35 / 54
35.なるほど、チェックメイトじゃないの
しおりを挟む
「遅いよ」
なんて、何故か開口一番に妹様から文句を頂戴して困惑する。
「……えっと」
こうも大所帯に待ち構えられて、むしろ真っ直ぐ飛び込んでいく方が不用心に過ぎるとは思うのだけど。
「そうですね、」三回、肩をノックされた。「一時間半も無駄にしてしまいました」
それが合図と思い出せず動けなかった背後から押しのけられ、ピンを抜くような音にふと横を見れば、放られて宙に浮く手榴弾。
出会い頭にこうも過激な先制攻撃を放つのはもちろんこちら側の参謀で、敵を騙すにはまず味方からという計略だったのか。サインはあれど当たり前のように事前通達はなく、その瞬間、僕は敵と同じくらいの硬度で固まってしまう。
最初に動けたのは皆葉くんだった。鉄球は地面に着く直前に蹴り飛ばされて、柵の向こうへと落ちていく。階下。破裂音。
「流石にもう慣れたって」
と言いつつ、頬が引き攣っている。彼らが最後に浮月さんと手合わせしたのは確か数日前のことだけど、慣れてしまうほどとは延べ数で一体何個の手榴弾を放られたのだろう。
いや、それよりも。
「浮月さん。もしかして今、僕の身の安全を完璧に忘れてた?」
「……星田くんはこの程度で死なないでしょう」
そうは言われても残念ながら、浮月さんが一瞬しまったという目をしたのを僕は見逃さなかった。
「そもそも星田くんがマグライトを活用してくれていたら、間違いもなかったはずですよ」
言われて見渡せば、なるほど暗闇に慣れた彼らの目にはこちらの所持する光量は厳しいものらしく、手をかざしながらの対峙だった。それなら合図だけでなく、事前の告知もして欲しかったなと思いつつ。
でももし浮月さんの作戦が間違いないものだったならこの時点で僕が脱落してたろうし、蹴り飛ばしてくれた皆葉くんへの好感度がまた否応なく上がってしまう。
「お兄ちゃん、ちょっと敵の前で油断しすぎじゃない?」
照らし出された人影大の砂音が不機嫌な声をあげて、僕はライトの向きを下げる。
ついでに見回してみれば確かに現状、僕らは総勢百人弱の人に囲まれていて、かつてない威圧感を覚えなくもないけれど。先に気の抜けるような出迎えの言葉を投げかけてきたのは誰だったか、なんて。
「ここに誘い込まれたっていう自覚ないの」
「それは」「だからどうしたって言うんですか」
何を言うより先に隣から会話の主導権を持っていかれる。
最近このパターン多いなと思いつつ、いやむしろ先例に照らし合せてみれば、今回僕にしてはよくもった方だと思う。結構話せたし。
「逆にあなたたちこそ、追い込まれたという自覚が足りないんじゃないですか」
と、僕のものは彼女のものなジャイアニズム精神を惜しまない浮月さんの反論は、いくらか正しいようにも思える。
むろん先ほどの先制攻撃が防がれた今、参謀の脳裏には作戦のさの字も残っていないだろうけれど、特攻隊長も兼ねる彼女の手にかかれば、手榴弾でなくともナイフの四五本でここにいる人間を数刻と待たず殺し切ることができるだろう。控えめに主張させていただくなら、戦力としてはついでに僕もいる。
しかし対峙する砂音は妙な余裕をその表情に滲ませたまま。
「浮月ちゃんの弱点って何かわかる?」
「ないと思います」
即答だった。
これには僕も少し唖然とする。されどむろん砂音の言葉がただの脅しでないこともわかっていて、浮月さんの側に向かいそうな攻撃を警戒しつつ。
と、一方の砂音は呆れ混じりなため息ののち視線を動かし。何故か僕へ。
「じゃあ、教えてあげるよ」。お兄ちゃん、と。
「……え」
そんな台詞とともに足元をすくわれたのは僕の方。話が違うと口にするより先に何とか受け身が取れたのも束の間、足首を掴んだ顔も見えない誰かがそのまま僕を人いきれの内側へと引きずり込んでいく。
