8 / 48
8
しおりを挟む
彼が去ったあとはいつもきちんとかたづけられて、情事の跡を残すようなものは、全部洗濯されている。
好きだと言われて付き合い始めたものの、外でデートをすることはほとんどない。
最初の頃は、食事くらいはしていたけれどそこでの結城さんはまるで他人行儀でまるで落ち着かなかった。
それでも毎回、予約してある高級ホテルでは恋人同士の甘い時間があった。それも、結城さんの懐具合が心配で家に誘うようになってからは途絶えている。
最近は、SEXだけして帰って行くこともおおい。
(まるでセフレだ)
結城さんは"既婚者じゃないか?"そんな疑念を持つようになったのはいつからだろう。
考えてみれば朝まで一緒にいたのは、あのパーティの日だけだ。
家にも行ったことがない。行きたいと強請ってもうまい具合にはぐらかされる。
そう言えば土日や祝日に会ったこともない。生花店にとって土日は繁忙期だからさして疑問にも思っていなかった。
思い当たる節ばかりだったけど、僕はどうしても問い詰めることが出来なかった。
それをはっきりさせてしまえば二人の関係が終わってしまうのが目に見えているから。
▲
僕の職場は都内にいくつも店舗を持ちブライダルから葬祭の装花、フラワーアレンジの教室まで手広く手掛ける大手の生花店である。
僕の働く店舗はカフェが併設されて一段高くなった客席からは店内の植物がすべて見渡せるつくりになっている。
付き合い始めたあとも結城さんは時々カフェにやってきては一人で仕事をしたりしながら小一時間ほど時間を過ごしていく。
もちろん、店での結城さんの態度は今までと変わらない。むしろそっけなくなったくらいだ。
そして今日も、結城さんはカフェにいる。
「いらっしゃいませ。」
「早瀬さん、久しぶり。」
「あれ?田中さん、お店にいらっしゃるなんて珍しいですね。」
「早瀬さんの顔見たくなっちゃって。」
田中さんは近くのオフィスビルに本社を構える大きな会社の、総務部の社員さんだ。普段は大口の注文が多いから法人部から注文が降りてくることが多い。
「またまた、お急ぎのご注文ですか?」
「今夜の社長の会食のお相手に誕生日の方がいるんだそうで。アレンジメントお願いできるかな?」
予算やお相手の年齢やプロフィールを聞きながら花束を作っていく。
「ちょっとお時間いただくのでカフェの方でお待ちいただけますか?」
「ここで早瀬さんのお仕事見てていい?」
「それは別に構いませんけど、面白いことはなにもありませんよ?」
田中さんは気軽に話せるお客様のお一人だ。
そういえば、結城さんと会ったあの日のパーティも田中さんの会社のパーティだった。
「ねえ、早瀬さん今度一緒にご飯いかない?」
僕はじとっと田中さんを見た。
「田中さん、正直に言ってください。誰がお目当てですか?」
正直バイトの女のコも含めてうちの職場は可愛いコ揃いだ。
時々、こういうお誘いはある。本人を誘えないから僕に仲介を頼んでくるのだ。
「いやいや誤解だって。僕は早瀬さんと二人で、、、」
「すいません。これお会計。」
遮るような声に顔を上げると、結城さんが小さなサボテンを手に立っていた。
「あっすみません。ちょっとお待ちいただけますか?まりちゃーん。お会計お願いします!」
僕は奥からバイトのまりちゃんをよんだ。
(何も僕にわざわざ声をかけなくてもカフェの方でも会計できるのに。)
そんなことを考えているうちに田中さんの花束も完成して、『ご飯行かない?』の話は立ち消えになって僕はほっとした。
好きだと言われて付き合い始めたものの、外でデートをすることはほとんどない。
最初の頃は、食事くらいはしていたけれどそこでの結城さんはまるで他人行儀でまるで落ち着かなかった。
それでも毎回、予約してある高級ホテルでは恋人同士の甘い時間があった。それも、結城さんの懐具合が心配で家に誘うようになってからは途絶えている。
最近は、SEXだけして帰って行くこともおおい。
(まるでセフレだ)
結城さんは"既婚者じゃないか?"そんな疑念を持つようになったのはいつからだろう。
考えてみれば朝まで一緒にいたのは、あのパーティの日だけだ。
家にも行ったことがない。行きたいと強請ってもうまい具合にはぐらかされる。
そう言えば土日や祝日に会ったこともない。生花店にとって土日は繁忙期だからさして疑問にも思っていなかった。
思い当たる節ばかりだったけど、僕はどうしても問い詰めることが出来なかった。
それをはっきりさせてしまえば二人の関係が終わってしまうのが目に見えているから。
▲
僕の職場は都内にいくつも店舗を持ちブライダルから葬祭の装花、フラワーアレンジの教室まで手広く手掛ける大手の生花店である。
僕の働く店舗はカフェが併設されて一段高くなった客席からは店内の植物がすべて見渡せるつくりになっている。
付き合い始めたあとも結城さんは時々カフェにやってきては一人で仕事をしたりしながら小一時間ほど時間を過ごしていく。
