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物語の終わり、創造の始まり
実紗希とアリシア_2
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「おかーさん!見てみて!私もオムレツ作れるようになった!」
「おかーさん!見てみて!今日は洗濯物も干せたよ!」
「おかーさん!見てみて!部屋の隅まで綺麗でしょ!」
今までの現実世界でも、それにソニカで作った世界でも家事なんてものやったことなかったけど、今では簡単な料理や洗濯ならできるようになった。
そして、それを逐一ソフィアに報告した。
ソフィアはそんな俺を見ていつも嬉しそうに笑ってくれる。
毎日が新しい発見で、そのどれもが新鮮だった。
ソフィアはそんな俺をいつも褒めてくれたし、俺は少しずつ誇らしくなってきた。
「アリシア、今日はお外に行ってみない?」
そんな生活が2週間ほど続いたある日のこと、朝食を食べ終わった俺にソフィアはそう言った。
そういえばこの家でこうしてソフィアと話すことで満足していていたけど、ソフィア以外の人はまだ見たことがない。
十分以上に守られているはずだった現実世界の俺も、あの突然の事故で死んでしまった。
ニカにも何も守られてない外の世界は少し怖かった。
この世界ですら死んでしまったら、俺はどうなるんだろうか。
(ま、いっか)
この世界にも少しずつ慣れていけばいい。
「うん!行きたい!」
「じゃあ、準備してらっしゃい。お母さんもすぐ準備してくるから」
ソフィアが用意してくれたのは白いワンピースだった。
実にアリシアらしい。袖を通すと少し大きいけど、コレはコレで年相応に見える。
鏡の前で軽やかに一回転すると、スカートがふんわりと膨らみ、それに合わせて髪も空中で優雅に舞った。
少しのくすぐったさと幸せな気持ちが全身に広がる。
「んーっ!」
深呼吸して大きく伸びをする。
敷地を一歩踏み出すと、心地よい風が全身を優しく撫でる。
街を流れている小川は太陽の光を反射してきらきらと輝いている。
川には見たことがあるような、ないような、そんな魚たちも元気に泳いでいた。
「わぁ……きれい……」
『アリシア』の故郷を訪ねるイベントで見たことがある景色が、スチルの様な切れ目もなくずっと広がっている。
現実世界はもちろん、いままでソニカでもっと壮大な景色も見たことはあったけど、そのどれよりもこの景色は輝いて見えた。
「あら、アリシアちゃんじゃない」
にぎわっている街を歩いていると、八百屋のおばさんに声をかけられる。
「あ、こんにちは!……んっと、マイラおばさん!」
少しだけ心の中に問いかけるとすんなりと名前が出てきた。ソニカの最後の気遣いなのか、それとも『アリシア』のおかげなのかはわからないけれど、おかげでこうしてこの世界でもさほど戸惑うことなく生活することができている。
「今日もかわいいわね。はい、これ持っておいきよ」
そういうとマイラは真っ赤に熟れた果実を一つ手渡してくれた。
「やったー!ありがとう!」
手に取るとみずみずしくてひんやりとした感覚が伝わってくる。
そのまま勢いよくかぶりつくとかぐわしい香りが鼻に抜ける。
そして、口の中に広がる甘みと酸味がとても心地よい。
「あー、ほらそんなに勢いよく食べると」
「あらあら」
あふれた果汁が腕を伝って袖を赤く染め上げていく。顎から滴った雫がお腹あたりにもシミを作っていった。
「あ、ごっ、ごめんなさい!」
慌てて家を出るときに持たせてくれたハンカチを取り出そうとするが、手がべたべたでまた服を汚してしまう。
「ちゃんとおうちに帰ったら洗うから大丈夫よ。ほら、お顔見せて?」
「あ……うん……」
ソフィアが優しく顔をぬぐってくれる。
