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百二十七、七日間の蜜月(4)
しおりを挟む「煽っ……!? 煽ってないよ!?」
僕は慌てて、両手を勢いよく横に振る。
「閨で二人きりの時に、そのような蕩けた顔で俺を見るとは。煽っているのと同じことだ。誘われているということだな」
「違っ、違……わ、ない、けど……」
アルは易々と僕の両手首をシーツに押し付けると、僕の額や頬、耳や唇に焦れったくなるような甘い口付けを幾つも落とした。
「ん、ふっ、んぅ……っ」
「声を我慢するな。誰も聞いていない」
「だっ、て、がま、しないと、こ、え出ちゃ……っあ」
「……俺は、柚の声が聴きたい」
「ン、ぁ、あ!」
アルの指先が、胸の蕾の先端を掠めた。
「そ、れ、だ、め…ぇ…っ!」
「柚は、これが好きか」
強烈な快感が、うねる波のようになって僕を襲う。
そういえば、アルとの浴場での件以来、性的なことからまったく遠ざかっていた。自慰をする機会すらもなかった。
以前より、ますます敏感になっているような気がする。
(でも、もしかしたら、アルに触られているから、かも……)
暴漢に触れられた時のような不快感など一切感じることなく、ただ甘やかされ、快楽の渦に取り込まれていく。
乳頭の側面をすり、とアルの無骨な指が撫でると、思わず身体が跳ねた。
「ひ、あァ……っ!」
「すっかり感じるようになったな」
「ん、ぅう……」
アルが、僕の両方の胸の飾りを、細工師のように丁寧に、撫で擦る。僅かな微調整の如く、指の位置を少し変えるだけで、操り人形のように僕の身体は反応してしまう。
「ん、はっ……ァっ、こんな、じゃなかっ、のに……っ」
乳首が気持ち良いと思ったことなど、なかった。少なくとも、自分で触ったことはない。
アルはにやりと不敵に微笑んだ。
「では、俺が柚の乳首を開発したということだな」
「かいは……っ!?」
「ご褒美だ」
甘い声が耳朶に流し込まれる。
かと思えば、先端をアルの爪がごく優しく引っ搔いた。まるで電流のような、受け止めきれない快楽が、僕を蹂躙する。
「ア、あ……っ!? 嘘、な、かきちゃ……っアっ!」
「イっていいぞ。――柚」
何の準備もないのに、白い光に包み込まれたように、脳がスパークする。
「ひ、ぁア、アぁ―――――ッ!!」
わけもわからず、僕は真白い快楽の波に攫われた。
白濁が、花嫁衣装の中で、熱く弾けた。
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