文字の大きさ
大
中
小
481 / 551
七章 蜃気楼都市小閑編
見敵撲滅
ハァハァと。
荒く短く、そして余裕の欠片もない呼吸が鬱陶しい。
自らのものだったとしても、今は思考の邪魔になって仕方ないと男は不快感を露わに顔を歪めた。
走る速度は決して緩めない。
隠形に属する、気配を隠すスキルも絶対に途切れさせない。
彼は一流のプロだった。
ツィーゲで三十年以上活躍し続け、亜人の身ながら裏社会で名を馳せた。
ノーガという、成長してもヒューマンの十代ほどの外見を保ち続ける亜人であった事は彼の仕事にも大いに役立った。
種族特性として斥候、隠密に有利な能力を幾つも有していたのも幸運だった。
だが。
彼はそこに甘えず、絶えず自らを鍛え続けてきた。
だからこそヒューマンどころか速力を売りにする亜人よりも速く長く走り続ける事ができるし、一般的なノーガなら十数分の連続使用が限界の特性もその気になれば数日維持し続ける事だって可能だった。
(気配は完全に殺していた)
(わかりやすいほどの雑魚をけしかけてからのタイミングも完璧だったはずだ)
(襲撃ポイントと狙撃ポイントもだ。あれ以上の場所はない。物理的にも心理的にも死角をとっていた)
(そして特性の機械弓を用いての超遠距離狙撃。魔力感知もさせないよう細心の注意を払った。なのに)
なのに――。
彼の標的は狙撃の瞬間、確かにこちらを見た。
時間にすれば狙撃の瞬間まで一秒未満。
それでも極力意識を沈めたまま、確実な狙撃に至った彼は確かに一流の狙撃手、或いは暗殺者だろう。
(奴は初めて見る筈の速度と通常より遥かに短い矢を……手で掴んだ)
雑魚をけしかけた事で標的の護衛だろう冒険者は炙り出せた。
彼女の微かな気の緩みも彼には確認できていた。
なのに結果は、狙撃する瞬間を見られ、そしてかわされ、あまつさえ必殺の矢を手掴みされた。
如何に優秀であっても男に動揺が生まれたのは、責められない事かもしれない。
だがそれが更なる失態を生んだ。
標的は一連の動きの中でも一度として男から目を離す事なく。
矢を手にした瞬間には何故か呆れたような失望したような眼をして、何でもない事のように矢をそのまま射返してきた。
否、厳密には射撃でも狙撃でもなく投擲だ。
しかしその矢は男が放ったものよりも遥かに鋭く恐るべき速さで機械弓をセットした右腕の上部、肩を貫き周囲の肉もろとも彼方の空に消えていった。
あの永遠に思えるような、実際には数秒に過ぎない捕捉された時間。
「っっっっ!!」
思い出すと薬で消した筈の痛覚が男の肩に蘇ってくる。
記憶の痛みとでもいうのか、と男は自嘲した。
放置すれば死に至るであろう落ちかけた右腕。
後の治療よりも今死なぬ事を大事に、男も多少無茶をしている自覚はあった。
(これは、しくじった。あの初撃をもって仕留めなくては最早俺に機会は無かろう)
状況を幾度も反芻し、次の襲撃をどう仕掛けるのかも含めて全力疾走しながら熟考した男は結論に至った。
勝てない、と。
それも頭に万に一つも、と付く絶望的な力量差だと男は思っている。
悪い考えに満たされる中、屋根の上、建物の影を巧みに利用して駆けて駆けて駆け抜けた彼はようやく一つの、開け放たれた二階の窓に飛び込んだ。
このツィーゲで『レター』の二つ名で知られるフリーの始末屋である男の、数あるアジトの一つがそこだった。
いくらアジトとしてそれなりに揃えているアジトであっても相当な重傷である右腕は治療できない。
それでも馴染みの治癒術師のところに行くまでにしておける応急処置の手立ては増える。
最初に手をつけるべき事もすでに決めていたのか、真っ先に魔法薬を保管している棚に急ぐ――いや、急ごうとした。
ピタリとその足が止まり、荒い呼吸が静まる。
「誰だ」
「……ほぅ、驚いた。まずは及第点をやろう」
側方に視線を向ける男。
隠れるでもなく部屋の片隅に置かれた椅子に腰かけ丸テーブルに片肘を置き頬杖をついた女が一人、いた。
「お前は……」
「なるほど、標的の周辺に至るまで下調べも万全か。その経験、良いではないか」
「巴、だな」
「うむ」
標的の周辺にいた要注意人物の一人だと、男は即座に気付いた。
依頼遂行にあたって絶対に引き離さなくてはならない人物でもある。
「……どうやら俺は凄まじくヤバい奴らに手を出してしまった、らしいな」
「っと。敵わぬと知って自決などは止めよ。別にお主の雇い主になど興味も無いし、拷問をする気などもないからの」
「っ!?」
思考を読まれたかのような巴の言葉に絶句する男。
そんな事されたら手間が増えて仕方がないわ、と巴はため息交じりにぶつぶつと愚痴っている。
「おい、モンドよ」
「はっ」
「!?」
不意に放たれた巴の言葉に、男の背から返事が返る。
