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『トエイ。まず無いとは思うけれど、直の反対属性の竜と戦っちゃ駄目よ』
『直の反対?』
『と言っても……理論として確立されているのは水と火ぐらいしか無いんだけど。まあ、マグナドラゴンに出会っても、竜だと分かれば、余程狂った竜じゃない限り戦いにはならないわ』
『……よく分からないけど、戦ったらどうなるの?』
『戦ったらね……』
相反する二つは、力に差があろうとも優劣の決着が着かず、消し合い、削り合い、やがて―……
無に、還る。
* * *
突如として、首都の上空に、灼熱の炎の竜と、しなやかな流水の体を持つ竜が、絡み合いながら翼はためかせ舞い上がった。
「おおお……っ!!」
「竜だ……!」
「見ろ、やはりディアナドラゴンだ!」
街の外に避難していた民や兵士は、炎竜の猛々しさと、水竜の清らかさに息を飲み、感嘆の声を上げた。
二匹の竜は互いの口からそれぞれの属性に適う球体を吐き出し、互いの体を攻撃し合っていた。火と水はぶつかるもののすぐに相殺され、蒸気と化す。だが、二匹は決して攻撃の手を緩めず、空を縦横無尽に駆け巡り戦っている。
「トエイ……!」
ヘリオスがその姿を見て、声を上げた。
「なんでマグナドラゴンが……!」
アインはトエイよりも、炎竜の存在に興味を引かれた。あのプライドの高い炎竜が、戯れにも人間の前に姿を曝け出しているのだから。
「……あの炎竜、親戚とかだったら嫌だな」
「何をふざけたことを……」
「事実だろ」
「そんなことより、あのドラゴンはトエイだな?」
ヘリオスはアインに尋ねるも、返事を待たぬまま視線をトエイに戻した。心配そうなヘリオスの横顔を見ながらアインは、落ち着いた様子でこう言った。
「ああ、あれはトエイだ。言っとくけどな、竜はあっちが本当の姿だからな」
「……分かっている」
ヘリオスは戦うトエイを見上げ、また心配そうに眉を寄せた。
「だが、トエイは俺にとって何よりも大切だ。……あのまま戦わせるわけにはいかない」
「荒れる竜を止める術は?」
「ある」
ヘリオスがやけに自信ありきといった態度で答えるので、アインは急いて回答を促した。
「なんだよ」
「……言うまでもないな」
* * *
マグナドラゴンの口から無数の火球が飛び、トエイの水の体を貫く。負けじと彼女も、口内から水の刄を放出する。
彼女は今の今まで戦ったことなど無かったであろうに、竜の本能だとでも言うのだろうか。その身を包んでいた暖かな空気を振り払い、戦慄が渦巻く天空を舞っている。
自分よりは幼いだろうに、力だけでなく攻防面でも対等に渡り合うトエイに対して、マグナドラゴンは決してその手を抜くことは無かった。
「どこまで抗うのだ! 我らが争う意味を貴様は知っているだろう!」
「貴方だって、知っていてそうしているんでしょう!」
「水竜のくせに強情な娘だな!」
マグナドラゴンの体の周囲の空気が急速に赤く輝き始め、そこから弾けるように円形の炎の刄が四方八方に放出された。
それらはトエイを瞬く間に包囲すると、彼女の背にある水の翼に向けて特攻した。みるみるうちに翼は引き裂かれ、体を宙に保つことが出来なくなったトエイは回転しながら地上へと落下した。
「見ろ!! 水竜が!!」
「町へ落ちるぞ!」
それを遠くから見ていた人々はわっ、と驚嘆の声を上げた。彼らは猛々しいマグナドラゴンに恐れおののき、頭を抱えたり蹲ったりして震えていた。
強く地上に叩きつけられたトエイは、激痛に耐えかねてか、その身から水滴を弾き出しながら暴れ狂った。皮肉なことに、その水滴は渇いた大地に落ちるとそこに生命を息吹かせていく。
「……捨て子が誇り高き我に逆らうなど……」
追い掛けてきたマグナドラゴンは彼女の傍に着地すると、皮肉な言葉を言い放つ。だが、彼もまた決して無傷ではない。トエイの攻撃により体の至る場所から煙を噴出し、ひどく苦しそうに息をしていた。
「竜の誇りを思い出せ! 今ここで我を退けたとて、いずれ煌竜王がこの地に制裁を加えるだろう!」
出来ればそうなる前に、己が手でこの地を破壊したいのだろう。目は真っ赤に染まり、血走っている。
「くっ……。子供といえどディアナか……」
自尊心の高いマグナドラゴンだが、余程体に負担がかかっているのか、静かに人型に変化した。
それに合わせたわけではないのだが、トエイもまた人型に変化した。横たわり、満身創痍の彼女だったが、両の手のひらを大地にしっかりと付くと、ゆっくりとその体を起こした。
「……絶対…………護るの……っ……」
トエイの喉からは掠れた声しか出らず、どうしても途切れがちになる。それでも彼女は、傷ついた体を起こし、マグナドラゴンを強く睨み付けた。
その瞳から戦意が失われていないことを見て取ったマグナドラゴンは、ぎち、と音がなるほどに歯を食い縛った。
「ならば我と合い討つか!!」
「構わ……ない……」
「知乏しき人間など、死してまで護る意味がどこにあるというのだ!! ものの数十年の戯れの為に、貴様は竜であることを否定するというのか!
