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二、螢華国
百九十七、褒美(3)
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「イったか。柚、気持ち良かったか?」
夢見心地でぼうっとしていたが、アルの声に正気を取り戻す。
同時に、何も触られていないのに、口付けだけで達したという事実に顔が朱に染まった。
「アル……は……?」
ちらりと見やると、アルの局部も屹立している。
アルは片手で顔を覆うと、猛獣のように呻った。
「そう可愛い上目遣いをしてくれるな。俺までここで盛れば、あとでイスハークに何を言われるかわからんからな。やれイカ臭いだの嫌味を言われ、窓を全開にされる未来が目に見える」
「でも、そのままじゃ……」
障りがあるだろう、と思うのだが、アルは事もなげに言い放った。
「大丈夫だ。適当に処理する。暫くぶりに、恋人の乱れるさまを間近で見られたんだ。どうとでもなるから気にするな」
僕は、アルに気持ち良くして貰ったのに、何も出来ないとわかると、落ち込んでしまう。
「そんな……」
「螢華国から出られれば、幾らでも一緒に居られる。それまでは…、耐えてくれるか」
アルだって、シたいに決まっているのだ。
それなのに、アルの思いを無駄にするわけにはいかない。
僕は深く頷いた。
「わかった……。必ず――一緒に、帰ろうね」
アルは、僕の額に軽く口付ける。
「勿論だ。――さて、名残惜しいが、俺はそろそろ戻る。怪しまれるからな」
アルはいつものように、窓から出ると、ひょいひょいと高い塀を物ともせず越えていった。
* * *
柚の私室である扉の前で、イスハークはぽつりと呟いた。
「やはり――私が、行かなければ……」
夢見心地でぼうっとしていたが、アルの声に正気を取り戻す。
同時に、何も触られていないのに、口付けだけで達したという事実に顔が朱に染まった。
「アル……は……?」
ちらりと見やると、アルの局部も屹立している。
アルは片手で顔を覆うと、猛獣のように呻った。
「そう可愛い上目遣いをしてくれるな。俺までここで盛れば、あとでイスハークに何を言われるかわからんからな。やれイカ臭いだの嫌味を言われ、窓を全開にされる未来が目に見える」
「でも、そのままじゃ……」
障りがあるだろう、と思うのだが、アルは事もなげに言い放った。
「大丈夫だ。適当に処理する。暫くぶりに、恋人の乱れるさまを間近で見られたんだ。どうとでもなるから気にするな」
僕は、アルに気持ち良くして貰ったのに、何も出来ないとわかると、落ち込んでしまう。
「そんな……」
「螢華国から出られれば、幾らでも一緒に居られる。それまでは…、耐えてくれるか」
アルだって、シたいに決まっているのだ。
それなのに、アルの思いを無駄にするわけにはいかない。
僕は深く頷いた。
「わかった……。必ず――一緒に、帰ろうね」
アルは、僕の額に軽く口付ける。
「勿論だ。――さて、名残惜しいが、俺はそろそろ戻る。怪しまれるからな」
アルはいつものように、窓から出ると、ひょいひょいと高い塀を物ともせず越えていった。
* * *
柚の私室である扉の前で、イスハークはぽつりと呟いた。
「やはり――私が、行かなければ……」
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