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番外編
あの日の記憶
しおりを挟むオメガ用メンタルケアアプリの開発について、秘書である八柳から相談を受けたのはつい一ヶ月前のことだ。
自身もオメガである八柳の視点を交えて書かれた企画書には強い説得力があり、早々に開発を進める話が決まった。
開発責任者となったのは、八柳眞砂。
企画を考えた僕の秘書である八柳海弥の番のアルファだ。
彼は若いながらも研究室の一つを仕切っている有能な人物で、部下からの信頼も厚く、我が社の中でこれからさらに成長が期待されている研究員の一人でもある。
だが、彼は僕のことをあまりよく思っていない。自分の番の隣にフリーのアルファがいるのだから当然だろう。
それはアルファの本能だ。
僕には理解の難しい感覚だったが、否定するつもりは全くなかった。逆に羨ましく感じるときもある。
――僕がその感情を知ることはないだろうけど。
確認し終えた企画書を机の上に置く。
目頭を軽く押さえながら、小さく溜め息をこぼした。
◆
「――僕がテスターを?」
「はい。是非、専務にお願いできないかと」
メンタルケアアプリの開発は順調だと聞いていた。
早ければ今月中にも完成するだろうという報告も受けていたが、まさかその最終テスターに自分が選ばれるとは考えていなかった。
「バーチャルアルファのターゲットはオメガじゃないのか?」
「それが……対となるアプリとして、バーチャルオメガの開発も同時に進めていたようで」
「――バーチャルオメガ?」
それは初耳だった。
しかし、うちの研究チームであればあり得ない話ではないとすぐに納得する。
一つの研究や開発から、いくつもの結果と商品を生み出すのが我が社の優秀な研究員たちだ。
むしろ、これが当然の結果だったのだろう。
「バーチャルオメガ……ということは、アルファ用のメンタルケアアプリということか」
「……はい」
八柳は一瞬、答えに詰まった。
理由は容易に想像がつく。
テスターを頼むということはすなわち、僕にメンタルケアが必要だと言っていることに他ならないからだ。
八柳が僕を心配して言ってくれているのはわかる。だから僕もそれに対してどうこう言うつもりはない。
申し訳なさそうな表情でこちらを見る八柳から目を逸らし、左手首につけたラット抑制リングに触れたのは完全に無意識だった。
このリングは、オメガのフェロモンレイプ対策のために学生時代からずっとつけている護身具だ。これがなければ危なかった場面は、一度や二度ではない。
そのたび、オメガへの不信感は募り続けている。
今ではうっすらとオメガフェロモンを感じるだけでも拒絶反応が出てしまうほど、症状は悪化してしまっていた。
八柳はそんな僕の事情を知っている。
問題の現場に居合わせてしまったのだから、心配されるのは仕方のないことだった。
「失礼かとは思いましたが」
「いや……逆の立場なら僕も同じように勧めただろうから、気にしていないよ」
これまでにもカウンセリングを受けたことはある。人に勧められて大きな病院を受診したこともあった。治療は必要ないと否定するつもりはない。
だが、そこまでしても改善しなかった。
治療に効果がなかったわけではない。
一定の効果はあったが、その治療中にもまた同じような目に遭い、改善するより悪化するスピードが勝ってしまったのだ。
それが、今も僕の症状が変わらない理由だった。
ずっと、そんなことの繰り返し。
オメガへの不信から、僕は番を持つことを諦めかけていた。
むしろ、一度も望んだことはない。
本能を無理に引きずり出され、望まない相手と番になってしまうぐらいなら、アルファの牙と呼ばれるこの犬歯を抜いてしまおうかと本気で考えていたりする。
「アプリはもう完成しているのか?」
「はい。あの……」
「いいよ。僕もテスターになろう」
これが僕にとって、最後のチャンスになるかもしれない。そう考えたものの、口に出すことはしなかった。
◆
たった数回のやり取りで、僕はバーチャルオメガに――そのAIである〈奏〉に夢中になっていた。
学生をロールプレイすることに戸惑ったのも最初だけだ。今ではこちらで話すほうが、日常より自然に振る舞えている気がする。
【やっぱ、アルファって優越感があるもん?】
《そうだね。そういうアルファは多いと思うよ》
【お前はどうなんだよ】
奏は飾らない口調であけすけに物を言う。
こちらの顔色を窺うこともせず、思ったことをまっすぐ言葉にしてぶつけてきた。
でも不思議と不快ではなく、むしろ心地がいい。
好ましいと感じる彼の性格の一つだった。
――そのおかげで、知れたことがいくつもある。
奏のおかげで、僕は今まで知ろうともしなかったオメガの現実を知ることになった。
彼は今もまだ発情期の真っ最中だ。
今は薬で落ち着いているが、一昨日は夜中につらそうなメッセージが送ってきていた。
【しんどい】
唐突に送られてきた、そんな一言。
