死を見届ける者

大和滝

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一章 花の咲く死をあなたに

EP9 時代の差

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 新年度が始まり俺は高校2年生になった。そんな日から1週間と5日が経った。
 今日は日曜日。俺は目を覚まして階段を下り姉さんの遺影に手を合わせる。
「おはよう姉さん、今日はいい天気だよ。楽しんでくるからね。」
 立ち上がり速やかに歯を磨き、顔を洗って髪も整えた。「そろそろ切ろうかな」目にかかりそうな前髪をひと束摘んで上目で見た。
 髪をドライヤーで乾かし、食パンを1枚袋から取り出す。もうないから帰りにでもかってかえろうか。パンにバターナイフで少しすくった分だけのマーガリンを平たく塗った。そして2分に設定したオーブンに入れて待つ。
 チーン!
 焼き終わったトーストを皿に移してチューブのバターを上から一巻きした。その場端っこからかぶり付いた。トーストのサクサクとフワッフワな食感が大好きなので朝ごはんは専らパン派だ。なんなら昼でもサンドウィッチやアンパンを食べてることが多いし、夜もめんどくさい時とかは6個入りのバターロールを一袋食べて満足することもしばしばあるくらいだ。
 そんな事を思っている際中にもうトースト1枚は無くなっていた。皿をシンクに置き前日から用意しておいた白のTシャツ、紺のジーパン、黒いカジュアルシャツに着替えた。よし、俺にしてはちゃんとした服装なんじゃないか。普段オシャレなんて興味なくてしないからな。これでちゃんとオシャレできてるのかは不明だが、いい方じゃないかと思う。
 俺はリュックを背負って家を出た。
「行ってきます。」

 俺は普段ほとんど行くことのないカラオケ店等の娯楽施設やデパートやショッピングモール等の複合商業施設が陳列するエリアにやってきた。俺はそのエリア内で2番目くらいに大きなディスカウントストアを目指した。
 入り口の前には薄い黄色のTシャツを着て、腰にジャケットを結ぶ女性が携帯電話を触っていた。
「椿さーん!おはようございます。」
 俺の呼びかけに気づいた椿さんが顔をあげて手をブンブン降ってきた。俺も椿さんに会釈しながら駆け足で寄った。
「早いですね。今まだ待ち合わせ時間の10分前ですよ。」
「あ~、こんな賑わってるところ初めてくるから、色々外観だけでも見て回りたくてさ、早く来てさっきまで歩いてたんだそこら辺一帯。凄いねここ、病院くらいでっかい建物あるじゃん。ていうか、10分前だったら走馬も早いよね。」
 たしかにあそこのデパートは大きいよな。俺もこの街に初めてきた時驚いた。
「いや、やっぱり男だから女性より早く来たいじゃないですか。」
「あ~、待った?いや全然待ってないよ…。のくだりがやりたいんだな?ベタだなぁ。」
 椿さんはいつも通りだなぁ…
「違いますよ。ていうか古いですよいちいち。」
「あ、そっか。でも未だに『男だから』って考え持ってるの?もう法で同性婚認められてるこの時代でそれは禁句タブーでしょ。」
 確かに『男らしく』とか『女なんだから』とかはもうこの時代に言うと最悪の差別用語とされている。
「そうなんですけど、やっぱり本能に刻まれてるんですかね。ヘテロにとってはレディーファーストが主流なんですよ。」
「そうなんだ。って、今日はここで駄弁るためにきたわけじゃないでしょ?早く入ろ入ろ。念願のショッピングだー」
 上野椿 21歳人生初デート。その相手は俺だ。今日は一日彼女の行きたいとこに連れ添う。これも全て俺と椿さんとで利害の一致で出来上がった『契約』だ。

「よーし。今日はたくさん遊ぶぞー!」
 椿さんはスキップでショップの中に入って行った。俺もそれに続いて入った。
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