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二人が会場入りすると、周囲がざわめいた。
「まあ! ご領主様のお相手……華やかだわ」
「美しいじゃないか。彼女が領主様の妻だって?」
誰かが言う。それを別の人物が諌めた。「彼女は夫人の姉だそうだ」と。
ソラティスとともに会場へ入ったレイア。夜会に慣れている彼女は、にこやかな笑みで軽く周囲へ手を振る。
薔薇色の髪は高い位置で纏め、花飾りをふんだんに使用している。新しいドレスは歩く度に艶やかな表面が波打ち、それは会場内の視線を奪った。
二人が中央まで行くと、あっという間に囲まれた。
「皇都からいらしたとか。遠いところまで大変でしたでしょう?」
「そちらのドレスはヤハラでお仕立てを?」
「閣下、このような美しい方と知り合いだったとは。隅に置けない方ですね」
「どうか一度お話いただける機会を」
ソラティスはレイアを庇いつつ、返事をする。周りには人だかりが出来ていた。
もともと可愛らしい容姿に、人当たりの良い性格で好感を得ていた彼女が、辺境伯を伴い現れたことによってさらに北部の興味をそそった。
一方のラシーヌは、壁際で静かにグラスを傾けていた。若草色の髪を緩く肩口で結び、パールの髪飾りをつけている。ドレスは肩が大きく開いているものの白いレースで重ね、過度な露出にはなっていない。だが反してスカート部分には緋色のサテン生地が使われ、目を惹く色合いになっている。
まるで辺境伯の独占を表しているかのようだ。
そのせいで近づく令息はいないものの、密かな視線は集めている。ラシーヌの物静かな雰囲気に、最近ヴァーガリア邸で磨かれた血色の良さが相まった結果だ。今にも近づいてきそうな彼らに気づくバルトネルが、困ったように笑いかけた。
「ラシーヌ様、ひとまず挨拶に行きましょうか」
「ええ、そうね」
急遽開かれた舞踏会とはいえ、ヴァーガリア周辺の貴族たちを呼んでいる。その中にはすでにラシーヌも懇意にしていた家もあった。それらに挨拶をするためと二人は歩き出す。
その間際、ふと彼女は中央へ目を向けた。
「……」
レイアと並ぶソラティスの姿に、わずかに目を細める。そのまま伏せて、視線を外した。バルトネルが気遣うように声をかける。
「ラシーヌ様、ラボン伯爵家から行きましょうか」
「そうですね。リズベル嬢と話が出来たら嬉しいわ」
ふわりと微笑む。直前の悲しげな表情が、少し明るくなった。バルトネルもホッとした様子で微笑み返し、誘導していく。その先には品の良い女性と、そっくりの夫人がいる。
二人はラシーヌを見るなり、パッと花が咲いたように笑みを浮かべた。
「リズベル嬢! お久しぶりです」
「ラシーヌ様! お会いしたかったです!」
バルトネルから離れたラシーヌは、リズベルと手を取り合って喜び合う。ヴァ―ガリアで暮らすうちに、ラシーヌへ一番に声をかけたのはこのリズベル・ラボンだった。ソラティスの母ザラを経由して紹介されたのがきっかけだった。再会を喜ぶ二人に、ラボン夫人も遅れて交じった。
「ご無沙汰しております。茶会以来ですね」
「ええ。お元気そうで安心しました」
にこやかに挨拶を交わして、話し始める。話題はもっぱら互いの近況だった。
「まあ! ご領主様のお相手……華やかだわ」
「美しいじゃないか。彼女が領主様の妻だって?」
誰かが言う。それを別の人物が諌めた。「彼女は夫人の姉だそうだ」と。
ソラティスとともに会場へ入ったレイア。夜会に慣れている彼女は、にこやかな笑みで軽く周囲へ手を振る。
薔薇色の髪は高い位置で纏め、花飾りをふんだんに使用している。新しいドレスは歩く度に艶やかな表面が波打ち、それは会場内の視線を奪った。
二人が中央まで行くと、あっという間に囲まれた。
「皇都からいらしたとか。遠いところまで大変でしたでしょう?」
「そちらのドレスはヤハラでお仕立てを?」
「閣下、このような美しい方と知り合いだったとは。隅に置けない方ですね」
「どうか一度お話いただける機会を」
ソラティスはレイアを庇いつつ、返事をする。周りには人だかりが出来ていた。
もともと可愛らしい容姿に、人当たりの良い性格で好感を得ていた彼女が、辺境伯を伴い現れたことによってさらに北部の興味をそそった。
一方のラシーヌは、壁際で静かにグラスを傾けていた。若草色の髪を緩く肩口で結び、パールの髪飾りをつけている。ドレスは肩が大きく開いているものの白いレースで重ね、過度な露出にはなっていない。だが反してスカート部分には緋色のサテン生地が使われ、目を惹く色合いになっている。
まるで辺境伯の独占を表しているかのようだ。
そのせいで近づく令息はいないものの、密かな視線は集めている。ラシーヌの物静かな雰囲気に、最近ヴァーガリア邸で磨かれた血色の良さが相まった結果だ。今にも近づいてきそうな彼らに気づくバルトネルが、困ったように笑いかけた。
「ラシーヌ様、ひとまず挨拶に行きましょうか」
「ええ、そうね」
急遽開かれた舞踏会とはいえ、ヴァーガリア周辺の貴族たちを呼んでいる。その中にはすでにラシーヌも懇意にしていた家もあった。それらに挨拶をするためと二人は歩き出す。
その間際、ふと彼女は中央へ目を向けた。
「……」
レイアと並ぶソラティスの姿に、わずかに目を細める。そのまま伏せて、視線を外した。バルトネルが気遣うように声をかける。
「ラシーヌ様、ラボン伯爵家から行きましょうか」
「そうですね。リズベル嬢と話が出来たら嬉しいわ」
ふわりと微笑む。直前の悲しげな表情が、少し明るくなった。バルトネルもホッとした様子で微笑み返し、誘導していく。その先には品の良い女性と、そっくりの夫人がいる。
二人はラシーヌを見るなり、パッと花が咲いたように笑みを浮かべた。
「リズベル嬢! お久しぶりです」
「ラシーヌ様! お会いしたかったです!」
バルトネルから離れたラシーヌは、リズベルと手を取り合って喜び合う。ヴァ―ガリアで暮らすうちに、ラシーヌへ一番に声をかけたのはこのリズベル・ラボンだった。ソラティスの母ザラを経由して紹介されたのがきっかけだった。再会を喜ぶ二人に、ラボン夫人も遅れて交じった。
「ご無沙汰しております。茶会以来ですね」
「ええ。お元気そうで安心しました」
にこやかに挨拶を交わして、話し始める。話題はもっぱら互いの近況だった。
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