとする。一度、闇ギルドに入ったら抜け出せないと言うのは子供でも知っている事だ。自業自得じゃないか」

「違うのです!俺達は闇ギルドに入りたくて入ったのではありません!」

「はぁあ?そんな事が信じられる訳がないでしょう!嘘をつくのならもっとまともな嘘を言ったらどうなの?」

 ミランダが、サスケの説明に信じられないとばかりに怒鳴ったのだった。

「いえ、嘘など言っていません!俺達は幼少時に、闇ギルドに誘拐された子供なんです」

「「えっ……」」

「俺達は、闇ギルドの次世代を担う諜報員として育てられた人間なんです。ですが、俺達はもう闇ギルドに従う事は出来ないからこうして逃げ出したのです」

「それをわたし達に信じろというのですか?」

「おねがいします。どうか俺達を!」

 ヒロトシは、サスケ達が逃げ出した経緯を詳しく聞くことにした。サスケ達のグループは20人だった。今は4人しかいなかったが、カエデと言う女性を班長として一番優秀なアサシンを育成していたというのだ。
 カエデのグループは結束力が高く、その中で一人だけが生き残れる試験の前に逃げ出したと言うのだ。闇ギルドでは結束力と言うより、いざというときの非情さを身につける為に死のバトルロイヤルをして、その中で生き残った人間を、アサシンに就任させることをしていた。

 しかし、カエデは今まで育ててきた子供達に情が移ってしまい、今回の脱走を計画したらしいのだ。今までなら、闇ギルドの掟は絶対のものだったが、それを揺るがす事が起きたのだ。

「だが、闇ギルドの掟を破ってなお、仲間達と一緒に生活したい気持ちは分からないでもないが……そんなの無理だろ?」

「いえ……それは可能だと、カエデ様がおっしゃってました」

「だったら、それをしたらいいじゃないか?俺達を巻き込むなよ」

「いえ、長い歴史の中で、闇ギルドに対抗できたのはヒロトシ様だけです。カエデ様は、ヒロトシ様に頼るしかないと!」

「馬鹿な事を!何でご主人様が、そんなことに首を突っ込まないといけないのですか?」

「お願いします!俺達を救ってください!俺達はもう闇ギルドの言いなりにはなりたくはないのです」

「君達の身の上は不幸だと思う。幼少時に誘拐をされ、闇ギルドに絶対の服従を強いられてきたのだろうが、俺にそれを言われてもどうしようもない」

「俺達をかくまってくれたなら、闇ギルドの情報を渡します……」

 サスケ達も必死だった。ヒロトシに見捨てられては本当に後がないからだ。ここで見捨てられれば、カエデと16人の仲間の命が無駄になってしまうからだ。

「闇ギルドの情報なんか貰っても意味なんかないです!闇ギルドが、ご主人様をどうこう出来るとは思いませんからね。それより、厄介事を持ってこないでください!」

「ぐっ……で、ですが……それはヒロトシ様だけでしょ?闇ギルドが、ミトンの町をまだあきらめていなかったらどういたしますか?」

「そ、それは……」

「どうです?情報は重要だと思いますが?」

「あはははは!面白いな」

 ヒロトシは、サスケの言う事に笑いがこみ上げてきた。

「何がおかしいのですか?」

「君は何か勘違いしているよ。俺は基本、自分の家族の為だけにしか動かないよ」

「そんな馬鹿な!あなたはスタンピードから町を救ったはずです」

「そりゃ町が無くなれば、また新しい場所を探さないといけないからね。それにあのスタンピードの時は、俺は町にいなかったから、必死にミランダ達を救いたいがために動いただけだよ」

「そんなバカな‼」

「本当だよ。あの時に俺が、町にいればスタンピードすら起こっていないよ。それが結果的に町を救っただけであって、俺からしたらミトンの町は、俺の家族がこの町にいたことでただ運が良かっただけだよ」

