文字の大きさ
大
中
小
438 / 551
六章 アイオン落日編
真、配る
何とも軍隊らしくない。
PRGのベテラン傭兵たちに軍としての戦い方を叩き込まれている出来立てほやほやのツィーゲ軍。
現状では個の戦力で勝るエース級の冒険者パーティを活用する事でアイオンと戦っているけど、ちゃんとした軍の編成は国家になろうとしているツィーゲには必要不可欠な要素だ。
仮に凄まじい知略だけで奇跡的に国家として独立したとしても、国としての形を維持するにはどうしたって戦力が必要になる。
いくら関係が良いといっても常に冒険者が戦争に積極的に協力してくれるとは限らないし。
滅ぼさない限りアイオンは隣に在る訳で、これから関係を少しずつ良くしていくつもりだったとしてもしばらくは小競り合いも続く。
という訳で軍の編成と育成は街の急務であり、僕も少しくらいはと鍛錬の様子を眺めに来たところ。
流石に現段階で全員分の統一された装備や制服などある訳もなく、街の外で冒険者とチンピラと用心棒と衛兵がごっちゃになって集団戦闘や進軍、隊の編成に役割の理解などなどを教わっていた。
「や、ライドウ君。おひさー」
「ヴィヴィさん。お久しぶりです」
「この度は最高に刺激的で新鮮で報酬が良い仕事をありがとう、ライドウさん」
「えっと……リョーマさん。ご無沙汰してました」
「リョーマはついでに断崖絶壁に金銀財宝が吊るされてる仕事、とも言ってたがね」
「……ノマさん、でしたよね。きつい仕事、ご苦労様です」
PRGの幹部数人が声を掛けてくれる。
さっき来たばかりの僕に気付くのが早い。
傭兵団を率いるヴィヴィさん、今回の仕事に凄く乗り気でいてくれるリョーマさん、それに軍師も担ってるらしいノマさん。
名高い傭兵団からこうして指導を受けられるのはこれからツィーゲ軍になっていく彼らにとってはかなりの幸運だろうな。
「どうです、ツィーゲの軍人志望者たち。最低限の基本は出来てると思いますが、その分我も強そうで不安も感じてるんですが」
「んー。細かな分析をしていけば練度を始め、まだまだだけど優秀なのは確かだね。若いだけの未経験君を形にするよりは随分と楽が出来そう」
ヴィヴィさんはそこそこ評価してくれているみたいだ。
練度はそれこそ軍人としての生活と訓練で身につけていくものだろうし、一朝一夕で備わるものじゃない。
今回はいきなりの戦争を乗り越える事を最優先にすべきだろうから、幾つかすっ飛ばしている要素も当然あると思う。
出来れば戦後その辺りまで何らかの形でフォローしてもらえると嬉しいよねえ。
「元冒険者は特に俺の様な専門性の高い兵士には向いている。今回の戦で出番があるかどうかはともかく、諜報と工作においては期待してくれて良いよ」
リョーマさんだ。
彼は自身と同じく工作や情報収集を担う部隊を育成してくれているらしい。
連携ももちろん重要な要素だけど、個人の技量や冒険者として培ったスキルや経験も比較的活かし易いのかもしれない。
「肝心の防衛戦については、申し訳ないがまだまだだ。最悪今回の戦争では指示に従って戦える事を最優先に鍛錬を進める事になるかもしれない。商人ギルドの重鎮たちには説明済みだが、君も知っておいて欲しい」
ノマさんは防衛部隊、今回の戦争で一番大きな役割を期待されている部分を引き受けてくれている。
冒険者はともかく、用心棒や衛兵はその辺りが得意そうだけど……一筋縄じゃいかないのか。
「指示に従って……皆さんが市街戦も見越して作戦を考えたり現地で指示を出したりするんですか?」
外壁を死守出来ればいいけど、それは流石に都合の良い考えだ。
壁に張り付かれたら、次は中での戦闘も考えなくちゃいけない。
市民の避難計画とか、どうなってるんだろ。
色々気になって、取り合えず市街戦になったらどうする予定なのか聞いてみた。
「市街戦?」
けど、ノマさんの答えは予想外の事を聞かれた、といった感じで。
「……ああ! ライドウ君はもしかしてそこの外壁で防衛戦をやる、と思ってる?」
「へ? ……ええ、まあ」
「なるほど、壁違いか」
ヴィヴィさんの指摘にノマさんが頷く。
しかし僕にはまだちょっと良くわからない。
壁違い、とは?
