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第14話
しおりを挟む子供の悲鳴で目を覚ました。
『――……』
全身汗だくだ。
酷い動悸。
『――……』
暗い天井を見ながら、上総はゆっくりと数回深呼吸を繰り返した。
――なんだったんだ、さっきのは?
夢、だったのだろうが、やけにリアルで気持ちが悪い。
村人や両親の顔が鮮明に浮かぶ。
子供の悲痛な叫びは、とても悲しくて切なくて、聞いていられるものではなかった。
『――……』
多分あの子供は上総と似たような仕事をしていたのだろう。
陰陽師、憑き物落とし、祓い屋……。
しかしどういった経緯か分からないが、子供は鬼の子とされて村人や実の両親の手によって火刑されてしまった。
子供は幼かった。
五、六歳であろうか。
子供はどうしてあんな目に遭わなければならないのか、理解していないようだった。
夢の通り、ただただ親の云うことを聞いていただけなのに。
『嫌な夢……』
誰かの過去とリンクしてしまったのか、それとも。
はぁ、と息を吐き出し布団を頭にまで被る。忙殺される身体は自分で思っている以上に疲労が溜まっているらしく、一度目を瞑ればまた夢の世界へ誘われた。
気味の悪い夢はそれっきりだった。
早朝の目覚めはスッキリとしていて、上総は昨晩魘された夢の事などすっかり忘れてしまった。
洗面所で顔を洗いゴシゴシ歯を磨いていると、おはよう、と友菜が目を擦りながら挨拶をしてきた。
『ふぁお』
歯ブラシを口に入れながら挨拶を返す。
友菜の体調は大分良い。
あれから異変も新たな呪いも無く、この調子なら予備として魔除けの札を持たせるにしても今日にも帰宅して問題無いだろう。
母親の方も昨日視てみたが、除霊をするとあっさりと排除出来たので、そもそも大した呪いではないことが分かった。
その旨を健司に連絡したいのだが、教師と連絡が取れない。
メールもしたが、返信は無い。
『ね、あのさ、帰る時に如月先生の家に行きたいんだけど。良いかな?』
帰る支度をしている友菜は、上総に頼んだ。
『僕も行くつもりだから』
連絡が取れないなんて、今まで無かった。
数ヵ月前の呪の事件は仕方ないとしても、健司がロンドンに行っている間ですら電話やメールをしていたくらいだ。最近の様子がおかしかったことといい、気になって仕方がない。
上総と友菜は健司の住むマンションへ向かった。
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