手元を離れて転がるマグライト。その光に慣れきっていた僕の視界は、蝋燭が吹き消されたような黒の津波に飲み込まれる。
加えて、足元は覚束ないまま暗闇にも目が慣れていたらしき複数人の手で、半ば担ぎ上げられるように宙に浮く。この体勢で僕がどんな馬鹿力で足掻こうとも、人骨格の手足可動範囲なんて大したことはない。唯一、単独で人を殺せる関節といえば握力で、僕は条件反射。手近な何人かの頭骨や手首を握りつぶす。悲鳴が上がりしゃがみ込んだらしい彼らを、新たな人員が容赦なく踏み潰して僕の足首を掴もうと腕を伸ばす。
死を恐れない群衆、なんて陳腐な表現が頭をよぎる。
盲目の力任せに拳や踵を誰かの頭上に振り下ろすけど、付け根の辺りで抑えられれば必然、末端に勢いが乗らない。満員電車の天井付近まで担ぎ上げられたような状態なら尚更で、地に足が着かない分ほぼ空中と同義に上手く体重をかけて相手を殴れず、されるがままだった。
その時。
「星田くん!」、と。
驚愕に身震いする一瞬。
ふいに夜闇を切り裂いた、悲痛そうな声音で悟ってしまう。
どうあっても殺し得ない浮月さんの唯一の弱点は、僕という存在そのものだったのだと。
運良く視界を過ぎった光源の先では浮月さんが羽交い締めにされていて、それでもなお僕の方へと駆け寄ろうと、もがいていた。冷静さを失った彼女は男子生徒程度の腕力でも取り押さえられてしまっていて、違うよ浮月さんと僕は叫びたかった。
口の中に誰かの指が突っ込まれて、鬱陶しくて怒り任せに噛みちぎる。悲鳴。血の味に混じって、もう誰の声もわからない。浮月さんの姿だってすぐに見えなくなる。人山が頭上に来てようやく視野の横転に気付き、転がされるように何処かへと運ばれているのだと知る。
「浮月さん……っ、浮月さん!」
返事はない。誰かの怒号。すすり泣き。
僕はただひたすら、浮月さんに伝えたかった。
僕なんか。足手まといにしかなれない僕なんか、見捨ててしまえと。
叫び出したいほどの衝動をすべて藻掻き逃れることに費やしながら。頭だけはどこまでも冷え切ったままに浮月さんの逃亡を祈り続ける。
子どものように。
何が『普通部』の身内だ、くだらない。重荷でしかない他人なんて背負うだけ無駄だ。
『生き残る』ことが『普通部』の本義なら、この瞬間の浮月さんの行動なんて決まりきっている。馬鹿でもわかる。どうしようもなく馬鹿な僕でもわかる。
僕ら『異常』は結局、寄り添うことなど到底できるはずはなかったのだと。きっといつかは殺し合う。見捨てる。踏み台にする。裏切る。
だから今。君は愚かな同胞など振り切って、自らが信じる思想のために逃げるべきなのだと。
けれど頭の片隅ではそれをわかっているから、悔しさに僕の唇は噛みちぎられて血を流す。
きっと彼女は僕の解放を条件とするなら、今すぐにでも抵抗をやめるのだろう。
それはたった一瞬で。そう確信してしまうほどの声だった。
「彼を、離して……やめて!」
かろうじてそんな言葉が聞こえたときにはもう、僕の身体は重力に抗えるだけの支えを失っていた。いつの間にか夜闇の空中で、即座に屋上のコンクリートで殴られると覚悟した冷たくなるばかりの背中を、嫌に間延びした一瞬の真ん中で風が永遠に撫で続ける。全身の骨が砕けたかと思うほどの衝撃とともに地面に叩きつけられてようやく。
自身が屋上から落とされたのだと知る。
「かはっ……!」
されど吐いた血量は、割れたタイルに飛び散る数滴のみ。思ったより大したダメージではなく、だてに人外やっていないんだなと実感する一瞬。丈夫に産んでくれた母親と低予算を反映した学び舎の階数に感謝しつつ寝返り、タイルから頬を引き剥がそうとした僕の背中に。
六〇リットルの肉塊が落ち砕け、視界が暗転。骨棒が突き刺さる。
「……ぐっ!」
