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まぁ王族に限るのだけれど…

「王太子は王太子妃一筋だった。側室なんてと断固拒否していたんだ。それから数年が経ち王太子の父である国王陛下が病で倒れ、父の分の執務に追われることになる王太子は、陛下の代わりに視察に行くことになった」


先王陛下は病で倒れられた1ヶ月後に天に召されたとお父様が言っていたのを思い出す。


「病に倒れた陛下や、伴侶である王太子妃のことが心配だった王太子は、従者と数人の近衛兵だけを連れて視察先であった西の国境へと向かった。片道4日かかる場所へ3日で行ったんだが…」


言葉をきった陛下は俯きながら手を握りしめ、何かを耐えるように肩を震わせていた。私にはただ陛下を見つめ一言一言聞き逃さぬように話を聞くことしかできませんでした。

「西の国境での視察を終えた頃にはすっかり夜の帳が下りていて王太子達は、西の国境唯一の宿に一泊し王都へと帰ることにしたんだ。なぜ泊まってしまったのかと後に後悔することになるとは知らずにね」

俯いていた陛下は私の方へと顔を向け、私はこの話の結末を理解してしまった。


「宿で夕食をとったのだが、その食事にはこの国や近隣諸国では確認されていない遅効性の毒が使われていて、王太子達一行はそれに気付かぬまま眠りについた。ふと深夜に目覚め異変を感じた王太子の体は思うように動かなかった。毒を口にした事に気付き身の危険を感じた王太子は死を覚悟したのだけど。部屋へとやってきたのは暗殺者ではなく宿屋の娘だったんだよ。そして王太子は…」


陛下はとある話だと最初におっしゃっていたが…
この話は陛下自身が王太子時代に経験した過去の話なのだろう。


闇に葬られた話であり、王家と数人しか知ることのない話。


私はエイクズ様の出生の話を陛下から聞かせていただいたのでありました。






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でも中々その後は子に恵まれなくてね。王と王妃には次期後継者である男児をもうける義務があるから中々身篭らないと王妃を責める者や側室を設けてはどうかと提案する者まで出てきたと記載しておりましたが、

でも中々その後は子に恵まれなくてね。王太子と王太子妃は後の王と王妃であるし。もちろん次期後継者である男児をもうける義務があるから。中々身篭らないと王太子妃である後の王妃を責める者や側室を設けてはどうかと提案する者まで出てきたんだ。に訂正しました。
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