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110 壊れるくらい愛してほしい
しおりを挟むしばらく抱かれているうちに、苦痛は感じなくなっていた。
快感と多幸感が頭の中を埋め尽くしていたから、それ以外の感覚が入ってこられなかったのかもしれない。
動いてないときもずっと気持ちよくて、出てないのにイき続けている感じだった。
叫んでいるのと変わらなかった喘ぎも、いつの間にか甘えるみたいな声になっていて……気づいたときは少し恥ずかしかったけど、ガラディアーク様に『もっと鳴け』って後ろから囁かれたら、ぞくぞくして止められなかった。
身体も、最初は硬直と弛緩を繰り返すみたいにびくびくしっぱなしだったけど、途中からはどうやっても力が入らなくて、ただただ与えられる快感にふわふわしていた。
「慣れたようだな、バン」
「ふ、ぁ……はい。気持ちいい、です……ガラディアークさま」
内襞を鱗で擦られるのも、先端にあるくびれで奥をぐぽぐぽされるのも、頭が真っ白になるくらい気持ちいい。『いい』と言葉にすると、もっと気持ちよくなれるし、ガラディアーク様も嬉しそうなので、積極的に口に出すようにしていた。
「ん、んん――……ッ」
「出さずにイくのも上手くなったな。ナカが痙攣して、搾り取られそうだ」
「ガラディアークさまも、イって……奥に、欲しい」
奥に精液を注がれるたび、自分がガラディアーク様に染められているのが実感できる。
咬傷も、目も、外殻も、刺青も――おれの身体には、ガラディアーク様のものである証がもうたくさんあるのに、それでも余すところなくガラディアーク様に染め上げてほしかった。
「――身体の向きを変えるか。顔を見て繋がりたい」
「ん…………ぅあッ」
頷いたら、奥まで嵌っていた昂りをずるりと一気に引き抜かれた。
うつ伏せのまま背を反らせて震えていると、後ろから身体を抱き起こされる。位置を入れ替えるように、さっきまでおれが顔を埋めていた枕を背もたれに座ったガラディアーク様の脚の上に座らされた。
対面座位に近い体勢だ。
「……これが、入ってたんですか?」
真っ先におれの視線を釘づけにしたのは、ガラディアーク様の股間にそそり立っている昂りだった。
表面がてらりと光を反射しているのは、おれが分泌した魔力液をたっぷりと纏っているせいだ。
「触れて構わんぞ」
お許しが出たので、そっと手を近づける。
黒い鱗状の外殻に覆われたそれは大きさだけじゃなく、形状も普通の昂りとは違っていた。
先のほうが細くて、根元にいくほど太くなる。先端も他の部分と比べれば細いけど、おれの中心二本分くらいの太さがあった。
表面は全体的にぼこぼこしている。
頭の部分には三段のくびれがあって、ここが奥に嵌っていたのだとわかった。ぐぽぐぽされる感覚を思い出して、きゅんと奥が疼く。
竿の部分にはねじれた凹凸がいくつもあった。内襞を巻き込むように刺激してきたのはこれだろう。
「外殻越しでも、ガラディアーク様の感覚は鈍くならないんですか?」
「我の外殻は皮膚とそう大きく変わらんからな。それに感覚は調整できる。生身で繋がるのとまた違う感覚ではあるが――お前はどうなんだ? シディアと我、どちらの姿で繋がるのが好みだ?」
「そんなの、選べるわけないじゃないですか……どっちも好きじゃだめですか?」
窺うようにガラディアーク様の顔を見る。
目元は相変わらず仮面で隠れてしまっていて見えないけど、口元の角度から機嫌のよさが伝わってきた。
「これが気に入ったのなら、次は自分で入れてみるか?」
「え……それは」
「腰は支えてやろう――跨がれ」
中腰にさせられる。
