死を見届ける者

大和滝

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一章 花の咲く死をあなたに

EP13 鳥と不穏

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 6月30日、授業が終わっていつものようにいつもの桜の木の下に行く。しかし椿さんはいなかった。いくら待っても来ることはなかった。結局俺はそこで椿さんにと思って買った学校の購買部の鮭おにぎりを食べて帰った。
 きっと家族と予定でもあったのだろうと思いながら家に着いてそのまま俺は宿題やらを済ませて眠った。

 7月1日、今日は雨だから傘を持って広場にある東屋に足を運んだ。雨の日にはいつも東屋でお茶でも飲みながら待っている椿さんはいなかった。
 おかしいな今日も来ないなんて。確かに俺と椿さんの間での携帯の連絡手段はないけど、だったら一昨日にでも用事があるくらい伝えてくれればよかったのに。こう不満を覚えながら俺は今日も家に帰って昨日と同じように布団に就いた。

 7月2日、今日は快晴で昨日の雨が蒸発してるせいか酷くムシムシしている。だから俺は半袖のポロシャツで登校した。今年度では初めてかもしれない。椿さんが見たらどういう反応するのだろう…。少しウキウキしながら木の下に行くも、椿さんの姿は見えない。すると木の反対側で何かがモゾモゾ動いているのが見えた。
『ふーん、驚かせようとしてるんだな』と思い、俺は逆に驚かせようと思い近寄っていくとそれはちょこちょこと、俺を驚かせようとするわけでもなく出てきた。鳩だった。
 俺に凝視されている鳩は首を傾げて、ふと翼を広げて羽ばたいていってしまった。
 結局今日も椿さんはいなかった。なんだか俺は怖くなってきていた。あの鳩はなんだったのか、椿さんは今なにをしているのか。

 そして3日、4日、5日、6日と、日は過ぎた。いずれも椿さんはいなかった。今日は7月7日、椿さんが現れなくなってちょうど1週間の日だ。きっと今日もいないだろうなと思いつつ俺は桜の木の下に向かった。でも、今日は並木通りを歩いている時に歌が聞こえた。聞き覚えのあるような声が、聞こえてきた。
 桜の木の下では椿さんがイヤホンを耳につけ歌っていた。俺はその光景に胸が焼けるように熱くなった。同時にため息が溢れでていた。
「椿さん、お久しぶりです。ここに1週間近く来ないでなにをしてたんですか?」
 声を張った俺に気付き椿さんはイヤホンを外して手を振ってこちらにきた。
「ごめんごめん、わざとだよ。寂しかったの?まさか」
「はぁ、少し心配でした。なんでわざとこんなに来ないんですか」
 椿さんはフフフと不敵な笑みを浮かべながら自分のバッグをゴソゴソした後に短冊を掲げた。
「今日は七夕だからだよ!」
「はぁ?」
「はぁ?じゃなくて、七夕だから私は今日まで来なかったの」
「どういうことですか…なんの因果もない」
 それを聞くと椿さんは、やれやれと首を振りながら語り出した。
「七夕ってのは天の川に妨げられた彦星と織姫が年に1度だけ会えるという最高の日なんだよ?それなのにどうよ私たちは…毎日会ってるじゃん。不公平だよねこれ?だから私は約1週間家で待機してたってわけ」
 とてもバカバカしく苦しい言い訳に俺は、苦笑意外に返すことが出来なかった。
「椿さんはその短冊になにを願っているんですか?」
「それは内緒だよ~」
 椿さんは短冊を翻してバッグにまたごそっといれた。
 久しぶりに椿さんと会えた七夕は、とても楽しかった。
 俺はもう決心が付いている。

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