今のは効いた。狙ってもろに膝の皿で心臓を打ち抜かれた感覚があった。重みからするに恐らく落ちてきたのは生徒のうちの誰かで、すでに死に体のその肉袋を振り落とそうと夜空を見上げた僕は。
次から次へと屋上から降ってくる生徒を見て、流石に言葉を失う。
「……は」
なるほど、チェックメイトじゃないの。
敗因を探ってみれば何の事はなく、先の屋上の場面。少なくとも僕は敵前で油断するべきではなかった。
否応なく自覚させられる。どんなに普段強がって、斜に構えて、饒舌を自称していても。
一皮剥けば、僕らはこんなにも弱い。
片や僕はと言えばこの有様で、浮月さんの方とて殺意はともかく腕力は人並みだし、こちらと引き離された今頃、あっけなく取り押さえられてしまっているのだろう。
改めて顔を掻きむしりたいほどの悔悟を呪詛に吐く。
僕らは群れ合うべきではなかった。僕らは出会うべきではなかった。志半ばに膝を屈するべきだった。誰かに踏みつけにされることに甘んじるべきだった。
なんて。
もちろんこんな愚かしい後悔は先立たず、僕の意識は十四人目の落下を肉布団越しに感じた辺りで、糸が切れるように失われた。
なんて、何故か開口一番に妹様から文句を頂戴して困惑する。
「……えっと」
こうも大所帯に待ち構えられて、むしろ真っ直ぐ飛び込んでいく方が不用心に過ぎるとは思うのだけど。
「そうですね、」三回、肩をノックされた。「一時間半も無駄にしてしまいました」
それが合図と思い出せず動けなかった背後から押しのけられ、ピンを抜くような音にふと横を見れば、放られて宙に浮く手榴弾。
出会い頭にこうも過激な先制攻撃を放つのはもちろんこちら側の参謀で、敵を騙すにはまず味方からという計略だったのか。サインはあれど当たり前のように事前通達はなく、その瞬間、僕は敵と同じくらいの硬度で固まってしまう。
最初に動けたのは皆葉くんだった。鉄球は地面に着く直前に蹴り飛ばされて、柵の向こうへと落ちていく。階下。破裂音。
「流石にもう慣れたって」
と言いつつ、頬が引き攣っている。彼らが最後に浮月さんと手合わせしたのは確か数日前のことだけど、慣れてしまうほどとは延べ数で一体何個の手榴弾を放られたのだろう。
いや、それよりも。
「浮月さん。もしかして今、僕の身の安全を完璧に忘れてた?」
「……星田くんはこの程度で死なないでしょう」
そうは言われても残念ながら、浮月さんが一瞬しまったという目をしたのを僕は見逃さなかった。
「そもそも星田くんがマグライトを活用してくれていたら、間違いもなかったはずですよ」
言われて見渡せば、なるほど暗闇に慣れた彼らの目にはこちらの所持する光量は厳しいものらしく、手をかざしながらの対峙だった。それなら合図だけでなく、事前の告知もして欲しかったなと思いつつ。
でももし浮月さんの作戦が間違いないものだったならこの時点で僕が脱落してたろうし、蹴り飛ばしてくれた皆葉くんへの好感度がまた否応なく上がってしまう。
「お兄ちゃん、ちょっと敵の前で油断しすぎじゃない?」
照らし出された人影大の砂音が不機嫌な声をあげて、僕はライトの向きを下げる。
ついでに見回してみれば確かに現状、僕らは総勢百人弱の人に囲まれていて、かつてない威圧感を覚えなくもないけれど。先に気の抜けるような出迎えの言葉を投げかけてきたのは誰だったか、なんて。
「ここに誘い込まれたっていう自覚ないの」
「それは」「だからどうしたって言うんですか」
何を言うより先に隣から会話の主導権を持っていかれる。
最近このパターン多いなと思いつつ、いやむしろ先例に照らし合せてみれば、今回僕にしてはよくもった方だと思う。結構話せたし。
「逆にあなたたちこそ、追い込まれたという自覚が足りないんじゃないですか」
と、僕のものは彼女のものなジャイアニズム精神を惜しまない浮月さんの反論は、いくらか正しいようにも思える。