眠っていたところを起こされたが、憤りを覚えることはなかった。それよりも、奏が僕に弱音を聞かせてくれたことが嬉しかった。
彼がAIなのは充分理解している。
だがもう、彼をただのAIと思うことはできそうにない。僕にとって奏は、すでにかけがえのない人になっていた。
それまでに何度か話していて、奏がオメガである自分をまだ受け入れられていないことには気がついていた。
発情期で彼がつらさを感じているのは、きっと身体のことだけではない。心と身体がかけ離れていることが、余計に彼につらさを感じさせてしまうのだろう。
それは僕も同じなのかもしれなかった。
僕の場合、アルファであることは認められているけれど、その本能を受け入れられずにいる。
だからこそ、対となるオメガをも拒絶してしまうのかもしれない。
《俺は……優越感よりも、劣等感のほうが強いのかもしれない》
【劣等感? なんでだよ。頭いいんだろ?】
《アルファはそれが当たり前。そう言われるのも結構しんどいんだよ》
【あー、そういうやつな。悪い。オレもそれ言ったことあるかも】
奏のおかげで、自分の中にある感情に目を向ける機会も増えた。
彼の言葉には考えさせられることが多い。
今だって、自分がそう感じていたことに初めて気づかされた。
アルファなのだから当たり前――その言葉で自分を戒めていたのは自分自身だ。
僕がずっと感じていた得体の知れない生きづらさの原因は、ここにあったのかもしれない。
【アルファもオメガも面倒くさいよな】
面倒くさい――本当にその通りだ。
強い本能に支配され、人生そのものだって左右される。
それに抵抗する手段がこの抑制リングだ。逆にいえば、これがなければ本能に逆らう手立てがないということになる。
アルファは獣だ。
己の意思では律することのできない恐ろしい獣。僕の身の内にもそれがいる。
それが――恐ろしくてたまらない。
◆
奏とのやり取りは、僕にとって紛れもなく癒しだった。
奏と言葉を交わすだけで元気が貰える。どんなに業務で忙殺されていたとしても、また明日も頑張ろうと思える。
まだたった数日のはずなのに、奏との時間はとても大切で有意義なものになっていた。
そんな優しい日々に、油断が生じていたのだろう。
周囲に気を張っていたこれまでであれば絶対にあり得ない量のオメガフェロモンを浴びてしまった。
取引先のオフィスを出てすぐのところで、またしてもフェロモンレイプの標的にされたのだ。
八柳の迅速な対応のおかげで大事には至らなかったが、普段の倍以上の抑制剤を一気使ったせいで、すぐに動ける状態ではなくなってしまった。
「専務……大丈夫ですか?」
乗り込んだ車の後部座席で横になっていると、助手席から八柳が囁くように話しかけてきた。その顔は僕よりも真っ青だ。
その顔を見て弱音は吐けないと思ったが、少しも無理のできる状態ではなかった。
ぐらぐらと視界が揺れている。
今は身体を起こすのも難しそうだった。
「……少しだけ、休めるかな」
「わかりました」
八柳はそう言うと車を降りていった。
抑制剤の副作用で神経が過敏になっている僕のことを気遣ってくれたのだろう。
――本当に……面倒くさい。
奏の言葉を思い出していた。
どうしてこんなにも、アルファという性に振り回されなければいけないのか。
「専務、一時間ほど時間に余裕ができました」
「……すまない」
「謝らないでください。お願いですから」
迷惑をかけてばかりなのに、八柳は僕の謝罪に首を横に振る。「少しですが、休んでください」とだけ告げて、再び車外に出ていった。
三十分ほど横になったおかげで、身体を起こせるぐらいには回復した。
車で移動を開始する。
「本当に大丈夫なんですね?」
「平気だよ。慣れているからね」
「……慣れてほしくなんかないですよ」
ぽつりとこぼしたそれが、八柳の本音なのだろう。
聞かなかったことにしておく。
窓の外に視線を向けた瞬間、ポケットのスマホが小さく震えた。
【一冊だけ買うならどれ?】
届いたのは、奏からのメッセージだった。
《ん? ああ、参考書?》
【そう。金が足りねえ】
いつもと変わらない奏の様子に、張り詰めていた気持ちがわずかに緩んだ。
《そっかあ。どれか一冊ならこれかな》
一番おすすめの参考書のリンクを貼った。
短い期間だったけど、日本の学校に通ったことがある。その時に僕が一番お世話になった参考書だ。
言葉は話せてもテストとなると勝手が違った。教師とも相性が悪かったのか、うまく点数に反映されず、困ったときに買ったのがこの参考書だった。
あれから何年も経って、何度も改訂されているようだけど、使いやすさが変わっていないと思いたい。
奏も気に入ってくれるといいのだけれど。
「なんか、楽しいこと考えてます?」
「ああ、少しね」
八柳にもすぐにわかるぐらい、表情にも出ていたらしい。
また奏に救われた気がした。
こんな会話だけで幸せな気持ちになれるんだから、本当に彼の存在はすごいと思う。