「はい、これで大丈夫。食べ終わったら手を洗いに行きましょうね」
「はーい」
「マイラさん、アリシアも気に入ったみたいだからエーテルプラムをすこしいただけますでしょうか」
「ええ、もちろん」
ソフィアはマイラと仲よさそうにおしゃべりをしている。
その間にべとべとになった手を洗いに水場へ歩きだす。
「ぷっ……。あははっ」
こんな風に顔を汚して、服を汚して。こんなこといままで考えられなかった。
全部受け入れてくれる母親という存在のソフィアがいて、多分、これは「甘え」というやつだ。
手を洗いながら、街行く人を眺める。
みんなソフィアと同じように優しい笑顔で挨拶を返してくれたり、時には手を振ってくれる人もいて、とても温かい気持ちになれる。
「ん?そんなににこにこしちゃってどうしたの?そんなにエーテルプラム気に入った?」
「なんでもなーい。あ、私がそれ持つよ!」
「あらそう?じゃあ、お願いしようかしら」
ソフィアが持っていたエーテルプラムの袋を受け取る。
「アリシアは力持ちだねー。お母さん助かっちゃうなー」
ソフィアはそう言って頭をなでてくれた。なんだか胸の奥が温かい。これは今まで知らなかった気持ちだった。
いままでソニカの世界に入ったときはこんな感情を覚えたことはなかった。
ソニカの世界に潜ったときも「あぁ、これは現実じゃないんだ」と感じてしまって、どうにも多分本当の意味で世界に入り込むことはできなかった。
でも、今の俺にとってはこの世界は、多分本物以外の何物でもない。俺が青山 実紗希に戻ることはもう、無い。
「あ、お母さん!私あれも食べたい!」
「はいはい」
見たことがない果物を指さすとソフィアは笑いながら俺の頭をなでた。
以前柚季に相談したときは『実紗希は冷めてるからねー』とか言っていた。
あの時はみんな大げさに言っているだけだと思ったりもしたけど、柚季もほかのみんなも世界に入ったときはこんな感情を感じていたのだろうか。
そうだとしたら、どれだけ幸せな世界を柚季は、みんなは、経験していたんだろう。
ーーーー少し、いや、正直すごいうらやましい。
その後も街を歩き続けて、色んなものを見た。
まるで失った時間を取り戻すかのように、多分必要以上にはしゃいでしまっていた。
だって今まで感じることができなかったんだ。それに最後の世界なんだしこうしても許されるだろう。
甘えるとソフィアはとても嬉しそうにしてくれた。
目が合うたびに嬉しそうな顔をして微笑んでくれるのが俺も嬉しかったし、それに甘えている自分がなんだか誇らしかった。
「こんにちは!」
「あら、こんにちは」
道ですれ違う人みんなに挨拶をする。みんな俺を見ると嬉しそうにしてくれるし、俺もそんな人たちを見て嬉しくなる。
「アリシアちゃんは今日も元気ねー。」
「うん!お母さんのご飯おいしいから!」
「それでお洋服にまでたべさせちゃったのかしら?」
「もー!そんなんじゃないってば!」
「ふふっ、ごめんなさいね」
俺は少しずつ『アリシア』になっていくのを感じた。
一日中、多分必要以上にはしゃいでしまった。
街中を散策し、街のはずれの畜産を行ってる地帯にまで足を延ばし、そこでソフィアが用意してくれたお弁当を食べ、また街に戻ってくる頃には日が暮れていた。
「お母さん、あの人なにしてるの?」
「貴族の方が街に灯をともしてくれてるのよ」
日暮れと共に街が灯りで照らされ、昼間とは違った顔を見せていた。
ゆらゆらと揺れる火は美しくて、見惚れてしまう。
(そっか、この世界……)
あこがれの世界の美しさに圧倒されて忘れていたけど、この世界には魔法があるんだった。
「私もあんなきれいな火の魔法が使えるようになりたいな」
ぽつりとつぶやいた。
「そしたら工房のほうも手伝ってもらえるわね。大丈夫よ。アリシアならきっとできるわ」
