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108 同じだけど、違う二人
しおりを挟むシディア様とガラディアーク様。
二人が同一人物だってわかったときは、本当に訳がわからなくなるくらい驚いた。だけどシディア様に、『お前は変わらずシディアと呼べ』って言ってもらってからは、そこまで意識していなかった。
これまでガラディアーク様相手にやらかしちゃったことを全部、シディア様に知られているのは複雑だったけど……実際はシディア様相手にやらかしていたってことだし。
でも、おれが気にしたのはそれくらいだ。
正体を知ってからのガラディアーク様は、見た目が違うだけのシディア様だって認識していた。
――でもそれは、少し違ってたのかもしれない。
「何を考えている?」
「……ガラディアーク様のことです」
シディア様じゃなくガラディアーク様と呼んだのは、なんとなくそうしなきゃいけない気がしたからだ。その感覚は間違いじゃなかったのか、おれの答えを聞いたガラディアーク様の口角が上がった。
「バン、そこに立て」
ガラディアーク様に命令されると身体が勝手に動く。操られているような感覚じゃなくて、この人に従いたいという気持ちに身体が突き動かされる感覚だ。
長椅子に座るガラディアーク様の前に立つ。
ガラディアーク様が座っているだけで、長椅子は玉座に見えた。
「お前は、どうも我のこの姿に弱いようだな」
そのとおりなので、こくんと頷く。
ガラディアーク様の姿を目に映すだけで、脳が熱に溶かされたみたいになる。心臓は跳ねすぎて痛いくらいだし、呼吸もどんどん荒くなっていく。
全身が渇きを訴えているけど、今欲しいのは水じゃなく――ガラディアーク様だった。
「ガラディアーク様が、欲しいです」
「ああ――来い」
差し伸べられた手を取った瞬間、ぐっと強く引き寄せられる。
そのまま、ガラディアーク様の太腿の上に跨がされた。
「ん……っ」
内腿の素肌に外殻が擦れる。
外殻の表面は見た目より滑らかだけど、それでも素肌と触れ合うよりも刺激が強い。やみつきになってしまいそうな感覚でもあるけど。
「腰を揺らして、勝手に気持ちよくなるな」
「ぁ……申し訳ございません」
無意識に内腿を擦りつけてしまっていた。
慌てて謝罪すると、頬を指の背で優しく撫でられる。
「そんなに畏まるな。これは愛を確かめ合う行為だろう? お前の愛を我にも示せ」
「愛……ふ、ぁっ」
お尻の中の外殻がまた少し大きくなった。
びくっと震えた腰をガラディアーク様に撫でられて、その刺激だけで達してしまいそうになる。
「今からそんな反応で、最後まで持つか心配だな」
「あ、あ……だめ、イきそう……っ」
「ならば勝手に達さぬよう、戒めておくか」
パキッ、と高い音が響く。音のほうを見ると、ガラディアーク様が小指の先の外殻を歯で割っているところだった。
その外殻の欠片を指輪よりも少し大きいリング型に変形させると、それをおれの中心へと近づける。
「あ、待って……それって」
腰を引く間もなかった。
勃っている中心にリングが通される。
するっと抵抗なく入るほど大きなリングだったのに、中心の根元に到達した瞬間、きゅっとおれの太さに合うように小さくなった。
「んん……ッ」
締めつけるほどじゃないけど圧迫感がある。
初めてされる行為に戸惑いと緊張を隠せないでいると、ふっと吐息で笑ったガラディアーク様に腰を引き寄せられた。
「怖がらずとも、長く愛し合うためのものだ。我が満足するまで付き合ってもらうぞ」
「ん…………っ」
そう言って口づけられた。
――あ……キスの仕方はシディア様と一緒だ。
同じ人なんだから当たり前なんだけど。
歯列のなぞり方も、上顎のくすぐり方も、舌の絡め方も全部同じで安心する。気持ちよくて頭がぼーっとしてきた。
舌にある所有の刺青にガラディアーク様の唾液が触れると、含まれた魔力に反応して、びりびりと甘い痺れが背筋を走る。
いつもならこれだけでも軽くイってしまうくらいだったけど、根元がリングで戒められているおかげで、びくびくと腰が震えただけで済んだ。