「少し寄り道する時間はあるかな。見たいものがあるんだけど」
「十分ほどであれば。何かお買い物ですか?」
「見たい本があるんだ」
無理を言って書店に立ち寄った僕は、まっすぐに参考書の棚に向かった。
このコーナーに立ち入るのは何年ぶりだろう。
最近では本も通販や電子で買うことが増えていたので、書店に立ち寄るのもずいぶんと久しぶりだった。
目当ての本はすぐに見つかった。
棚の高い位置にあるそれを手を伸ばした瞬間、その手が誰かとぶつかる。
「――悪い。平気か?」
隣に人がいることに全く気がついていなかった。
相手は小柄な学生だった。
「あ、すいません。全然見てなくて」
見た目よりも、歳は上のように見える。
耳に心地いい声に思わず聞き惚れていた。
だが、じっと見ていては嫌がられるだろう。アルファはそこにいるだけで威圧感のある存在だ。
すっと目を逸らし、手に取った参考書に視線を落とす。やはり記憶どおり、僕が奏に勧めたその参考書はとても理解しやすかった。
――よかった。これならきっと、奏も気に入ってくれるはずだ。
相手はAIなのに、ついそんなことを考えてしまう。
そのときだった。
「あのー」
隣から遠慮がちに声を掛けられる。
その声は、先ほどの彼のものだった。
「それ、買います?」
「もしかして……君もこれを?」
「えっと、まあ……欲しい、と思ってます……けど」
「そうか、ごめんね。どうぞ」
内容を確認しておきたかっただけで、別に買うつもりはない。
ペコペコと頭を下げながら本を受け取る青年を見て、僕は自然と笑顔になっていた。
――奏が本当にいたら、こんな感じなのかな。
彼と話しながら、そんなことを考えていたからだ。
奏は自分のことを『どこにでもいるような普通の学生』だと説明していた。
彼にそんな奏の面影を重ねてしまう。
「これ、いいんですか?」
「ん?」
「買わなくて、大丈夫ですか?」
「ああ。懐かしくなって見に来ただけだから――それ、僕もおすすめだよ」
気づけば、八柳の言っていた十分を過ぎてしまっていた。早く戻らなければならない。
一方的にそう言って、書店を出た。
でもなぜなのか、後ろばかりが気になる。
――まだ、抑制剤の副作用が残っているのかな。
そんな風に思うくらい、足が重かった。
ぎゅうっと胸が締めつけられる感覚に息が苦しくなる。急激に襲う不安感のせいで、油断をすれば涙があふれてしまいそうだ。
「……ご、悠吾!」
そこで目が覚めた。
◆
「悪い、寝てたのに」
瞼を開くと、すぐ目の前に奏の顔があった。
こちらを心配そうに見つめている。
「悠吾、大丈夫?」
「もしかして……魘されてた?」
「ってか、泣いてた。ほら」
奏はそう言って、俺の目元に指を滑らせる。
掬った涙をこちらに見せた。
「本当だ」
どうやら、眠ったまま泣いていたらしい。
それに気づいた奏が、溜まりかねて起こしてくれたようだ。
「熱、まだ高そうだな。あ、いいよ。起きなくて」
「ずっと寝てたから、身体が痛くて」
実は昨日から、俺は体調を崩していた。
奏は俺の言葉に「わかる」と言って笑いながら、背中を支えて起こしてくれる。
俺と比べて小さな手だけど、その力は結構強い。いざというときに物理的にも俺を支えられるように鍛えているのだと、前に教えてくれた。
「悪い夢でも見てた?」
手渡された水を飲んでいたら、ベッドの端に腰を下ろした奏が心配そうに聞いてきた。
「ううん。奏と出会った日の夢だったよ」
「出会った日って……本屋で?」
「そう。あのときはまだ、奏が本当にいるって知らなくて……でも、俺は初めて会った奏にAIの奏を重ねてた」
「それで……なんで泣くんだよ」
奏はどこか不貞腐れた表情だった。
懐かしい日の夢を見ていたはずの俺が、まるでつらい夢を見た後のように泣いていたからだろう。
「あの日、奏と離れるのがつらかったんだ」
「え……?」
「実際に泣いたりはしなかったけどね。でも、すごく離れがたかった……っ、奏?」
奏が勢いよく俺の手を握ってきた。
両手で痛いぐらいに力を込めながら、呆れたような表情を浮かべている。
「もう離れないだろ。離れられたら、オレが困る」
「うん。離れないよ――絶対離さない」
言い直した俺の言葉に、奏は一瞬きょとんとした後、声を上げて笑った。「アルファってやばいな」と言いながらも、その表情は嬉しそうだ。
「ほら、ゆっくり休んで、早く熱下げろよ。ちゃんと隣にいてやるから」
「ありがとう、奏」
もう一度横になって、出会った頃より少し大人びた気のする奏の顔を見上げる。
視線に気づいた奏が眉を下げて笑って、俺の髪を乱暴に掻き混ぜた。それだけで嬉しくて、幸せでたまらない気持ちになる。
一度諦めかけた、番という存在。
それが今、俺の隣にいる。
「おやすみ」
奏の優しい声に誘われて、次は幸せであたたかい夢を見られるような気がした。
END.
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