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日常
シルフィード広場
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学校の正門を出て、緩やかな坂を下っていくと段々と街並みが変わっていき、建物の高さや色、道行く人たちの表情も明るく服もカラフルになっていく。
「つきましたですー!いやっほーです!!」
「ミーナさん!走ったら危ないですー!」というナタリーの声かけもむなしく、ミーナはそのまままっすぐはしゃぎながら、シルフィード広場中央の噴水の周りを走り出す。
ミーナがいて良かった。もしミーナがこうして居なかったら私がミーナのように駆けだしていたかもしれない。
「すごい…!すごいですわ!!」
目の前に広がる光景に私は思わずその場に立ち尽くしてしまう。
昨日馬車で通ったときはまだ人もまばらだった広場も、今では屋台もたくさん出ていて大賑わいだった。
シルフィード広場は中央に巨大な噴水があり、その周りにベンチやカフェなどが設置されている。あくまでここが中央広場というだけで、東西南北、様々なお店や屋台が軒を連ねている。
さらに奥に進むと芝生エリアもあり、そこで昼寝をするのも最高そうだ。
「レヴィアナさんも来るのは初めてなんですか?」
「えぇ!……王都には何度も行った事ことはあるんですが、この広場には来たことがなかったのですわ!」
ゲームで見たのとはまるで違う。単なるキャラクターの背景ではない実体としての街に心がときめいてしまう。
あの先にはきっと雑貨屋さんがある、そしてその先には、購入する度によくこぼすポップコーン屋さんがある、左手には本屋さんがあるはずだ。
そして……そして……とただひたすらに目移りしてしまう。
知っているのに、知っているはずなのに、でも、何も知らない世界!
「うーん、どこから行きましょうかしら……!!!」
別に今日一日で回り切る必要もないのだけれど、つい気が逸って足が駆け出しそうになる。
「ふふっ……。なんだかさっきまでの知的なレヴィアナじゃないみたいですね」
「なっ……!?そ、そんなことありませんわ!こ、これくらい普通ですわよ!」
「そしたら吟遊詩人さんたちがきてるみたいですから観ていきましょうです!!」
噴水を一周して戻ってきたミーナが指さしたのは小さな劇場だった。ちょうど今から開演するらしく、人がどんどん入っていくところだった。
反対する理由なんて何一つなかった。私たちは他の観客と同じようにご機嫌のまま劇場へと吸い込まれていった。
***
「凄かったですわ!!」
「うん!楽しかったです!!」
会場中に広がる美声と見慣れない楽器で奏でられる音楽に魅了され、あっという間に劇は終了した。
お姫様が悪の魔王に攫われ、王子様が勇者となって冒険に出るといういわゆる王道のストーリーではあったが、悪の幹部たちに襲われて仲間が王子様を助けて退場していくときの演出が印象的だった。
はじめお姫様救出に向かうときは10人もいた王子様の仲間たちも、1人、また1人と王子様を守って死んでいくのだが、皆晴れ晴れとした表情で、時に歌い、時に踊り、祝福されながら退場していくため、悲壮感と言ったものが全く感じられなかった。
そして感動の勘所は抑えられており、そして最後にお姫様と王子様が無事に再会し、一緒に幸せに暮らすというシーンでは、壮大な演出も相まって思わず涙が流れてしまった。
「えぐっ……ひうっ……っ……」
「ふふっ、ナタリーはまだ泣いているんですの?」
「だって……わ、私、こんなの初めて見たから……。感動しましたぁ」
ナタリーがすすりながら鼻をこすっているため真っ赤になっているし、私が貸してあげたハンカチもびっしょりと濡れてしまっている。
「落ち着くまでどこか座りますか?」
「大丈夫です、そんな迷惑かけるわけには……って……きゃっ!」
段差に躓いて転びそうになったナタリーの体をとっさに受け止める。
「ほら、ちゃんと前見てあるかないからですわ……あら?……わっ!」
ナタリーを支えるために広げた足に誰かがぶつかってきたようだ。
「ご、ごめんなさいっ!」
見れば小さな女の子がぶつかって、手に持っていた飲み物が私のスカートをべちゃべちゃに汚していた。
「まぁ……」
「……っ!ごめんなさい!!」
「こちらこそ突然ごめんなさいですわ。それよりもお怪我はありませんこと?」
「う、うん!ぶつかってごめんなさい!」
女の子は泣きそうになりながら私に頭を下げる。女の子の方も濡れていたのでハンカチで濡れた顔をぬぐってあげる。
「レヴィアナさんってハンカチ何枚持ってるです?」
「女性のたしなみですわ。……ん、きれいになりましたわね。わたくしも本当に申し訳ありませんわ。もしどこかケガをしているようでしたら……」
「す……すみません!うちの子が……」
と、母親が走ってくる。
「こちらこそ急にぶつかってしまい申し訳ありませんわ」
「い、いえ!この子がちゃんと前を見ていればこんなことには―――っ!!大変申し訳ございません!!!!」
突然母親の表情が真っ青になったかと思うと、子供を近くに寄せるとそのまま頭が地面につく勢いで謝罪を始める。
こんなところでいきなり大声を上げ始めたため、周りの人たちの何事かという視線も気になってしまう。
「あの、本当に大丈夫ですから頭を上げてくださいまし」
「いえ、そういうわけには参りません!この子と私の命をもって償わせていただきます!!」
「へ?」
母親の言葉に思わず変な声がでる。
(さっきの劇の続き……って訳じゃないわよね?)