身体を少し前にずらすと、ゆるんだ後孔の入り口に昂りの先端が触れた。ぬちゅっ、とまるで口づけるように後孔が吸いつく。
「ん……、っ」
「ゆっくり腰を下ろすんだ。できるな?」
ついさっきまでおれのナカにいたものなのに、入れられるのと入れるのとでは感覚がまるで違っていた。
うまく挿入するためには後孔に集中しなきゃいけなくて、そうするとどうしても押し広げられる感覚から気を散らせない。
「息を詰めるな」
「あ、あ……でも」
「焦らすな――早く、お前の中に入れてくれ」
耳元で囁かれた声に、ぞくぞくっと背筋に甘い痺れが駆け抜けた。
「く、ぁああ――っ」
脚から力が抜ける。
そのせいで腰の位置がぐっと下がり、ガラディアーク様の昂りを三分の一ほど咥え込んでしまった。
「ん、ンぁ……あっ」
その衝撃でイってしまった。
根元をリングで戒められているのに、張り詰めた中心がとろりと少量の白濁をこぼしている。ガラディアーク様はそれを指先で掬うと、長い舌でぺろりと舐めとった。
「ほら、腰を止めるな。バン」
「や……でも、今、イったばかりで――」
「今のは達したうちに入らんだろう? イくという感覚を忘れたか? ならば、そろそろこの戒めを解いてやろう」
「あ、あ……だめ。今、それを外しちゃ……っ」
必死で止めたのに、無情にも根元のリングは外された。そのうえ竿の部分を手で刺激され、すぐに限界が訪れる。
「ガラディアーク様、キちゃう……なんか、出ちゃうから」
「我慢など必要ない――バン、イけ」
「ひ、やぁああ――ッ!!」
ずっと堰き止められていた精が勢いよく噴き出す。
どれだけ吐き出しても終わらない。絶頂からなかなか降りられなかった。
「や、ぁあッ、止まんな……っ!」
おれの白濁が、ガラディアーク様の外殻を汚す。
麗しい闇色の鎧に吐き出した白が飛び散っていく光景は、背徳的すぎて見ていられなかった。
「ちゃんと見ろ、バン」
「や、あ……あぁ」
「泣くほどよかったのか? 我もそろそろ、お前を味わいたいのだが」
ちろりと覗いた赤い舌先に、ぎゅんとお腹の奥が反応する。
でも、今もまだイき続けていて敏感な身体にガラディアーク様を受け入れるなんて無理だった。快感にびくびくと下腹部を痙攣させながら、おれはふるふると首を横に振る。
「だ、だめ……今、入れられたらおれ、絶対に、おかしくなる」
「――そうか」
頷いてくれたのに――ガラディアーク様の言葉と行動は伴っていなかった。
尖った牙が見えるくらい、口を開いて笑っている。
おれの腰を掴んでいた手をぐっと下に向かって引くと、三分の二ほど残っていた昂りを一気に挿入した。
「いァあああああ――ッ!!」
強すぎる衝撃と快感が重なって、頭の奥で何かがぱんっと弾ける。髪を振り乱して叫んでいた。
理性の糸は一瞬で消え去って、言葉を探す余裕なんてない。腰から頭へ、雷に撃たれたような痺れが駆け抜けるたび、考える力が剥ぎ取られていくみたいだった。
「~~~~ッ!!」
二度目のおれの叫びは、重ねられた唇からガラディアーク様の咥内へと吸い込まれていった。
涙をぼろぼろこぼしながら泣き叫ぶ。
そんな状態なのに、心のどこかで『もっと欲しい』と願ってしまっている自分がいることに気づいてしまった。
ガラディアーク様に、乱暴に弄ばれるのが嬉しい。
自分をぐちゃぐちゃに壊されていくのが気持ちいい。
愛してやまないガラディアーク様の腕の中で、おれは快楽の闇へ引きずり込まれ、完全におかしくなっていた。
◆◆◆
「あ……れ?」
目が覚めるのとも少し違う。
ちゃんと起きていたはずなのに、急に意識がはっきりしたような不思議な感覚だった。
「戻ったのか? バン」
「シディア様……? おれ……どうしたんだっけ?」