むろん先ほどの先制攻撃が防がれた今、参謀の脳裏には作戦のさの字も残っていないだろうけれど、特攻隊長も兼ねる彼女の手にかかれば、手榴弾でなくともナイフの四五本でここにいる人間を数刻と待たず殺し切ることができるだろう。控えめに主張させていただくなら、戦力としてはついでに僕もいる。
しかし対峙する砂音は妙な余裕をその表情に滲ませたまま。
「浮月ちゃんの弱点って何かわかる?」
「ないと思います」
即答だった。
これには僕も少し唖然とする。されどむろん砂音の言葉がただの脅しでないこともわかっていて、浮月さんの側に向かいそうな攻撃を警戒しつつ。
と、一方の砂音は呆れ混じりなため息ののち視線を動かし。何故か僕へ。
「じゃあ、教えてあげるよ」。お兄ちゃん、と。
「……え」
そんな台詞とともに足元をすくわれたのは僕の方。話が違うと口にするより先に何とか受け身が取れたのも束の間、足首を掴んだ顔も見えない誰かがそのまま僕を人いきれの内側へと引きずり込んでいく。
手元を離れて転がるマグライト。その光に慣れきっていた僕の視界は、蝋燭が吹き消されたような黒の津波に飲み込まれる。
加えて、足元は覚束ないまま暗闇にも目が慣れていたらしき複数人の手で、半ば担ぎ上げられるように宙に浮く。この体勢で僕がどんな馬鹿力で足掻こうとも、人骨格の手足可動範囲なんて大したことはない。唯一、単独で人を殺せる関節といえば握力で、僕は条件反射。手近な何人かの頭骨や手首を握りつぶす。悲鳴が上がりしゃがみ込んだらしい彼らを、新たな人員が容赦なく踏み潰して僕の足首を掴もうと腕を伸ばす。
死を恐れない群衆、なんて陳腐な表現が頭をよぎる。
盲目の力任せに拳や踵を誰かの頭上に振り下ろすけど、付け根の辺りで抑えられれば必然、末端に勢いが乗らない。満員電車の天井付近まで担ぎ上げられたような状態なら尚更で、地に足が着かない分ほぼ空中と同義に上手く体重をかけて相手を殴れず、されるがままだった。
その時。
「星田くん!」、と。
驚愕に身震いする一瞬。
ふいに夜闇を切り裂いた、悲痛そうな声音で悟ってしまう。
どうあっても殺し得ない浮月さんの唯一の弱点は、僕という存在そのものだったのだと。
運良く視界を過ぎった光源の先では浮月さんが羽交い締めにされていて、それでもなお僕の方へと駆け寄ろうと、もがいていた。冷静さを失った彼女は男子生徒程度の腕力でも取り押さえられてしまっていて、違うよ浮月さんと僕は叫びたかった。
口の中に誰かの指が突っ込まれて、鬱陶しくて怒り任せに噛みちぎる。悲鳴。血の味に混じって、もう誰の声もわからない。浮月さんの姿だってすぐに見えなくなる。人山が頭上に来てようやく視野の横転に気付き、転がされるように何処かへと運ばれているのだと知る。
「浮月さん……っ、浮月さん!」
返事はない。誰かの怒号。すすり泣き。
僕はただひたすら、浮月さんに伝えたかった。
僕なんか。足手まといにしかなれない僕なんか、見捨ててしまえと。
叫び出したいほどの衝動をすべて藻掻き逃れることに費やしながら。頭だけはどこまでも冷え切ったままに浮月さんの逃亡を祈り続ける。
子どものように。
何が『普通部』の身内だ、くだらない。重荷でしかない他人なんて背負うだけ無駄だ。
『生き残る』ことが『普通部』の本義なら、この瞬間の浮月さんの行動なんて決まりきっている。馬鹿でもわかる。どうしようもなく馬鹿な僕でもわかる。
僕ら『異常』は結局、寄り添うことなど到底できるはずはなかったのだと。きっといつかは殺し合う。見捨てる。踏み台にする。裏切る。
だから今。君は愚かな同胞など振り切って、自らが信じる思想のために逃げるべきなのだと。
けれど頭の片隅ではそれをわかっているから、悔しさに僕の唇は噛みちぎられて血を流す。