いくらゲームの中とはいえサプライズが過ぎる。でも母親の様子からしてどうやら冗談でもないらしい。
「いえ、本当に大丈夫ですわ!というかこんなところでいきなりそんな物騒なこと言わないでくださいませ!」
「いいえ、それでは私の気が収まりません!!」
らちが明かない……。水をこぼしたくらいで命をもって償っていたら命なんていくらあっても足りないだろう。それに今回は私がナタリーを支えるために急に動いたのも原因だ。
「で、ではこうしましょう!わたくしこの広場に初めて来たのですわ。なので、この広場でひときわおいしい飲み物を買ってきてくださいまし!それでこの件は水に流すことといたしましょう。ほら、飲み物だけに」
だれも何も言わない。
「飲み物だけに……水に流して……ですわ……」
沈黙が痛い。
「ぶふっ!」
空気に耐えられなくなったミーナが噴出したのを皮切りに、辺りの空気が少し緩んだ。
……もう嫌だ。穴があったら入りたい。
「そんな簡単なことでいいのですか……?」
「えぇ、もちろんですわ」
ようやく言葉を返してくれてほっと胸をなでおろす。つまらないダジャレを言っていきなり気分的にゲームオーバーになるところだった。
「わ…わかりました!ありがとうございます!ちょうど都市同盟のエルミンタールの行商人が屋台を出しております!名産のクラウドベリーサイダーなどいかがでしょうか……?」
「えぇ、ではその飲み物をごちそうになってもよろしいかしら?」
「はい!今すぐ買ってまいります!」
母親が子供を連れて走っていくのを見送った後、小さな声でミーナに尋ねる。
「あれも【貴族と平民の平等】ですの?」
「それもあると思いますですが、【貴族信仰】もあると思うです」
また新しい単語が出てきた。
思った以上にミーナもナタリーも、そして周りの人も平然としていた。まるで慌てているのは私だけのようだった。
「でも……わたくし貴族なんて名乗っていませんわよ?」
「ミーナたちセレスティアル・アカデミーの制服を着ていますですし、それでレヴィアナさんのきれいな刺繍入りのハンカチを見たらよっぽど察しが悪い人でなければ気づきますですよ」
なるほど?このハンカチ一つとってもそれほどまでに影響力があるのかと驚いてしまう。
しばらくすると、先ほどの親子が戻ってきた。手には先ほど言っていたものであろう瓶に入った飲み物を持っている。
「こちらになります……!」
「ありがとうございます。……あら、これはおいしいですわ!」
一口飲むと、爽やかな酸味のある味が口の中に広がる。鼻に抜ける香りも心地よく、飲んだ後もさわやかな清涼感が残る。
「お気に召していただけましたでしょうか」
舌鼓を打つ私を見て安心したのか、ようやく母親の表情が柔らかくなった。
「えぇ、当然ですわ!これでさっきの事は全て解決ですわ。それに、こんなにおいしいものを持ってきていただいたのですもの、むしろ感謝したいくらいですわ!」
「寛大なお心に感謝いたします!」
母親は再び深々と頭を下げる。
(なんだか調子が狂うなぁ……)
自分は何もしていないのに、こうも敬われてしまうとむずがゆくなってしまう。
「それにそちらのお嬢さんはまだ濡れたままでしょう。早く着替えてくださいまし。それではわたくしたちは広場を散策しますのでこれにて失礼させていただきますわ」
そう言って私はその場を後にする。後ろで何やら声が聞こえた気がしたが気にしないことにした。
「ふぅ、やっと解放されましたわね。【貴族と平民の平等】に【貴族信仰】、思った以上にすごいんですわね」
「ですです。ミーナたちの世代はそうでもないかもしれないですが、先ほどの年齢の方々だとまだ結構根強いみたいですね」
私が思っていたよりも貴族の力は大きいようだった。昨日アリシアに絡んでた貴族もこういった価値観で生きているのであれば、助長してああいった態度になってしまうのも少しは理解できなくない。
……でも、理解はできなくはないとはいえ、あんな風に暴力を振るうのは絶対に反対だ。それに私自身もやりづらくて仕方がないので、なるべく貴族とはバレないようにしよう。
「あ、そうですわ!次は雑貨屋さんに寄ってもよろしいでしょうか?」
私が持っているのは屋敷から持ってきた美しい刺繍入りのハンカチしかない。この綺麗なハンカチはお気に入りではあるけど、不要なトラブルは避けるために普通のハンカチも持っていた方がいいだろう。
「もちろん!雑貨屋はー……あっちです!」
ミーナの案内についていくと、外観も内観も見覚えのある雑貨屋さんに到着することができた。
ここはゲームではたびたびお世話になるアイテムを売っている雑貨屋さんだ。
