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第26話 第二至上主義論者の恋の距離
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「二階堂くん、星を見に行こう」
梅雨明けもそろそろかと思わせる7月の夕焼けが照らす帰り道。橙色に染まる空を見上げて、一条さんがそう提案してきた。
結局、6月中に降り続いた梅雨の様に私は一条さんへの仲を大して進展できないまま、今日まで“仮”お付き合いをだらだらと続けてしまった。
あの日、二宮さんの話を受けてやはり一条さんの気持ちを、どうして私を好きになったのかの理由を聞かねばならないとは思ったものの、「第二至上主義論者」として話を切り出す絶好の機会を伺っている内に早くも7月になってしまっていた次第である。
「この季節に星ということは、七夕かな?」
「ご名答」
七夕と言えば、日本人にとっては馴染みのある節句の1つであろう。幼い頃誰しもが短冊に願いを書いて、それを笹竹の葉に結び付けたに違いない。よく願いを書くのだからと欲望や願望を書く者も多いが、本来は手芸や裁縫、読み書きに関する上達を願うものであり、自分の欲求をむやみやたらにぶら下げる行事ではない。
そんな短冊を笹竹に結び付ける話以外にも、この七夕には有名な話があるのはご存知だろう。
それは織姫と彦星の恋のお話である。
彼らの生まれや経歴、話の経緯などは割愛させていただくが、端的に言えば織姫と彦星は年に一度だけ天の川を渡ってお互いに会うことが出来るというお話しだ。これは“夏の大三角形”に含まれる、こと座のベガとわし座のアルタイルをそれぞれ織姫と彦星と言い、その間に天の川が見えることから天の川が織姫と彦星を隔てていると感じ取って制作されたのだろう。
そんな年に一度しか会うことが許されていない織姫と彦星の仲を思い、その懸命さや愛の強さに人々は感動するに違いない。
ところが、織姫と彦星が離れ離れになった理由は実に仕様もない話だ。運命の巡り合わせで出会った織姫と彦星。だが、二人はそのまま結婚するも、仕事をほったらかして遊んでばかり。それに呆れた天帝が二人を天の川の両岸に引き離し、1年間頑張って働いた褒美に7月7日の夜だけ再会を許したという顛末である。
愛は人をおかしくすると言うが、正にその通りの結末を迎えたというわけだ。
しかし、ここで重要なのは果たして年に一回しか会えない織姫と彦星がその後も愛し合ったのかである。例えば、天の川の両岸が見えていてお互いがお互いを毎日監視していたのであれば、他の恋に現を抜かす様なことはないだろう。だが、それでは年に一夜しか会えないという話が際立たない。であるならば、7月7日以外はお互いが何をしているのかなどわからないのだから、お互いが両岸でまた別の相手を見つけていたとしてもおかしくはない。
だからこそ、私は思う。
「恋愛の距離は、程よい距離が重要なのではないだろうか?」
梅雨明けもそろそろかと思わせる7月の夕焼けが照らす帰り道。橙色に染まる空を見上げて、一条さんがそう提案してきた。
結局、6月中に降り続いた梅雨の様に私は一条さんへの仲を大して進展できないまま、今日まで“仮”お付き合いをだらだらと続けてしまった。
あの日、二宮さんの話を受けてやはり一条さんの気持ちを、どうして私を好きになったのかの理由を聞かねばならないとは思ったものの、「第二至上主義論者」として話を切り出す絶好の機会を伺っている内に早くも7月になってしまっていた次第である。
「この季節に星ということは、七夕かな?」
「ご名答」
七夕と言えば、日本人にとっては馴染みのある節句の1つであろう。幼い頃誰しもが短冊に願いを書いて、それを笹竹の葉に結び付けたに違いない。よく願いを書くのだからと欲望や願望を書く者も多いが、本来は手芸や裁縫、読み書きに関する上達を願うものであり、自分の欲求をむやみやたらにぶら下げる行事ではない。
そんな短冊を笹竹に結び付ける話以外にも、この七夕には有名な話があるのはご存知だろう。
それは織姫と彦星の恋のお話である。
彼らの生まれや経歴、話の経緯などは割愛させていただくが、端的に言えば織姫と彦星は年に一度だけ天の川を渡ってお互いに会うことが出来るというお話しだ。これは“夏の大三角形”に含まれる、こと座のベガとわし座のアルタイルをそれぞれ織姫と彦星と言い、その間に天の川が見えることから天の川が織姫と彦星を隔てていると感じ取って制作されたのだろう。
そんな年に一度しか会うことが許されていない織姫と彦星の仲を思い、その懸命さや愛の強さに人々は感動するに違いない。
ところが、織姫と彦星が離れ離れになった理由は実に仕様もない話だ。運命の巡り合わせで出会った織姫と彦星。だが、二人はそのまま結婚するも、仕事をほったらかして遊んでばかり。それに呆れた天帝が二人を天の川の両岸に引き離し、1年間頑張って働いた褒美に7月7日の夜だけ再会を許したという顛末である。
愛は人をおかしくすると言うが、正にその通りの結末を迎えたというわけだ。
しかし、ここで重要なのは果たして年に一回しか会えない織姫と彦星がその後も愛し合ったのかである。例えば、天の川の両岸が見えていてお互いがお互いを毎日監視していたのであれば、他の恋に現を抜かす様なことはないだろう。だが、それでは年に一夜しか会えないという話が際立たない。であるならば、7月7日以外はお互いが何をしているのかなどわからないのだから、お互いが両岸でまた別の相手を見つけていたとしてもおかしくはない。
だからこそ、私は思う。
「恋愛の距離は、程よい距離が重要なのではないだろうか?」
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