おさななじみの秘密

おゆき

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おさななじみの秘密

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「ねぇー知ってる~?小さい頃から仲良しな人達のことを''おさななじみ''って言うんだってー」

「私たちもずっと仲良ししていつかおさななじみになろーね!!」

***

 ───ドンドンドンドン───

「こうくーん!こうくん、いるーー??」

この騒がしい子、如月きさらぎめいは去年引っ越して来た転校生だ。

「どうしたの、めいちゃん?」
「もー、夏休みだってのに家にばっかいて、
そんなんだから男子たちにいじめられるのよ」
「べつに、いじめられてないし...」

同級生の男の子たちとは全く趣味が合わなかったので女の子と遊ぶことが多かった。
そのせいで男の子たちからはよくいじめられていた。
小学生なんてそんなもんだ。

「そんなことより虫取りいこーよー」
「え~、だから虫は嫌いだって何回も、」

僕はこの頃から虫が苦手だ。同級生の男の子たちはカブトムシとか、クワガタとか教室に持ってきてよく自慢してくる。
──まぁ、全然羨ましくなどないのだが...

「そんなこと言ってないで早く行くよ!」
「ちょっと待ってよ!めいちゃーん!」

彼女はちょっと男勝りなところがある。
僕がいじめられてる時助けてくれたり、よく男の子と喧嘩もしたりしている。

実際、今も山に連れてこられているのだが...

「ねぇ、そういえばどうしてめいちゃんはこんな田舎に引っ越して来たの?」

彼女は東京から引っ越して来たらしい

「パパが、めいは田舎でのびのび暮らした方いいだろうって言うから、小学校に上がるタイミングでここに引っ越して来たんだー」

たしかに田舎で暮らす方が彼女の性格的に合ってるのだろう。

「へぇー、そうなんだ~。たしかにめいちゃんはここの方がいいのかもね」
「うん!めっちゃ楽しいよ!」
「でも、僕は東京に住みたかったなー」

───だって虫がいないから

「どうせ虫がいないから、とか言うんでしょ」

彼女には超能力でもあるのだろうか。僕の嘘はいつもバレてしまう。

「え、あっ、いや...」
「あははは!!嘘へた!」
「うぅ、、、」

「そんないいとこじゃないよ、空気も美味しくないし」

空気に味などあるのだろうか。そんなことを突っ込もうと思ったが今はやめておいた。

「でも、一回は行ってみたいよねー、東京」
「じゃあ今度一緒に行こうよ!」
「え、いいの!?あ、でも僕、今年はおじちゃん家に帰らないといけないから来年行こ!」
「わかった!来年、約束ね!」
「うん!約束!!」


───この時、彼女はどこか悲しげな顔をしていた



その後も、僕は彼女の虫取りに付き合わされていた。

「ほら、こうくん蝶々いるよ蝶々」
「え、蝶!?どこ、どこ!」

「こうくんの頭の上」

「うげゃゃゃぁぁぁぁーーーーー」

僕は一目散に走って逃げた。

***

「もぉ~こうくんってほんと虫苦手だよね」
「だ、だって~」

確かに僕は虫が苦手だ。だが、他の虫だとそんな逃げたりしない。蝶が一番苦手なだけだ。
そう、他の虫だと大丈夫だ...

「あ!ちょっと待ってーー」
その時、彼女がいきなりどこかへ走って行ってしまった。

「え、ちょっとめいちゃんどこ行くの~」

 ──バサッ──
「やったー、捕まえたー!」

何か捕まえたようだ

「ほら見て、トノサマバッタ!!」
「うげゃゃゃぁぁぁぁーーーーー」

やっぱり他の虫もダメだったようだ...


そんなこんなで小学2年の夏、彼女のおかげで僕は楽しく過ごせていた。



── 9月1日 ──

今日から2学期が始まった。

登校中歩きながら僕はずっとめいちゃんのことばかり考えていた。
決して、好きだからというわけではない。
そう、心配なだけだ。

 ──ガラガラガラ──
ん?まだ学校に来てないようだ。
いつもなら僕より先に登校しているはずだが...
僕はいつも、教室に入ると初めにめいちゃんを探す。
大事なことなので二回言うが、決して好きだからというわけではない。──心配だからだ。

しばらく待っていると先生が入って来た。
心なしか暗い顔をしている気がした。

「はーい、みんな座ってー!!今日はみんなにに大事なお知らせがあります」

 なんだか嫌な予感がした。

「実は昨夜、如月めいさんが亡くなりました」

 「「  え!?  」」

僕は思わず声を出して驚いてしまった。
みんなが僕の方に注目してきた。
だが、今はそんなことを気にしてる場合ではない。

「なので今日は始業式が終わったら、みんなでお通夜に行きます」

だんだんと教室がざわついてきた。
そんな中、僕は頭の整理が追いついていなかった。

───え、亡くなった?お通夜?誰の?めいちゃん?なんで?

そのあとの始業式、いつものように校長先生が長々と話していた。
だが、話は全く入ってこなかった。
正直クラスのみんなそうだったと思う。
僕はまだ信じきれていなかった、彼女が亡くなったなんて...

そんなことを考えていると、いつのまにか校長先生の話は終わっていた。
その後、クラスのみんなとめいちゃんのお通夜に参列した。

***

僕は彼女の両親に、顔を見ていいか尋ねた。

「ぜひ見てやって下さい」

すると、両親はゆっくりと棺の扉を開けてくれた。
恐る恐る中を覗くと、そこには静かに目を閉じ、眠っているめいちゃんの姿があった。

──もうあの時の、元気で、いつも騒がしかっためいちゃんの姿はない──

すると突然涙が止まらなくなった。
今初めて亡くなったことを実感したのだ。

「どうして?"おさななじみ''になろうって言ってたじゃん。一緒に東京に行こうって約束したじゃん。どうして?どうして?」

その時、隣にいた両親からめいちゃんの病気のことを聞かされた。彼女は生まれつき重い病気を持っていたらしい。そのせいで、人より体が弱かったそうだ。

──僕はそんなことにも気づかなかったのか?

そう思うと、一度止まったはずの涙がまた溢れ出してきた。多分彼女は、僕の前ではずっと、強い子を演じ続けていたのだろう。
だが、今更気づいても、自分の不甲斐なさに唇を噛み締めることしか出来なかった。

そして、最後にもう一度、棺の中で眠っている彼女に声を掛けた。


「めいちゃん、ずっと好きでした」



彼女から返事が返ってくることはなかった。
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