中に入ると、どこか見覚えのある風景が広がり、その棚には所せましと商品が置かれている。
可愛らしいヘアピンや魔法力を強化するアクセサリーなども売っていて目移りしそうになるが、まずはシンプルな柄のハンカチを手に取るとそのまま会計に向かった。
「これを下さいまし」
「お、わざわざ良いのに。そのままもっていってくんな」
「あら?お代はちゃんと払いますわよ?」
「いやいや、お嬢ちゃんセレスティアル・アカデミーの生徒だろ?そんな人たちからお代なんていただけねーよ」
腑に落ちなかったが、またさっき見たいな大事になるのも避けたかったので、店主のご厚意によりそのままハンカチを受け取とり会計を後にする。
ミーナもナタリーもいろいろと物色しては手に取っていろいろ試しているようだった。
「あ、あの……これ……もらってしまったんですけれど……」
「レヴィアナさんは本当にハンカチ好きですねー」
「そうだ、先程のハンカチすみません!ちゃんと洗って返しますので!」
「あ、そうです!そしたらお揃いのハンカチ貰って行きませんです?」
「いいですね!そしたらアリシアさんの分も必要ですね」
私の心配をよそに2人は新しいハンカチを手に取りながら、うきうきとお揃いのハンカチを物色し始めている。
「おじさーん!これミーナたちも4つもらっていくですねー!」
「おう!その代わりモンスターシーズンは期待してるぞー!」
「はい!もっちろんですー!」
「そっちのお嬢ちゃんも、もしよかったらほかのも持って行ってくれよー」
「は、はいですわ!」
そう勢いよく返事したものの、なんだか料金も払わず勝手に持って行ってしまうのは自分が泥棒になってしまったようで気が引けてしまう。
「ね……ねぇ……ミーナ?」
「どうしましたです?あ、もしかして他の柄の方が良かったですか?」
「いえ、わたくしが言いたいのはそういうことではなくて……」
ミーナの耳元に口を近づけてコソコソと話す。
「ここの店主さんも【貴族信仰】というやつですの?だからわたくしたちに……」
だとしたら、この店主の好意は素直に受け取れない。
でもミーナは私の言葉を聞いてクスクスと笑い出した。
「あー!違いますですよ!さては入学の書類読んでないですね?レヴィアナさんってとっても賢いのに抜けてたりするですねー」
何のことか検討もつかず、目をパチクリとさせているとミーナが教えてくれる。
「ほら、モンスターの森でモンスターを倒すとアイテムを落とすですよね?モンスターシーズンの時に大量に集めたアイテムをシルフィード広場に納めて、その代わり広場のものは自由に楽しんだり、持って行ったりしていいんです」
「確かにそんなこと書いてあったような……?」
セレスティアル・アカデミーの入学式の書類を見た記憶は無かったが、きっと部屋の魔導書に埋もれてしまっていたのだろう。
言われてみたら吟遊詩人のあの劇でも金銭を払っていない。ミーナやナタリーがあらかじめ支払ってくれていたのかと思ったけどそうではなかったようだ。
「良い制度ですよね。先輩たちのおかげで入学後すぐにこうして色々揃えられますし」
ナタリーはそんなことを言いながらいくつか魔導書を手にしていた。
「ナタリーさんは真面目ですねー。あ、そうだ、ナタリーさん!これミーナと一緒に付けませんか?」
そう言いながらミーナはナタリーにイヤリングを手渡した。
「わぁ!かわいいですね!」
キラキラ光る金色のチェーンが可愛いイヤリングで、ナタリーの銀髪によく似合う。
「あ、でも私師匠からもらったイヤリングが……」
ナタリーは右耳についている小さなイヤリングに手を当てながら申し訳なさそうにする。私の胸に下がっているネックレスの装飾品とよく似ていた。
「ですから片耳ずつです!ミーナが右耳、ナタリーが左耳」
そう言ってミーナはイヤリングを片方だけナタリーの手に残し、もう片方を自分の右耳に付けた。
「わっ……良いんですか!……では、お言葉に甘えて」
ナタリーは嬉しそうにもう片方を左耳に付けると、ミーナと同じ輝きをキラキラと放つ。
「えぇ!おそろいですね!私ずっとこういった事したかったんです!えへへ」
「おそろいですー!」
2人はおそろいのアクセサリーを互いに見せ合い、笑い合っている。
「2人だけずるいですわ!ちょっと待っててくださいまし!」
私も慌てて店内を物色すると、ちょうど小ぶりな、それぞれ銀色を基調としたイヤリングとブレスレットが目に留まる。
ブレスレットは右腕の傷が隠れて丁度いいし、イヤリングなんてつけたことが無かったから、挑戦としてはいい口実だった。
「わ、わたくしも混ぜてくださいまし!」