もちろん、店での結城さんの態度は今までと変わらない。むしろそっけなくなったくらいだ。
そして今日も、結城さんはカフェにいる。
「いらっしゃいませ。」
「早瀬さん、久しぶり。」
「あれ?田中さん、お店にいらっしゃるなんて珍しいですね。」
「早瀬さんの顔見たくなっちゃって。」
田中さんは近くのオフィスビルに本社を構える大きな会社の、総務部の社員さんだ。普段は大口の注文が多いから法人部から注文が降りてくることが多い。
「またまた、お急ぎのご注文ですか?」
「今夜の社長の会食のお相手に誕生日の方がいるんだそうで。アレンジメントお願いできるかな?」
予算やお相手の年齢やプロフィールを聞きながら花束を作っていく。
「ちょっとお時間いただくのでカフェの方でお待ちいただけますか?」
「ここで早瀬さんのお仕事見てていい?」
「それは別に構いませんけど、面白いことはなにもありませんよ?」
田中さんは気軽に話せるお客様のお一人だ。
そういえば、結城さんと会ったあの日のパーティも田中さんの会社のパーティだった。
「ねえ、早瀬さん今度一緒にご飯いかない?」
僕はじとっと田中さんを見た。
「田中さん、正直に言ってください。誰がお目当てですか?」
正直バイトの女のコも含めてうちの職場は可愛いコ揃いだ。
時々、こういうお誘いはある。本人を誘えないから僕に仲介を頼んでくるのだ。
「いやいや誤解だって。僕は早瀬さんと二人で、、、」
「すいません。これお会計。」
遮るような声に顔を上げると、結城さんが小さなサボテンを手に立っていた。
「あっすみません。ちょっとお待ちいただけますか?まりちゃーん。お会計お願いします!」
僕は奥からバイトのまりちゃんをよんだ。
(何も僕にわざわざ声をかけなくてもカフェの方でも会計できるのに。)
そんなことを考えているうちに田中さんの花束も完成して、『ご飯行かない?』の話は立ち消えになって僕はほっとした。
5
あなたにおすすめの小説
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話
日向汐
BL
「好きです」
「…手離せよ」
「いやだ、」
じっと見つめてくる眼力に気圧される。
ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26)
閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、
一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
📚 **全5話/9月20日(土)完結!** ✨
短期でサクッと読める完結作です♡
ぜひぜひ
ゆるりとお楽しみください☻*
・───────────・
🧸更新のお知らせや、2人の“舞台裏”の小話🫧
❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21
・───────────・
応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪)
なにとぞ、よしなに♡
・───────────・
僕の恋人は、超イケメン!!
八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
嘘つき王と影の騎士
篠雨
BL
「俺の役割は、貴方を守ることだ。……例え、貴方自身からも」
国の平穏を一身に背負い、十二年間「聖王」という偶像を演じ続けてきたセシル。
酷使し続けた心身はすでに限界を迎え、その命の灯火は今にも消えようとしていた。
そんな折、現れたのは異世界からの「転移者」。
代わりを見つけた国は、用済みとなったセシルからすべてを剥奪し、最果ての地へと追放する。
死を待つためだけに辿り着いた冬の山。
絶望に沈むセシルの前に現れたのは、かつて冷徹に王を監視し続けていた近衛騎士団長、アルヴィスだった。
守るべき王も、守るべき国も失ったはずの二人が過ごす、狭い小屋での夜。
無価値になり、壊れかけた自分を、なぜこの男は、そんな瞳で見つめるのか。
なぜ、そんなにも強く、抱きしめるのか。
これは、すべてを失った「聖王」が、一人の男の熱に暴かれ、再生していくまでの物語。
イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話
タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。
瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。
笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる