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第5章 意外なスキル
13話 河川の修繕
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シルフォード達は河川の土手の修復計画に奮闘していた。どうにか予算を捻出しないといけなかった。もうすぐ雨期に入るのでそれまでには、河川の曲がった外側だけでも修復しないと大変な事になるのが、どう考えても分かりきっていたからだ。
シルフォードと町の役員達は連日会議を開いていた。
「ちょっと待ってください!こちらに回す予算をそんなに削られては……」
「しかし、今は河川の修復をだな?」
「何を言っているのですか。教会の修復にも金はかかるのだ」
「教会は後回しにしてだな。まずは孤児院をなんとかせねば……」
「いやいや。なにを言っておる!図書館をまず何としないと書籍の管理が出来ぬだろう?書籍の価値は皆も知っておるではないか?」
シルフォードは、頭を抱えてしまった。各部署の言う事も納得できる事ばかりだった。そんな時に、会議室の外が何やら騒がしくなってきた。
「ちょっとヒロトシ様お待ちください」
「まあ、いいからいいから。このままじゃ本当に大変な事になるんだよ?それでもいいのか?」
「ですが今は会議中で皆様ピリついていますから……ああ……」
「失礼します!」
「今は会議中だ!誰が入室を許した」
「ちょっと失礼します」
「ヒロトシ君!いったいなんだね?今は会議中だ」
ヒロトシが見た会議は会議とは言えないようなものだった。全員が目の下にクマを作り、苛立っていたからだ。そして、貴族だと言うのに何日も風呂に入っていない様子で、会議室は異様な匂いで充満していたのだ。
「シルフォード様!このまま会議を続けたら本当に死んじゃいますよ」
「今は頑張らないと町は本当に水害で滅亡してしまう。何とかしないといけない時なんだ」
「俺、前に言いましたよね?そんな急いで根を詰めるなって!これは貴方達役員の皆さんにも当てはめて考えてください」
「馬鹿な事を!今我々が休んでいては……」
シルフォードはヒロトシの言葉に机をたたき立ち上がった。しかし、急に立ち上がった事で立ちくらみが起こり、そのまま力が抜けた様に座席に座り込んでしまった。
「「「「「シルフォード様!」」」」」」
町の役員は、シルフォードに駆け寄り腕を取ったりしていた。
「こんな状態でいい案が浮かびましたか?」
「そ、それは……」
「会議するなら、ちゃんと睡眠をとってください!じゃないと、時間だけが過ぎいい案が出るわけないじゃないですか?」
ヒロトシはそう言いながら、シルフォード達に【クリーン】を唱えた。
「いいですか?貴方達は人間です。こんな無理をしたら本当に過労死してしまいます。そしたら誰が町を守ると言うのですか?」
「「「「「うっ……」」」」」
「まずは甘いものでも食べてください。疲れているときは糖分補習です」
ヒロトシは、会議室にいた人間すべてに、新商品のシュークリームをだした。そのシュークリームを食べたシルフォード達は、ちょっと気が休まったような感じになった。
「ヒロトシ君……少し気が休まった感じがするよ」
「いいですか?皆さんお腹もすいていたのでしょ?そんなんじゃイラつくだけで、会議にならなかったんじゃありませんか?」
「「「「「そっ!そんな事は……」」」」」」
シルフォード達は反論できなかった。確かに各部署各々が怒鳴りあっていたからだ。
「とりあえず、各自言いたいことは分かりますが、最重要課題は河川の修復ですよね?」
「ちょっと待ちたまえ!なぜヒロトシ様が会議の進行をしておる?それは我々に任せて頂こう!」
「貴方達は、とりあえず休憩をした方がいいんじゃないんですか?」
「そんな事をやっている暇は……」
「分からない人達ですね。河川の事は俺に任せろと言っているんだ!」
「はぁあ⁉任せろだと?」
「ヒロトシ君!君は何を言っているんだね?」
「シルフォード様は、とりあえず身体を休めてください。その間に河川の事は俺がやっておきます。休憩した後、冷静な判断で町の復興を考えて頂けますか?」
「馬鹿な事を!河川の土手をヒロトシ君1人で修繕工事をするつもりかね?」
「これは特別です!土手が決壊したら俺も困るんでね」
「しかし……」
「とりあえず、川のカーブした場所のこちら側を補習すれば何とかなりそうですか?」
「ああ……その個所さえ雨季に間に合えば、後はこちらの予算で賄えるとおもう」
