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騒ぎ
しおりを挟むバタバタと騒がしい足音に目を開ける。レオナードは、出入り口の扉を見ていた。その姿にホッと胸を撫で下ろした。
なんとか、望んでない結婚は回避できたみたい。
ただ、周りが不穏な気配になる。一気に雪崩れ込んできた白い服装の方々。どこかで見たことがある、なんてもんじゃない。少し前まで私も迷惑をかけられていたスフラギトの人たち。
「全員、動くな!!」
武器を手に押し入ってきている彼らは、礼拝堂の中にズラリと並び、誰も逃がさないといった感じで周りを囲っていた。
物々しい雰囲気に、レオナードが私の手を引いて背に隠す。不思議なことに、列席していた皆も私達を守るように周りへと集まってきていた。
……これ、どういう状況? 普通なら、皆逃げるとか驚くとかするんじゃないの??
疑問ばかり浮かぶ中、そこにいた誰もが閉口する。シンと静まり返ると、最後に入ってきた男性がよく通る声で、その目的を告げた。
「ミリアーナ・ドルトム出仕の任の為、見参した。該当の者、前へ」
「……」
出仕って、スフラギトで何かの指示に従いなさいってこと。つまりは、私に出てこい、仕事しろって言ってることになる。
今は私がミリアーナなのだから。一歩動きかけたその時、ミリアーナの母と見られるフレアさんがいち早く男性の前に出て膝をつき、頭を下げた。
「私がミリアーナ・ドルトムと申します。出仕の件は存じております。ですが、期日はまだ…」
「変更故のこと。では、すぐに参れ。口返答は許されていない」
短く返して踵を返す。取り付く島もないって感じ。男性の後ろから、二人新たな人が出てくると、フレアさんの両脇に立って手を伸ばし無理矢理立たせた。
ちょっと何かがおかしい。
彼女はミリアーナじゃないし、連れて行き方も変。これではまるで、罪人みたい。
思わず前に出ようとしたところをレオナードに止められた。
「……」
私の腕を掴んでいる彼の手は、微かに震えている。何かに怯えているかのように。
そうこうしているうちに、目の前ではフレアさんがミリアーナの代わりに連れていかれてしまう。
どうすれば……と、考えて、ふと思い出す。
そういえば、これは魂の記憶。今ここで私が何をしたところで、結果は変わらない。変わらないのだけど……。
レオナードの後ろから、そっと顔を上げる。フレアさんの背が小さく見える。このまま永遠に会えないような気がして、思わず手を伸ばしかけた。
「……フレア」
…………。
呟いたのは私ではない。
一瞬、シンと静まり返り、そして制止の声が響いた。
「待て」
視線を向けると、あの男性が険しい顔をしていた。
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