「しかし、情報があった方が!」

「ああ。たしかにそうだよね」

「だったら、この情報を手に入れたほうが……」

「多分、その情報は予想が出来るよ」

「なっ……そんなバカな事がある訳……」

「だけど、その計画が失敗すれば闇ギルドは、もうこの町には手を出す事が本当に出来なくなるよね?まあ、ミトンの町と言うよりミトンの町に住んている俺と言う事になるんだけどね」

「そ、それは……」

「君の言う計画の主要人物を当ててやろうか?」

「そんな事が分かる訳が……」

「今ミトンの町を滅ぼそうとしているのは、スタンピードの時にエルダーリッチを引っ張り出した人物だろ?違うかい?」

 サスケ達は、目を見開いて驚いた。あの時のネクロマンサー達が闇ギルドに帰ってきたのだった。東の森のミトン支部が滅亡されて、身を隠すと思っていたネクロマンサー達がオーランの町に帰還したのだ。
 その汚名を晴らす為に、闇ギルドからチャンスを貰っていた。本来ならその場で処刑されてもおかしくないが、正直に帰ってきて自分達の汚名をそそぐという心意気を闇ギルドは買ったのだった。

 ヒロトシも又、北の森にあったミトン支部を滅ぼした時に、違和感を感じていたのだった。スタンピードの時に、あれほどのアンデット集団を闇ギルドが集められる訳はないし、エルダーリッチを仲間にできるエキスパートがいると思っていたのだった。
 しかし、ミトン支部を壊滅させたときには、その人物がいない事を不審に思っていたのだ。

「そ、それは……」

「どうやら図星のようだね」

 サスケたちは、絶望したのだった。自分達の身を守るための駆け引きの情報はすでに、ヒロトシの予想の範疇だった事だ。
 つまり、闇ギルドが何かしてきても、その対応策はすでにあるという事を言っているのも同じだった。

「お、お願いします!俺達を……いえ、俺の命でこの3人を救ってください!」

「「「サスケ!そんな事を言わないで!」」」
「あたし達は、今まで仲間を大事にしてきたじゃない!」
「そうよ!サスケの犠牲で、あたし達だけ助かっても意味が無いわ!」
「そうよ!サスケが死ぬのならあたし達も一緒に……」

