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第9話 よし! 行くぞ……っ!!
しおりを挟む「よし! 行くぞ……っ!!」
アンズちゃんと出会って丁度一週間後、俺はまたあの小綺麗だが、小さな風俗店に来ていた。
月曜日に後輩くんを叩きのめし、その後今日までに火、水、木曜日とまた彼から色々と話を聞いてきた。
俺はここが女性とイチャイチャする場所だと思っていたが、こういったタイプは斡旋所のような場所で、ここにあるのは事業所や受付だけなのだそうだ。なので、仕事自体は他のホテルやラブホテルなどで行われるし、原則として現地集合、現地解散が規則らしい。アフター制度に関しては、お店側が提供しているサービスではなく、あくまで女性個人の自由。とはいえ、アフターでのやり取りも仕事に繋がると考えれば、アフターも含めて仕事の一環なのかもしれない。
「「「いらっしゃいませ」」」
今日は後輩くんがいないので、少し緊張しながら一人で風俗店の扉を開けたが、相も変わらない対応で受け付けまで案内されて、フロント台には店長と呼ばれるあの猿顔で眼鏡の男が営業スマイルで待ち受けていた。
「お久しぶりです~! 先輩さん」
「ど、どうも……」
挨拶はどうでもいいから早くアンズちゃんに会いたい一心だったが、店長は何故かフロント台にタブレットを置いて、その画面に映った女の子たちを俺に見せつける。
タブレットに掲載されている女の子たちは皆、目や口などを隠し、本名ではない名前とスリーサイズ、それにオプションとかいう知らない言葉も並んでいた。
「前回いかがでしたか、アンズちゃん? おっきかったでしょう……!」
店長は嬉しそうに笑いながら、自分の胸の前で巨乳のジェスチャーをしたが、アンズちゃんは流石にそんなには大きくはなかった。
「はぁ……、まぁ……。えっと、それでアンズちゃんは……?」
「ぐふふ、おやおや今日もアンズちゃんご指名ですねー、ありがとうございます!」
何やら嬉しそうな様子でささっと電話を掛けるとしばらく相手の女性、おそらくアンズちゃんと話をし、店長はこちらを見てグッと親指を立ててウィンクしてみせた。
「いやぁ……良かった! アンズちゃんまだまだ指名少ないんでねー、贔屓にしてあげてくださいね」
何故か終始嬉しそうな様子で、店長は鍵をフロント台の上に置くと、そう話をしてくれた。
「そうなんですか? アンズちゃん悪くない……というか、寧ろ最高というか……」
「んー、私もそう思うんですけどねー。やっぱりオプションが少ないのがね……。おっと、あまり時間がないですよ! 私とおしゃべりするためにここに来たわけではないでしょう?」
「「「いってらっしゃいませ!!!」」」
結局、“オプション”とは何か聞くことは出来ず、私は早々と店を出た。
手渡された鍵の部屋があるホテルは前回と同じ、あの幽霊が出てもおかしくない程の不気味なホテル。一度行ったことがある場所であれば足取りも軽く、自動ドアの向こう、狭い廊下を少し歩いた所の壁にある、あの妖怪受付老婆(仮)が鎮座する小窓を目指す。
「お客さんかい?」
「どうも、501です」
「はいはい……5・0・1号室、はいー」
相変わらず愛想のない婆さんで、鍵を見せるとこれ以上用はないと言いたげにシッシと手で追い払われた。
今にも止まりそうなエレベーターに乗り、5階に着いてすぐの部屋のドアに鍵を挿し中に入る。
「まぁ……、一緒だよね」
やはり部屋の内装は前回の305号室と同じで、少し物の配置が違う程度の差しかない。念のために風呂場やトイレなども見てみるが、風呂場も変わらず大きいし、部屋は相変わらずに薄暗い。
……コンコン
前回は凄い待ったような気がしたが、今日は部屋に着いて間もなく扉をノックする音が響いた。
そして、今日まで待ちに待ったあの鈴のような儚げで美しい声が扉越しに聞こえてくる。
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