ツィーゲの外壁といえば一つしかない。
荒野側のアレはどう考えても違う。
「ライドウさん。レンブラント氏はこの壁まで軍を寄せ付ける気は全く無い」
「え?」
「ここからでは見えないが今頃遥か向こうに新生ツィーゲの外壁が出来ている頃だよ」
リョーマさんが丁寧に教えてくれた。
新しく、壁を作った?
戦争する為の防壁を、新しく!?
「わ、わざわざ戦争する用に、そこまで……?」
「? 違うよ、ライドウ君。新生ツィーゲの、外壁」
「新生?」
「そそ。パトリック=レンブラント、彼は今のツィーゲを都市国家でございと言うつもりなんてさらさら無かったみたいでね。新しく作った壁からこっちは全部、ツィーゲって『街』だ、と結構な土地もアイオンから分捕るつもりでいる。だよね、ノマ」
「……ああ。我々の策と練兵、冒険者たちの働き、それにライドウ殿の動き次第では……アイオン軍はツィーゲの街を見る事すら出来ず敗退する」
……。
ここから向こうの方向って言うと……多少の丘やら盆地状の地形やらがあるにしても基本的には平原が随分と続く
エリアだ。
黄金街道もかなり緩やかなカーブか直線で構成されてる。
そのどこかに壁を作って?
そこからこっちは全部ツィーゲ?
それなんて子供の喧嘩?
え、ええ?
通るの、そんなの。
というか、全部ツィーゲってどういう事?
「あははは、そりゃいきなり聞かされても混乱するよねえ」
その通りです、ヴィヴィさん。
私は今とてもよくわからない。
レンブラントさんの頭の中、どうなってんの?
「いや、それはおかしな話だよヴィヴィ。レンブラント氏はこの案をライドウ殿からもらったと話していたのだから。我々まで欺く必要はあるまいよ、ライドウ殿」
?
何のこっちゃ、です。
ノマさん、レンブラントさんが何を言ったと。
「ええっと……そんなぶっ飛んだ考え、レンブラントさんに一言も言った事は無い、つもりなんですが」
「しかし彼はライドウ殿からいっそコランもツィーゲとひとまとめにして巨大な街を作ってしまえば面白い、と聞かされたらしいが……?」
「コランと、ツィーゲ……」
確かに……いつだったか二つの街を繋げてしまえばどっちの街も便利になるし行き来も楽になる、みたいな事は口にしたような……してないような……。
でもそれが外壁で囲ったら全部ツィーゲなんて陣取りゲームみたいな発想になる?
ならんよね?
「覚えはありそうな雰囲気。へぇ、ライドウ君がね、そんな発想もするんだ。意外」
「現在進行形で外壁内のエリアに生息する魔獣や魔物は冒険者に駆逐させているし、彼は本気で外壁内を全て一つの超巨大な人の街として整備するつもりでいるぞ。価格が高騰し過ぎた土地の問題や、十分な農地の確保、範囲内の村や街を吸収する事での人口と労働力の獲得、区画整理の必要なくほぼ一から手掛けられる都市計画……と実現しさえすれば世界レベルの会心の一手になる。アレは実にとんでもない男だな、一介の商人とは思えん」
ノマさんの言葉に絶句する。
……界。
ある、あった。
それなりに遠いけど黄金街道の両脇から壁が展開されている。
あんな壁の作り方ありなのか。
誰もした事ないからやったもん勝ちなのか。
え……あそこからこっち側を全部……一つの街として整備する?