雨季に間に合わせる為に、突貫工事を依頼するとなれば割増料金が発生するが、通常工事なら今のミトンの財政で何とかなる見積もりだった。
「分かりました。皆さんは今日と明日の2日ゆっくりしてください。この2日で何とか終わらせますので」
「「「「「……」」」」」
ヒロトシの2日という説明に、全員が言葉を失ってしまっていた。そして、町の役員達はヒロトシの言葉にすがるしかなかった。これ以上考えてもしょうがないとは言わないが、いい案が出る確証が無かったからだ。
それだけ言って、ヒロトシは会議室を後にした。会議室を出るとカチュア達副ギルドマスターが、ヒロトシに話しかけてきた。
「ヒロトシ様、どうなりましたか?」
「カチュアさん達はこれ以上会議を開かせないでほしい。とりあえず、このまま会議を続けても、疲労がたまっていくだけだしな」
「だけど……」
「とりあえず、冷静になって貰わないと優先事項もまとまらないんじゃ、いくら会議を開いても時間の無駄じゃないか?」
「それはそうですが……」
「こんな調子では、こちらがいくら新商品で協力しようが、頭が潰れてしまったらどうするんだ?」
「……」
「とりあえず、河川の土手は俺が修繕しておく。君達はギルドマスターの補佐をして頭の固い連中を休ませてくれ」
「わ、分かりました……何とかやってみます」
カチュアやアリベス達、副ギルドマスターは2日後の会議内容をまとめておくと言って、役員達を説得したようだった。
ヒロトシは、ミトンの町のそばを流れる河川に行くと、土手は地震の影響で崩れていた。
「主君。これはひどいですね……」
「ああ……土手が崩れて河の流れが詰まっている個所もあるな……」
「本当に大丈夫ですか?」
「何を言っているんだ?心配なんかしてないくせに」
「主君なら何でもできそうですけどね」
「ああ。任せておけって」
『ヒロトシ何をするの?』
「ビアンカは大人しくしてろよ」
『えぇ!何をするか教えてって言っただけじゃない……』
「ビアンカ!お前はこっちに来い。主君はこれから凄いことするんだからな。教えてもらうより、何も知らないほうが楽しいぞ?」
『ミルデンス、本当?』
「当たり前だろ?知ってから見るのと知らずに見るのじゃ全然違うに決まっているじゃないか?」
『ミルデンスが言うならわかった。そうする』
ビアンカは、そう言ってパタパタと羽ばたき、ミルデンスの肩にちょこんとのった。そして、ミルデンスはお利口さんという様にビアンカの頭を撫でたのだった。
「君達仲がいいね……」
「い、いえ……私はタダ主君の邪魔にならない様にと思ってですね」
『あ~!ミルデンスあたしの事を邪魔と言った』
「いや、そうじゃなくてだな。主君はこれから凄い事をするから側にいたら危ないだろ?」
「はいはい。わかったわかった……お前達は本当に仲がいい」
ミルデンスとビアンカは本当に仲が良かった。ミルデンスは50をこえ、おじさんと言われる年である。一方ビアンカはまた生まれたばかりで、知識を蓄えている途中なのに、なにが気が合うのかよく分からないヒロトシだった。
「じゃあ、土手の修繕と行くか……」
ヒロトシは呆れた様子で、崩れた土手の辺りに【ウォールオブストーン】を唱えた。これは土属性で土の壁を作る魔法である。ヒロトシはこの魔法でシュガー村の城壁を一瞬にして作った。それと同じ要領で、河川の土手を盛り上げて頑丈な土手を作り上げてしまった。
『ヒロトシ、凄い!』
「なっ?だから言っただろ?知らない状態の方が驚いただろ」
『うん。ミルデンスの言った通りだ』
土壁は、ゆうに3mの高さに盛り上がり、土壁の長さは10mほどだった。この土手ならば、雨期が来ても十分耐えられるとミルデンスは思った。
「主君。この魔法もとんでもない効果ですね」
「この魔法のおかげで、シュガー村の城壁は作られているんだぞ」
「確かに、この魔法が無ければ村は出来るまでに、もっと時間がかかっていたかもしれませんね」
「まあ、あの城壁は形だけだけどな。結界があるからどっちでも構わないと言ったら構わないんだけどな」
「な、なるほど……」
「主君は何で出来てしまうから、出来ない事を見つける方が大変ですね」
「そんな事はないぞ」
「そんなことありますよ」
「俺はガインみたいに鍛冶が出来ないし、錬金術だってできないしな。俺からしたらあいつ等の方が凄いと思うぞ。それにミルデンスだって、剣術はもう達人レベルだ」
「そんな、戦闘能力を考えれば主君の方が……」
「俺は剣術は出来ないよ。まあ格闘術では負けるつもりはないけどな。それにスキルレベルで言えば、まだ1レベルだ。俺は単純にレベルが高いだけだよ」
「それがすごいじゃないですか」