――あ……でもこれイくより、やばいかも。
出せない分、気持ちよさがお腹の奥に溜まっていく感じがする。これがずっと続いたら、おれ……本当におかしくなっちゃうかも。
「……ガラディアーク様」
「なんだ?」
「おれ、ちょっと怖いです……訳がわからなくなりそうで」
「ならば、怖がる暇もないくらい愛してやろう」
「ひぁ……や、ぁッ」
またナカのものが大きくなった。
驚いた拍子に、ガラディアーク様の首にしがみついてしまう。
「あ、あ……ごめんなさ……んんッ」
「そのままでいい。初めてお前から触れてきたときもこうだったな」
「え…………あっ」
医務室でのことを言われているのだと、少し遅れて気づいた。
そういえばあのときも、ガラディアーク様はおれがしがみつくことを許してくれたんだっけ。
「ん……ふ、ぁ」
そんなに前のことじゃないのに懐かしく感じる。
あのときは、まさかガラディアーク様とこんなことをする関係になるとは思っていなかったけど。
そんな懐かしい記憶に浸っているあいだにも、じわじわと奥を広げられている感覚がする。
「これ、どこまで大きく……っ」
「我のものを咥えられるようになるまでだな。ほら、力を抜け」
そう言われても、力の抜き方がわからない。
どうしていいかわからず、ふるふると首を横に振る。
――っていうか、ガラディアーク様のものって、シディア様のと大きさ違うの?
そんな疑問が頭に浮かんだけど、内側から絶えず刺激を与えられているせいで、尋ねる余裕なんてない。
「仕方ないな――バン、顔を上げろ」
ずっと力を抜けないでいると、優しい口調でそう命令された。
しがみついて首元に埋めていた顔を上げて、視線をガラディアーク様の顔のほうに向ける。
っていっても相変わらず、ご尊顔の直視は数秒しか持たないんだけど。
「こら、目を逸らすな」
「だ、だって……」
「バン」
諭すように名前を呼ばれて、しぶしぶ視線を戻した。
外殻の仮面越しだから実際にガラディアーク様の目を直接は見れないけど、このあたりだろうという位置に目を合わせる。
「――ッ!! な、に……?」
頭の中心に、びりっと鋭い痺れが走った。
強張っていた身体から一気に力が抜ける。心も身体もあたたかい感覚に包まれた。
「何、これ……気持ちいい」
「お前はそう感じるのか。我への忠誠に偽りはなかったということだな」
偽りがあったら、こんなふうにはならないのかな。
すごく気持ちよくて、ガラディアーク様のことしか考えられない。ガラディアーク様にたくさん触れたくてたまらなくなる。
吸い寄せられるように、自分から唇を重ねていた。
触れるだけのキスを何度も落とす。
「身体の緊張を解いたら、心までほぐれたようだな」
「あ、あ……ガラディアーク様」
「好きに触れるといい。お前に求められるのは、たまらない気持ちになるからな」
ガラディアーク様の幸せそうな声に、おれまで幸せな気持ちになる。
今度は頬に口づけた。
ほんのりと発光するガラディアーク様の美しく繊細な刺青に見惚れながら、顔の上半分を覆い隠す仮面に指先を近づける。
ここはどこよりも神聖な気がしてずっと触れるのを躊躇っていたけど、今は気持ちがふわふわしているおかげか抵抗なく触れられた。
「すごく綺麗で、かっこいい」
形を確認するように指を滑らせながら、ここにもキスを落としていく。
「お前は、それにも難なく触れられるのだな」
「どういう意味ですか……?」
「我の外殻は魔神獣の力が濃すぎるからな。常の怪人は視線を向けるのも躊躇う。お前がすぐに目を逸らすのも、そういう理由かと思っていたが」
「そうなんですか?」
確かに強い魔力圧は感じるけど、おれが今まで直視を避けてきた理由はそれじゃない。
「ではなぜ、見ようとしなかったのだ?」
「それ、は……」
仮面の下だから見えないのに、ガラディアーク様が獲物を見るような目でおれを見たのがわかった。
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