「…………意味なんか無くていい!」
強く言い返すと同時に、トエイはその場に立ち上がった。両方の拳を強く握り締め、乱れた銀の髪の間から強い眼差しをマグナドラゴンに向けた。見えない力で体を押してくるような瞳に、マグナドラゴンは不覚にも一瞬たじろいでしまった。
「アインもルピナスもヘリオスも好きだから、いなくなるなんて絶対に嫌!」
「子供だな……。あの人間共を生かしておけばいずれどうなるかを考えないのか!? 種の均衡が崩れることの重大性をまるで分かっていないのか!」
荒ぶるマグナドラゴンの罵倒にも、トエイは決して怯まない。それどころか、彼に一歩一歩近付き、近い位置からその顔を見上げた。
反射的にマグナドラゴンは手の平に炎を出現させ、トエイの顔近くにそれをあてがい、威嚇する。
そうして未だきつく歪む相手の顔を伺いながら、トエイは呟いた。
「そんなの、怖くない」
自らを奮い立たせるようにそう言ったものの、その瞳は揺れている。
しかしそれはマグナドラゴンも同じだった。ぬかり無く、攻撃の為の水球を足元に出現させたトエイから、確かな覚悟が感じられる。
足元を見ていたマグナドラゴンは、視線をトエイに移した。
「小癪な……ならば我とて、その意志に激なる真の炎を以て応じてやろう!」
手の平の小さな炎が大きく逆巻き、トエイの体全てを包み込まんとした時だった。
「させるかァ!」
弾丸のような速さで飛び込んできた人影は二人の間に割って入り、銀に輝く刄をマグナドラゴンに向けて振り上げた。
次いで現われたもうひとつの人影はトエイの腹部にを背後から手を回し、その場から距離を取った。
「ぬぅう!」
銀の刄を咄嗟に躱したマグナドラゴンは後方によろめくが、すぐに踏み留まり刄を弾いた。
だが、その手にどこからか現われた金色に輝く紐が蛇のようにからみつくと、無理矢理に動きが封じられた。紐は次々と出現し、一瞬にしてマグナドラゴンの体を羽がい締めにした。
「そこまでよマグナドラゴン!」
「対ドラゴン用の魔導ロープ…………ドラゴンハンターか……!」
「その通りよ! 竜なら、私を知らないわけないでしょう?」
ルピナスは紐を強く引きたくり、マグナドラゴンの抵抗を許さない。だが、紐を伝い炎の熱が伝わってくる。気を抜けば、逆にやられるだろう。
「……トエイ」
何が起こったのか分からないといった表情で驚いているトエイの体を背後から支えているヘリオスは、彼女の名を静かに呼んだ。
は、とトエイは彼の存在に気付き振り向いた。だが、何とも申し訳なさそうに眉を下げ、口をへの字にした。
「ヘリオス……」
ぼろぼろの衣服、汚れた肌。吐血の跡が見られる口元。ヘリオスはそれらを一瞥し、苦い顔をして見せた。
「女の子がなんて汚れ方だよ、トエイ」
巨大な剣を構えるアインは、へへっと笑いながらそう言った。
「馬鹿ねアイン、汚されたのよ。許せないわこの竜」
「だよな」
ルピナスの言葉に頷くと、アインはマグナドラゴンに向かって顎を上げて声をかけた。
「てなわけで、トエイをこんな風にしたお前は俺たちの敵だ。今すぐに出てけ」
「忌み子が揃って現われたか。これは手間が省けた」
『直の反対?』
『と言っても……理論として確立されているのは水と火ぐらいしか無いんだけど。まあ、マグナドラゴンに出会っても、竜だと分かれば、余程狂った竜じゃない限り戦いにはならないわ』
『……よく分からないけど、戦ったらどうなるの?』
『戦ったらね……』
相反する二つは、力に差があろうとも優劣の決着が着かず、消し合い、削り合い、やがて―……
無に、還る。
* * *
突如として、首都の上空に、灼熱の炎の竜と、しなやかな流水の体を持つ竜が、絡み合いながら翼はためかせ舞い上がった。
「おおお……っ!!」
「竜だ……!」
「見ろ、やはりディアナドラゴンだ!」
街の外に避難していた民や兵士は、炎竜の猛々しさと、水竜の清らかさに息を飲み、感嘆の声を上げた。
