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嵐の夜に 幕間
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賽川を追い出したローズは理知の傍へと戻り、サイドチェアに腰を下ろした。
「理知ちゃん」
「っ…、ごめんなさぃ…っ」
涙をポロポロと溢し始めた理知の頭を撫でる。
「あ~大丈夫よ泣かなくて!私は賽川さんの恋人とかじゃないから!」
「ーっ」
ローズの言葉に理知がたじろいだ。
多分まだ、男女の仲だとか恋人とはどういうものなのか、小学三年生の理知にははっきり解ってはいないだろう。
しかし賽川とローズが親しげにしているのを見て、初めて嫉妬という感情が芽生えたのだ。
そしてそれを処理しきれず泣くことしか出来なかった。
「うっ、うっ、ひくっ、」
「大丈夫!大丈夫よ~、私ほら男だからっ!いや、もちろん心は女だけどね!それに今どき男同士だから安心だなんてナンセンスだけど!はっ!違うの違うの!だからって私が賽川さんと恋人になるとか有り得ないから!私には素敵な彼氏がいるし!まあでも何が起こるかわからないのが人生よね…。あー!だから違うのよ!賽川さんとは戦友みたいな?ビジネスパートナーみたいな?そんな感じだから!」
「………」
あまりにもたくさんの情報を早口で聴かされたせいか理知の涙が止まる。
とにかく泣き止んでくれたとローズはホッと胸を撫で下ろした。
「ローズさん、男の人なの…?」
「そうよ~。ニューハーフってやつ」
「…男の人が好きなの?」
「うん。だって心は女だもん。いけないかしら?」
「っ…、わかんない…」
「そっか。そうよねぇ」
理知は優しい性格で人を否定することなど出来ない。
ただ、小学三年生の理知の知識には男同士の惚れた晴れたは無く、『いけないこと』なのではと少し思ってしまった。
でもそれはローズを傷付けてしまうのではと思い、わからないと言うしかなかった。
それに、もしかしたら自分のこの想いも『いけないこと』かもしれないと思うと余計に否定など出来なかった。
ローズにはそんな理知の想いが全て解っていた。
伊達に長年、様々な恋愛相談を受けているわけじゃない。
「う~ん…、でもね理知ちゃん、人を好きになることは決して『いけないこと』じゃないのよ?性別や年齢問わずにね」
「っ…、ほんと…?」
「ホントよ!あ、もちろんその気持ちを一方的に相手に押し付けるのはどうかと思うけど」
「………」
理知は一瞬戸惑ったが、ローズにならと思い、ひた隠しにしていた胸の内を打ち明けた。
「わたしが、…おじさんを好きなのも、っ…『いけないこと』じゃない…っ?」
自然と涙が溢れる。
この想いはまだ親友の圭にも話していなかった。
「やっぱり、賽川さんのことが好きなのね?もちろんよ!少しもいけないことじゃないわ!」
「~っ、でもっ、おじさんは、子供の私より、大人の女の人が好きだと…思っ…、うっう~っ…」
想いを吐露し泣き出してしまった理知に、ローズはもう慰めの言葉はかけない。
自分を含め、女は腹を括らなければいけない時があるのだ。
「そう思うんだったらちゃんとお粥を食べなきゃね!」
「っ…?」
「ちゃんと食べて大きくなって賽川さん好みの女になるの!泣いてる暇なんか無いわよ~!」
「…っ、……っ」
ローズに諭され、理知は必死で泣くのを止めた。そして、お粥の入った器を自ら手に取り一口二口と食べ始める。
まさか努力などせずとも賽川が自分のことを好きだとは露知らず、理知は大きな決心と共にお粥を嚥下した。
『理知ちゃん頑張って!ローズはあなたの味方よ!』
「理知ちゃん」
「っ…、ごめんなさぃ…っ」
涙をポロポロと溢し始めた理知の頭を撫でる。
「あ~大丈夫よ泣かなくて!私は賽川さんの恋人とかじゃないから!」
「ーっ」
ローズの言葉に理知がたじろいだ。
多分まだ、男女の仲だとか恋人とはどういうものなのか、小学三年生の理知にははっきり解ってはいないだろう。
しかし賽川とローズが親しげにしているのを見て、初めて嫉妬という感情が芽生えたのだ。
そしてそれを処理しきれず泣くことしか出来なかった。
「うっ、うっ、ひくっ、」
「大丈夫!大丈夫よ~、私ほら男だからっ!いや、もちろん心は女だけどね!それに今どき男同士だから安心だなんてナンセンスだけど!はっ!違うの違うの!だからって私が賽川さんと恋人になるとか有り得ないから!私には素敵な彼氏がいるし!まあでも何が起こるかわからないのが人生よね…。あー!だから違うのよ!賽川さんとは戦友みたいな?ビジネスパートナーみたいな?そんな感じだから!」
「………」
あまりにもたくさんの情報を早口で聴かされたせいか理知の涙が止まる。
とにかく泣き止んでくれたとローズはホッと胸を撫で下ろした。
「ローズさん、男の人なの…?」
「そうよ~。ニューハーフってやつ」
「…男の人が好きなの?」
「うん。だって心は女だもん。いけないかしら?」
「っ…、わかんない…」
「そっか。そうよねぇ」
理知は優しい性格で人を否定することなど出来ない。
ただ、小学三年生の理知の知識には男同士の惚れた晴れたは無く、『いけないこと』なのではと少し思ってしまった。
でもそれはローズを傷付けてしまうのではと思い、わからないと言うしかなかった。
それに、もしかしたら自分のこの想いも『いけないこと』かもしれないと思うと余計に否定など出来なかった。
ローズにはそんな理知の想いが全て解っていた。
伊達に長年、様々な恋愛相談を受けているわけじゃない。
「う~ん…、でもね理知ちゃん、人を好きになることは決して『いけないこと』じゃないのよ?性別や年齢問わずにね」
「っ…、ほんと…?」
「ホントよ!あ、もちろんその気持ちを一方的に相手に押し付けるのはどうかと思うけど」
「………」
理知は一瞬戸惑ったが、ローズにならと思い、ひた隠しにしていた胸の内を打ち明けた。
「わたしが、…おじさんを好きなのも、っ…『いけないこと』じゃない…っ?」
自然と涙が溢れる。
この想いはまだ親友の圭にも話していなかった。
「やっぱり、賽川さんのことが好きなのね?もちろんよ!少しもいけないことじゃないわ!」
「~っ、でもっ、おじさんは、子供の私より、大人の女の人が好きだと…思っ…、うっう~っ…」
想いを吐露し泣き出してしまった理知に、ローズはもう慰めの言葉はかけない。
自分を含め、女は腹を括らなければいけない時があるのだ。
「そう思うんだったらちゃんとお粥を食べなきゃね!」
「っ…?」
「ちゃんと食べて大きくなって賽川さん好みの女になるの!泣いてる暇なんか無いわよ~!」
「…っ、……っ」
ローズに諭され、理知は必死で泣くのを止めた。そして、お粥の入った器を自ら手に取り一口二口と食べ始める。
まさか努力などせずとも賽川が自分のことを好きだとは露知らず、理知は大きな決心と共にお粥を嚥下した。
『理知ちゃん頑張って!ローズはあなたの味方よ!』
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