振り返る。
そこにはツィーゲの、今の外壁がある。
あそこから道が幾つも伸びて、家や畑が出来て、店も出来て……それがずっとあの壁まで続く?
全ての道はローマに通ず。
不意にそんな言葉が浮かんだ。
とんでもない。
いや、本当にこれはとんでもない。
「ライドウ君?」
「あの……黄金街道から両脇に展開された壁からこっちが、全部ツィーゲになる? 防衛戦はあそこでやるって事か……。マジか、そんなの、マジなのか……」
『……』
「ツィーゲの商人、凄いわ」
つくづく、凄い発想とそれを承認する柔軟な姿勢の両方に感嘆させられた。
「いや、ライドウ君?」
「はい?」
「なんで外壁の形状をばっちり言い当てられるの?」
「え、それは探知魔術……的なもので。確かに出来てました」
PRGの皆さんが微妙な視線で僕を見る。
「……あのライドウ殿の言う事だからな。きっと冗談ではないんだろうな」
「戦力だけじゃなくスキル一つでも戦争の形を変えるね、ライドウ君は」
「この距離でそんな真似をされたら工作兵や密偵はほぼ無力化される可能性もあるんだが」
そりゃもう月読様から賜った能力ですからね。
「それはさておき。壁が出来てるなら、遠征冒険者組はその向こうで動いてる訳ですか」
思ってたよりも遠くまで出てるな。
……荒野に比べたら楽勝って感じで動いてるのかと思いきや、一つ間違えると帰還が難しくなる可能性もあるじゃないか。
トア達なら大抵問題無かろうと思ってたけど……巴からも何も聞いてないし、多分生きてる、よね?
「そういえば、ギネビアさんが行方を眩ましたとか聞いたな」
「ああ、ビアの姐御な。いい加減レンブラント氏に言いくるめられて便利に使われるのに耐えられんくなったのだろう。ちょっと見で相性良くないのは明らかだったから」
「ビアさんかー。確かにあれは相性コテンパンって感じだったもんねー」
相性コテンパン、すか。
じっくり話した事は無いけれど……あの人はアズノワールさんと同じ脳筋族だと思う。
少し系統が違うにしろ、僕とも多少似ているような気がする。
よしわかった、更地にしてから考えよう。
みたいなね。
そして何より、行方を眩ましたと話題になりながら微塵も心配されてない所が凄い。
「あの人は今は何を頼まれてたんです?」
「ん? ビアさん? えっと、六夜さんから引き継ぎで万が一の時にアルパインってパーティの安全確保、だっけ?」
「うむ」
「アルパイン!?」
ヴィヴィさんとノマさんが確認するのを見て聞き逃せないワードが耳にかすり、聞き返す。
トアと愉快な仲間たちじゃないか!
「ま、あの人が一緒なら何が相手でも大丈夫。時々肉体言語が出てくるだけで根は真面目な人だからね、アルパインも大丈夫大丈夫、知らんけど」
無責任!
ヴィヴィさん、この人はフレンドリーだし明るいし、コミュ強感あるんだけどさ。
時々傭兵的なドライ感出てくる気がする。
本業の戦争関連以外は結構適当な人かも、とか思い始めてる。
んーそうか。六夜さん、今はアルパインから離れてたのか。
お祝い装備渡して満足した?
