氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第3章 新たな覚醒

26話 偽金事件を断れなかった

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 ショウは2人に説明を続けると、さらに顔を青くする。ショウは闇ギルドが偽金を作ったところで、儲けは少ないと言う。

「どういう事だ?」

「いいか。よく考えてみろよ。金を採掘して、鍛冶屋を連れてきて、偽金を作らせるんだぜ。そんな労力を使って物を購入しても割が釣り合わない」

「馬鹿な事を!偽金でどれほどの物を購入されて……」
「気づいたようだな。偽金事件から物流はストップだ。偽金を使ってもどうにもならんだろ?」

「「た、確かに……」」

 そこで、ショウは闇ギルド五竜ウーロンより、たちの悪い利権をむさぼる貴族の事を言う。

「だが、本当の諸悪の根源は、今も偽金を使って私腹を肥やしているんだ」

「馬鹿な!どうやって私腹を肥やしているんだ。高級品は買えないんだぞ」

「まだわからないのかよ……偽金を作っているやつは銀を混ぜる事で、偽金を増産しているんだろ?」

「「そうだ!」」

「そんな事ができる奴は鉱山の管理者だよ」

「「あっ!」」

「その金を少しずつ着服して、私腹を肥やしているんだよ」

「馬鹿な!金貨を作る鍛冶屋はどうやって騙すんだよ」

「そこでようやく闇ギルド五竜ウーロンの出番というわけだ」

「「はぁ?」」

「ここからは俺の予想となるが、闇ギルド五竜ウーロンは借金を作って身動きのできない鍛冶屋を拘束して金を作らせているんだろう」

「確かに金塊は幾らでもある。そこから少しずつ着服して別の場所で作らせているのか……」

「そう言う事だ。あんた達は闇ギルド五竜ウーロンを悪だと思い込んでいるから駄目なんだよ」

「「馬鹿な!」」
「闇ギルド五竜ウーロンは悪の根源ではないか!」

 領主アレックは、ショウが闇ギルド五竜ウーロンは悪くないと言っているようで大声で反論する。

「確かに闇ギルド五竜ウーロンは悪だ。それは俺も賛同するよ」

「そうだろう!私達は間違っていない」

「だけどな。俺から言わせれば貴族やギルドの権力者の方が諸悪の根源と言わざるを得ないよ」

「馬鹿な!ワシはそんな事を!」

「俺の言っているのはベックさんの事じゃねぇよ。あんたも知っているだろ?商人ギルドはなんで潰れた?まぁ、今は新しい人間が派遣されて立て直している最中だがな」

「わかっているならいい」

 ベックはショウに、「あんたは悪くない」と言われて内心ホッとする。そして、ショウの説明はまだ続く。

「それで話はまだ終わらないからな」

「「まだ何かあるのか?」」

「当たり前だ。偽金を作ったあと悪徳商人が必ずいるはずだ」

「なんでそれがわかる?」

「偽金は王国領に広がりつつあるのだろ?それなら、食品や日常生活に密接した商品売買で広まっているはずなんだ」

「「なんでわかる!」」

「わからない方がおかしい……冒険者や生産ギルドの価値の高いアイテムは止められているんだろ?なら、悪徳商人が食品の売買で偽金を使っているしかないだろ」

「「……」」

「つまりだな。あんた達の捜査は見当違いもはなはだしいというわけだ」

 ショウの説明に領主アレックは言葉を失うのだった。また、ベックも頭を抱えてしまった。

「と、いうわけだから早急に対処した方がいい」

「魔導士様はどこに?」

「えっ……手伝わなくていいのか?」

「そのような事は言ってないではないか!」

「ったく……しょうがねぇな。全部説明しないといけないのかよ」

 ショウは続けて、領主アレックとベックに説明をするのだった。

「まずは、証拠が必要になるから俺達が鍛冶屋を救出する。多分だが、闇ギルド五竜ウーロンのアジトがあるはずだ」

「そんな簡単にみつかるのか?」

「金塊を運び出す手間があるんだ。鉱山から離れた場所にはないと思うぜ」

「だからと言って、そう簡単に見つかるものでもあるまい!」

 ショウの説明に、領主アレックはなかばキレ気味に怒鳴るが、ショウには世界地図ワールドマップがあるので、当の本人は領主アレックの言葉には何処吹く風状態である。

「まぁ、その辺は俺に任せておけって!鍛冶屋と証拠の品があれば、領主様も悪徳商人と貴族の逮捕はできるだろ?」

「それはそうだか……本当に貴族が関わっておるのだろうな?」
「それしかあり得ないだろ!」
「もし、関わっていない場合……私の前で王国貴族をあれほど馬鹿にしたのだぞ?どうなるかわかっておるのだろうな?」
「じゃあ、反対に王国貴族が関わっていた場合。それ相応の責任を取ってもらうからな。以前の事件でガイガン男爵が必要だからと言って、理不尽な処分はないと思っておけ」
「……」

 ショウの態度は、貴族に対するものでは到底あり得ないものだ。その態度にベックは心臓が止まりそうになるのだった。
 そして、ショウは踵を返すようにギルドの部屋の扉を閉め出て行くのだった。ギルドのホールに戻ると、なぜかヒナタの周りには冒険者達で賑わい、まるで冒険者ギルドのアイドルのようになっていた。

「父ちゃん」
「ショウ」

 アユミとヒナタは、冒険者達の中をかき分けショウの元に駆け寄るのだった。

「話し合いは済んだの?」

「済んだが……偽金事件の解決を断れなかったよ」

「そうなると思ってた」
「だね」

 その会話を聞いた冒険者達から歓声があがる。ショウ達は耳を塞ぎ、冒険者達を落ち着かせるがこれでようやく事件が解決出来たと更に盛り上がるのだった。また、ギルド職員達も解決出来たと確信を持てたようで、受付嬢達は抱き合って「きゃあきゃあ」と言って歓声をあげていたのだ。
 
「いったん私有地に帰るぞ」
「「はい!」」

 ショウ達は、冒険者達をかき分け冒険者ギルドを後にしたのだった。


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