このアジトに巴がいる段階で何かがもう致命的におかしいのだと男は思っていた。
加えて位置関係からしても男はこのモンドなる男に尾行されていた事になる。
例えば意を決して行動に出た場合、良い目が出るか悪い目が出るか。
男の経験と勘両方が絶対に動くなと警鐘を鳴らす。
「これなぞで丁度良いかと思うんじゃが、どうじゃ?」
「……何とか足るのではないかと」
「では……おいお前レターとか言ったかの。本名は……ルキか、なるほど」
「っ!? な……」
「ルキ。ウチの若を襲った罰じゃ。しばし付き合え。モンド、後は頼む」
「お任せください」
巴の姿が掻き消える。
もはや自分でさえさほど意識する事が無くなった名前をズバリ言い当てる巴の存在にルキは冷や汗が止まらない。
「お前、ら。一体、何者だ」
「見ての通り、ツィーゲで健気に頑張る何でも屋さんだ。まあ運よくこういう次第になったんだ、大人しく従ってくれ」
「お前らの行動のどこに運などというものがあった! 全て予測していたかの如き、いや全て最初から知っていたかの様な動きは一体――」
「……運よくってなぁ、お前さんの事だよルキ。襲撃仕掛けて旦那と巴様に対峙してまだ生きてるんだ、中々持ってるのは間違いねえよ」
やや砕けた口調になった褐色の肌の男モンドがルキに話しかける。
これから自分がどうなるのか、ルキには見当もつかない。
が確実にわかる事はその決定権が自分にはない事。
そして彼らが自分に何らかの使い道を見出している事。
ルキは天を仰ぐ。
僅かな功名心から危険すぎる仕事を請けてしまったと。
中学生くらいにしか見えない彼の諦めの吐息は、どこか年齢相応の疲れた様子を感じさせていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆
見敵撲滅。
カプリさんがさも当然の様に答えてくれた賊対策はとてもとてもシンプルなものだった。
不当に力尽くで大切な預かりものである荷を奪おうとする輩に他にどう対処するというのか、と逆に聞き返されてしまった。
だから輸送チームには街中を巡回するだけのルートであっても用心棒を必ずつけるんだと。
むしろ別口で雇うというよりチームの武力担当がいると言った方が妥当ね、とカプリさんは言っていた。
街の外に出て長い距離を移動する場合や重要な荷を輸送する場合には冒険者ギルドを介して冒険者パーティを雇ったり、懇意にしている冒険者に声を掛けてお願いしたりするという。
ちなみに賊対策を最初に聞いたのがカプリさんなのは、ちょっと寄ったブロンズマン商会で両商会の代表同士が馬車の改良について熱の入った相談をしている所だったから。
馬車というと大抵のやつの見た目は木材やら布が大部分なんだけど、これで意外と要所要所に使われてる金属部品ってのは多くて、多くが性能に直結するような重要な役割を果たしている。
もちろん木材も布もより丈夫でより軽くを基本に、ツィーゲでは様々な材が研究されてる。
馬車ってのは消耗速度も早い上に需要も多いから木と布、どっちの業界からしても超がつくお得意様になる訳で。
商品開発についても優先的に行われていくって寸法です。
世の原理とでも言いましょうか。
ああちなみに。
ブロンズマン商会に賊対策を聞いた所、やったらやり返す、だそうだ。
職人ネットワークでとことんまで犯人や協力者を特定して追い詰め、償わせると。
ただ鍛冶職人は特にそうらしいんだけど、よほどの名品を持ち込まれたりした時でもない限り狙われる事も少ないらしい。
報復の習慣が知れ渡ってるからか、余程の覚悟が無いと手を出されない業界と化しているらしい。
カプリさんが羨ましがってた。
目には目を、歯には歯をというのが同害復讐法ってやつだろうけどツィーゲの職人版の場合同害に収まらず少しばかり過激だから余計に悪党の方が震え上がるみたいだ。
追いかける労力や時間分も乗っけとかないと同害とは言えない、とでも言わんばかり。
目には両目、歯なら上か下選べ。
そんな感じだ。
当たり前の様に商人やら冒険者、町人から見れば過激な報復で良く思われていない習慣でもあるようだけど……。
例え後から過剰だと街から罰を言い渡される結果になろうと職人ズは止まらないらしい。
俺らの法で裁く、ってやつだね。
鍛冶を頂点に、ツィーゲにおいて職人がそれなりの力を持っている証左ともいえる。
「いっそ車輪にゴムを巻き付けて衝撃吸収に使えないのかしら?」
ぶっ。
それなんて現代なタイヤ。
「嬢ちゃん、そりゃ発想はわかるがよ。残念ながら車輪に使えそうな耐久性重視のゴム素材なんぞねえんだよ。やれと言われりゃこちとら職人よ、諸々障害は乗り越えてやってみせるが……多分その辺の町に一往復したらもうボロボロになんぞ? 使う毎に全部とっかえにならあな」