始まりの冒険者組はPRG以上に読めないんだよなぁ。
「僕が言うのも何ですけど、トア達もそれなりに運が悪い方ですから……多少心配だな」
「……なあ、ノマ。そろそろ聞いてみても良いかな?」
「良いんじゃないか? ライドウ殿はどうやら自分から教えてくれんようだし」
「?」
リョーマさんが何やらそわそわしている。
「あのさ、ライドウ君。その背中に背負ってるそびえ立つ荷物はなに?」
あ、忘れてた。
リョーマさんもヴィヴィさんの問いに何度も頷いている。
挨拶代わりの話のつもりが、つい話し込んじゃった。
失態だなー。
「物凄く気になってたんだが、ライドウさんが何事もなく話をしてるからどう尋ねたものかと」
「我々全員日陰になってるしな、見晴らしの良い野原で」
ここに来た本来の目的を忘れてた。
鍛錬してる皆に差し入れをしに来たんだ。
せっかく上手い事指導してるPRGの面々に会ったのに何をしてるんだ、僕は。
「すみません、すっかり頭から抜けてました。これ、皆さんに差し入れです」
ドス、と出来るだけ静かに荷を下ろす。
食べ物だからね、粗末に扱ってはいけない。
もういい加減に消費がね、追いつかなくなりそうだからね。
「それは、ありがとう。……軽食かな」
ヴィヴィさんが上を見上げながら、やや不安混じりで確かめてくる。
流石、正解だ。
「ええ、唐揚げです。鳥の揚げ物ですね」
「……だけ?」
「あ、もうそろそろ酒とお茶の差し入れも来ますので、鍛錬の区切りがついたら皆さんでどうぞ」
「何故に、揚げ物一種のみ……?」
「最近、ウチの澪がこのメニューにハマってまして。これ以上続くようなら、お店にも並べて……毎日差し入れもしようかと本気で悩んでます」
無くならない。
とにかく無くならない。
このままだと亜空どころかツィーゲの住民全員があいつの唐揚げを食べる事になるんじゃなかろうか。
これで下手に澪の唐揚げが気に入った人が出てきてしまうと結構まずい事になる。
澪……次のメニューにハマると唐揚げあんまり作らなくなるだろうからな。
厨房チームにレシピはきちんと保管するように伝えておこう。
「平和だな、クズノハ商会」
「……そう? 私はこの量の揚げ物を量産してる所を想像するだけで胸焼けしてくる」
「ところでこれ、どうやって中身を出せば?」
「ああ、これドワーフの力作で携行型唐揚げサーバー4Lサイズなんでここんとこの口を開けてもらって、横のスイッチを押しますと」
熱々の唐揚げたちが素敵な香りと共にゴロゴロ出てきた。
うん、誰もが認めるであろう技術の無駄使い。
いつまでも出来立ての最高の状態を保ちたいからと例の如く職人の迷走と暴走が帰結したのが、これだ。
ちなみにSサイズだと卓上にきちんと収まる。
なぜそこで満足できないのかエルダードワーフ。
用途だけを考えれば大量になるならマジックバッグを使えば良い。
それだと微妙な環境調整と時間経過を完全にゼロには出来ないとか何とか、もう云々。
最後に付け加えられた言い訳の、あとでかい見た目の方がテンション上がる、というのが本当の理由なんじゃなかろうかと思えてならない。
類似品の酒サーバー各種も同じノリだからね!
『……ゴクリ』
あまり嗅ぎ慣れていないお三方は見事に食欲をそそられてくれたみたいで一安心。
気に入ってもらって美味しく、そして沢山食べてもらいたい。
「それじゃあ僕はこれで。また何か動きがありましたら僕らにも事後でも良いので教えてください」
そう言って彼らと別れる。
!!
そうだ!
孤児院にも持っていこう。
あそこには食べ盛りの、しかも子どもが沢山いるじゃないか!
よし、じゃあ職業訓練? 的な何かがちゃんと行われているかどうかの視察という建前でお裾分けだ!