「ほんと!?うん、私頑張ってみる!」
『アリシア』の能力がそのまま引き継がれていたら俺も魔法が使えるはずだ。
もっとソフィアや街の人たちを喜ばせてあげれるかもしれないと思うと今から楽しみだった。
「おかーさん!見てみて!今日は洗濯物も干せたよ!」
「おかーさん!見てみて!部屋の隅まで綺麗でしょ!」
今までの現実世界でも、それにソニカで作った世界でも家事なんてものやったことなかったけど、今では簡単な料理や洗濯ならできるようになった。
そして、それを逐一ソフィアに報告した。
ソフィアはそんな俺を見ていつも嬉しそうに笑ってくれる。
毎日が新しい発見で、そのどれもが新鮮だった。
ソフィアはそんな俺をいつも褒めてくれたし、俺は少しずつ誇らしくなってきた。
「アリシア、今日はお外に行ってみない?」
そんな生活が2週間ほど続いたある日のこと、朝食を食べ終わった俺にソフィアはそう言った。
そういえばこの家でこうしてソフィアと話すことで満足していていたけど、ソフィア以外の人はまだ見たことがない。
十分以上に守られているはずだった現実世界の俺も、あの突然の事故で死んでしまった。
ニカにも何も守られてない外の世界は少し怖かった。
この世界ですら死んでしまったら、俺はどうなるんだろうか。
(ま、いっか)
この世界にも少しずつ慣れていけばいい。
「うん!行きたい!」
「じゃあ、準備してらっしゃい。お母さんもすぐ準備してくるから」
ソフィアが用意してくれたのは白いワンピースだった。
実にアリシアらしい。袖を通すと少し大きいけど、コレはコレで年相応に見える。
鏡の前で軽やかに一回転すると、スカートがふんわりと膨らみ、それに合わせて髪も空中で優雅に舞った。
少しのくすぐったさと幸せな気持ちが全身に広がる。
「んーっ!」
深呼吸して大きく伸びをする。
敷地を一歩踏み出すと、心地よい風が全身を優しく撫でる。
街を流れている小川は太陽の光を反射してきらきらと輝いている。
川には見たことがあるような、ないような、そんな魚たちも元気に泳いでいた。
「わぁ……きれい……」
『アリシア』の故郷を訪ねるイベントで見たことがある景色が、スチルの様な切れ目もなくずっと広がっている。
現実世界はもちろん、いままでソニカでもっと壮大な景色も見たことはあったけど、そのどれよりもこの景色は輝いて見えた。
「あら、アリシアちゃんじゃない」
にぎわっている街を歩いていると、八百屋のおばさんに声をかけられる。
「あ、こんにちは!……んっと、マイラおばさん!」
少しだけ心の中に問いかけるとすんなりと名前が出てきた。ソニカの最後の気遣いなのか、それとも『アリシア』のおかげなのかはわからないけれど、おかげでこうしてこの世界でもさほど戸惑うことなく生活することができている。
「今日もかわいいわね。はい、これ持っておいきよ」
そういうとマイラは真っ赤に熟れた果実を一つ手渡してくれた。
「やったー!ありがとう!」
手に取るとみずみずしくてひんやりとした感覚が伝わってくる。
そのまま勢いよくかぶりつくとかぐわしい香りが鼻に抜ける。
そして、口の中に広がる甘みと酸味がとても心地よい。
「あー、ほらそんなに勢いよく食べると」
「あらあら」
あふれた果汁が腕を伝って袖を赤く染め上げていく。顎から滴った雫がお腹あたりにもシミを作っていった。
「あ、ごっ、ごめんなさい!」
慌てて家を出るときに持たせてくれたハンカチを取り出そうとするが、手がべたべたでまた服を汚してしまう。
「ちゃんとおうちに帰ったら洗うから大丈夫よ。ほら、お顔見せて?」
「あ……うん……」
ソフィアが優しく顔をぬぐってくれる。
「はい、これで大丈夫。食べ終わったら手を洗いに行きましょうね」
「はーい」
「マイラさん、アリシアも気に入ったみたいだからエーテルプラムをすこしいただけますでしょうか」