発想はわかるんだ。
そっか、ツィーゲに限らず確かにゴムっぽいのは比較的有るもんな。
魔物由来の素材だって聞いた事ある。
革素材みたいになめして使うからこっちじゃゴムは皮革職人の扱いだ。
亜空みたいにヤシの木から謎のゴム汁が出てきたりはしないらしい。
素材として考えると植物で何かありそうな木はするけれど……未だ発見されてないってパターンだろうか。
ああ、魔物からだから厚みとかの自由があまり効かないってのもあるかも。
「じゃあ当面はバネをクッションの補助に使うしかないのねえ。でも色々確かめてみたいからひと揃えゴムの車輪も作ってみて下さいな……やれるのよね?」
「う……きっちり金は貰うからな。今頼まれてる専用道用の強化部材を納めたらすぐにバネってのと一緒に取り掛からあ」
「楽しみにしてます、ごめんあそばせ。じゃあライドウ君も、またね」
「あ、はい。お疲れ様です」
杖も使わずしゃきしゃき歩いて工房を横断し帰っていくカプリさん。
馬車専用道が出来た事で明らかに荷を扱う速度と量が変わったとこの間喜んでいたけど、早速フィードバックして改良を持ち掛けてたみたい。
時刻表がどうのと人の輸送についても頭を悩ませていたのに、一方では乗り心地の改善にも手を付けてる。
凄いマルチタスクっぷり、に見える。
それ以上にあの人の場合は満ち溢れるバイタリティのインパクトが強いから、つい忘れがちになる。
「うああ、どうすんだ。車輪をゴム素材で保護する? いや言ってる事はわかるがどんだけ素材使って繋ぎゃあいいんだか……」
改めてブロンズマンさん、正確にはブロンズマン商会代表レイダシュリンクメン=ブロンズマンさんを見ると頭を抱えていた。
彼からは家名のブロンズマンがそのまま商会名になっていて、かつ長ったらしい名前だから名前じゃなくそっちで呼んでくれと言われてる。
こないだ温泉に招待した時にも念を入れられたっけ。
名前にトラウマでもあるのかな。
商売にならない道楽の一品ものになっちまうぜ、諦めようじゃないか。
そう持っていこうと思っていた話だったのに逆手に取られてクソ忙しいのに余計で面倒な仕事を突っ込まれた気分なんだろうな。
自分の発言が元になってる事って中々断りにくいんだよねえ。
「ご愁傷様です」
「あんな流行りもんの服だの装飾品だのに使うゴムを俺が扱う日が来るとはなあ……ああ、ライドウ。済まんな寄ってもらって」
「いえ」
「舗装の事でちょいと魔建築周りの話が出来るのと相談してえ、いや勉強させてもらいてえ点がいくつかあってな」
「舗装ですか」
「おう、今の街の舗装なんかは大抵石畳かその改良品だろ?」
「ですね」
「だが馬車の専用道やら一口に道といってもこれからは用途によって適した素材が変わってくるんじゃねえかと俺は思う」
「あー、なるほど」
「で魔建築なんて呼ばれちゃいるが、お前んとこの技術は明らかに土木も意識した代物だろ」
「建築といっても外構部分や外との取り合いを考えると、まあ土木も関係してきますから」
「ああ。しかしなんつーかライドウよ、お前さんは物を知らんようで、だが聞けば何故か当たり前に答えられもする。面白い奴だよ。広く浅い知識なんてのはあんま商人が目指すもんじゃねえ気もするが……何でも屋ならそれが理想形、なのか?」
「は、はは……」
「済まん、話が逸れたな。今最優先して進めにゃならんのは馬車専用道だ。それも街の外に伸ばしていく、駅と駅を結ぶやつな。馬の脚を考えりゃダートが一番なんだが舗装しちまった方がこっちとしちゃ整備も楽でな」
馬の走り易さか。
ダートって踏み固められた土の道、みたいなもんだよな。
つまり未舗装、地道に転圧して作っていくんだろうか。
正直ああいう道って人や動物が歩いていく内に出来る獣道の延長みたいなイメージしかない。
後は草原みたいな……芝か。
いやいや芝生の道って……ないでしょ。
公園で養生したりしながら丁寧に広げて保っている印象しかない。
道とは到底結び付かないな。
「理想はダートと同じくらい馬の脚に負担が少なく、丈夫で崩れにくく、かつ整備が容易な素材なんだが……ムゾーんとこやら最近勢いがあるミリオノ商会やら色々当たって職人たちにも情報収集してるんだが、どうにも良くねえ」
「最適の素材、ですか。確かにそれだけの条件を満たすのは中々難しいですよね……」
「それにどうも、な」
「?」
「さっきのじゃねえがカプリ嬢ちゃんがもう二手三手先を見てるような気がしてなぁ」
「と言いますと?」
「最近の嬢ちゃんはミニチュアゴーレムにも興味津々だ。こういってはなんだが……馬車の先というか馬の代わり、上位互換の何かを見据えてるんじゃねえかと」
「っ」
ジオラマに熱の篭った興味を向けてたのはそういう事!?