 今まで黙っていた、キキョウ・アスカ・サクラがサスケの行動を止めに入った。

「ヒロトシ様……頼みます!キキョウ達を……」

「どうしてもここから去ってくれないのか?」

「俺らにもう行くところはありません。ここから離れれば闇ギルドに命を取られましょう。そうなれば、ここまで逃がしてくれた仲間やカエデ様の命は無駄となります」

 ヒロトシは、サスケの言葉を聞き目をつむり考え込んだ。その様子に焦ったのはミランダである。

「ご主人様!変な気を起こさないでください!こやつらは闇ギルドの人間です。信じては駄目です。闇ギルドの人間は非情でいつ裏切るか分からないんですよ?」

「「「「我らは、ヒロトシ様を裏切ったりいたしません!」」」」

「そんな事、信じられるわけないでしょ?」

「申し訳ないが、俺も君達を信じる訳には……」

「そ、そんな!」

「しかし、一つだけ君達を信じてもいい方法がある。それを受け入れる覚悟はあるかい?」

「ご主人様!闇ギルドに籍を置いた人間を保護するおつもりですか?ご主人様を油断させて、暗殺する計画かもしれないんですよ」

「あっ!その辺は心配していないよ」

「ここに潜入できている事で、俺達に害意がある人間ではないよ。それに、闇ギルドを抜けようとしている話も本当だろう。俺が心配しているのはミランダたちの事だよ」

「私達の事?」

「俺達は、ヒロトシ様の奴隷達をどうこうしようなんて思っていません!」

「いや、そうじゃないんだ……君達はミランダを俺の奴隷だと思っているんだろ?」

「「「「えっ?」」」」
「違うのですか?」

「立場上奴隷なだけだ。俺はミランダたちを奴隷とは思っていないよ。だから、君達がここに来た場合、ミランダ達を奴隷と思う事しか出来ないだろ?」

「ですが、その者は奴隷なのは確かではありませんか?」

「そう、確かに奴隷だよ。君達がここに住んだ場合、ミランダ達を奴隷といい下に見るはずだ。俺にはそれが耐えられないと言っている」

「では、奴隷として扱わないので!」

「うん。それが信じられないと言っているんだ。もし、俺が君達を受け入れればここでは君達が新人になる。その奴隷達から指示を受けてその命令に従えるかい?」

「そ、それは……」

「そうなれば、この生活は破綻してしまう。ここでは、そういう扱いが常識であり、君達にとっては非常識になるんだよ」

「「「「……」」」」

「しかし、俺の言う条件を受け入れる覚悟はあるかい?それを受け入れることが出来るのなら君達を受け入れよう」

「その条件とは?」

「まさかご主人様!おやめください!なにもそのような人間を受け入れなくても!」

「君達が俺の奴隷になると言う事だよ」

「「「「えっ⁉」」」」

 ヒロトシは、サスケ達を自分の奴隷にすることで、ミランダ達と同じ立場にすることで受け入れさせようとした。

「君達が俺の奴隷、家族になると言うのなら俺は君達の為に闇ギルドから守ってやる。当然、俺の家族になるのだから、君達の思う様な奴隷の暮らしでは無く普通の生活を保障しよう」

「それ以外では?」

「そうなれば、俺にとって君達は他人事だ。君達には申し訳ないが助ける義理はないよ」

「むぐぐぐ……」
「サスケ……ここは条件を飲むしか」
「何を言っている!奴隷に落ちればもう二度と……」
「だけど、あたし達は生涯を通してヒロトシ様にお仕えすると言ったじゃない!」
「そうだよ!」
「だが、奴隷になれば絶対に服従だ。お仕えとは別物になるんだぞ?」

「あっ……とりあえず言っておくが、夜の奉仕の事言っているのなら心配しなくてもいいよ。そんな外道な命令なんかするつもりはないから」

「だが、その女は一緒のベットに入っていたではないか?」

「失礼ね!わたしは無理やりご主人様に抱かれたわけじゃないわ!お願いにあがって、昨日ようやく順番が回ってきて寵愛を受けたのよ!」

「まあ、そういう事だ……俺はそういう命令はするつもりはないよ」

「うううううう……」

「嫌なら別に構わない。この町から出ていって貰えれれば構わないよ」

「「「「ミトンの町から⁉」」」」

「当たり前だろ!君達がいれば闇ギルドが、この町にやって来る恐れがあるからな。そんな厄介事を看過することはできないよ」

「そ、そんな!じゃあ、俺達に死ねと言っているのと同じじゃないか」

「君達は何を言っている?もし逆の立場だったら、君達は闇ギルドの人間を手放しで信じると言うのかい?」

「そ、それは……」

「躊躇するだろ?君達が俺の奴隷になれば、その心配事はなくなると同時に君達は俺の仲間になる。おれが、その仲間を闇ギルドから守るのは当然のことになる」

「それしか本当にないのですか?」

「君達が持っている情報は、俺には価値のないものだからな。それに、俺は勇者じゃない。町の人達からは英雄と呼ばれているが、俺自身は只の商人だ。出来る事なら、闇ギルドなんかに係わり合いたくないのは当然だろ?」

「しかし……」

 サスケ達は、奴隷になる事に躊躇していた。そしてただ頭を下げるだけで話が全然進まないので、ヒロトシは別の提案をしたのだ。

「そんなに結論が出せないのなら、君達の班長であるカエデと言ったか?その人物と相談したらいいよ」

「何を言っているのですか?カエデ様は俺達を逃がす為……」

「いや、このミトンの町に潜入したみたいだぞ」

「「「「えっ⁉」」」」

「じゃあ、一緒にそこまで連れて行ってやるよ。一緒についてくるか?」

 ヒロトシは、町に闇ギルドの人間が潜入したらわかるようにしていた。さきほどから、廃墟に潜り込んだ人間が動いていない事が気になっていたが、サーチで調べるとカエデと表示されていたのだった。


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