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しおりを挟む花香る中庭の奥、第一王女がフリージアを待っていた。
特徴的な赤髪が見えて、プラチナブロンズを揺らして青い瞳を煌めかせて王女は立ち上がる。軽やかに手を振ると、気づいたフリージアが駆け寄ってきた。
彼女は目の前で膝をついて、頭を下げる。
「お待たせしましたリーファ殿下」
「全然待ってないわ。気にしないで。それより早く立って? 聞きたいことがあるの。そちらに座って」
「いえ……私は」
「また立ったまま話をするつもり? 見上げてると首が痛くなるのよ。私のためにも座って? お願い」
リーファが上目遣いに視線を送ると、フリージアも渋々正面の椅子に腰かける。すぐさま侍女に飲み物を用意させて、自身はテーブルに両肘をついてニヤニヤし始めた。
「聞いたわよ~? この間の遠征でも大活躍だったんでしょ?」
「あれは皆の連携あってのこと。私一人で出来たわけではありません」
「またまた! 怒涛の勢いだったって話じゃない。それで? 相手はどんな感じだったの?」
「相手は……」
身振りを加えて説明する。リーファはフリージアの活躍を聞くのが好きだった。自身が自由に外に出られない分、彼女の話を聞いていろいろなことを想像した。
一通り聞き終えると、満足したように笑う。
「フリージアは本当にたくさんのものを見て、たくさんの戦いをしているのね」
「それが役目ですから」
「ふふっ。これからも頼りにしているわ」
「お任せください」
リーファが立ち上がり、空を見る。フリージアも続いて席を立った。
「そろそろ日も傾き始めたわね。私はもう行くわ。今日はありがとう……」
と、視線を戻して彼女は動きを止める。フリージアは気づかないまま、腰に腕を添えて反対の手を胸に当て頭を下げた。
「承知致しました。またいつでも……っ!?」
「ちょっと! それ! なに!!?」
言葉を遮って、腰元の剣にズイッと顔を近づける。近づかれたフリージアは驚きつつ、リーファの肩を支える。
「殿下、お気をつけを」
「タッセルじゃない……どうしてお前がこれを?」
「タッセル?」
「想い人に渡すって、まさかヴェルディが? ヴェルディからもらったの?」
「ヴェルディからは何も……」
「夫からじゃない? それはもう、何かイケないことでは?!」
言葉と裏腹に、声が弾んでいる。リーファは捲し立てるように続けた。
「じゃあじゃあ、これを渡したのは誰? あのヴェルディを押し退けてフリージアに想いを伝えるなんて恐いもの知らずなのね! ワクワクしちゃう! さあ、教えて! これを贈ったのはどこの愚か者かしら!?」
「殿下、お聞きください。何のことを仰っているのか分かりかねますが……」
困惑するフリージアに、リーファが目を丸くした。そして、ものすごい勢いでパチパチと瞬かせる。彼女は驚きのまま声を出す。
「え……? まさかお前……これが見えていないの──?」
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