鉄道みたいなものを導入する事も視野に入れてる?
……いくつまで生きるつもりなのかカプリさん。
大体、この世界でいうなら鉄道はさほど急いで手を伸ばすようなものでもない。
適当な魔獣を馴らした方が多分速度も出るしなあ。
ブロンズマンさんじゃないけど、馬の完全上位互換となる種が沢山いる世界なんだからさ。
ウチが馬として馬車とかで活躍してもらってるのもバイコーンって魔獣だし。
「ま、そんなこんなでそっちの職人にも心当たりや技術について話を聞かせてもらいてえんだ。流石にクズノハ商会が独自に育て上げた職人を無理やり職人仲間だってんで連れ込んだんじゃ義理が立たんからな」
「お気遣いありがとうございます」
「もういいか、連れてきちまうかなって何度かは思ったんだがな」
「!」
「だってよ、お前さんとこのドワーフ達ウチの目の前の酒場に堂々とやってきちゃ昼飯ついでに酒食らってわいわいやって戻ってくからよ。もう声かけちまうかなって思いもすらあな」
「……で、ですよね。きっとウチのドワーフ達も皆さんの仕事が気になってる、んじゃないかなーっと。失礼しました」
「魔建築の方じゃ随分そっちの職人たちにも世話になってるからよ。土木でも頼りにするのは申し訳ねえが、一つよろしく頼む」
ブロンズマンさんが頭を下げる。
昼間にご飯食べに来たりする辺り、ベレン以下エルドワ達が何かと気にかけているのは事実なんだろう。
ここにはエルダードワーフはいないけれどドワーフの職人なら大勢いる。
ちょっとした先輩気分もあるかもしれない。
ギルドに伝言を残されて呼び出されたから、もっと大きなきつい問題が持ち上がったのかと思ったけどそうでもなくて良かった。
「わかりました。ベレンに一度話をしますので、そうですね近い内にお昼時にでもお酒を持たせてそちらに向かわせます」
「助かる。これは貸しだと、そう思ってくれて良いからな」
「ありがとうございます。そこは遠慮なく思わせて頂きますね」
薄いゴムを厚くして車輪に使う方法となると、これからブロンズマンさんも大分しんどいデスマーチをする羽目になるんだろうなと。
いくらか同情的な思いを抱きつつ工房を後にした時。
(若。おかげで良さそうなのが釣れました。お戻りになりましたら少しばかり報告したき事が)
巴からの念話。
(了解。といっても、商会に顔出したらもう戻るよ)
トアといい、まったく僕はエサじゃないぞと。
結局あの後1ダースくらい賊を捕縛して職人街付近の冒険者ギルド詰所であの子とは別れたけどさ。
(では、お待ちしております。今夜は蕎麦ですぞ)
僕の複雑な心境とは正反対、無茶苦茶わかりやすくて嬉しそうな巴の声。
毒気が抜かれるというか、少しばかり気分が明るくなる。
でもそうか。
蕎麦なのか。
良いね。
少しばかり、足取りが軽くなった気がした。
家に帰ろう!
