【完結】悪の幹部の息子に転生しました 〜首領様がえっちすぎて直視できません〜

コオリ

文字の大きさ
10 / 111

10 この触腕の形って、もしかして

しおりを挟む

 父さんの驚いている声が聞こえて、おれは慌てて目を開けた。視線を下に向けると、腹から見事に生えている触腕が見える。
 触腕はおれが最後に見たときよりも黒く染まっていた。光を全く跳ね返さない、禍々しいほどの黒だ。
 でも色のことより、おれには気になることがあった。

「形が、変わってる……?」

 触腕の形が、前に見たときと明らかに変わっていた。
 前はちゃんと父さんと触腕と同じ、おれのよく知る蛸の足の形をしていたのに、これは……どう表現すればいいんだろう。
 シルエットは蛸の足に似ているけど吸盤がない。表面は硬い鱗のようなものに覆われていて、それは蛸の足というより爬虫類の長い尻尾のように見えた。

 ――あ……この鱗、首領様の脚の外殻と似てるんだ。もしかして、首領様が噛んだからこうなったの?

 異変が起こった原因は、それくらいしか思いつかなかった。

「元からこの形だったわけじゃねえのか?」

 それまでずっと、黙って触腕を観察していた父さんが口を開いた。
 声が硬い。それに表情も険しい。

「うん。前に見たときは、父さんの触腕とそっくりな形だったよ。それよりも細くて短いけど……色も最初は淡いピンクだった」
「こうなった原因に心当たりはあるのか?」
「それは――」

 おれが説明しようと、口を開こうとした瞬間だった。

「ん……ぁ、何」

 腹の奥が、ずくんと疼いた。
 声が我慢できないくらいの強い疼きだ。痛くはないけど、きゅっと身体が縮こまる。

「バン? どうした」
「わかんない……なんか、触腕の根元から変な感じがして……ひぁッ」

 また同じ疼きが襲う。訳のわからない状況に、おれは助けを求めるように父さんを見た。
 父さんは、おれの触腕に再び鋭い視線を向けている。
 その目がカッと見開いたのと、おれの視界の端で何か黒いものが動いたのは、ほとんど同時だった。

「ぅわ……っ」

 おれには、驚きに声を上げることしかできなかった。
 何が起こったのかも把握しきれていない。
 おれの上半身には、父さんの触腕が巻きついていた。強い力じゃない。おれのことを守るように、触腕が盾になってくれているのだ。
 それに対して攻撃を仕掛けようとしているのは、おれから生えている触腕だった。

「え、どうして」
「バン、お前が動かしてるんじゃないんだな」
「違うっ、おれ、父さんを攻撃なんか」
「落ち着け、バン。触腕の動きを制御できるか?」
「わ、わかんない。だっておれ、何もしてないのに……勝手に動いて」

 落ち着けと言われても、落ち着ける状況じゃなかった。
 黒い触腕はなおも、おれの意思に反して攻撃を繰り返している。父さんはそれに対して反撃することなく、守りに徹していた。

「……お前に触れてるのが、気に入らないのか?」

 父さんはしばらく黒い触腕を観察して、何かに気づいたらしい。おれの身体を守っている触腕以外を消すと、自分の腕でおれの背中を支えた。

「バン、立てるか?」
「う、うん……父さん、何かするの?」
「逆だ、何もしない。おそらくだが、あれはお前を傷つけようとしたんじゃない。守ろうとしてるんだ。ただ、敵味方を判断するのが不得手なんだろう。いったん離れて様子を見てみようと思う」

 父さんはそう言うと、おれの背中に添えていた手を離す。一歩、後ろへと離れた。
 まだ触腕で守ってくれてはいるものの、さっきの言い方からして、この触腕も消すつもりなんだろう。

「もし、父さんの憶測が間違ってたら?」
「心配すんな。お前に怪我なんかさせねえよ。オレを信じろ」

 おれは無理だと言いたい気持ちを堪えて、こくりと頷く。
 手が震えているのには気づかれているだろうけど、父さんは何も言わなかった。
 身体を覆っていた父さんの触腕が消える。
 おれは一瞬身構えたが、父さんが予想したとおり、黒い触腕は攻撃的な動きを止めた。

「予想どおりだったな」
「……おれの触腕は、自動攻撃型ってこと?」
「そんなの聞いたことがねえがな……でも、実際にあるわけだし、あり得ねえわけとは言えねえな」

 父さんは、おれの身体に迂闊に触れてしまわないように、さらにおれと距離を取る。
 だらりとしたまま動かなくなった黒い触腕をいろんな角度から眺めて、うーんと首を傾げた。

「で、お前さっき何か言おうとしたよな」
「そうだ。この触腕が黒くなった理由なんだけど――ひ、ぁッ」

 また、さっきと同じタイミングだった。
 黒い触腕が勝手に動き出す。驚いたおれの声に父さんが警戒を強めたが、すぐに何かすることはなかった。

「あ、あ……何、待って」
 
 黒い触腕の動きは攻撃的なものではなかった。
 するする、とおれの内腿を撫で上げる。くすぐったさに身をよじっていると、黒い触腕はおれの腰に巻きつき、先端の尖った部分をおれの中心に近づけた。