二匹の竜は互いの口からそれぞれの属性に適う球体を吐き出し、互いの体を攻撃し合っていた。火と水はぶつかるもののすぐに相殺され、蒸気と化す。だが、二匹は決して攻撃の手を緩めず、空を縦横無尽に駆け巡り戦っている。
「トエイ……!」
ヘリオスがその姿を見て、声を上げた。
「なんでマグナドラゴンが……!」
アインはトエイよりも、炎竜の存在に興味を引かれた。あのプライドの高い炎竜が、戯れにも人間の前に姿を曝け出しているのだから。
「……あの炎竜、親戚とかだったら嫌だな」
「何をふざけたことを……」
「事実だろ」
「そんなことより、あのドラゴンはトエイだな?」
ヘリオスはアインに尋ねるも、返事を待たぬまま視線をトエイに戻した。心配そうなヘリオスの横顔を見ながらアインは、落ち着いた様子でこう言った。
「ああ、あれはトエイだ。言っとくけどな、竜はあっちが本当の姿だからな」
「……分かっている」
ヘリオスは戦うトエイを見上げ、また心配そうに眉を寄せた。
「だが、トエイは俺にとって何よりも大切だ。……あのまま戦わせるわけにはいかない」
「荒れる竜を止める術は?」
「ある」
ヘリオスがやけに自信ありきといった態度で答えるので、アインは急いて回答を促した。
「なんだよ」
「……言うまでもないな」
* * *
マグナドラゴンの口から無数の火球が飛び、トエイの水の体を貫く。負けじと彼女も、口内から水の刄を放出する。
彼女は今の今まで戦ったことなど無かったであろうに、竜の本能だとでも言うのだろうか。その身を包んでいた暖かな空気を振り払い、戦慄が渦巻く天空を舞っている。
自分よりは幼いだろうに、力だけでなく攻防面でも対等に渡り合うトエイに対して、マグナドラゴンは決してその手を抜くことは無かった。
「どこまで抗うのだ! 我らが争う意味を貴様は知っているだろう!」
「貴方だって、知っていてそうしているんでしょう!」
「水竜のくせに強情な娘だな!」
マグナドラゴンの体の周囲の空気が急速に赤く輝き始め、そこから弾けるように円形の炎の刄が四方八方に放出された。
それらはトエイを瞬く間に包囲すると、彼女の背にある水の翼に向けて特攻した。みるみるうちに翼は引き裂かれ、体を宙に保つことが出来なくなったトエイは回転しながら地上へと落下した。
「見ろ!! 水竜が!!」
「町へ落ちるぞ!」
それを遠くから見ていた人々はわっ、と驚嘆の声を上げた。彼らは猛々しいマグナドラゴンに恐れおののき、頭を抱えたり蹲ったりして震えていた。
強く地上に叩きつけられたトエイは、激痛に耐えかねてか、その身から水滴を弾き出しながら暴れ狂った。皮肉なことに、その水滴は渇いた大地に落ちるとそこに生命を息吹かせていく。
「……捨て子が誇り高き我に逆らうなど……」
追い掛けてきたマグナドラゴンは彼女の傍に着地すると、皮肉な言葉を言い放つ。だが、彼もまた決して無傷ではない。トエイの攻撃により体の至る場所から煙を噴出し、ひどく苦しそうに息をしていた。
「竜の誇りを思い出せ! 今ここで我を退けたとて、いずれ煌竜王がこの地に制裁を加えるだろう!」
出来ればそうなる前に、己が手でこの地を破壊したいのだろう。目は真っ赤に染まり、血走っている。
「くっ……。子供といえどディアナか……」
自尊心の高いマグナドラゴンだが、余程体に負担がかかっているのか、静かに人型に変化した。
それに合わせたわけではないのだが、トエイもまた人型に変化した。横たわり、満身創痍の彼女だったが、両の手のひらを大地にしっかりと付くと、ゆっくりとその体を起こした。
「……絶対…………護るの……っ……」
トエイの喉からは掠れた声しか出らず、どうしても途切れがちになる。それでも彼女は、傷ついた体を起こし、マグナドラゴンを強く睨み付けた。
その瞳から戦意が失われていないことを見て取ったマグナドラゴンは、ぎち、と音がなるほどに歯を食い縛った。
「ならば我と合い討つか!!」
「構わ……ない……」
「知乏しき人間など、死してまで護る意味がどこにあるというのだ!! ものの数十年の戯れの為に、貴様は竜であることを否定するというのか!