きっと彼女は僕の解放を条件とするなら、今すぐにでも抵抗をやめるのだろう。
それはたった一瞬で。そう確信してしまうほどの声だった。
「彼を、離して……やめて!」
かろうじてそんな言葉が聞こえたときにはもう、僕の身体は重力に抗えるだけの支えを失っていた。いつの間にか夜闇の空中で、即座に屋上のコンクリートで殴られると覚悟した冷たくなるばかりの背中を、嫌に間延びした一瞬の真ん中で風が永遠に撫で続ける。全身の骨が砕けたかと思うほどの衝撃とともに地面に叩きつけられてようやく。
自身が屋上から落とされたのだと知る。
「かはっ……!」
されど吐いた血量は、割れたタイルに飛び散る数滴のみ。思ったより大したダメージではなく、だてに人外やっていないんだなと実感する一瞬。丈夫に産んでくれた母親と低予算を反映した学び舎の階数に感謝しつつ寝返り、タイルから頬を引き剥がそうとした僕の背中に。
六〇リットルの肉塊が落ち砕け、視界が暗転。骨棒が突き刺さる。
「……ぐっ!」
今のは効いた。狙ってもろに膝の皿で心臓を打ち抜かれた感覚があった。重みからするに恐らく落ちてきたのは生徒のうちの誰かで、すでに死に体のその肉袋を振り落とそうと夜空を見上げた僕は。
次から次へと屋上から降ってくる生徒を見て、流石に言葉を失う。
「……は」
なるほど、チェックメイトじゃないの。
敗因を探ってみれば何の事はなく、先の屋上の場面。少なくとも僕は敵前で油断するべきではなかった。
否応なく自覚させられる。どんなに普段強がって、斜に構えて、饒舌を自称していても。
一皮剥けば、僕らはこんなにも弱い。
片や僕はと言えばこの有様で、浮月さんの方とて殺意はともかく腕力は人並みだし、こちらと引き離された今頃、あっけなく取り押さえられてしまっているのだろう。
改めて顔を掻きむしりたいほどの悔悟を呪詛に吐く。
僕らは群れ合うべきではなかった。僕らは出会うべきではなかった。志半ばに膝を屈するべきだった。誰かに踏みつけにされることに甘んじるべきだった。
なんて。
もちろんこんな愚かしい後悔は先立たず、僕の意識は十四人目の落下を肉布団越しに感じた辺りで、糸が切れるように失われた。
0
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~
スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」
王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。
伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。
婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。
それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。
――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。
「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」
リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。
彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。
絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。
彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる