研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

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第5章 意外なスキル

12話 サンライトにも新商品

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 ㋪美研ではマジックバックが売りに出されたと話題に上った。その値段は2億と破格の値段であり、冒険者だけでなく生産者や行商人もとびついたのだった。

 行商人はこれさえあれば、馬車に積み込まなくてもよくなり、護衛はつけるものの馬車が軽くなり逃げやすいという特権がある。また、大量に荷物を運ぶことが出来、儲けが多くなるのだ。

 そして、生産者である採掘師達にとっても、ダンジョンに鉱石を掘りに行く場合、大量の鉱石を一度に持って帰る事が出来る事になる。それ故にこのマジックバックは本当に魅力的だった。

 ㋪美研では、このマジックバックを10個しか製作していなくて、すぐに次の生産受注が入ったのだ。

「なあ、マインちゃん、俺達もあのバックが欲しいんだが、次の販売はいつなんだ?」

「申し訳ありません……あのバックに使われている皮はドラゴンの皮なんです。だからそうやすやすと作れるモノじゃないんですよ」

「はああ?ドラゴンの皮だって?」

「それと、被せの部分で留め金となる部品はドラゴンの鱗を細工してある物で……そうそう素材が手に入らないのです」

「そんなバックをたった2億で販売したのか?」

「私達もご主人様に言ったのですが、その値段で十分だと……」

 ヒロトシとしては今回の売り上げが20億ととんでもない売り上げをあげたので満足していた。それに、1ヶ月後にはその研磨料金が必ず見込めるのだ。
 1ヶ月経つとバックは+2アイテムとなり収容量が格段だと下がる為、磨きをしないと使い物にならないからだ。
こっちは皮の磨きで、全部手作業で時間をかけて磨くため、研磨料金は50万ゴールドの値をつけていた。つまり年間一人の客から600万の売り上げが上がる計算となる。ヒロトシからすれば、それだけ貰えれば十分だった。

「だが、ドラゴンの素材を持ってこれれば、作ってもらえるってことか?」

「それは止めておいた方がよろしいかと?」

「なんでだ?」

「魔の森のスワンプドラゴンですよ」

「はぁあ⁉」

「そんなところに行ったら、死んでしまいませんか?この素材もご主人様だから取ってこれたのです……」

「スワンプドラゴンって、4mほどの8本足の奴か?」

「はい」

「AランクやSランク冒険者が連合を組んで討伐するドラゴンか?」

「はい……それであってます」

「そんなの無理じゃねえか!」

「だから、やめておいた方がいいと……あのバックはそれほどのレア素材じゃないと、あの大きさにならないそうです」

 冒険者は納得した様子だった。バックの大きさはベルトポーチで実質ポーション2本入るかどうかの大きさのバックで、戦闘になっても邪魔にならず使い勝手がよさそうだった。
 しかし、その容量はとんでもなく大きくテントやポーション雑貨、ありとあらゆるものを収納できて、手ぶらでダンジョンを捜索できる物だった。

「じゃあ、本当にいつ次の販売は?」

「ご主人様次第ですね。ご主人様は、日頃は研磨業務がありますから、そう何回も魔の森に討伐に出かける事はありません」

「そ、そんな……」

「そんなと言われても、ミトンの町の復興も頑張っておられるのですから、それを放っておいて魔物討伐に出かける事は出来ませよ」

「それはそうだが……もう少し生産量を上げてくれても……」

「じゃあ、ハンスさんの武器の研磨が遅れてもいいと?」

「そ、それは困る!」

「ですよね?だったら、ご主人様も無理という事です」

「分かったよ……」

 冒険者の研磨が遅れれば、冒険に行けなくなりスケジュールや依頼期間が短くなってしまう事になる。そうなれば依頼失敗の可能性が出てきて、違約金を払わないといけなくなるのだ。そうなれば死活問題となり本末転倒になるので、ハンスは受け入れるしかなかった。