荒く短く、そして余裕の欠片もない呼吸が鬱陶しい。
自らのものだったとしても、今は思考の邪魔になって仕方ないと男は不快感を露わに顔を歪めた。
走る速度は決して緩めない。
隠形に属する、気配を隠すスキルも絶対に途切れさせない。
彼は一流のプロだった。
ツィーゲで三十年以上活躍し続け、亜人の身ながら裏社会で名を馳せた。
ノーガという、成長してもヒューマンの十代ほどの外見を保ち続ける亜人であった事は彼の仕事にも大いに役立った。
種族特性として斥候、隠密に有利な能力を幾つも有していたのも幸運だった。
だが。
彼はそこに甘えず、絶えず自らを鍛え続けてきた。
だからこそヒューマンどころか速力を売りにする亜人よりも速く長く走り続ける事ができるし、一般的なノーガなら十数分の連続使用が限界の特性もその気になれば数日維持し続ける事だって可能だった。
(気配は完全に殺していた)
(わかりやすいほどの雑魚をけしかけてからのタイミングも完璧だったはずだ)
(襲撃ポイントと狙撃ポイントもだ。あれ以上の場所はない。物理的にも心理的にも死角をとっていた)
(そして特性の機械弓を用いての超遠距離狙撃。魔力感知もさせないよう細心の注意を払った。なのに)
なのに――。
彼の標的は狙撃の瞬間、確かにこちらを見た。
時間にすれば狙撃の瞬間まで一秒未満。
それでも極力意識を沈めたまま、確実な狙撃に至った彼は確かに一流の狙撃手、或いは暗殺者だろう。
(奴は初めて見る筈の速度と通常より遥かに短い矢を……手で掴んだ)
雑魚をけしかけた事で標的の護衛だろう冒険者は炙り出せた。
彼女の微かな気の緩みも彼には確認できていた。
なのに結果は、狙撃する瞬間を見られ、そしてかわされ、あまつさえ必殺の矢を手掴みされた。
如何に優秀であっても男に動揺が生まれたのは、責められない事かもしれない。
だがそれが更なる失態を生んだ。
標的は一連の動きの中でも一度として男から目を離す事なく。
矢を手にした瞬間には何故か呆れたような失望したような眼をして、何でもない事のように矢をそのまま射返してきた。
否、厳密には射撃でも狙撃でもなく投擲だ。
しかしその矢は男が放ったものよりも遥かに鋭く恐るべき速さで機械弓をセットした右腕の上部、肩を貫き周囲の肉もろとも彼方の空に消えていった。
あの永遠に思えるような、実際には数秒に過ぎない捕捉された時間。
「っっっっ!!」
思い出すと薬で消した筈の痛覚が男の肩に蘇ってくる。
記憶の痛みとでもいうのか、と男は自嘲した。
放置すれば死に至るであろう落ちかけた右腕。
後の治療よりも今死なぬ事を大事に、男も多少無茶をしている自覚はあった。
(これは、しくじった。あの初撃をもって仕留めなくては最早俺に機会は無かろう)
状況を幾度も反芻し、次の襲撃をどう仕掛けるのかも含めて全力疾走しながら熟考した男は結論に至った。
勝てない、と。
それも頭に万に一つも、と付く絶望的な力量差だと男は思っている。
悪い考えに満たされる中、屋根の上、建物の影を巧みに利用して駆けて駆けて駆け抜けた彼はようやく一つの、開け放たれた二階の窓に飛び込んだ。
このツィーゲで『レター』の二つ名で知られるフリーの始末屋である男の、数あるアジトの一つがそこだった。
いくらアジトとしてそれなりに揃えているアジトであっても相当な重傷である右腕は治療できない。
それでも馴染みの治癒術師のところに行くまでにしておける応急処置の手立ては増える。
最初に手をつけるべき事もすでに決めていたのか、真っ先に魔法薬を保管している棚に急ぐ――いや、急ごうとした。
ピタリとその足が止まり、荒い呼吸が静まる。
「誰だ」
「……ほぅ、驚いた。まずは及第点をやろう」
側方に視線を向ける男。
隠れるでもなく部屋の片隅に置かれた椅子に腰かけ丸テーブルに片肘を置き頬杖をついた女が一人、いた。
「お前は……」
「なるほど、標的の周辺に至るまで下調べも万全か。その経験、良いではないか」
「巴、だな」
「うむ」
標的の周辺にいた要注意人物の一人だと、男は即座に気付いた。
依頼遂行にあたって絶対に引き離さなくてはならない人物でもある。
「……どうやら俺は凄まじくヤバい奴らに手を出してしまった、らしいな」
「っと。敵わぬと知って自決などは止めよ。別にお主の雇い主になど興味も無いし、拷問をする気などもないからの」
「っ!?」
思考を読まれたかのような巴の言葉に絶句する男。
そんな事されたら手間が増えて仕方がないわ、と巴はため息交じりにぶつぶつと愚痴っている。
「おい、モンドよ」
「はっ」
「!?」
不意に放たれた巴の言葉に、男の背から返事が返る。
このアジトに巴がいる段階で何かがもう致命的におかしいのだと男は思っていた。