そう言いながらイヤリングをミーナに、ブレスレットをナタリーに差し出した。
「わぁ!おそろいです!」
「おそろいですねー!」
3人で互いに見せ合って、笑い合う。この世界での友達と記念すべき初めてのお揃いだった。
雑貨屋を出てからそのままシルフィード広場で屋台を回り、今は広場の端っこにある喫茶店で休憩をしているところだ。3人並んで座る私たちの耳や手首にはそれぞれアクセサリーが愉快そうに輝いている。
「ふぅ……さすがにはしゃぎすぎましたわね」
もう少しずつ黄昏時が近づいてきた空は、コバルトブルーとオレンジの綺麗なグラデーションを作っている。
「でも、とってもとーっても楽しかったですね!」
「はい!私こんなにはしゃいだの初めてですよ!」
ミーナもナタリーも満足そうに笑顔を浮かべていた。
「今度はアリシアも一緒に来れるといいですわね」
「ですです!今度来たときは反対側にもいってみたいですねー」
本当に今日は楽しかった。
今頃アリシアはマリウスと親密度をせっせと上げているころだろうか?それともまた他の攻略対象の誰かとイベントを起こしているのだろうか。
あまり『アリシアのセレスティアル・ラブ・クロニクル』を邪魔するのも気を引ける。
それに私とアリシアとの親密度上昇もモンスターシーズンが来る夏休み前に上げておかないといけない。
と、まぁそういった打算的な事などを抜きにしても、あのヒロインともこの世界を楽しんでみたかった。
「男性陣の方とかはどうなんでしょうか?」
「んー……セシルとかは演劇の途中で飽きてどっか行ってしまいそうですわねー」
「あ、そっかレヴィアナさんは他の方とお知り合いなんですよね?」
「お知り合い……というか腐れ縁らしいですわ」
確かに、セシルがあの演劇を最後まで見る姿は想像できない。もし見ているとしたらそれはきっとマリウス絡みのイベントだろう、なんてゲームのイベントを懐かしがっているとミーナがニコニコと、いや、にやにやとしながら私を見ていた。
「で、で!?レヴィアナさんは誰の事が好きなんです!?」
「い、いきなりなんですの!?」
「だってレヴィアナさんが舞踏会で誰と一緒に踊るかですよ!?気になるじゃないですかー!」
「私も気になります!」
「もう!なんでナタリーまで乗っかるんですの!?」
2人のキラキラとした瞳に見つめられ、たじろいでしまう。
「舞踏会なんてそんな先の話全然分かりませんわよ」
舞踏会自体は冬休みに入る前に起きるイベントだ。そこから本格的に攻略対象とのルートが決定して、そのまま卒業式まで向かっていく。
2人には否定したもののついつい頭の中で想像してしまう。
イグニスと踊ったらきっとお互い足を踏みあって文句を言いながら、それでも最後は笑いながらぎこちなく踊るんだろう。
マリウスは実にそつなく……いや、平静を装いながら顔を真っ赤にしながら視線を反らして、それでもこちらを気遣いながら踊ってくれるんだろう。
そつなく踊ってくれるのはセシル。あの初見でなんでもこなす天才は戸惑う私をよそに、会場の中央で周りを魅了しながら華麗に踊るんだろう。
ガレンは、めんどくさそうに頭をかきながらぶっきらぼうに……でも、きっと最後は優しく手を取って私をリードしながら踊るんだろう。
でも……あの4人の向かいに居るのはきっと私ではない。
「わたくしは……そうですわねー……ノーランと踊ったりしたら面白いかもしれないですわね」
そんな風にしてはぐらかすのが精いっぱいだった。
「ノーランさんです?きっとあの方はアリシアさん狙ってますですよ?」
やけに断定的に言うミーナになぜと聞くと「ミーナの勘です!」とのことだった。
「あー!この話はやめにしましょう!なんだか気恥ずかしいですし、まだずっとずーっと先の話ですわ!」
そう言って話題を逸らすようコップを口に運ぶ。それにここでそんな話をしていたらボロが出てしまいそうだ。
冷たい独特のスパイスが利いた紅茶は、火照った身体を冷ますように私の口を通っていった。
どれだけあの4人と仲が良くても私はあくまで悪役令嬢。ヒロインの恋路を邪魔する悪役令嬢、レヴィアナ・ヴォルトハイムなんだ。
「つきましたですー!いやっほーです!!」
「ミーナさん!走ったら危ないですー!」というナタリーの声かけもむなしく、ミーナはそのまままっすぐはしゃぎながら、シルフィード広場中央の噴水の周りを走り出す。
ミーナがいて良かった。もしミーナがこうして居なかったら私がミーナのように駆けだしていたかもしれない。
「すごい…!すごいですわ!!」
目の前に広がる光景に私は思わずその場に立ち尽くしてしまう。
昨日馬車で通ったときはまだ人もまばらだった広場も、今では屋台もたくさん出ていて大賑わいだった。
