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第12話 扉の向こう
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祐真は再び夢の中にいた。
昨日と同じ、暗く果てしない廊下。だが今度は足音も声もなく、ただ自分の呼吸音だけが響いている。
目の前には、あの黒い扉があった。
重厚で、触れることすら拒絶してくるような存在感。扉の隙間からは冷たい風が吹き出し、血のような鉄の匂いが漂っている。
祐真は拳を握りしめ、足を前に出した。
──逃げるな。
胸の奥で、もうひとりの自分がそう囁いた。
手を伸ばし、取っ手に触れる。
次の瞬間、鋭い痛みが掌を走った。
見れば、取っ手には無数の棘が生えていて、彼の手を刺していた。
赤い血が滴り落ち、床に染みをつくる。
それでも彼は、力を込めて扉を押し開いた。
扉の向こうに広がっていたのは、歪んだ映像のような世界だった。
森。赤い紅葉が風に舞い、地面は血のように赤黒く染まっている。
そこに立っていたのは、一人の少女。
──あの事件の犠牲者。
かつて祐真が救えなかった少女だった。
彼女は笑っていた。だがその笑みは冷たく、唇は血に濡れている。
「祐真さん……どうして来てくれなかったの?」
胸がえぐられる。
祐真は足を踏み出そうとするが、重い鎖が足首を縛りつけていることに気づく。
見下ろすと、鎖の先は自分の影につながっていた。
「お前が俺を縛っているんだ」
背後から声が響く。振り返ると、再び若い頃の自分が立っていた。
「罪悪感に酔っている限り、お前は何も救えない」
少女の姿は揺らぎ、やがて紅葉の中に溶けていく。
彼女の声だけが残った。
「祐真さん……助けて……」
鎖を振りほどこうとする祐真の手に、また血がにじむ。
その痛みは現実よりも鋭く、まるで彼の心臓を直接切り裂くようだった。
目の前の光景は幻影か、記憶か。
それとも森が見せる呪いなのか──。
気づけば、祐真は膝をつき、紅葉の舞う赤い世界に取り残されていた。
ただひとつ確かなのは、扉を開いたことで彼は戻れなくなったということだった。
昨日と同じ、暗く果てしない廊下。だが今度は足音も声もなく、ただ自分の呼吸音だけが響いている。
目の前には、あの黒い扉があった。
重厚で、触れることすら拒絶してくるような存在感。扉の隙間からは冷たい風が吹き出し、血のような鉄の匂いが漂っている。
祐真は拳を握りしめ、足を前に出した。
──逃げるな。
胸の奥で、もうひとりの自分がそう囁いた。
手を伸ばし、取っ手に触れる。
次の瞬間、鋭い痛みが掌を走った。
見れば、取っ手には無数の棘が生えていて、彼の手を刺していた。
赤い血が滴り落ち、床に染みをつくる。
それでも彼は、力を込めて扉を押し開いた。
扉の向こうに広がっていたのは、歪んだ映像のような世界だった。
森。赤い紅葉が風に舞い、地面は血のように赤黒く染まっている。
そこに立っていたのは、一人の少女。
──あの事件の犠牲者。
かつて祐真が救えなかった少女だった。
彼女は笑っていた。だがその笑みは冷たく、唇は血に濡れている。
「祐真さん……どうして来てくれなかったの?」
胸がえぐられる。
祐真は足を踏み出そうとするが、重い鎖が足首を縛りつけていることに気づく。
見下ろすと、鎖の先は自分の影につながっていた。
「お前が俺を縛っているんだ」
背後から声が響く。振り返ると、再び若い頃の自分が立っていた。
「罪悪感に酔っている限り、お前は何も救えない」
少女の姿は揺らぎ、やがて紅葉の中に溶けていく。
彼女の声だけが残った。
「祐真さん……助けて……」
鎖を振りほどこうとする祐真の手に、また血がにじむ。
その痛みは現実よりも鋭く、まるで彼の心臓を直接切り裂くようだった。
目の前の光景は幻影か、記憶か。
それとも森が見せる呪いなのか──。
気づけば、祐真は膝をつき、紅葉の舞う赤い世界に取り残されていた。
ただひとつ確かなのは、扉を開いたことで彼は戻れなくなったということだった。
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