加えて位置関係からしても男はこのモンドなる男に尾行されていた事になる。
例えば意を決して行動に出た場合、良い目が出るか悪い目が出るか。
男の経験と勘両方が絶対に動くなと警鐘を鳴らす。
「これなぞで丁度良いかと思うんじゃが、どうじゃ?」
「……何とか足るのではないかと」
「では……おいお前レターとか言ったかの。本名は……ルキか、なるほど」
「っ!? な……」
「ルキ。ウチの若を襲った罰じゃ。しばし付き合え。モンド、後は頼む」
「お任せください」
巴の姿が掻き消える。
もはや自分でさえさほど意識する事が無くなった名前をズバリ言い当てる巴の存在にルキは冷や汗が止まらない。
「お前、ら。一体、何者だ」
「見ての通り、ツィーゲで健気に頑張る何でも屋さんだ。まあ運よくこういう次第になったんだ、大人しく従ってくれ」
「お前らの行動のどこに運などというものがあった! 全て予測していたかの如き、いや全て最初から知っていたかの様な動きは一体――」
「……運よくってなぁ、お前さんの事だよルキ。襲撃仕掛けて旦那と巴様に対峙してまだ生きてるんだ、中々持ってるのは間違いねえよ」
やや砕けた口調になった褐色の肌の男モンドがルキに話しかける。
これから自分がどうなるのか、ルキには見当もつかない。
が確実にわかる事はその決定権が自分にはない事。
そして彼らが自分に何らかの使い道を見出している事。
ルキは天を仰ぐ。
僅かな功名心から危険すぎる仕事を請けてしまったと。
中学生くらいにしか見えない彼の諦めの吐息は、どこか年齢相応の疲れた様子を感じさせていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆
見敵撲滅。
カプリさんがさも当然の様に答えてくれた賊対策はとてもとてもシンプルなものだった。
不当に力尽くで大切な預かりものである荷を奪おうとする輩に他にどう対処するというのか、と逆に聞き返されてしまった。
だから輸送チームには街中を巡回するだけのルートであっても用心棒を必ずつけるんだと。
むしろ別口で雇うというよりチームの武力担当がいると言った方が妥当ね、とカプリさんは言っていた。
街の外に出て長い距離を移動する場合や重要な荷を輸送する場合には冒険者ギルドを介して冒険者パーティを雇ったり、懇意にしている冒険者に声を掛けてお願いしたりするという。
ちなみに賊対策を最初に聞いたのがカプリさんなのは、ちょっと寄ったブロンズマン商会で両商会の代表同士が馬車の改良について熱の入った相談をしている所だったから。
馬車というと大抵のやつの見た目は木材やら布が大部分なんだけど、これで意外と要所要所に使われてる金属部品ってのは多くて、多くが性能に直結するような重要な役割を果たしている。
もちろん木材も布もより丈夫でより軽くを基本に、ツィーゲでは様々な材が研究されてる。
馬車ってのは消耗速度も早い上に需要も多いから木と布、どっちの業界からしても超がつくお得意様になる訳で。
商品開発についても優先的に行われていくって寸法です。
世の原理とでも言いましょうか。
ああちなみに。
ブロンズマン商会に賊対策を聞いた所、やったらやり返す、だそうだ。
職人ネットワークでとことんまで犯人や協力者を特定して追い詰め、償わせると。
ただ鍛冶職人は特にそうらしいんだけど、よほどの名品を持ち込まれたりした時でもない限り狙われる事も少ないらしい。
報復の習慣が知れ渡ってるからか、余程の覚悟が無いと手を出されない業界と化しているらしい。
カプリさんが羨ましがってた。
目には目を、歯には歯をというのが同害復讐法ってやつだろうけどツィーゲの職人版の場合同害に収まらず少しばかり過激だから余計に悪党の方が震え上がるみたいだ。
追いかける労力や時間分も乗っけとかないと同害とは言えない、とでも言わんばかり。
目には両目、歯なら上か下選べ。
そんな感じだ。
当たり前の様に商人やら冒険者、町人から見れば過激な報復で良く思われていない習慣でもあるようだけど……。
例え後から過剰だと街から罰を言い渡される結果になろうと職人ズは止まらないらしい。
俺らの法で裁く、ってやつだね。
鍛冶を頂点に、ツィーゲにおいて職人がそれなりの力を持っている証左ともいえる。
「いっそ車輪にゴムを巻き付けて衝撃吸収に使えないのかしら?」
ぶっ。
それなんて現代なタイヤ。
「嬢ちゃん、そりゃ発想はわかるがよ。残念ながら車輪に使えそうな耐久性重視のゴム素材なんぞねえんだよ。やれと言われりゃこちとら職人よ、諸々障害は乗り越えてやってみせるが……多分その辺の町に一往復したらもうボロボロになんぞ? 使う毎に全部とっかえにならあな」