シルフィード広場は中央に巨大な噴水があり、その周りにベンチやカフェなどが設置されている。あくまでここが中央広場というだけで、東西南北、様々なお店や屋台が軒を連ねている。
さらに奥に進むと芝生エリアもあり、そこで昼寝をするのも最高そうだ。
「レヴィアナさんも来るのは初めてなんですか?」
「えぇ!……王都には何度も行った事ことはあるんですが、この広場には来たことがなかったのですわ!」
ゲームで見たのとはまるで違う。単なるキャラクターの背景ではない実体としての街に心がときめいてしまう。
あの先にはきっと雑貨屋さんがある、そしてその先には、購入する度によくこぼすポップコーン屋さんがある、左手には本屋さんがあるはずだ。
そして……そして……とただひたすらに目移りしてしまう。
知っているのに、知っているはずなのに、でも、何も知らない世界!
「うーん、どこから行きましょうかしら……!!!」
別に今日一日で回り切る必要もないのだけれど、つい気が逸って足が駆け出しそうになる。
「ふふっ……。なんだかさっきまでの知的なレヴィアナじゃないみたいですね」
「なっ……!?そ、そんなことありませんわ!こ、これくらい普通ですわよ!」
「そしたら吟遊詩人さんたちがきてるみたいですから観ていきましょうです!!」
噴水を一周して戻ってきたミーナが指さしたのは小さな劇場だった。ちょうど今から開演するらしく、人がどんどん入っていくところだった。
反対する理由なんて何一つなかった。私たちは他の観客と同じようにご機嫌のまま劇場へと吸い込まれていった。
***
「凄かったですわ!!」
「うん!楽しかったです!!」
会場中に広がる美声と見慣れない楽器で奏でられる音楽に魅了され、あっという間に劇は終了した。
お姫様が悪の魔王に攫われ、王子様が勇者となって冒険に出るといういわゆる王道のストーリーではあったが、悪の幹部たちに襲われて仲間が王子様を助けて退場していくときの演出が印象的だった。
はじめお姫様救出に向かうときは10人もいた王子様の仲間たちも、1人、また1人と王子様を守って死んでいくのだが、皆晴れ晴れとした表情で、時に歌い、時に踊り、祝福されながら退場していくため、悲壮感と言ったものが全く感じられなかった。
そして感動の勘所は抑えられており、そして最後にお姫様と王子様が無事に再会し、一緒に幸せに暮らすというシーンでは、壮大な演出も相まって思わず涙が流れてしまった。
「えぐっ……ひうっ……っ……」
「ふふっ、ナタリーはまだ泣いているんですの?」
「だって……わ、私、こんなの初めて見たから……。感動しましたぁ」
ナタリーがすすりながら鼻をこすっているため真っ赤になっているし、私が貸してあげたハンカチもびっしょりと濡れてしまっている。
「落ち着くまでどこか座りますか?」
「大丈夫です、そんな迷惑かけるわけには……って……きゃっ!」
段差に躓いて転びそうになったナタリーの体をとっさに受け止める。
「ほら、ちゃんと前見てあるかないからですわ……あら?……わっ!」
ナタリーを支えるために広げた足に誰かがぶつかってきたようだ。
「ご、ごめんなさいっ!」
見れば小さな女の子がぶつかって、手に持っていた飲み物が私のスカートをべちゃべちゃに汚していた。
「まぁ……」
「……っ!ごめんなさい!!」
「こちらこそ突然ごめんなさいですわ。それよりもお怪我はありませんこと?」
「う、うん!ぶつかってごめんなさい!」
女の子は泣きそうになりながら私に頭を下げる。女の子の方も濡れていたのでハンカチで濡れた顔をぬぐってあげる。
「レヴィアナさんってハンカチ何枚持ってるです?」
「女性のたしなみですわ。……ん、きれいになりましたわね。わたくしも本当に申し訳ありませんわ。もしどこかケガをしているようでしたら……」
「す……すみません!うちの子が……」
と、母親が走ってくる。
「こちらこそ急にぶつかってしまい申し訳ありませんわ」
「い、いえ!この子がちゃんと前を見ていればこんなことには―――っ!!大変申し訳ございません!!!!」
突然母親の表情が真っ青になったかと思うと、子供を近くに寄せるとそのまま頭が地面につく勢いで謝罪を始める。
こんなところでいきなり大声を上げ始めたため、周りの人たちの何事かという視線も気になってしまう。
「あの、本当に大丈夫ですから頭を上げてくださいまし」
「いえ、そういうわけには参りません!この子と私の命をもって償わせていただきます!!」
「へ?」
母親の言葉に思わず変な声がでる。
(さっきの劇の続き……って訳じゃないわよね?)