直前の記憶がすぐには思い出せなかった。
長椅子に腰掛けるシディア様に抱っこされているのはわかるけど、自分がいる場所もわからなくて、きょろきょろと辺りを見回す。
「ここ、シディア様の部屋? ……あっ、そうだ。おれ、この部屋でシディア様とガラディアーク様に抱かれて、それで――」
バラバラだった記憶が一つに繋がっていく。
意識がぼんやりしていたあいだのことも思い出して、全身がかぁっと熱くなった。
「!! おれ、変になってましたね!? それも、丸一日ずっと」
ガラディアーク様に抱かれてから、もう丸一日が経過していた。
「そうだな。無茶な抱き方をしたのは俺だが、あんな壊れ方をするとは思わなかった。お前は、子供のように甘えるんだな」
「っ! すみません!!」
「なぜ謝る。甘えては、俺を欲しがって、可愛かったというのに――あのあとにも、たくさん繋がったことは覚えているのか?」
全部覚えていた。
ガラディアーク様にめちゃくちゃに抱かれたせいで壊れたおれは、子供みたいにシディア様に甘えてしまった。
舌足らずにシディア様の名前を呼んで、わがままを言って、欲しがって――えっちなこともいっぱいした。
「きちんと覚えている顔だな」
「……はい」
ううーっと唸りながら、シディア様の胸元に顔を埋める。ぐりぐりと顔を押しつけてから、はっと顔を上げた。
「すみません。シディア様に甘えてしまう癖がついちゃったみたいです……」
「思う存分、甘えるといい。俺は大歓迎だ」
「……じゃあ、このままくっついてていいですか?」
シディア様は返事の代わりに、おれを優しく抱き寄せてくれる。
髪、額、目元、頬――と唇を柔らかく落とした。
幸せな時間すぎる。
ぼーっとシディア様の顔を眺めていたおれは、ふと気になったことを尋ねてみた。
「……シディア様、これから忙しくなるんじゃないですか?」
「ああ、そうだな。〈地下〉はホニベラに一任すると決まっているが、派手に壊してしまったからな。再建にあまり時間はかけたくないが、簡単ではないだろう」
「マッド・ビィに洗脳されていた人たちは、どうなるんですか?」
「洗脳が解けるか否かで答えは変わる。あれは毒ではないからな。お前にどうにかできる可能性は低い」
「そう、ですよね」
考えることもやるべきことも山積みのようだった。
これから忙しくなるだろう日々を想像して、少し心細くなる。さっきもしたように、シディア様の胸にぐりぐりと顔を押しつけた。
――シディア様には首領としての務めがあるから、おれにばっかり構っていられないのは当たり前のことなのに。
おれにだって、戦闘員としての務めがある。
ちゃんとわかっているけど、二人の時間が少なくなるのは嫌だった。
「おれにも、手伝わせてくださいね」
「何を言っている」
厳しい口調に聞こえて、おれは慌てて顔を上げた。
おれと目を合わせた眉間に皺を寄せたシディア様は、怒っているというより拗ねたような表情だった。
「お前は我の伴侶だろう。手伝うどころか、隣で支えてもらわねば困る」
「はん、りょ……」
「違うとは言わせんぞ」
「違わないです!!」
手を掴んで鼻息荒めに言い返したら、「……ふっ」とシディア様が押さえきれなかったみたいに笑みをこぼした。
この不器用な笑い方、すごく好きかも。
たまらなく愛おしくて、胸の奥がくすぐったい。
「――もう絶対に、俺から離れるな」
息を奪うみたいに、激しく口づけられた。
離れたいなんて思うわけない。
腕で抱きしめ返すだけじゃ足りなくて、おれは下腹部から生やした触腕を、シディア様の腰にぐるりと強く巻きつけた。
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