PRGのベテラン傭兵たちに軍としての戦い方を叩き込まれている出来立てほやほやのツィーゲ軍。
現状では個の戦力で勝るエース級の冒険者パーティを活用する事でアイオンと戦っているけど、ちゃんとした軍の編成は国家になろうとしているツィーゲには必要不可欠な要素だ。
仮に凄まじい知略だけで奇跡的に国家として独立したとしても、国としての形を維持するにはどうしたって戦力が必要になる。
いくら関係が良いといっても常に冒険者が戦争に積極的に協力してくれるとは限らないし。
滅ぼさない限りアイオンは隣に在る訳で、これから関係を少しずつ良くしていくつもりだったとしてもしばらくは小競り合いも続く。
という訳で軍の編成と育成は街の急務であり、僕も少しくらいはと鍛錬の様子を眺めに来たところ。
流石に現段階で全員分の統一された装備や制服などある訳もなく、街の外で冒険者とチンピラと用心棒と衛兵がごっちゃになって集団戦闘や進軍、隊の編成に役割の理解などなどを教わっていた。
「や、ライドウ君。おひさー」
「ヴィヴィさん。お久しぶりです」
「この度は最高に刺激的で新鮮で報酬が良い仕事をありがとう、ライドウさん」
「えっと……リョーマさん。ご無沙汰してました」
「リョーマはついでに断崖絶壁に金銀財宝が吊るされてる仕事、とも言ってたがね」
「……ノマさん、でしたよね。きつい仕事、ご苦労様です」
PRGの幹部数人が声を掛けてくれる。
さっき来たばかりの僕に気付くのが早い。
傭兵団を率いるヴィヴィさん、今回の仕事に凄く乗り気でいてくれるリョーマさん、それに軍師も担ってるらしいノマさん。
名高い傭兵団からこうして指導を受けられるのはこれからツィーゲ軍になっていく彼らにとってはかなりの幸運だろうな。
「どうです、ツィーゲの軍人志望者たち。最低限の基本は出来てると思いますが、その分我も強そうで不安も感じてるんですが」
「んー。細かな分析をしていけば練度を始め、まだまだだけど優秀なのは確かだね。若いだけの未経験君を形にするよりは随分と楽が出来そう」
ヴィヴィさんはそこそこ評価してくれているみたいだ。
練度はそれこそ軍人としての生活と訓練で身につけていくものだろうし、一朝一夕で備わるものじゃない。
今回はいきなりの戦争を乗り越える事を最優先にすべきだろうから、幾つかすっ飛ばしている要素も当然あると思う。
出来れば戦後その辺りまで何らかの形でフォローしてもらえると嬉しいよねえ。
「元冒険者は特に俺の様な専門性の高い兵士には向いている。今回の戦で出番があるかどうかはともかく、諜報と工作においては期待してくれて良いよ」
リョーマさんだ。
彼は自身と同じく工作や情報収集を担う部隊を育成してくれているらしい。
連携ももちろん重要な要素だけど、個人の技量や冒険者として培ったスキルや経験も比較的活かし易いのかもしれない。
「肝心の防衛戦については、申し訳ないがまだまだだ。最悪今回の戦争では指示に従って戦える事を最優先に鍛錬を進める事になるかもしれない。商人ギルドの重鎮たちには説明済みだが、君も知っておいて欲しい」
ノマさんは防衛部隊、今回の戦争で一番大きな役割を期待されている部分を引き受けてくれている。
冒険者はともかく、用心棒や衛兵はその辺りが得意そうだけど……一筋縄じゃいかないのか。
「指示に従って……皆さんが市街戦も見越して作戦を考えたり現地で指示を出したりするんですか?」
外壁を死守出来ればいいけど、それは流石に都合の良い考えだ。
壁に張り付かれたら、次は中での戦闘も考えなくちゃいけない。
市民の避難計画とか、どうなってるんだろ。
色々気になって、取り合えず市街戦になったらどうする予定なのか聞いてみた。
「市街戦?」
けど、ノマさんの答えは予想外の事を聞かれた、といった感じで。
「……ああ! ライドウ君はもしかしてそこの外壁で防衛戦をやる、と思ってる?」
「へ? ……ええ、まあ」
「なるほど、壁違いか」
ヴィヴィさんの指摘にノマさんが頷く。
しかし僕にはまだちょっと良くわからない。
壁違い、とは?
ツィーゲの外壁といえば一つしかない。
荒野側のアレはどう考えても違う。
「ライドウさん。レンブラント氏はこの壁まで軍を寄せ付ける気は全く無い」
「え?」
「ここからでは見えないが今頃遥か向こうに新生ツィーゲの外壁が出来ている頃だよ」
リョーマさんが丁寧に教えてくれた。
新しく、壁を作った?
