この気持ちを恋と言うこと勿れ

三十路独身フリーター男

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第10話 アンズです。501号室のお客様ですか?

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「アンズです。501号室のお客様ですか?」

「は、はひぃ……! どうぞぉ!」

 扉の向こうから、あの鈴のような美しくもか細い声が聞こえ、今日は緊張しないでいこうと決めていたのに、既に第一声でその目標が瓦解した。

「……失礼いたします。あ! お客様は確か先週の……」

「はい、鏡山です」

「鏡山様。またのご使命ありがとうございました」

 扉を開けて、入室してきたアンズちゃんは先週と何一つ変わらないままに美しい、あのアンズちゃんだった。彼女は礼儀正しく一礼をした後、顔を上げて俺の顔を見てふっと微笑んでくれる。

 勿論、アンズちゃんはここへは仕事に来たのだから、俺たちは軽い挨拶を済ませた後に先週と同じように裸になって風呂場へと向かった。2回目となれば目の前で服を脱ぐアンズちゃんにそこまで緊張しなくなったが、残念なことに男性器はしっかりと勃起していて恥ずかしいことこの上ない。

 身体を洗ってくれるというアンズちゃんの提案を今度は断ることなく受け入れて、俺もアンズちゃんも綺麗になったところで、今日はお風呂場ですることに決めた。

 大人の男女が入っても余裕のある浴槽に、俺はアンズちゃんと向かい合って座る。こちらはいつでも始める準備が出来ていたが、彼女の表情があまり優れなかったので、少し気になって彼女に声を掛けてしまった。

「えっと、アンズちゃん、大丈夫……? 何かあったの?」

「いえ……。あの……、先週は大丈夫でしたか?」

「あー、あれだよね……。本当に情けないところをみせてしまった。申し訳ない……」

「い、いえいえ……そんなことは……! 私もお客様が初めての方と知っておきながら、あまりご説明しませんでしたので……」

「えっと、じゃあこのノリで聞いちゃうけど……オプションって何?」

 オプションという単語を聞いて、アンズちゃんは一瞬ピクッと震え彼女の身体から水面に波紋が広がる。何かマズいことでも聞いてしまったのかと焦ったが、彼女は少し微笑んで口を開いてくれた。

「オプションって、通常料金外にお金をいただいてその分サービスを増やすんです」

「つまり、追加料金を払えば、身体を洗ってもらったり抜いてもらったりできるってこと?」

「その……ぬ、抜くのは……基本なんですが、オプションによっては玩具を使ったり、口でしたり、女性器を触らせたり……。あ……、あと、お、おしっこ……とか……?」

 そこまで言ってアンズちゃんの顔がぼっと赤くなる。別に彼女を辱めて楽しもうという魂胆はなかったので、何となく理解したところでこちらから話を打ち切った。

 それから天気の話や、最近話題になった話などでお茶を濁し、会話もなくなったところでサービスの続きを要求すると、アンズちゃんも嫌な顔一つ見せずに、ちゃぷんと水音を立てながら俺の身体に優しく寄り添って来た。
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