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67 なんて呼ぶのが正解だった?
しおりを挟む「ん、ぁ……っ」
シディア様の手が真っ先に触れたのは、おれの下腹部に刻まれた刺青だった。
指先をそっと滑らせた程度の接触だったのに、腰がびくっと跳ねるくらいの強い衝撃が走る。
でもそれは、最初の一瞬だけだった。
「相変わらず美味そうに食う。俺の魔力を食らって嬉しそうな顔をするのは、お前くらいのものだ」
「あ……んッ」
おれはまた、シディア様の魔力を食べていた。
シディア様の魔力を食べるのは、我が家の夕食にシディア様を招待したとき以来だ。
この能力はかなり特殊なもので、そのうえマッド・ビィに狙われる原因にもなると言われたのはやっぱり怖くて、意識的に能力の発動を抑えていた。
――やっぱり……すごく美味しいし、気持ちいい。
怖いと思っていたのに、一度食べ始めるといくらでも欲しくなってしまう。
シディア様の魔力だからなんだろうか。
癖になりそうな恍惚感に、頭の芯が蕩けてしまいそうになる。
もっと――と求めるようにシディア様に向かって両腕を伸ばすと、それに気づいたシディア様が口元を緩めた。
「そう焦るな」
そう言って、ベッドに上がってくる。
シディア様は外皮を消して裸になると、おれの身体に跨るように覆い被さった。
均整の取れた、すごく綺麗な身体だ。
こんな芸術品のように素晴らしいものを、今はおれだけが独占しているのかと思うと、とんでもなく贅沢な気持ちになってくる。
シディア様は射抜くようにおれを見つめながら、ゆっくりと顔を近づけてきた。
それがすごくもどかしくて、おれは伸ばしていた両腕をシディア様の首の後ろに回すと、自分のほうへ引き寄せる。
「ふ……ンっ」
唇が重なった。
シディア様は全く焦らすことなく、おれの咥内に舌を差し込んでくる。
「ん……んん……」
刺青を刻まれた舌に、シディア様の舌が直接触れると、痺れのような快感に全身の震えが止まらなくなった。
そんな状態でも、おれはシディア様の魔力を味わう。唾液の一滴もこぼさないように、夢中でシディア様の舌を貪った。
「ん……ふ、ぁ……ンぅ」
シディア様の魔力は、どんなごちそうよりも美味しい。
満たされて、幸せな気分になれる。
それに何より気持ちよすぎて、声が堪えられなかった。
「…………っ」
しばらくして、唇が離れる。
まだ味わっていたくてぎりぎりまで舌を伸ばしたけど、最後まで繋がっていた唾液の糸もあっけなく切れてしまった。
ずっと伏せていた視線を上げる。
長い睫毛に縁取られたオーロラ色の瞳にじっと見られていたことに気づいて、少しびくっとしてしまった。
――感じてる顔、ずっと見られてた?
気恥ずかしさに視線を逸らすと、シディア様がふっと吐息を漏らす。
「恥じらっている場合か? 俺に使ってほしいのだろう?」
そうだ。恥ずかしがっている場合じゃなかった。
シディア様の役に立ちたくて――心身の疲れを少しでも癒してもらいたくて始めた行為だ。
――おれからも、積極的にいかないと。
そう意気込んだおれが真っ先に視線を向けたのは、シディア様の股間だった。
「……それ、舐めてもいいですか?」
「それというのは?」
わかっているくせに、意地悪な質問だ。
首を傾げてこちらを見るシディア様は、おれを試すような表情をしている。
「その、シディア様の…………おちん、ちん……」
なんて呼べばいいか散々迷ったあげく、おれの口から出た単語はその五文字だった。
――だって、それ以外に思い浮かばなかったんだよ!!
途中でこれは違うって気づいたけど、止められなかった。でもほとんど消えそうな声だったし、もしかしたら聞こえていなかったかもしれない。
その一縷の望みにかけて、シディア様の反応を窺う。
「――お前は時々、とんでもないことを口にするな」
そんなことをする必要はなかった。
身体を横に避けたシディア様に、腕を強く掴んで引っ張り起こされたかと思えば、そのまま四つん這いの姿勢にされる。
そんなおれの前に、シディア様が膝立ちになった。
顔を上げると、目線と同じ高さにわずかに反応したシディア様の昂りがある。手で触れたことは何度かあるけど、こんなに間近で見るのは初めてだった。
「ほら、舐めろ」
言い終わるのとほぼ同時かそれよりも先に、おれはシディア様の昂りに舌を這わせていた。
――あ……だめだ。これ……ぞくぞくする。
まだ先端を少し舐めただけなのに。
でも、これがキスよりもやばい行為だっていうのは直感でわかる。
身体が震えてしまうのはキスのときと変わらないけど、四つん這いでいるせいか、腰がいやらしく前後にへこへこ動いてしまった。
――それに、お腹の奥が熱くて重い……何これ。
張り詰めた中心に集まる熱とは別に、お腹の奥に重く響く熱いものが溜まり始めていた。
ずくずくとした脈動が、疼きのようにも感じられる。
こんな感覚は初めてだった。
「休まず奉仕しろ」
そう言われて、舌の動きが止まっていたことに気づく。
すぐに昂りへの愛撫を再開したけど、おれの技量では、舌だけでシディア様を満足させるのは難しそうだった。
「もう終わりか?」
シディア様の問いに、ふるふると首を横に振る。
勇気を出して口を大きく開くと、半勃ちになったシディア様の昂りを勢いよく頬張った。
「んん……っ」
まだ半分くらいしか入ってないのに、口の中はいっぱいになってしまう。
やっぱり、これも気合いだけじゃどうにもならない。
――どう動けばいいのかも、わかんないし。
やり方が全くわからなかった。
歯が当たらないように慎重に咥えたまま、おれは助けを求める気持ちでシディア様を顔を見上げる。
欲に濡れた猛獣のような鋭い眼差しを向けられていたことに気づいて、軽くイッたみたいに下腹部をひくひく痙攣させてしまった。
目の前に白い光が明滅している。
――視線だけで、そんな。
身体の思いがけない反応に放心していたら、乱暴な手つきで頭を両側から掴まれた。
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