戦争する為の防壁を、新しく!?
「わ、わざわざ戦争する用に、そこまで……?」
「? 違うよ、ライドウ君。新生ツィーゲの、外壁」
「新生?」
「そそ。パトリック=レンブラント、彼は今のツィーゲを都市国家でございと言うつもりなんてさらさら無かったみたいでね。新しく作った壁からこっちは全部、ツィーゲって『街』だ、と結構な土地もアイオンから分捕るつもりでいる。だよね、ノマ」
「……ああ。我々の策と練兵、冒険者たちの働き、それにライドウ殿の動き次第では……アイオン軍はツィーゲの街を見る事すら出来ず敗退する」
……。
ここから向こうの方向って言うと……多少の丘やら盆地状の地形やらがあるにしても基本的には平原が随分と続く
エリアだ。
黄金街道もかなり緩やかなカーブか直線で構成されてる。
そのどこかに壁を作って?
そこからこっちは全部ツィーゲ?
それなんて子供の喧嘩?
え、ええ?
通るの、そんなの。
というか、全部ツィーゲってどういう事?
「あははは、そりゃいきなり聞かされても混乱するよねえ」
その通りです、ヴィヴィさん。
私は今とてもよくわからない。
レンブラントさんの頭の中、どうなってんの?
「いや、それはおかしな話だよヴィヴィ。レンブラント氏はこの案をライドウ殿からもらったと話していたのだから。我々まで欺く必要はあるまいよ、ライドウ殿」
?
何のこっちゃ、です。
ノマさん、レンブラントさんが何を言ったと。
「ええっと……そんなぶっ飛んだ考え、レンブラントさんに一言も言った事は無い、つもりなんですが」
「しかし彼はライドウ殿からいっそコランもツィーゲとひとまとめにして巨大な街を作ってしまえば面白い、と聞かされたらしいが……?」
「コランと、ツィーゲ……」
確かに……いつだったか二つの街を繋げてしまえばどっちの街も便利になるし行き来も楽になる、みたいな事は口にしたような……してないような……。
でもそれが外壁で囲ったら全部ツィーゲなんて陣取りゲームみたいな発想になる?
ならんよね?
「覚えはありそうな雰囲気。へぇ、ライドウ君がね、そんな発想もするんだ。意外」
「現在進行形で外壁内のエリアに生息する魔獣や魔物は冒険者に駆逐させているし、彼は本気で外壁内を全て一つの超巨大な人の街として整備するつもりでいるぞ。価格が高騰し過ぎた土地の問題や、十分な農地の確保、範囲内の村や街を吸収する事での人口と労働力の獲得、区画整理の必要なくほぼ一から手掛けられる都市計画……と実現しさえすれば世界レベルの会心の一手になる。アレは実にとんでもない男だな、一介の商人とは思えん」
ノマさんの言葉に絶句する。
……界。
ある、あった。
それなりに遠いけど黄金街道の両脇から壁が展開されている。
あんな壁の作り方ありなのか。
誰もした事ないからやったもん勝ちなのか。
え……あそこからこっち側を全部……一つの街として整備する?
振り返る。
そこにはツィーゲの、今の外壁がある。
あそこから道が幾つも伸びて、家や畑が出来て、店も出来て……それがずっとあの壁まで続く?
