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25 これ以上はおかしくなっちゃう
しおりを挟む「ん、ふ……ぁっ」
中心に絡みついた触腕が、おれの体液を容赦なく搾り取ろうとしてくる。
白濁にまみれた黒い触腕を見たくはなかったけど、何をされているのかわからないのも怖くて、何度もちらちらと下を確認してしまう。
――あれ……? おれ、前にも触腕にこんなこと、された?
無理やり引きずり出される快楽と一緒に、知らない記憶が頭をよぎった。
でもそれが本当に自分の記憶か確かめる方法はなくて、そんなことを考えているうちにまた、絶頂へと押し上げられる。
「ふ……ッ、んん――っ!」
これで何度目だろう。
中心からこぼれる体液に勢いはなかった。色も透明に近づいている。
もう出ないと伝えたくて、おれは必死で首を横に振った。
でも画面の向こうのシディア様は、おれのその仕草じゃなくて、瞳の奥をじっと覗き込むように見ている。
『まだ空ではないな』
「ぁ、あ……ッ」
『前を刺激しすぎてつらくなったか? では、こちらからにするか』
「んん――ッ!」
白濁にまみれた触腕が中心を離れ、するりと股の間をくぐっていく。
その先端がどこを目指しているのか気づいたおれは、悲鳴に近い声を上げた。
口枷をどれだけ強く噛んでも、触腕の動きは止まらない。この緊急停止ボタンと触腕は関係ないのだから当たり前だ。
だからシディア様にやめてほしいと訴えるしかないのだけど、必死に嫌だと伝えてもシディア様は行為をやめる気はないようだった。
『バン、怖がる必要はない。力を抜け』
「う、うう……」
触腕が尻の谷間をなぞる。恐怖で顔が引き攣った。
自分でもあまり触れようと思わない後孔のふちに、つんと触腕の先端が触れる。
「……ンぁっ」
触腕が、おれの後孔につぷりと頭をねじ込んだのがわかった。
――あ、あ……入ってくる。
細い先端はそれほど抵抗なく入ってきたけど、そこから先は違う。纏わりついたおれの白濁で滑りはよくなっていても、表面が硬い外殻で覆われた触腕がずるずると入ってくる感覚は、なんともいえないものがあった。
「ぅ、ん――っ」
『ここまでしか入れないから安心しろ』
挿入された深さはそれほどでもないのかもしれない。
でも異物感がひどい。
中で、触腕がぐねぐねと動いているのがわかる。
「ふぅ……んぁっ!!」
突然、中からビリッと電気を流されたみたいな衝撃が走った。
限界まで達して、くたっと力をなくしていたおれの中心が、その電気ショックみたいな刺激で硬さを取り戻す。
――触ってないのに、なんで……?
疑問に思っている暇はなかった。
「ん、んぁっ……あッ」
中で触腕が動くたび、同じ痺れが何度もおれを襲う。
張り詰めた中心がどんどん熱く、ずっしりと重くなっていく。まだ、こんなに残っていたなんて。
『いい反応だな。ここを責められるのは初めてではないのか?』
「ん……ん、ん」
経験なんてあるはずない。
初めての感覚に戸惑いながらも、おれはシディア様の問いに首を横に振った。
『初めてでそれか』
おれの反応はそんなに変なんだろうか。
気になるけど、頭の中心までびりびり痺れるような刺激がおれの思考を邪魔する。残った体液を強引に集めて押し出されるような感覚に、今は悶えることしかできなかった。
「ぁ……、あッ」
『ほら、残さず出してしまえ』
「ぁあ……ンぁあああ――っ!!」
また達した。
イっているあいだも、中から刺激を与えられ続ける。本当に一滴も残さずに出させるつもりなんだろう。
――これ以上はおかしくなる、無理……死んじゃう。
目の前がちかちかする。
感覚が遠くなって、自分の悲鳴がかすかにしか聞こえなくなった。シディア様も何か言っている気がするけど、もう何もわからない。
硬直した身体から力が抜ける瞬間、一緒に意識も落ちていた。
◆◆◆◇◇◇
「落ちたか」
直立の姿勢のまま意識を失ったバンを画面越しに見つめながら、シディアは小さくこぼした。
だらしない表情を晒すバンの顔をじっくりと眺めた後、ふっと口元を緩める。
触腕を操って後孔から引き抜くと、抜け落ちる瞬間、意識のないはずのバンが鼻にかかった甘い声を漏らした。
「――ホニベラ」
「はっ。こちらに」
名を呼ぶと、ホニベラが空間を転移し、姿を現す。
椅子に深く腰かけるシディアの足もとに跪き、首を垂れた。
「こちらの姿のときは、かしこまらなくてよいと伝えたはずだが?」
「しかし、今の御姿は――」
ホニベラの言葉に、シディアは自分の手元へ視線を落とす。
肘から指先まで、真っ黒な鱗のような外殻に覆われていることに気づいて「ああ」と納得したように頷いた。
「力が抑えきれていなかったのか。バンには気づかれたか?」
「いえ。御身が変化したのは、バン・クラードゥが意識を失った後でしたので」
「そうか。気をつけなくてはな」
シディアはそう言いながら、腕の黒い外殻を消す。
脚も外殻に覆われているのに気づいたが、そちらはそのままにしておいた。悠然とした仕草で脚を組み、足元に跪くホニベラの顔を爪先で軽く叩く。
「面を上げよ」
ホニベラは膝を折ったまま、顔を上げる。
頬を紅潮させ、陶酔しきったような表情を晒した。
「あの、御顔にも刺青が」
どうやら変化は外殻だけではなかったらしい。
肌に浮かび上がる刺青は、その者が強い魔力を持つという証だ。色の濃さや範囲が、そのまま力の強さを表している。
シディアの身体に刺青の刻まれていない箇所は、ほとんどなかった。
こちらも普段は力を抑えて隠していたが、気分が高揚したせいで、気づかぬうちに外殻とともに現れてしまっていたらしい。
「……とてもお美しいです、首領様」
「シディアと呼べ」
「かしこまりました。シディア様」
この姿のときは同じ幹部の立場だと言ってあるにもかかわらず、さすがに本人の前で敬称を取ることは躊躇われたようだ。
答えるホニベラの表情はなおもうっとりと蕩けていた。
「――ホニベラ。意識を失っているうちに、バンの被膜を終えてやれ」
「反応を見られなくてもよいのですか? せっかくシディア様の魔力を含んだ、特別なものを用意いたしましたのに」
「終えた後でも愉しめるから問題ない」
「御意のままに」
ホニベラは現れたとき同様、一瞬で姿を消した。
シディアは視線を画面に戻すと、唇の端を上げて笑う。気分の高揚にあわせて、顔に浮かび上がった刺青がほんのりと妖しく発光した。
「我の咬傷を残し、目を宿し、そのうえ魔力を全身に纏うなど――これからの変化が楽しみだな、バン」
意識のないバンに向かって語りかける。
そんなシディアの言葉に反応するように、バンの下腹部がひくひくと震えた。
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