いくらゲームの中とはいえサプライズが過ぎる。でも母親の様子からしてどうやら冗談でもないらしい。
「いえ、本当に大丈夫ですわ!というかこんなところでいきなりそんな物騒なこと言わないでくださいませ!」
「いいえ、それでは私の気が収まりません!!」
らちが明かない……。水をこぼしたくらいで命をもって償っていたら命なんていくらあっても足りないだろう。それに今回は私がナタリーを支えるために急に動いたのも原因だ。
「で、ではこうしましょう!わたくしこの広場に初めて来たのですわ。なので、この広場でひときわおいしい飲み物を買ってきてくださいまし!それでこの件は水に流すことといたしましょう。ほら、飲み物だけに」
だれも何も言わない。
「飲み物だけに……水に流して……ですわ……」
沈黙が痛い。
「ぶふっ!」
空気に耐えられなくなったミーナが噴出したのを皮切りに、辺りの空気が少し緩んだ。
……もう嫌だ。穴があったら入りたい。
「そんな簡単なことでいいのですか……?」
「えぇ、もちろんですわ」
ようやく言葉を返してくれてほっと胸をなでおろす。つまらないダジャレを言っていきなり気分的にゲームオーバーになるところだった。
「わ…わかりました!ありがとうございます!ちょうど都市同盟のエルミンタールの行商人が屋台を出しております!名産のクラウドベリーサイダーなどいかがでしょうか……?」
「えぇ、ではその飲み物をごちそうになってもよろしいかしら?」
「はい!今すぐ買ってまいります!」
母親が子供を連れて走っていくのを見送った後、小さな声でミーナに尋ねる。
「あれも【貴族と平民の平等】ですの?」
「それもあると思いますですが、【貴族信仰】もあると思うです」
また新しい単語が出てきた。
思った以上にミーナもナタリーも、そして周りの人も平然としていた。まるで慌てているのは私だけのようだった。
「でも……わたくし貴族なんて名乗っていませんわよ?」
「ミーナたちセレスティアル・アカデミーの制服を着ていますですし、それでレヴィアナさんのきれいな刺繍入りのハンカチを見たらよっぽど察しが悪い人でなければ気づきますですよ」
なるほど?このハンカチ一つとってもそれほどまでに影響力があるのかと驚いてしまう。
しばらくすると、先ほどの親子が戻ってきた。手には先ほど言っていたものであろう瓶に入った飲み物を持っている。
「こちらになります……!」
「ありがとうございます。……あら、これはおいしいですわ!」
一口飲むと、爽やかな酸味のある味が口の中に広がる。鼻に抜ける香りも心地よく、飲んだ後もさわやかな清涼感が残る。
「お気に召していただけましたでしょうか」
舌鼓を打つ私を見て安心したのか、ようやく母親の表情が柔らかくなった。
「えぇ、当然ですわ!これでさっきの事は全て解決ですわ。それに、こんなにおいしいものを持ってきていただいたのですもの、むしろ感謝したいくらいですわ!」
「寛大なお心に感謝いたします!」
母親は再び深々と頭を下げる。
(なんだか調子が狂うなぁ……)
自分は何もしていないのに、こうも敬われてしまうとむずがゆくなってしまう。
「それにそちらのお嬢さんはまだ濡れたままでしょう。早く着替えてくださいまし。それではわたくしたちは広場を散策しますのでこれにて失礼させていただきますわ」
そう言って私はその場を後にする。後ろで何やら声が聞こえた気がしたが気にしないことにした。
「ふぅ、やっと解放されましたわね。【貴族と平民の平等】に【貴族信仰】、思った以上にすごいんですわね」
「ですです。ミーナたちの世代はそうでもないかもしれないですが、先ほどの年齢の方々だとまだ結構根強いみたいですね」
私が思っていたよりも貴族の力は大きいようだった。昨日アリシアに絡んでた貴族もこういった価値観で生きているのであれば、助長してああいった態度になってしまうのも少しは理解できなくない。
……でも、理解はできなくはないとはいえ、あんな風に暴力を振るうのは絶対に反対だ。それに私自身もやりづらくて仕方がないので、なるべく貴族とはバレないようにしよう。
「あ、そうですわ!次は雑貨屋さんに寄ってもよろしいでしょうか?」
私が持っているのは屋敷から持ってきた美しい刺繍入りのハンカチしかない。この綺麗なハンカチはお気に入りではあるけど、不要なトラブルは避けるために普通のハンカチも持っていた方がいいだろう。
「もちろん!雑貨屋はー……あっちです!」
ミーナの案内についていくと、外観も内観も見覚えのある雑貨屋さんに到着することができた。
