【完結】悪の幹部の息子に転生しました 〜首領様がえっちすぎて直視できません〜

コオリ

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47 大事なとこを見逃した!

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 同じベッドの同じくらいの位置に腰かけているのに、床に足裏全体がしっかり着いているシディア様と、つま先も届きそうにないおれ。
 脚の長さの違いに軽く絶望を覚えつつも、おれは何から話し出すべきかを考えていた。
 そもそも、なんの話をするためにシディア様を食事に誘ったんだっけ……?

「何を聞くつもりだったか忘れた顔だな」
「う…………はい」

 相手はシディア様だし、バレバレだろうとは思ったけど、はっきり指摘されるのは恥ずかしい。
 俯いて鼻の頭を掻いていたら、頭をポンッと優しく叩かれた。

「思い出すまで待ってやろう」

 ――え、教えてくれないの?

 これも部下を教育する一環ってことなのかな。

「っ、頑張ります!」

 期待を裏切るわけにはいかないので、おれは今日あった出来事と、暗黒書庫でシディア様と話した内容を思い返す。
 何が起こって、どういう話をしていて、どこで話を中断したのかを順を追って思い出していき、ぽんっと手を叩いた。

「そうだ! シディア様の魔力圧の話をしてたんだ!」

 ドヤッて顔をしちゃった気がする。
 顔を上げて隣を見たら、首を少し傾けてこちらを見ていたシディア様が、手で口元を隠しているところだった。

 ――もしかして、笑ってた?

 それもおれを馬鹿にして笑ってたとかじゃなくて、思わず笑っちゃったみたいな顔。
 一瞬しか見えなかったけど、あれは絶対に笑顔だった。

 ――えー!! もっと見たかった!!

 柔らかく目を細めたり、口元を緩めて笑う場面には何度か遭遇したことがあるけど、さっきみたいな笑顔は初めてだったと思う。
 シディア様って、あんなふうに笑うんだ。

「また賑やかな顔をして……質問しなくていいのか?」
「あっ、します!」

 ベッドの上だけど、おれは姿勢を正して座り直す。

「あの、レクセやツィーガが体調を崩すくらいだからシディア様の魔力圧は相当強いと思うんですけど……おれが平気なのって、半分はこの刺青のおかげなんですよね? もう半分の理由ってなんですか?」
「いきなり答えを求めるのか。だがその答えなら、俺とアラネアの会話の中にあったんだがな」
「え? 二人の会話の中に……?」

 それって、さっきのことだよね。
 シディア様と母さんは何を話していたっけ。
 母さんがおれの外殻と刺青を見て、ものすごく驚いていたのは覚えているんだけど……二人が話していたこと?

「あっ……もしかして、魔力の共鳴反応っていうのと関係がありますか?」

 それは母さんの話していた中で、おれが一番気になっていた言葉だった。
 共鳴反応っていう言葉を初めて聞いたというのもあるんだけど。

「正解ではないが、関係する言葉ではあるな」
「惜しいってことですか?」
「まあ……お前は言葉で説明するより、実際に体験したほうが理解が早いんじゃないか?」

 ギシッ、とベッドが軋んだ。
 シディア様が一人分空いていたおれとの距離を詰めてきたからだ。身体はどこも触れていないのに、体温が近くなったような錯覚を覚える。

「え……と、何をするんですか?」
「お前が『恥ずかしい』と拒否した行為の続きだ。誰にも見られていなければいいのだろう?」

 それって、まさか。

「逃げるな、バン――命令だ」

 後ずさりしそうになったおれを、シディア様はすぐさま言葉で縛った。
 別に動けなくなるような特殊な力を使われたわけじゃなくても、シディア様に命令だって言われたら、おれの身体と心はそれに従おうとしてしまう。
 シディア様は動けなくなったおれとさらに距離を詰めてきたけど、すぐに触れてくるわけじゃなかった。

「今、俺の魔力を感じるか?」
「たぶん、これだろうっていうのはわかります。お腹の奥がそわそわして……シディア様の魔力に反応してるんだと思います」
「不快か?」
「いえ……気持ちいいから、困惑してて」

 シディア様の問いに、おれは自分の状態をありのまま答えた。
 気持ちいいと言葉にするのには少し抵抗があったけど、それ以外にちょうどいい言葉が思い浮かばなかったから、シディア様の反応を窺いながらおそるおそる口にする。

「気持ちいい、か」

 復唱され、顔が熱くなるのがわかった。
 シディア様の手が、刺青のある場所に近づいてくる。
 いっそ一思いに触れてくれたらいいのに、おれが手の動きを目で追っているのに気づいているからか、見せつけるようなゆっくりとした動きだった。

「怯えているな。何が恐ろしい?」
「自分がどうなるかわからないのが……怖いです」
「俺が見ているから平気だ。力を抜け」

 こくん、と頷く。
 それでもすぐに身体の力を抜くのは難しかった。
 鼓動と呼吸はいつもの倍以上の速さだ。口から心臓が飛び出しそうなくらい緊張しながら、おれはシディア様の指先をじっと見つめる。

「……っ」

 刺青に指先が触れた。
 でも、想像していたような衝撃は襲ってこない。

 ――大丈夫だった……?

 ほっ、と全身から力を抜いた――そのときだった。

「ふ、ぁ……ぁああッ」

 シディア様の触れているところから、びりびりと強い電流のような衝撃が走った。
 その電流がおれに与えたのは痛みじゃなくて、強すぎる快感だ。

「や、ぁあ……っ」
「いい反応だ」
「待っ……んっ、ぁあっ!」

 座った体勢のままではいられず、おれはベッドに倒れ込んだ。
 逃げるなと先に命令されていなければ、そのままシーツの上を這って逃げ出そうとしていたと思う。

 ――ううん……無理だ、動くなんて。

 ベッドで仰向けになったおれは、シディア様の魔力が流れ込む強い衝撃に、全身をびくびく痙攣させることしかできなかった。
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