研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

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第4章 魔道スキルと研磨スキル

5話 マイン攫われる

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 ヒロトシと別れて、ハボリムとティアナは長い旅路についた。長い旅だったが、護衛についていたのは騎士団長と言う事もあり危険な事はなく、半年後王都に着いたのだった。

 そして、ヒロトシはあれからすぐにミトンの町へと引き返し、衛兵達に心配され注意を受けていた。ヒロトシはたった一人で自転車で町の外に出たからだ。
 衛兵が止める間もなく、すっとんでいったので心配されていたのだ。そして、家に帰ると今度はセバス達からも注意を受けた。

「旦那様!もし外に出るならミルデンスの一人でも護衛につけてください」

「まあ、そうかもしれんが、今回はハボリムに追いつきたかったのもあるし……」

「だったらトラックで行ったらよかったじゃありませんか?あれならすぐに追いつけるはずですよね?」

「いやいや、俺は昨日徹夜をしたんだ。運転は危険すぎるよ。だから俺は自転車で行ったんだ」

「事情は分かりますが、それでも一人で行動するのはいただけません!」

「ああ……わかってるよ。今回は特別だ。そんなに怒るなよ」

「分かってくれるのならいいです。これからは絶対護衛をつけてですね……」

「もう勘弁してくれよ。俺は一睡もしていないんだからさ。今日はもう寝るから後の事はよろしく」

「あっ!ちょっと待ってください!」

 セバスは、もっと小言を言うつもりだったが、ヒロトシは眠くてそのまま自室に入って眠ってしまった。今日はせっかくの休みの聖の日だ。セバス達もヒロトシが無事帰ってきた事で胸をなでおろし、マイン達はようやく休日を満喫する事にした。

「セバス。じゃあ、わたし達は外出するけど、後の事はよろしくね」

「ええ、行ってらっしゃい。ゆっくりしたらいいですよ」

 マインやアイ達、聖の日が休日になっている人間は、町にくりだしていく。今やこの光景は、ミトンの町ではおなじみになっていた。
 普通、奴隷達が休日やお小遣いをもらい嬉しそうに日々を過ごす事など、世の中広しと言えど㋪美研やサンライトの奴隷達だけである。