ここはゲームではたびたびお世話になるアイテムを売っている雑貨屋さんだ。
中に入ると、どこか見覚えのある風景が広がり、その棚には所せましと商品が置かれている。
可愛らしいヘアピンや魔法力を強化するアクセサリーなども売っていて目移りしそうになるが、まずはシンプルな柄のハンカチを手に取るとそのまま会計に向かった。
「これを下さいまし」
「お、わざわざ良いのに。そのままもっていってくんな」
「あら?お代はちゃんと払いますわよ?」
「いやいや、お嬢ちゃんセレスティアル・アカデミーの生徒だろ?そんな人たちからお代なんていただけねーよ」
腑に落ちなかったが、またさっき見たいな大事になるのも避けたかったので、店主のご厚意によりそのままハンカチを受け取とり会計を後にする。
ミーナもナタリーもいろいろと物色しては手に取っていろいろ試しているようだった。
「あ、あの……これ……もらってしまったんですけれど……」
「レヴィアナさんは本当にハンカチ好きですねー」
「そうだ、先程のハンカチすみません!ちゃんと洗って返しますので!」
「あ、そうです!そしたらお揃いのハンカチ貰って行きませんです?」
「いいですね!そしたらアリシアさんの分も必要ですね」
私の心配をよそに2人は新しいハンカチを手に取りながら、うきうきとお揃いのハンカチを物色し始めている。
「おじさーん!これミーナたちも4つもらっていくですねー!」
「おう!その代わりモンスターシーズンは期待してるぞー!」
「はい!もっちろんですー!」
「そっちのお嬢ちゃんも、もしよかったらほかのも持って行ってくれよー」
「は、はいですわ!」
そう勢いよく返事したものの、なんだか料金も払わず勝手に持って行ってしまうのは自分が泥棒になってしまったようで気が引けてしまう。
「ね……ねぇ……ミーナ?」
「どうしましたです?あ、もしかして他の柄の方が良かったですか?」
「いえ、わたくしが言いたいのはそういうことではなくて……」
ミーナの耳元に口を近づけてコソコソと話す。
「ここの店主さんも【貴族信仰】というやつですの?だからわたくしたちに……」
だとしたら、この店主の好意は素直に受け取れない。
でもミーナは私の言葉を聞いてクスクスと笑い出した。
「あー!違いますですよ!さては入学の書類読んでないですね?レヴィアナさんってとっても賢いのに抜けてたりするですねー」
何のことか検討もつかず、目をパチクリとさせているとミーナが教えてくれる。
「ほら、モンスターの森でモンスターを倒すとアイテムを落とすですよね?モンスターシーズンの時に大量に集めたアイテムをシルフィード広場に納めて、その代わり広場のものは自由に楽しんだり、持って行ったりしていいんです」
「確かにそんなこと書いてあったような……?」
セレスティアル・アカデミーの入学式の書類を見た記憶は無かったが、きっと部屋の魔導書に埋もれてしまっていたのだろう。
言われてみたら吟遊詩人のあの劇でも金銭を払っていない。ミーナやナタリーがあらかじめ支払ってくれていたのかと思ったけどそうではなかったようだ。
「良い制度ですよね。先輩たちのおかげで入学後すぐにこうして色々揃えられますし」
ナタリーはそんなことを言いながらいくつか魔導書を手にしていた。
「ナタリーさんは真面目ですねー。あ、そうだ、ナタリーさん!これミーナと一緒に付けませんか?」
そう言いながらミーナはナタリーにイヤリングを手渡した。
「わぁ!かわいいですね!」
キラキラ光る金色のチェーンが可愛いイヤリングで、ナタリーの銀髪によく似合う。
「あ、でも私師匠からもらったイヤリングが……」
ナタリーは右耳についている小さなイヤリングに手を当てながら申し訳なさそうにする。私の胸に下がっているネックレスの装飾品とよく似ていた。
「ですから片耳ずつです!ミーナが右耳、ナタリーが左耳」
そう言ってミーナはイヤリングを片方だけナタリーの手に残し、もう片方を自分の右耳に付けた。
「わっ……良いんですか!……では、お言葉に甘えて」
ナタリーは嬉しそうにもう片方を左耳に付けると、ミーナと同じ輝きをキラキラと放つ。
「えぇ!おそろいですね!私ずっとこういった事したかったんです!えへへ」
「おそろいですー!」
2人はおそろいのアクセサリーを互いに見せ合い、笑い合っている。
「2人だけずるいですわ!ちょっと待っててくださいまし!」
私も慌てて店内を物色すると、ちょうど小ぶりな、それぞれ銀色を基調としたイヤリングとブレスレットが目に留まる。