「え、だめ。そこはだめだって!」

 何をしようとしているんだろう。
 ただ、ちょっと巻きついてみたくなっただけ?
 ……違う気がする。黒い触腕は先端をちろちろと動かしながら、どんどん中心に迫ってくる。
 あと少しで、触れてしまう。
 手で払い除けようとしたけど、だめだった。
 腰を引いて逃げようとしても、自分の身体から生えているものなので逃げようがない。

「ふ、ぁッ」

 たらんと萎えたおれの中心に、黒い触腕の先が触れた。
 思わず情けない声が出てしまう。

「父さん、見ないで」
「そうしてやりたいが……」

 父さんもどうすべきか、迷っている様子だった。

「触腕の締めつけは弱いんだな? 痛みは?」
「ない! ないから」
「わかった。まずいことになりそうなら、すぐに声を上げるんだぞ」

 口元を手で押さえたまま、おれはうんうんと頷く。
 父さんはすぐさまくるっと反転すると、おれに背中を向けた。

 ――声も、聞かれたくないけど。

 黒い触腕が何をする気なのかはわからない。
 でも、この行為がさらにエスカレートしたら、おれは声を抑えられる気がしない。

「……っ、ぁ……嫌だ、だめだって」

 最初の刺激だけで半勃ちになってしまったおれの中心に、黒い触腕が器用に先端を巻きつける。急所を押さえられ、おれはさらに自由に身動きが取れなくなった。
 変に刺激して、さっきみたいな攻撃を中心に仕掛けられても困るからだ。

「なあ、なんでおれの触腕なのに、勝手に動くんだよ……しかも、どうしてそんなとこ」

 せっかく生えた自分の触腕だ。そんな変なこと、したくないのに。

「ぁッ」

 巻きついた黒い触腕が、きゅうっとおれの中心を締めつける。
 強い締めつけじゃない……だけど、怖い。

「そこは、あんまり鍛えてる場所じゃないから……な? あんまり変なことしないで……っ、ぁ、ぁああッ」

 不意打ちに与えられた刺激に、おれはその場にぺたりと座り込んでしまった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

助けたドS皇子がヤンデレになって俺を追いかけてきます!

夜刀神さつき
BL
医者である内藤 賢吾は、過労死した。しかし、死んだことに気がつかないまま異世界転生する。転生先で、急性虫垂炎のセドリック皇子を見つけた彼は、手術をしたくてたまらなくなる。「彼を解剖させてください」と告げ、周囲をドン引きさせる。その後、賢吾はセドリックを手術して助ける。命を助けられたセドリックは、賢吾に惹かれていく。賢吾は、セドリックの告白を断るが、セドリックは、諦めの悪いヤンデレ腹黒男だった。セドリックは、賢吾に助ける代わりに何でも言うことを聞くという約束をする。しかし、賢吾は約束を破り逃げ出し……。ほとんどコメディです。  ヤンデレ腹黒ドS皇子×頭のおかしい主人公

性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000の勇者が攻めてきた!

モト
BL
異世界転生したら弱い悪魔になっていました。でも、異世界転生あるあるのスキル表を見る事が出来た俺は、自分にはとんでもない天性資質が備わっている事を知る。 その天性資質を使って、エルフちゃんと結婚したい。その為に旅に出て、強い魔物を退治していくうちに何故か魔王になってしまった。 魔王城で仕方なく引きこもり生活を送っていると、ある日勇者が攻めてきた。 その勇者のスキルは……え!? 性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000、愛情Max~~!?!?!?!?!?! ムーンライトノベルズにも投稿しておりすがアルファ版のほうが長編になります。

学園一のスパダリが義兄兼恋人になりました

すいかちゃん
BL
母親の再婚により、名門リーディア家の一員となったユウト。憧れの先輩・セージュが義兄となり喜ぶ。だが、セージュの態度は冷たくて「兄弟になりたくなかった」とまで言われてしまう。おまけに、そんなセージュの部屋で暮らす事になり…。 第二話「兄と呼べない理由」 セージュがなぜユウトに冷たい態度をとるのかがここで明かされます。 第三話「恋人として」は、9月1日(月)の更新となります。 躊躇いながらもセージュの恋人になったユウト。触れられたりキスされるとドキドキしてしまい…。 そして、セージュはユウトに恋をした日を回想します。 第四話「誘惑」 セージュと親しいセシリアという少女の存在がユウトの心をざわつかせます。 愛される自信が持てないユウトを、セージュは洗面所で…。 第五話「月夜の口づけ」 セレストア祭の夜。ユウトはある人物からセージュとの恋を反対され…という話です。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?

米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。 ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。 隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。 「愛してるよ、私のユリタン」 そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。 “最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。 成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。 怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか? ……え、違う?

処理中です...