 それも綺麗な服を身に着け、ヒロトシの磨いた宝石まで身に着けていて、どう見ても特別奴隷のような美しさがあり、とても華やかな存在だった。



「マイン!」

「ご、ご主人様。どうしてこんなとこに?」

「いやぁ……屋敷にいたら、セバスの奴がうるさくてな。逃げだしてきたんだよ」

「また、ご主人様ったら勝手に一人で抜け出してきて、又怒られますよ?」

「まあ、そういうなよ。それより久しぶりだし、二人で食事でもどうだ?この町にもが、まだまだ俺の知らない店があったんだ」

「本当ですか?行きたいです!」

「そうかそうか!俺も久しぶりにゆっくりしたかったんだ。こっちにある店なんだ?」

「どんなところなんですか?」

「それは行ってからのお楽しみって事で」

 そして、マインはその日屋敷に帰ってくることはなかった。




「ご主人様!ご主人様!」

 その日ゆっくり眠っていたヒロトシは、夕方近くにアイの激しい扉のノックで目を覚ました。

「どうかしたのか?ふぁ~~~~~よく寝た……」

「す、すいません!マインがまだ帰ってこないんです!」

「はっ?お前達いつも一緒だっただろ?」

「そうなんですが、わたしお店で服を買おうと思っていたのですが、いつの間にかマインがいなくなっていて……」

「護衛メンバーは何をしていたんだ?」

「今日は、ミランダと一緒だったのですが、ミランダもわたしと一緒で服を選んでいて、てっきり一緒に行動していたと思っていたんです」

「何を……」

「ひっ!」

 ヒロトシは声を荒げようとしたが、ミランダも今日は休日だったので無理はないと思いなおした。

「いや、すまない……そんなに怯えなくてもいい。それでミランダは?」

「今、町の中を護衛メンバー全員で捜索中です……」

 ヒロトシは、町の中をサーチした。すると町の中を護衛メンバーが、駆けまわっているのが分かったが、ミトンの町の中にはマインの姿は無かった。

「やられた……」

「マインは?」

「町の中にはいないよ……」

「そ、そんな……」

「とりあえず、みんなが帰ってくるまで待つしかないな」

 ヒロトシは、そう言って護衛メンバーが帰ってくるのを静かにまった。アイは、ヒロトシが落ち着いているのを見て何でそんなに落ち着いていられるのが疑問に思ったのだ。

「ご主人様!なんでそんなに落ち着いていられるのですか?」

「こういう時はまず落ち着かないでどうする!護衛メンバーが何か手がかりを持ってくるかもしれないだろ?」

「ですが!この時にもマインは……」

「だったら、どうすればいいんだ?」

「そ、それは……」

「いいか?こういう時は特に慌てたらダメだ!今回、マインは何者かに攫われたかもしれないが、それさえも分からない状態だ」

「はい……」

 その時、ミランダが家に駆けこんできた。

「ご主人様!申し訳ございません」

 ミランダが入って来るなり、ヒロトシが起きていたことに気づき、すぐに謝罪をしたのである。

「頭を上げて、事情は聴いた。なにもお前が悪いわけじゃない。悪いのはマインをさらったやつらだよ。それで何か掴んだのか?」

「それが……ご主人様の偽者が、ミトンの町に出没したみたいなのです」

「俺の偽者だと?」

「セバスに聞いたのですが、ご主人様は今日一日部屋でお休みになっていたと聞いたのですが、それは間違いないですか?」

「ああ!今までずっと部屋で寝ていた」

「しかし、町ではご主人様とマインが一緒に歩いていたと言う目撃情報がありました。以前なら、町の人達も声をかけたそうですが、最近は声をかけるのも恐れ多いとのことで声を掛けなかったそうです」

「そんな事はどうでもいい。そして、その二人はいったいどこに?」

「そ、それが……2人の会話から、珍しい店があると町の路地に入り、そこで2人の消息は無くなっていました」

「では、手掛かりはないのか?」

「それが、路地にこんなものが落ちていました」

 ミランダは、懐にしまっていたネックレスを、ヒロトシに差し出した。そのネックレスは、ヒロトシがマインの為に作ったものだった。



 その頃、マインは薄暗い場所で目を覚ました。

「うっ……」(ここは……)

「やっとお目覚めのようだね」

「うう!んんんん~~~~~」(ご主人様?ここはいったい?)

 マインは縛られ、案山子の様に身動きが出来ない状態で猿轡も噛まされていた。

「マインだったか?静かにしろ!」

 ヒロトシの姿をしているのに、マインだったか?と聞かれたのだ。マインは頭の中がパニックになっていた。

「んんん!」

「静かにしろと言ったはずだぞ?首を縦に振れば分かる」

 そのヒロトシの姿形は、確かに自分が好きなヒロトシなのだが、その目は生気が無く只の物を見るような目つきで愛情もなかった。マインは、恐ろしくなり首を縦に一回だけ振った。

「物分かりがいいのはえらいぞ。褒めて使わす」

 姿形声、全てヒロトシなのだが恐怖があり、そして、その両隣にも人形のような女性が二人立っているのが恐ろしかった。

 二人とも、この世の物とは思えないほど美しく、1人は漆黒のドレスもう一人は白いドレスを着ていて、ヒロトシがこの場にいれば、ロリータとゴスロリファッションと言っていただろう。

 しかし、白いドレスを身にまとったその手には禍々しいダガーが握られていて、黒いドレスの方の女性には似つかわしくない大鎌が握られていた。

「シアン、そいつの猿轡をとってやれ」

「総帥、承知いたしました」

 ヒロトシの姿をした人間が、その白いドレスを身にまとった女性から総帥と言われたのだ。そして、マインはその女性から猿轡を解かれた瞬間、ヒロトシに向かって大声を出していた。

「貴方はいったい誰?」

「大声を出すなと言ったはずだぞ?質問は受け付けない。こちらの質問に答えよ」

「えっ?」

「お前の主であるヒロトシの弱みは?」

「はっ?」

「弱点だよ。ヒロトシの弱点はどこだ?

 マインは何を聞かれているのかその意図分からないでいた。ヒロトシに、ヒロトシの弱点はどこかと聞かれていたのだ。

「だから、ヒロトシの弱点を教えろと言っている」

「そ、それは……」

「なんだ、早く言え!」

「わたしに聞くより、ご主人様の方が分かっているはずでは?」

「お前は馬鹿か!俺がヒロトシだとまだ思っておるのか?これだから、獣人奴隷はイライラする!」

「そんなの知っていても喋るわけないわ!」

 マインは、総帥と呼ばれた人間に馬鹿にされ、顔を真っ赤にして怒鳴り返していた。マイン自身もヒロトシに弱点などあるわけないと思っていた。

「そ、そうか……じゃあ、しゃべるまで拷問させてもらおうか?」

「わたしが、拷問で口を割ると思ったら大きな間違いよ!」

「今の内だけよ。そんな事を言ってられるのは?早いとこ口を割る事をお勧めするわ。くすくす……」

 シアンと呼ばれていた女性が、身動きのできないマインの耳元で小さく笑い忠告した。そして、総帥はもう一人の女性に何かを言ったみたいで、もう一人の女性は静かに部屋を出て行ったのだ。

「総帥、何か用でしょうか?」

「貴方はカエデ?何でここにいるのよ!」

 もう一人の女性が連れてきた人間の顔を見て、マインは驚いて声を出した。その言葉を聞き、カエデはイヤらしい笑みを浮かべたのだった。

「へえ!あなたあたしの姉さんを知っ……」

「愚か者!何を言っているんだ!」

「お、お姉さん?……どういうこと?」

「しょうがない!モミジ、貴様はそれでも闇ギルドの人間か?ペラペラ喋るんじゃない!」

「申し訳ございません!」

「ったく!ここは馬鹿な奴らばかりか」

 モミジは、総帥に怒鳴られ顔を真っ青にして土下座していた。


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