ブレスレットは右腕の傷が隠れて丁度いいし、イヤリングなんてつけたことが無かったから、挑戦としてはいい口実だった。
「わ、わたくしも混ぜてくださいまし!」
そう言いながらイヤリングをミーナに、ブレスレットをナタリーに差し出した。
「わぁ!おそろいです!」
「おそろいですねー!」
3人で互いに見せ合って、笑い合う。この世界での友達と記念すべき初めてのお揃いだった。
雑貨屋を出てからそのままシルフィード広場で屋台を回り、今は広場の端っこにある喫茶店で休憩をしているところだ。3人並んで座る私たちの耳や手首にはそれぞれアクセサリーが愉快そうに輝いている。
「ふぅ……さすがにはしゃぎすぎましたわね」
もう少しずつ黄昏時が近づいてきた空は、コバルトブルーとオレンジの綺麗なグラデーションを作っている。
「でも、とってもとーっても楽しかったですね!」
「はい!私こんなにはしゃいだの初めてですよ!」
ミーナもナタリーも満足そうに笑顔を浮かべていた。
「今度はアリシアも一緒に来れるといいですわね」
「ですです!今度来たときは反対側にもいってみたいですねー」
本当に今日は楽しかった。
今頃アリシアはマリウスと親密度をせっせと上げているころだろうか?それともまた他の攻略対象の誰かとイベントを起こしているのだろうか。
あまり『アリシアのセレスティアル・ラブ・クロニクル』を邪魔するのも気を引ける。
それに私とアリシアとの親密度上昇もモンスターシーズンが来る夏休み前に上げておかないといけない。
と、まぁそういった打算的な事などを抜きにしても、あのヒロインともこの世界を楽しんでみたかった。
「男性陣の方とかはどうなんでしょうか?」
「んー……セシルとかは演劇の途中で飽きてどっか行ってしまいそうですわねー」
「あ、そっかレヴィアナさんは他の方とお知り合いなんですよね?」
「お知り合い……というか腐れ縁らしいですわ」
確かに、セシルがあの演劇を最後まで見る姿は想像できない。もし見ているとしたらそれはきっとマリウス絡みのイベントだろう、なんてゲームのイベントを懐かしがっているとミーナがニコニコと、いや、にやにやとしながら私を見ていた。
「で、で!?レヴィアナさんは誰の事が好きなんです!?」
「い、いきなりなんですの!?」
「だってレヴィアナさんが舞踏会で誰と一緒に踊るかですよ!?気になるじゃないですかー!」
「私も気になります!」
「もう!なんでナタリーまで乗っかるんですの!?」
2人のキラキラとした瞳に見つめられ、たじろいでしまう。
「舞踏会なんてそんな先の話全然分かりませんわよ」
舞踏会自体は冬休みに入る前に起きるイベントだ。そこから本格的に攻略対象とのルートが決定して、そのまま卒業式まで向かっていく。
2人には否定したもののついつい頭の中で想像してしまう。
イグニスと踊ったらきっとお互い足を踏みあって文句を言いながら、それでも最後は笑いながらぎこちなく踊るんだろう。
マリウスは実にそつなく……いや、平静を装いながら顔を真っ赤にしながら視線を反らして、それでもこちらを気遣いながら踊ってくれるんだろう。
そつなく踊ってくれるのはセシル。あの初見でなんでもこなす天才は戸惑う私をよそに、会場の中央で周りを魅了しながら華麗に踊るんだろう。
ガレンは、めんどくさそうに頭をかきながらぶっきらぼうに……でも、きっと最後は優しく手を取って私をリードしながら踊るんだろう。
でも……あの4人の向かいに居るのはきっと私ではない。
「わたくしは……そうですわねー……ノーランと踊ったりしたら面白いかもしれないですわね」
そんな風にしてはぐらかすのが精いっぱいだった。
「ノーランさんです?きっとあの方はアリシアさん狙ってますですよ?」
やけに断定的に言うミーナになぜと聞くと「ミーナの勘です!」とのことだった。
「あー!この話はやめにしましょう!なんだか気恥ずかしいですし、まだずっとずーっと先の話ですわ!」
そう言って話題を逸らすようコップを口に運ぶ。それにここでそんな話をしていたらボロが出てしまいそうだ。
冷たい独特のスパイスが利いた紅茶は、火照った身体を冷ますように私の口を通っていった。
どれだけあの4人と仲が良くても私はあくまで悪役令嬢。ヒロインの恋路を邪魔する悪役令嬢、レヴィアナ・ヴォルトハイムなんだ。
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