発想はわかるんだ。
そっか、ツィーゲに限らず確かにゴムっぽいのは比較的有るもんな。
魔物由来の素材だって聞いた事ある。
革素材みたいになめして使うからこっちじゃゴムは皮革職人の扱いだ。
亜空みたいにヤシの木から謎のゴム汁が出てきたりはしないらしい。
素材として考えると植物で何かありそうな木はするけれど……未だ発見されてないってパターンだろうか。
ああ、魔物からだから厚みとかの自由があまり効かないってのもあるかも。
「じゃあ当面はバネをクッションの補助に使うしかないのねえ。でも色々確かめてみたいからひと揃えゴムの車輪も作ってみて下さいな……やれるのよね?」
「う……きっちり金は貰うからな。今頼まれてる専用道用の強化部材を納めたらすぐにバネってのと一緒に取り掛からあ」
「楽しみにしてます、ごめんあそばせ。じゃあライドウ君も、またね」
「あ、はい。お疲れ様です」
杖も使わずしゃきしゃき歩いて工房を横断し帰っていくカプリさん。
馬車専用道が出来た事で明らかに荷を扱う速度と量が変わったとこの間喜んでいたけど、早速フィードバックして改良を持ち掛けてたみたい。
時刻表がどうのと人の輸送についても頭を悩ませていたのに、一方では乗り心地の改善にも手を付けてる。
凄いマルチタスクっぷり、に見える。
それ以上にあの人の場合は満ち溢れるバイタリティのインパクトが強いから、つい忘れがちになる。
「うああ、どうすんだ。車輪をゴム素材で保護する? いや言ってる事はわかるがどんだけ素材使って繋ぎゃあいいんだか……」
改めてブロンズマンさん、正確にはブロンズマン商会代表レイダシュリンクメン=ブロンズマンさんを見ると頭を抱えていた。
彼からは家名のブロンズマンがそのまま商会名になっていて、かつ長ったらしい名前だから名前じゃなくそっちで呼んでくれと言われてる。
こないだ温泉に招待した時にも念を入れられたっけ。
名前にトラウマでもあるのかな。
商売にならない道楽の一品ものになっちまうぜ、諦めようじゃないか。
そう持っていこうと思っていた話だったのに逆手に取られてクソ忙しいのに余計で面倒な仕事を突っ込まれた気分なんだろうな。
自分の発言が元になってる事って中々断りにくいんだよねえ。
「ご愁傷様です」
「あんな流行りもんの服だの装飾品だのに使うゴムを俺が扱う日が来るとはなあ……ああ、ライドウ。済まんな寄ってもらって」
「いえ」
「舗装の事でちょいと魔建築周りの話が出来るのと相談してえ、いや勉強させてもらいてえ点がいくつかあってな」
「舗装ですか」
「おう、今の街の舗装なんかは大抵石畳かその改良品だろ?」
「ですね」
「だが馬車の専用道やら一口に道といってもこれからは用途によって適した素材が変わってくるんじゃねえかと俺は思う」
「あー、なるほど」
「で魔建築なんて呼ばれちゃいるが、お前んとこの技術は明らかに土木も意識した代物だろ」
「建築といっても外構部分や外との取り合いを考えると、まあ土木も関係してきますから」
「ああ。しかしなんつーかライドウよ、お前さんは物を知らんようで、だが聞けば何故か当たり前に答えられもする。面白い奴だよ。広く浅い知識なんてのはあんま商人が目指すもんじゃねえ気もするが……何でも屋ならそれが理想形、なのか?」
「は、はは……」
「済まん、話が逸れたな。今最優先して進めにゃならんのは馬車専用道だ。それも街の外に伸ばしていく、駅と駅を結ぶやつな。馬の脚を考えりゃダートが一番なんだが舗装しちまった方がこっちとしちゃ整備も楽でな」
馬の走り易さか。
ダートって踏み固められた土の道、みたいなもんだよな。
つまり未舗装、地道に転圧して作っていくんだろうか。
正直ああいう道って人や動物が歩いていく内に出来る獣道の延長みたいなイメージしかない。
後は草原みたいな……芝か。
いやいや芝生の道って……ないでしょ。
公園で養生したりしながら丁寧に広げて保っている印象しかない。
道とは到底結び付かないな。
「理想はダートと同じくらい馬の脚に負担が少なく、丈夫で崩れにくく、かつ整備が容易な素材なんだが……ムゾーんとこやら最近勢いがあるミリオノ商会やら色々当たって職人たちにも情報収集してるんだが、どうにも良くねえ」
「最適の素材、ですか。確かにそれだけの条件を満たすのは中々難しいですよね……」
「それにどうも、な」
「?」
「さっきのじゃねえがカプリ嬢ちゃんがもう二手三手先を見てるような気がしてなぁ」
「と言いますと?」
「最近の嬢ちゃんはミニチュアゴーレムにも興味津々だ。こういってはなんだが……馬車の先というか馬の代わり、上位互換の何かを見据えてるんじゃねえかと」
「っ」
ジオラマに熱の篭った興味を向けてたのはそういう事!?