「だから、出来る事は人それぞれなんだよ。俺だって苦手な部分はいくらでもあるんだ。出来る事をやっているだけだよ」
そう言いながらヒロトシは、ドンドン土手を修復していくのだった。
シルフォードと町の役員達は連日会議を開いていた。
「ちょっと待ってください!こちらに回す予算をそんなに削られては……」
「しかし、今は河川の修復をだな?」
「何を言っているのですか。教会の修復にも金はかかるのだ」
「教会は後回しにしてだな。まずは孤児院をなんとかせねば……」
「いやいや。なにを言っておる!図書館をまず何としないと書籍の管理が出来ぬだろう?書籍の価値は皆も知っておるではないか?」
シルフォードは、頭を抱えてしまった。各部署の言う事も納得できる事ばかりだった。そんな時に、会議室の外が何やら騒がしくなってきた。
「ちょっとヒロトシ様お待ちください」
「まあ、いいからいいから。このままじゃ本当に大変な事になるんだよ?それでもいいのか?」
「ですが今は会議中で皆様ピリついていますから……ああ……」
「失礼します!」
「今は会議中だ!誰が入室を許した」
「ちょっと失礼します」
「ヒロトシ君!いったいなんだね?今は会議中だ」
ヒロトシが見た会議は会議とは言えないようなものだった。全員が目の下にクマを作り、苛立っていたからだ。そして、貴族だと言うのに何日も風呂に入っていない様子で、会議室は異様な匂いで充満していたのだ。
「シルフォード様!このまま会議を続けたら本当に死んじゃいますよ」
「今は頑張らないと町は本当に水害で滅亡してしまう。何とかしないといけない時なんだ」
「俺、前に言いましたよね?そんな急いで根を詰めるなって!これは貴方達役員の皆さんにも当てはめて考えてください」
「馬鹿な事を!今我々が休んでいては……」
シルフォードはヒロトシの言葉に机をたたき立ち上がった。しかし、急に立ち上がった事で立ちくらみが起こり、そのまま力が抜けた様に座席に座り込んでしまった。
「「「「「シルフォード様!」」」」」」
町の役員は、シルフォードに駆け寄り腕を取ったりしていた。
「こんな状態でいい案が浮かびましたか?」
「そ、それは……」
「会議するなら、ちゃんと睡眠をとってください!じゃないと、時間だけが過ぎいい案が出るわけないじゃないですか?」
ヒロトシはそう言いながら、シルフォード達に【クリーン】を唱えた。
「いいですか?貴方達は人間です。こんな無理をしたら本当に過労死してしまいます。そしたら誰が町を守ると言うのですか?」
「「「「「うっ……」」」」」
「まずは甘いものでも食べてください。疲れているときは糖分補習です」
ヒロトシは、会議室にいた人間すべてに、新商品のシュークリームをだした。そのシュークリームを食べたシルフォード達は、ちょっと気が休まったような感じになった。
「ヒロトシ君……少し気が休まった感じがするよ」
「いいですか?皆さんお腹もすいていたのでしょ?そんなんじゃイラつくだけで、会議にならなかったんじゃありませんか?」
「「「「「そっ!そんな事は……」」」」」」
シルフォード達は反論できなかった。確かに各部署各々が怒鳴りあっていたからだ。
「とりあえず、各自言いたいことは分かりますが、最重要課題は河川の修復ですよね?」
「ちょっと待ちたまえ!なぜヒロトシ様が会議の進行をしておる?それは我々に任せて頂こう!」
「貴方達は、とりあえず休憩をした方がいいんじゃないんですか?」
「そんな事をやっている暇は……」
「分からない人達ですね。河川の事は俺に任せろと言っているんだ!」
「はぁあ⁉任せろだと?」
「ヒロトシ君!君は何を言っているんだね?」
「シルフォード様は、とりあえず身体を休めてください。その間に河川の事は俺がやっておきます。休憩した後、冷静な判断で町の復興を考えて頂けますか?」
「馬鹿な事を!河川の土手をヒロトシ君1人で修繕工事をするつもりかね?」
「これは特別です!土手が決壊したら俺も困るんでね」
「しかし……」
「とりあえず、川のカーブした場所のこちら側を補習すれば何とかなりそうですか?」
「ああ……その個所さえ雨季に間に合えば、後はこちらの予算で賄えるとおもう」
雨季に間に合わせる為に、突貫工事を依頼するとなれば割増料金が発生するが、通常工事なら今のミトンの財政で何とかなる見積もりだった。
「分かりました。皆さんは今日と明日の2日ゆっくりしてください。この2日で何とか終わらせますので」
「「「「「……」」」」」