「…………意味なんか無くていい!」
強く言い返すと同時に、トエイはその場に立ち上がった。両方の拳を強く握り締め、乱れた銀の髪の間から強い眼差しをマグナドラゴンに向けた。見えない力で体を押してくるような瞳に、マグナドラゴンは不覚にも一瞬たじろいでしまった。
「アインもルピナスもヘリオスも好きだから、いなくなるなんて絶対に嫌!」
「子供だな……。あの人間共を生かしておけばいずれどうなるかを考えないのか!? 種の均衡が崩れることの重大性をまるで分かっていないのか!」
荒ぶるマグナドラゴンの罵倒にも、トエイは決して怯まない。それどころか、彼に一歩一歩近付き、近い位置からその顔を見上げた。
反射的にマグナドラゴンは手の平に炎を出現させ、トエイの顔近くにそれをあてがい、威嚇する。
そうして未だきつく歪む相手の顔を伺いながら、トエイは呟いた。
「そんなの、怖くない」
自らを奮い立たせるようにそう言ったものの、その瞳は揺れている。
しかしそれはマグナドラゴンも同じだった。ぬかり無く、攻撃の為の水球を足元に出現させたトエイから、確かな覚悟が感じられる。
足元を見ていたマグナドラゴンは、視線をトエイに移した。
「小癪な……ならば我とて、その意志に激なる真の炎を以て応じてやろう!」
手の平の小さな炎が大きく逆巻き、トエイの体全てを包み込まんとした時だった。
「させるかァ!」
弾丸のような速さで飛び込んできた人影は二人の間に割って入り、銀に輝く刄をマグナドラゴンに向けて振り上げた。
次いで現われたもうひとつの人影はトエイの腹部にを背後から手を回し、その場から距離を取った。
「ぬぅう!」
銀の刄を咄嗟に躱したマグナドラゴンは後方によろめくが、すぐに踏み留まり刄を弾いた。
だが、その手にどこからか現われた金色に輝く紐が蛇のようにからみつくと、無理矢理に動きが封じられた。紐は次々と出現し、一瞬にしてマグナドラゴンの体を羽がい締めにした。
「そこまでよマグナドラゴン!」
「対ドラゴン用の魔導ロープ…………ドラゴンハンターか……!」
「その通りよ! 竜なら、私を知らないわけないでしょう?」
ルピナスは紐を強く引きたくり、マグナドラゴンの抵抗を許さない。だが、紐を伝い炎の熱が伝わってくる。気を抜けば、逆にやられるだろう。
「……トエイ」
何が起こったのか分からないといった表情で驚いているトエイの体を背後から支えているヘリオスは、彼女の名を静かに呼んだ。
は、とトエイは彼の存在に気付き振り向いた。だが、何とも申し訳なさそうに眉を下げ、口をへの字にした。
「ヘリオス……」
ぼろぼろの衣服、汚れた肌。吐血の跡が見られる口元。ヘリオスはそれらを一瞥し、苦い顔をして見せた。
「女の子がなんて汚れ方だよ、トエイ」
巨大な剣を構えるアインは、へへっと笑いながらそう言った。
「馬鹿ねアイン、汚されたのよ。許せないわこの竜」
「だよな」
ルピナスの言葉に頷くと、アインはマグナドラゴンに向かって顎を上げて声をかけた。
「てなわけで、トエイをこんな風にしたお前は俺たちの敵だ。今すぐに出てけ」
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