メモ帳サイズの心たちーSF編

結崎悠菜@w@

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超能力の話

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 「脳」。それは身体の中でもっとも謎の多い部位。そこへの研究をすすめる過程で、人類はパンドラの箱を見つけた。
 



 「エリーゼ、やめろ」
 機械仕掛けの蝶から悲痛に叫ぶ男の声が鳴る。エリーゼと呼ばれた女は、吹きさらしの塔の上に立っていた。風が強い。長い髪は重量もって彼女を塔内部に引き戻そうとする。
 女が乾いた笑いを零す。
 「私、生きてちゃいけないと思うのよね」
 まだ暗い空の中、彼女だけが不自然に発光している。ゆっくりと手のひらを確かめるようにみて、うすぼんやりとした月にかざす。
 「まぁ、皆には人類の平和と生存を願って、て伝えて」
 じわりと震えを持ち始める声。それを聞いて蝶は女にまとわり付く。
 「頼む、やめてくれ、君を変えた電波の研究なんかやめる、だから…」
 「わかって、エリック」
 音声を遮り、懇願するように女は言う。
 「わかって…。私、もう疲れたの。化け物は嫌なの」
 震えは隠せないほどになり、瞳に溜まった涙は頬骨をなぞって風と飛んだ。



 女が死んで二年、研究はまだ続いていた。同じ被害を出さないため、志願者が出ようとも、人間を実験体とすることはもうなかった。しかし今日、パンドラの箱が開かれる。


 「セントリック研究所が爆発、研究員や清掃に入っていた業者を含めた八割が死亡しました。その過程で研究途中の電波のようなものが漏れたようですが、直ちに影響はないもようです」
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