「ええ、もちろん」
ソフィアはマイラと仲よさそうにおしゃべりをしている。
その間にべとべとになった手を洗いに水場へ歩きだす。
「ぷっ……。あははっ」
こんな風に顔を汚して、服を汚して。こんなこといままで考えられなかった。
全部受け入れてくれる母親という存在のソフィアがいて、多分、これは「甘え」というやつだ。
手を洗いながら、街行く人を眺める。
みんなソフィアと同じように優しい笑顔で挨拶を返してくれたり、時には手を振ってくれる人もいて、とても温かい気持ちになれる。
「ん?そんなににこにこしちゃってどうしたの?そんなにエーテルプラム気に入った?」
「なんでもなーい。あ、私がそれ持つよ!」
「あらそう?じゃあ、お願いしようかしら」
ソフィアが持っていたエーテルプラムの袋を受け取る。
「アリシアは力持ちだねー。お母さん助かっちゃうなー」
ソフィアはそう言って頭をなでてくれた。なんだか胸の奥が温かい。これは今まで知らなかった気持ちだった。
いままでソニカの世界に入ったときはこんな感情を覚えたことはなかった。
ソニカの世界に潜ったときも「あぁ、これは現実じゃないんだ」と感じてしまって、どうにも多分本当の意味で世界に入り込むことはできなかった。
でも、今の俺にとってはこの世界は、多分本物以外の何物でもない。俺が青山 実紗希に戻ることはもう、無い。
「あ、お母さん!私あれも食べたい!」
「はいはい」
見たことがない果物を指さすとソフィアは笑いながら俺の頭をなでた。
以前柚季に相談したときは『実紗希は冷めてるからねー』とか言っていた。
あの時はみんな大げさに言っているだけだと思ったりもしたけど、柚季もほかのみんなも世界に入ったときはこんな感情を感じていたのだろうか。
そうだとしたら、どれだけ幸せな世界を柚季は、みんなは、経験していたんだろう。
ーーーー少し、いや、正直すごいうらやましい。
その後も街を歩き続けて、色んなものを見た。
まるで失った時間を取り戻すかのように、多分必要以上にはしゃいでしまっていた。
だって今まで感じることができなかったんだ。それに最後の世界なんだしこうしても許されるだろう。
甘えるとソフィアはとても嬉しそうにしてくれた。
目が合うたびに嬉しそうな顔をして微笑んでくれるのが俺も嬉しかったし、それに甘えている自分がなんだか誇らしかった。
「こんにちは!」
「あら、こんにちは」
道ですれ違う人みんなに挨拶をする。みんな俺を見ると嬉しそうにしてくれるし、俺もそんな人たちを見て嬉しくなる。
「アリシアちゃんは今日も元気ねー。」
「うん!お母さんのご飯おいしいから!」
「それでお洋服にまでたべさせちゃったのかしら?」
「もー!そんなんじゃないってば!」
「ふふっ、ごめんなさいね」
俺は少しずつ『アリシア』になっていくのを感じた。
一日中、多分必要以上にはしゃいでしまった。
街中を散策し、街のはずれの畜産を行ってる地帯にまで足を延ばし、そこでソフィアが用意してくれたお弁当を食べ、また街に戻ってくる頃には日が暮れていた。
「お母さん、あの人なにしてるの?」
「貴族の方が街に灯をともしてくれてるのよ」
日暮れと共に街が灯りで照らされ、昼間とは違った顔を見せていた。
ゆらゆらと揺れる火は美しくて、見惚れてしまう。
(そっか、この世界……)
あこがれの世界の美しさに圧倒されて忘れていたけど、この世界には魔法があるんだった。
「私もあんなきれいな火の魔法が使えるようになりたいな」
ぽつりとつぶやいた。
「そしたら工房のほうも手伝ってもらえるわね。大丈夫よ。アリシアならきっとできるわ」
「ほんと!?うん、私頑張ってみる!」
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