ヒロトシの2日という説明に、全員が言葉を失ってしまっていた。そして、町の役員達はヒロトシの言葉にすがるしかなかった。これ以上考えてもしょうがないとは言わないが、いい案が出る確証が無かったからだ。
それだけ言って、ヒロトシは会議室を後にした。会議室を出るとカチュア達副ギルドマスターが、ヒロトシに話しかけてきた。
「ヒロトシ様、どうなりましたか?」
「カチュアさん達はこれ以上会議を開かせないでほしい。とりあえず、このまま会議を続けても、疲労がたまっていくだけだしな」
「だけど……」
「とりあえず、冷静になって貰わないと優先事項もまとまらないんじゃ、いくら会議を開いても時間の無駄じゃないか?」
「それはそうですが……」
「こんな調子では、こちらがいくら新商品で協力しようが、頭が潰れてしまったらどうするんだ?」
「……」
「とりあえず、河川の土手は俺が修繕しておく。君達はギルドマスターの補佐をして頭の固い連中を休ませてくれ」
「わ、分かりました……何とかやってみます」
カチュアやアリベス達、副ギルドマスターは2日後の会議内容をまとめておくと言って、役員達を説得したようだった。
ヒロトシは、ミトンの町のそばを流れる河川に行くと、土手は地震の影響で崩れていた。
「主君。これはひどいですね……」
「ああ……土手が崩れて河の流れが詰まっている個所もあるな……」
「本当に大丈夫ですか?」
「何を言っているんだ?心配なんかしてないくせに」
「主君なら何でもできそうですけどね」
「ああ。任せておけって」
『ヒロトシ何をするの?』
「ビアンカは大人しくしてろよ」
『えぇ!何をするか教えてって言っただけじゃない……』
「ビアンカ!お前はこっちに来い。主君はこれから凄いことするんだからな。教えてもらうより、何も知らないほうが楽しいぞ?」
『ミルデンス、本当?』
「当たり前だろ?知ってから見るのと知らずに見るのじゃ全然違うに決まっているじゃないか?」
『ミルデンスが言うならわかった。そうする』
ビアンカは、そう言ってパタパタと羽ばたき、ミルデンスの肩にちょこんとのった。そして、ミルデンスはお利口さんという様にビアンカの頭を撫でたのだった。
「君達仲がいいね……」
「い、いえ……私はタダ主君の邪魔にならない様にと思ってですね」
『あ~!ミルデンスあたしの事を邪魔と言った』
「いや、そうじゃなくてだな。主君はこれから凄い事をするから側にいたら危ないだろ?」
「はいはい。わかったわかった……お前達は本当に仲がいい」
ミルデンスとビアンカは本当に仲が良かった。ミルデンスは50をこえ、おじさんと言われる年である。一方ビアンカはまた生まれたばかりで、知識を蓄えている途中なのに、なにが気が合うのかよく分からないヒロトシだった。
「じゃあ、土手の修繕と行くか……」
ヒロトシは呆れた様子で、崩れた土手の辺りに【ウォールオブストーン】を唱えた。これは土属性で土の壁を作る魔法である。ヒロトシはこの魔法でシュガー村の城壁を一瞬にして作った。それと同じ要領で、河川の土手を盛り上げて頑丈な土手を作り上げてしまった。
『ヒロトシ、凄い!』
「なっ?だから言っただろ?知らない状態の方が驚いただろ」
『うん。ミルデンスの言った通りだ』
土壁は、ゆうに3mの高さに盛り上がり、土壁の長さは10mほどだった。この土手ならば、雨期が来ても十分耐えられるとミルデンスは思った。
「主君。この魔法もとんでもない効果ですね」
「この魔法のおかげで、シュガー村の城壁は作られているんだぞ」
「確かに、この魔法が無ければ村は出来るまでに、もっと時間がかかっていたかもしれませんね」
「まあ、あの城壁は形だけだけどな。結界があるからどっちでも構わないと言ったら構わないんだけどな」
「な、なるほど……」
「主君は何で出来てしまうから、出来ない事を見つける方が大変ですね」
「そんな事はないぞ」
「そんなことありますよ」
「俺はガインみたいに鍛冶が出来ないし、錬金術だってできないしな。俺からしたらあいつ等の方が凄いと思うぞ。それにミルデンスだって、剣術はもう達人レベルだ」
「そんな、戦闘能力を考えれば主君の方が……」
「俺は剣術は出来ないよ。まあ格闘術では負けるつもりはないけどな。それにスキルレベルで言えば、まだ1レベルだ。俺は単純にレベルが高いだけだよ」
「それがすごいじゃないですか」
「だから、出来る事は人それぞれなんだよ。俺だって苦手な部分はいくらでもあるんだ。出来る事をやっているだけだよ」
そう言いながらヒロトシは、ドンドン土手を修復していくのだった。
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