 それと、マイン達は冒険者達には申し訳ないと思っていたが、ヒロトシにはもうちょっとゆっくりしてもらいたいとも思っていた。




「ご主人様?こんなところに入ってきて何をしているのですか?」

 アヤが、厨房に入ってきたヒロトシに話しかけていた。

「いやな。サンライトの方ショートケーキとクッキーだけしかないだろ?」

「まあ、そうですが。人気の商品ですよ?」

「もう一つデザートを増やしてみようと思ってな」

「ちょっとご主人様!もうちょっとゆっくりしてください。働き詰めではありませんか」

「まあ、サンライトの方は俺が料理を作る訳じゃないしな。大丈夫だよ」

「確かにそうかもしれませんが……」

「まあまあ、最近じゃ俺は土の日と聖の日は休んでいるんだからさ」

「大丈夫ならいいんですが、無理はしないでくださいよ」

「とりあえず、これを食べてみてくれないか?」

「何ですか?この膨れた丸いデザートは?」

 アヤはそれを手に取り、一口食べてみるとふんわりした生地の中に甘いクリームが口いっぱいに広がったのだ。

「美味しい!」

「これはシュークリームというんだ」

「こ、これは大人気商品になりますよ!ショートケーキもイチゴの甘酸っぱさがいいですが、このシュークリームはまた違う甘さで本当においしいです!」

 アヤの説明に、厨房で働くメイド達も気になるようでこちらをチラチラ伺っていた。

「お前達も食べてみるか?」

 ヒロトシがそう言うと、メイド達は笑顔となって集まってきた。そして、メイド達全員がシュークリームを口にして、何とも幸せそうな顔をしていた。

 そして、後日シュークリームが販売される事になると、サンライトの売り上げは過去最高のものとなった。これらの売り上げは、シュークリームだけではなく、マジックバックを作った時に手に入れたスワンプドラゴンのステーキを出したからだ。
 肉汁たっぷりのステーキは、少し高いが滅多に平民が食せるものではなく、こんな機会はないと人が詰めかけたのだ。

「こんな美味い肉食ったことがねえ」
「ほんとおいしいわ!」
「サンライトがこの町にあって良かった」
「ホントだぜ。他の町なら俺は移住しているぜ」
「儂は、ここの料理が食べたくて移住してきたんだよ」
「爺さん、その気持ちわかるぜ」

「あたしはこのシュークリームの方がいいわ」
「ホントよね。口いっぱいに広がる甘さ」
「本当においしいわ」

 この料理は、一人一品までとお願いしていた。そうでなくても、外には長蛇の列で食べれない人が出たのだった。
 
「申し訳ありません!今日の在庫は無くなりました」

「「「「「ええええええ!」」」」」」
「嘘だろ?まだ昼すぎだぜ?」

「申し訳ありません……また明日のお越しをお待ちしております」

 サンライトに並んでいたお客は文句は言うが大人しく帰っていった。サンライトのオーナーが、ヒロトシだと分かっていたからだ。町の人間は文句を言って、ヒロトシに迷惑はかけたくなかったのだ。

「わかったよ。また明日並びに来るぜ」
「在庫が無いならしょうがないわね……」

「本当に申し訳ございません」

 こうして、サンライトの忙しい一日が終わったのだった。



 今日は、シルフォードが㋪美研に訪問しに来ていた。

「ヒロトシ君、本当にありがとう!君が盗まれた商品を奪い返してくれたおかげで、何とか復興の目処が立ちそうだよ」

「そうですか。それは良かったです」

「しかし、又とんでもない商品を発売したようだね」

「おかげさまで」

「あれはもっと生産は出来ないのかね?」

「今はちょっと時間が無いですね?何でですか?」

「復興の目処はたったと言ったんだが、それは町の中の事なんだよ。外が問題でね。予算がそこまで回せないんだ」

「だから、マジックバックをもっと販売してくれと?町の外とは河川の事ですか?」

「そうなんだ、先の地震で土手が崩れてしまっていて、このままでは川が決壊してもおかしくはなくてね」

「なるほど……その予算を捻出したいと」

「話が早いね。そういう事なんだ」

「話は分かりますがちょっと難しいですね。マジックバックの材料を取りに行くのがちょっと……」

「あれはそんなに難しいのかね?」

「俺は簡単なんですが、その魔物を探すのがね」

「あのバックの素材は何なんだね?」

「スワンプドラゴンです」

 シルフォードはそれを聞き固まってしまった。

「だが、あの巨体なドラゴンであんな小さなバック10個だけなのか?」

「そうですよ。あれは一枚皮ではありません。何重にも重ねていますからね」

「そうなのか?」

「まあ、正直な話……皮はまだ余っていますがね」

「そうだろ?だったら……」

「問題は鱗の方ですよ。スワンプドラゴンは鱗が少ないですからね」

「なるほど……それはしょうがないな……」

 シルフォードは、河川の土手の修繕工事を最優先とし、町の修繕を後回しにするしかなかった。とにかく人材が足りないのがネックになっていた。


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