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殿下にうながされたスーザン様が教室を退室されるのを見送り、私は殿下にどこをご案内すれば良いか聞くことにしました。
「ジークフリード殿下はどのような場所へと行きたいですか?」
「うーん。そうだなぁ。リアが気に入っている場所に案内してもらえたら嬉しいかな」
「そのような場でよろしいのですか?」
聞かれるとしたら音楽を奏で学ぶための場所などの特殊教室やら昼食を食べるための食堂などの場所だと思っていた私でしたが、予想していなかった返事を聞き、呆気にとられながらも聞き返しました。
「ああ」
とても良き笑顔を向け頷く殿下。
「分かりましたわ。それでは行きましょうか」
私も笑顔を向けて、案内をするために殿下とともに教室を出て行きます。
─────────
私は最初に殿下とともに図書館へと歩いていきました。
こちらの学園図書館は、王都にある王立図書館と引けを取らないほどの蔵書数であり、休日以外の週5日ほど私が通っている場です。
殿下も書物を読むとおっしゃっておりましたし。きっと喜ばれることでしょう。
他の方々の迷惑にならぬように静かに入室したつもりでしたが、普段静かな図書館が一瞬ざわめきました。
やはり殿下の見目が麗しい事もありますが、王家の色を宿している殿下が現れたため皆様大変驚かれたのだと思います。
我が学園には、王家の方はエイクズ殿下だけしかいらっしゃいませんでしたし。エイクズ殿下は図書館とは無縁の方でしたから。
殿下を見ると特に気にしていないようでしたので、私達はゆったりと図書館内を見て回りました。
殿下も大変興味を示してくださいましたのでご案内して良かったです。
殿下が私の耳元へと唇を寄せて…
「他にもリアの気に入っている場所があるなら。教えてくれると嬉しいな」
他の方々へと迷惑にならないように言葉を紡いでくださったことはわかっているのですけれど。
やはり心臓に悪いですわ。
身長差があるのがもどかしいですわね。本当は耳元で言いたいのですけれど…
私は殿下の右耳の方へ、背伸びをして言葉を紡ぎました。
「私のとっておきの場所を紹介しますね。着いてきてくださいまし」
ピクリと体を揺らした殿下は、顔をそらし口元を隠されました。
「殿下?」
「…」
私は殿下の向いている方に移動し下から殿下を見上げました。
「どうかさいましたか?」
「リアが…可愛すぎるのがいけないんだ」
とても小さな声で呟く殿下の言葉は聞きとれませんでしたが、殿下の顔や耳がほんのりと色づいているのに気付いてしまいました。
その姿を見ていると、なんだかとても懐かしく思えますわね。
「ジークフリード殿下はどのような場所へと行きたいですか?」
「うーん。そうだなぁ。リアが気に入っている場所に案内してもらえたら嬉しいかな」
「そのような場でよろしいのですか?」
聞かれるとしたら音楽を奏で学ぶための場所などの特殊教室やら昼食を食べるための食堂などの場所だと思っていた私でしたが、予想していなかった返事を聞き、呆気にとられながらも聞き返しました。
「ああ」
とても良き笑顔を向け頷く殿下。
「分かりましたわ。それでは行きましょうか」
私も笑顔を向けて、案内をするために殿下とともに教室を出て行きます。
─────────
私は最初に殿下とともに図書館へと歩いていきました。
こちらの学園図書館は、王都にある王立図書館と引けを取らないほどの蔵書数であり、休日以外の週5日ほど私が通っている場です。
殿下も書物を読むとおっしゃっておりましたし。きっと喜ばれることでしょう。
他の方々の迷惑にならぬように静かに入室したつもりでしたが、普段静かな図書館が一瞬ざわめきました。
やはり殿下の見目が麗しい事もありますが、王家の色を宿している殿下が現れたため皆様大変驚かれたのだと思います。
我が学園には、王家の方はエイクズ殿下だけしかいらっしゃいませんでしたし。エイクズ殿下は図書館とは無縁の方でしたから。
殿下を見ると特に気にしていないようでしたので、私達はゆったりと図書館内を見て回りました。
殿下も大変興味を示してくださいましたのでご案内して良かったです。
殿下が私の耳元へと唇を寄せて…
「他にもリアの気に入っている場所があるなら。教えてくれると嬉しいな」
他の方々へと迷惑にならないように言葉を紡いでくださったことはわかっているのですけれど。
やはり心臓に悪いですわ。
身長差があるのがもどかしいですわね。本当は耳元で言いたいのですけれど…
私は殿下の右耳の方へ、背伸びをして言葉を紡ぎました。
「私のとっておきの場所を紹介しますね。着いてきてくださいまし」
ピクリと体を揺らした殿下は、顔をそらし口元を隠されました。
「殿下?」
「…」
私は殿下の向いている方に移動し下から殿下を見上げました。
「どうかさいましたか?」
「リアが…可愛すぎるのがいけないんだ」
とても小さな声で呟く殿下の言葉は聞きとれませんでしたが、殿下の顔や耳がほんのりと色づいているのに気付いてしまいました。
その姿を見ていると、なんだかとても懐かしく思えますわね。
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