全ての道はローマに通ず。
不意にそんな言葉が浮かんだ。
とんでもない。
いや、本当にこれはとんでもない。
「ライドウ君?」
「あの……黄金街道から両脇に展開された壁からこっちが、全部ツィーゲになる? 防衛戦はあそこでやるって事か……。マジか、そんなの、マジなのか……」
『……』
「ツィーゲの商人、凄いわ」
つくづく、凄い発想とそれを承認する柔軟な姿勢の両方に感嘆させられた。
「いや、ライドウ君?」
「はい?」
「なんで外壁の形状をばっちり言い当てられるの?」
「え、それは探知魔術……的なもので。確かに出来てました」
PRGの皆さんが微妙な視線で僕を見る。
「……あのライドウ殿の言う事だからな。きっと冗談ではないんだろうな」
「戦力だけじゃなくスキル一つでも戦争の形を変えるね、ライドウ君は」
「この距離でそんな真似をされたら工作兵や密偵はほぼ無力化される可能性もあるんだが」
そりゃもう月読様から賜った能力ですからね。
「それはさておき。壁が出来てるなら、遠征冒険者組はその向こうで動いてる訳ですか」
思ってたよりも遠くまで出てるな。
……荒野に比べたら楽勝って感じで動いてるのかと思いきや、一つ間違えると帰還が難しくなる可能性もあるじゃないか。
トア達なら大抵問題無かろうと思ってたけど……巴からも何も聞いてないし、多分生きてる、よね?
「そういえば、ギネビアさんが行方を眩ましたとか聞いたな」
「ああ、ビアの姐御な。いい加減レンブラント氏に言いくるめられて便利に使われるのに耐えられんくなったのだろう。ちょっと見で相性良くないのは明らかだったから」
「ビアさんかー。確かにあれは相性コテンパンって感じだったもんねー」
相性コテンパン、すか。
じっくり話した事は無いけれど……あの人はアズノワールさんと同じ脳筋族だと思う。
少し系統が違うにしろ、僕とも多少似ているような気がする。
よしわかった、更地にしてから考えよう。
みたいなね。
そして何より、行方を眩ましたと話題になりながら微塵も心配されてない所が凄い。
「あの人は今は何を頼まれてたんです?」
「ん? ビアさん? えっと、六夜さんから引き継ぎで万が一の時にアルパインってパーティの安全確保、だっけ?」
「うむ」
「アルパイン!?」
ヴィヴィさんとノマさんが確認するのを見て聞き逃せないワードが耳にかすり、聞き返す。
トアと愉快な仲間たちじゃないか!
「ま、あの人が一緒なら何が相手でも大丈夫。時々肉体言語が出てくるだけで根は真面目な人だからね、アルパインも大丈夫大丈夫、知らんけど」
無責任!
ヴィヴィさん、この人はフレンドリーだし明るいし、コミュ強感あるんだけどさ。
時々傭兵的なドライ感出てくる気がする。
本業の戦争関連以外は結構適当な人かも、とか思い始めてる。
んーそうか。六夜さん、今はアルパインから離れてたのか。
お祝い装備渡して満足した?
始まりの冒険者組はPRG以上に読めないんだよなぁ。
「僕が言うのも何ですけど、トア達もそれなりに運が悪い方ですから……多少心配だな」
「……なあ、ノマ。そろそろ聞いてみても良いかな?」
「良いんじゃないか? ライドウ殿はどうやら自分から教えてくれんようだし」
「?」
リョーマさんが何やらそわそわしている。
「あのさ、ライドウ君。その背中に背負ってるそびえ立つ荷物はなに?」
あ、忘れてた。
リョーマさんもヴィヴィさんの問いに何度も頷いている。
挨拶代わりの話のつもりが、つい話し込んじゃった。
失態だなー。
「物凄く気になってたんだが、ライドウさんが何事もなく話をしてるからどう尋ねたものかと」
「我々全員日陰になってるしな、見晴らしの良い野原で」
ここに来た本来の目的を忘れてた。
鍛錬してる皆に差し入れをしに来たんだ。
せっかく上手い事指導してるPRGの面々に会ったのに何をしてるんだ、僕は。
「すみません、すっかり頭から抜けてました。これ、皆さんに差し入れです」
ドス、と出来るだけ静かに荷を下ろす。
食べ物だからね、粗末に扱ってはいけない。
もういい加減に消費がね、追いつかなくなりそうだからね。
「それは、ありがとう。……軽食かな」
ヴィヴィさんが上を見上げながら、やや不安混じりで確かめてくる。
流石、正解だ。
「ええ、唐揚げです。鳥の揚げ物ですね」
「……だけ?」
「あ、もうそろそろ酒とお茶の差し入れも来ますので、鍛錬の区切りがついたら皆さんでどうぞ」
「何故に、揚げ物一種のみ……?」
「最近、ウチの澪がこのメニューにハマってまして。これ以上続くようなら、お店にも並べて……毎日差し入れもしようかと本気で悩んでます」
無くならない。
とにかく無くならない。
このままだと亜空どころかツィーゲの住民全員があいつの唐揚げを食べる事になるんじゃなかろうか。
これで下手に澪の唐揚げが気に入った人が出てきてしまうと結構まずい事になる。
澪……次のメニューにハマると唐揚げあんまり作らなくなるだろうからな。
厨房チームにレシピはきちんと保管するように伝えておこう。
「平和だな、クズノハ商会」
