氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第3章 新たな覚醒

27話 偽金の黒幕

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 ショウは、眉間にシワを寄せながら無言で歩き私邸に帰る。それを見ていたヒナタは、アユミの足にしがみつくのだった。

「ちょっとショウ!」

「なんだ?」

「そんな眉間にシワを寄せながら歩いていたら、ヒナタが怯えているでしょ?中でなにがあったのよ」

「ああ……悪いな。ヒナタも怖がらなくていいからな」

「父ちゃん怖いよ」

「しかし、貴族というのは厄介事しか起こさないもんかね……俺は呆れるよ」

「それでなにがあったのよ」

 アユミは、ギルドの部屋であった事を聞いて両手を天に上げて呆れたポーズを取る。

「なんにしても、指名依頼を受けたんだから早急に解決しようと思う」

「あてはあるの?」

「以前、川から流れてきた男がいただろ?」

「確かにいたね」

「チュータが見つけたおっちゃんだね」

「そうだ。確かカンって男だったか?忘れたな……まぁいいか」

 ショウはそんな話をしながら続ける。あの男が命からがら逃げていたのなら、川の上流に奴らのアジトがあるはずだと、ショウはアユミ達に言う。その話を聞いてアユミは両手を叩いて音を鳴らすのだった。

「確かにその線が濃いな」

「また、闇ギルドと戦うの?」

「もうヒナタも大丈夫だ。お前のレベルはギルドマスター並みに強いからな」

「ヒナタ……そう考えるとお前とんでもないよな。ホント5歳児なの?」

「アユミお姉ちゃん。失礼すぎ!あたしだっていまだに自分でも信じられないよ」

「あっははは!ヒナタ、冒険者達に大人気になってたもんな」

「ううっ……」

 ショウが領主アレックと部屋の中にいた時、ヒナタとアユミは冒険者達から色々聞かれていたのである。
 例えば、チュータやユメミを見せてほしいとか、どうやってテイムできたとかである。また、アユミは男性冒険者から人気があり、お茶や食事に誘われていたのである。アユミ達ホムンクルスは、見目麗しくギルド受付嬢より人気があるのだ。
 ショウがいない今を逃さないとばかりに、お誘いが殺到していたのである。

「そう言うアユミお姉ちゃんも、冒険者達から色んな場所にお誘いされてニヤニヤしてたじゃない!」

「あたしはニヤニヤなんかしてない!」

「ふん!」

「まあまあ。2人共喧嘩するなよ」

「だって……ヒナタが!」
「だって……アユミお姉ちゃんが!」

「2人共息ぴったりだな……」

「「違う(もん)!」」

「とにかくだ!話を戻すが、家に帰ってすぐ川の上流の捜索をするからな」

「わかったわ」
「うん」

 そして、ショウ達はゲートで家に帰り、私有地で休んでいるみんなを集め、マートンの町であった事を説明し、川の上流の捜索に向かうのだった。




 マートンの町は、ダンジョンの他にも鉱山や高原など自然に囲まれた土地である。その為、犯罪奴隷が強制労働させられ、死ぬまで鉄鉱石や金銀の採掘をさせられる場所でもあるのだ。

「クックック……この鉱山の管理人抜擢されたからには、更に上の役職に這い上がってやるわ!その為には金が必要なんだ!」

 管理人に抜擢された人間は、貴族ギルドで働く最下位の貴族である、ラプダラ=ヤワアイダという人間だ。
 この男は、ヤワアイダ家の五男に位置する人間であり、家督を継げる訳はない。その為、成り上がりたいという野望は人一倍大きいのである。

「五男であるこのワシがようやくここまで来れたのだ。ここで一気に金を手に入れ、金さえばら撒けば必ずや推薦枠を獲得できるはずだ」

 ラプダラは、不正に手に入れた金で貴族ギルドの上司に取り入り、上に上がる為に推薦枠を手に入れるつもりでいた。
 貴族ギルドでは公共事業で、こういった鉱山の管理職やインフラ整備の仕事を請け負っている。そして、こういった不正が横行しているのである。

「今回は少し多めに金塊を取っておくか。どうせ、詳しくは見ないしバレることもないしな。クックック……」

 ラプダラは金塊を横流しし、闇ギルド五竜ウーロンのアジトに送る。そこには、鍛冶屋が出稼ぎとして働かされている。銀を混ぜて偽金を造らされているのである。集められた鍛冶師は3年という期間契約で縛って逃げる事もできないのである。
 しかし、鍛冶師達を管理しているのは、闇ギルド五竜ウーロンであり、3年の期間が終わらず始末される未来が待っているだけだった。鍛冶師の家族は契約破棄という責任を取らされ、奴隷に落とされることになり地獄が待っているのだ。
 そして、出来上がった偽金は悪徳商人であるカーラハンに渡され、商会を儲けさせるのである。その売り上げの一部をラプダラが受け取り私腹を肥やしていた。

「ラプダラ様、今回もありがとうございます。これは、ラプダラ様の取り分でございます」

「お~!そうかそうか。ワシはこの金貨で更に上に登りつめてやるわ!うははははははは!」

「ラプダラ様、それで今回は更に多くの金塊を流されましたが大丈夫なのですか?」

「かまわん。どうせ誰も詳しく確認するような奴はおらぬわ」

「そうでございますか?では、これは領収書にございます」

「毎回毎回このようなもの……要らぬと言っているではないか!」

「そう申されても、私共としては間違いのないようにして置かなければいけませんので……」

「がめつい奴よのう……おぬしは!」

「いえいえ、私などラプダラ様に比べれば小心者でございますよ。ワハハハハハハ!」

「それより取り引きは済んだんだ。慰み者は用意しておるのであろうな?」

「ラプダラ様もお好きでございますなぁ」

「なんとでもぬかせ!それで今回はどんな女だ?」

「それは……奥の部屋に用意しておりますので、ご自身でご確認を」

 ラプダラは、カーラハンにもったいぶられはぁはぁ言いながら奥の部屋に急ぎ向かった。すると、そこにはベッドに四肢を縛られ、身動きが出来ない裸の女奴隷が一人。
 そして、部屋の隅には手足を縛られ猿轡で喋れないカンの姿があった。

「ほう!これは素晴らしい女だ!」
「う~~~!う~~~!」

 カンは、ラプダラの姿を見て身体をねじりながら必死で止めようとしたが動けない。カンは抵抗むなしくただその状況を見守る事しか出来ない。
 ラプダラは、その状況にニヤリといやらしい笑みを浮かべ、ベッドに近づくのだった。
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