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「結城さん…どうして…。」
「蒼…、急にいなくなって心配した。」
東京にいた頃は、完全に職場とプライベートの区別をつけていたから店にいるときに『蒼…』なんて呼ばれたことはなかった。
「こっ困ります。急に来られても。」
平静を装って言ったつもりが声が上ずった。
「そうだよね。雑誌、見て懐かしくなっちゃって。俺のアカウント変わってないから。仕事終わったら連絡して。」
去り際にすっと耳元に顔を寄せて俺だけに聞こえるように結城さんが囁いた。
「連絡してくれなかったら、何度でも来るから。」
ずるいと思った。そんなふうに言われたら連絡せざるをえない。
「今日は、6時に終わるから。ホテルから海岸に出る裏口があるからそこで待っててください。仕事終わったら行きます。」
▲
今さら何を話せというのだろう。
思い足取りで待ち合わせの場所に向かった。そこには既に彼が待ち構えていた。
「蒼っ、会いたかった。」
駆け寄ってきた結城さんにきつく抱きしめられた。
「やめてっ!」
僕は、力いっぱい押し返してなんとか彼から離れた。
「蒼…ちゃんと話したいんだ。」
「僕は話したくない。なんで来たの?」
人気のない夕方のサブエントランスといえど無人ではない。
ちらちらとこちらを気にする様な素振りで女性客が二人近づいてきた。
顔が見えるところまで近づいてくると、
「やっぱり!早瀬蒼さんですよね?」
「ぁ、はい。」
急に声をかけられて戸惑っていると
「記念写真撮ってください!」
グイグイと寄ってこられて写真を撮られる。
「ごめん。もういいかな?ちょっと二人で話したいんだ。」
そう言って結城さんが割って入ると二人は顔を赤らめて
「すみません。お邪魔しちゃって!」
と離れていった。
「ゆっくり話したい。俺の部屋に来てくれない?」
僕は黙って首を横に振った。今二人きりになれば流されてしまう。
「今の時間なら海岸には人がいないから。少し歩こう。」
海岸に向かう階段を二人でおりた。
歩きながら結城さんがぽつりと言った。
「蒼、俺が既婚者だって知ってるんだろう?」
「蒼…、急にいなくなって心配した。」
東京にいた頃は、完全に職場とプライベートの区別をつけていたから店にいるときに『蒼…』なんて呼ばれたことはなかった。
「こっ困ります。急に来られても。」
平静を装って言ったつもりが声が上ずった。
「そうだよね。雑誌、見て懐かしくなっちゃって。俺のアカウント変わってないから。仕事終わったら連絡して。」
去り際にすっと耳元に顔を寄せて俺だけに聞こえるように結城さんが囁いた。
「連絡してくれなかったら、何度でも来るから。」
ずるいと思った。そんなふうに言われたら連絡せざるをえない。
「今日は、6時に終わるから。ホテルから海岸に出る裏口があるからそこで待っててください。仕事終わったら行きます。」
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今さら何を話せというのだろう。
思い足取りで待ち合わせの場所に向かった。そこには既に彼が待ち構えていた。
「蒼っ、会いたかった。」
駆け寄ってきた結城さんにきつく抱きしめられた。
「やめてっ!」
僕は、力いっぱい押し返してなんとか彼から離れた。
「蒼…ちゃんと話したいんだ。」
「僕は話したくない。なんで来たの?」
人気のない夕方のサブエントランスといえど無人ではない。
ちらちらとこちらを気にする様な素振りで女性客が二人近づいてきた。
顔が見えるところまで近づいてくると、
「やっぱり!早瀬蒼さんですよね?」
「ぁ、はい。」
急に声をかけられて戸惑っていると
「記念写真撮ってください!」
グイグイと寄ってこられて写真を撮られる。
「ごめん。もういいかな?ちょっと二人で話したいんだ。」
そう言って結城さんが割って入ると二人は顔を赤らめて
「すみません。お邪魔しちゃって!」
と離れていった。
「ゆっくり話したい。俺の部屋に来てくれない?」
僕は黙って首を横に振った。今二人きりになれば流されてしまう。
「今の時間なら海岸には人がいないから。少し歩こう。」
海岸に向かう階段を二人でおりた。
歩きながら結城さんがぽつりと言った。
「蒼、俺が既婚者だって知ってるんだろう?」
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