「……そう? 私はこの量の揚げ物を量産してる所を想像するだけで胸焼けしてくる」
「ところでこれ、どうやって中身を出せば?」
「ああ、これドワーフの力作で携行型唐揚げサーバー4Lサイズなんでここんとこの口を開けてもらって、横のスイッチを押しますと」
熱々の唐揚げたちが素敵な香りと共にゴロゴロ出てきた。
うん、誰もが認めるであろう技術の無駄使い。
いつまでも出来立ての最高の状態を保ちたいからと例の如く職人の迷走と暴走が帰結したのが、これだ。
ちなみにSサイズだと卓上にきちんと収まる。
なぜそこで満足できないのかエルダードワーフ。
用途だけを考えれば大量になるならマジックバッグを使えば良い。
それだと微妙な環境調整と時間経過を完全にゼロには出来ないとか何とか、もう云々。
最後に付け加えられた言い訳の、あとでかい見た目の方がテンション上がる、というのが本当の理由なんじゃなかろうかと思えてならない。
類似品の酒サーバー各種も同じノリだからね!
『……ゴクリ』
あまり嗅ぎ慣れていないお三方は見事に食欲をそそられてくれたみたいで一安心。
気に入ってもらって美味しく、そして沢山食べてもらいたい。
「それじゃあ僕はこれで。また何か動きがありましたら僕らにも事後でも良いので教えてください」
そう言って彼らと別れる。
!!
そうだ!
孤児院にも持っていこう。
あそこには食べ盛りの、しかも子どもが沢山いるじゃないか!
よし、じゃあ職業訓練? 的な何かがちゃんと行われているかどうかの視察という建前でお裾分けだ!
感想 3,667
あなたにおすすめの小説
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
「お姉様の刺繍は素人ね」と笑った義妹の婚礼衣装——裏地を見た女官十二人が、一斉に針を置いた
歩人(あゆと)「お姉様の刺繍は、素人の手習いに見えますわね」――王太子妃となる異母妹アデリーナは、王宮女官たちの前で姉ローゼを笑った。翌週の婚礼の朝。式典装の最終確認のため、十二人の女官が衣装の裏地を検めた瞬間――一人、また一人と、針を置いた。裏地に縫い込まれていたのは、女官たちが十二年間ずっと探していた一筆の銀糸。即位式の絹外套、二人の王女の婚礼ドレス、亡き王太后の弔意の喪服。王家儀礼衣装のすべての裏地に、同じ手で、同じ糸で、同じ銀の花が縫い込まれていた。「アデリーナ様、これは――あなた様の手では、ございません」縫い手は、ずっと一人だった。それを十二年間、誰の名でも呼べなかっただけのこと。
薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~
黄色いひよこ@Index ©薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
─── からの~数年後 ────
俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。
ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。
「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」
そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か?
まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。
この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。
多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。
普通は……。
異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話。ここに開幕!
● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。
● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさんパーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃコミカライズ企画進行中です!!
3巻発売です!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&3巻出版!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(3巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
夏にはいよいよコミカライズ連載開始予定です!乞うご期待!!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)