鉄道みたいなものを導入する事も視野に入れてる?
……いくつまで生きるつもりなのかカプリさん。
大体、この世界でいうなら鉄道はさほど急いで手を伸ばすようなものでもない。
適当な魔獣を馴らした方が多分速度も出るしなあ。
ブロンズマンさんじゃないけど、馬の完全上位互換となる種が沢山いる世界なんだからさ。
ウチが馬として馬車とかで活躍してもらってるのもバイコーンって魔獣だし。
「ま、そんなこんなでそっちの職人にも心当たりや技術について話を聞かせてもらいてえんだ。流石にクズノハ商会が独自に育て上げた職人を無理やり職人仲間だってんで連れ込んだんじゃ義理が立たんからな」
「お気遣いありがとうございます」
「もういいか、連れてきちまうかなって何度かは思ったんだがな」
「!」
「だってよ、お前さんとこのドワーフ達ウチの目の前の酒場に堂々とやってきちゃ昼飯ついでに酒食らってわいわいやって戻ってくからよ。もう声かけちまうかなって思いもすらあな」
「……で、ですよね。きっとウチのドワーフ達も皆さんの仕事が気になってる、んじゃないかなーっと。失礼しました」
「魔建築の方じゃ随分そっちの職人たちにも世話になってるからよ。土木でも頼りにするのは申し訳ねえが、一つよろしく頼む」
ブロンズマンさんが頭を下げる。
昼間にご飯食べに来たりする辺り、ベレン以下エルドワ達が何かと気にかけているのは事実なんだろう。
ここにはエルダードワーフはいないけれどドワーフの職人なら大勢いる。
ちょっとした先輩気分もあるかもしれない。
ギルドに伝言を残されて呼び出されたから、もっと大きなきつい問題が持ち上がったのかと思ったけどそうでもなくて良かった。
「わかりました。ベレンに一度話をしますので、そうですね近い内にお昼時にでもお酒を持たせてそちらに向かわせます」
「助かる。これは貸しだと、そう思ってくれて良いからな」
「ありがとうございます。そこは遠慮なく思わせて頂きますね」
薄いゴムを厚くして車輪に使う方法となると、これからブロンズマンさんも大分しんどいデスマーチをする羽目になるんだろうなと。
いくらか同情的な思いを抱きつつ工房を後にした時。
(若。おかげで良さそうなのが釣れました。お戻りになりましたら少しばかり報告したき事が)
巴からの念話。
(了解。といっても、商会に顔出したらもう戻るよ)
トアといい、まったく僕はエサじゃないぞと。
結局あの後1ダースくらい賊を捕縛して職人街付近の冒険者ギルド詰所であの子とは別れたけどさ。
(では、お待ちしております。今夜は蕎麦ですぞ)
僕の複雑な心境とは正反対、無茶苦茶わかりやすくて嬉しそうな巴の声。
毒気が抜かれるというか、少しばかり気分が明るくなる。
でもそうか。
蕎麦なのか。
良いね。
少しばかり、足取りが軽くなった気がした。
家に帰ろう!
感想 3,667
あなたにおすすめの小説
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
「お姉様の刺繍は素人ね」と笑った義妹の婚礼衣装——裏地を見た女官十二人が、一斉に針を置いた
歩人(あゆと)「お姉様の刺繍は、素人の手習いに見えますわね」――王太子妃となる異母妹アデリーナは、王宮女官たちの前で姉ローゼを笑った。翌週の婚礼の朝。式典装の最終確認のため、十二人の女官が衣装の裏地を検めた瞬間――一人、また一人と、針を置いた。裏地に縫い込まれていたのは、女官たちが十二年間ずっと探していた一筆の銀糸。即位式の絹外套、二人の王女の婚礼ドレス、亡き王太后の弔意の喪服。王家儀礼衣装のすべての裏地に、同じ手で、同じ糸で、同じ銀の花が縫い込まれていた。「アデリーナ様、これは――あなた様の手では、ございません」縫い手は、ずっと一人だった。それを十二年間、誰の名でも呼べなかっただけのこと。
薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~
黄色いひよこ@Index ©薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
─── からの~数年後 ────
俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。
ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。
「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」
そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か?
まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。
この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。
多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。
普通は……。
異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話。ここに開幕!
● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。
● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさんパーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃコミカライズ企画進行中です!!
3巻発売です!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&3巻出版!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(3巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
夏にはいよいよコミカライズ連載開始予定です!乞うご期待!!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)