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2巻
2-3
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[僕が最初に習っていたのは弓道といって、弓の扱いから精神を高める特殊なものでした]
「キュウドウ?」
[そうです。実戦というよりは習い事の一つ。弓を構えて的に当てる。そこに礼法を組み合わせたものです]
「意味がわからない」
[でしょうね。特殊なのです。突き詰めると、弓の技術よりも精神の向上が目的だといえるでしょう。僕の最初の動作はその名残です]
「それがあの威力と命中力を生むの?」
[全てではありませんが、そうですね]
「キュウドウ……未知のもの。凄かった」
エルフ娘はサラダ中心ではあるが、ちゃんと肉も食べている。雑食性のようで安心した。
弓の一件から、僕に結構興味を持っていたんだな。それまでの関係が希薄すぎて全然気づかなかったよ。
抱えていた疑問を直接ぶつけることができて満足したのか、エルフ娘は一気に酒をあおる。彼女の酒は深い赤色をしていた。乾杯は他の人に合わせてエールだったのだろうが、今飲んでいるのはワインっぽい、多分。
あとで僕も色々なお酒を頼んでみるか。潰れない程度に試してみよう。
「ライドウさん」
呼ばれたほうを見ると、錬金青年が席を立って隣に来ていた。円卓なんだから別に近くに来なくても良いだろうに。
[どうしました?]
「ライドウさんはルビーアイの瞳をどうするのです!? やはり道具や武具への付与ですか!?」
だいぶでき上がってる。ドワ娘に相当飲まされたな。
[いや、今回はギルドの依頼があったのでそれに使おうかと]
「なんと! 勿体ないですぞ!」
[いやいや、依頼主が商会の人でして。僕としては人脈作りになるかと思いましてね。そういうわけでお譲りいただいたんです]
「ほほーう、人脈ですか! 確かに、商売には必要ですな。紹介がないだけで、薬の効能もろくに確認せず足元を見てくる輩もおりますから!」
[すみませんね、貴重なものをいただいてしまって]
「いやいやいや!! むしろ、我々は貰いすぎなくらい素材を分配していただいたのです! こちらがお礼を言いたいくらいです!」
[再出発には色々と入用でしょうから、あれだけだと足りないかもしれないですが]
「なんの、十分です! 夢みたいな幸運の数々に、僕は今なら空が飛べるんじゃないかと思いましたね! 宿だっていつもよりランクが上なのですよ!」
大袈裟な人だな。草食系かと思っていたが、酔うと性格変わるのか。宿のランクがどうとかって辺りは庶民的で微笑ましい。
[それは良かった。あの分配で本当によかったのか心配していたのですよ]
「全くお気になさらないでください! ははははは。明日はギルドにいますから、一緒に他の連中を驚かせましょーー!」
青年が席へと戻って行く。一人で何かに乾杯して楽しそうにまた飲んでいる。愉快な人だ。
「おー! 飲んでますか! 飲んでますな! ささささ、もっと飲みましょう! 食べましょう!」
今度はドワ娘さんか。
この人は酔うと明るくなるんだな。おっさんっぽくなるともいえるが……元気です! ってのが全面に出ていて好感が持てる。モテる飲み方ではないと思うけど……。
今も右手で酒をあおりながら、左手にはジョッキを二つ持ってるし。
二つのジョッキは飲む用なのか、それとも飲ませる用なのか……どっちでも納得できる雰囲気が怖い。
[もちろん、楽しくやってますよ]
「それはいい! 酒を楽しまないのは、生まれたことへの冒涜ですからな!」
そこまで言いますかってくらいの下戸全否定。
地精霊を信仰しているらしいけど、酒信仰の間違いじゃないだろうか。
だけど、この雰囲気の彼女がそう言うとなんだか、そうかもな~って思えてきて困る。
「ところで」
いきなり好戦的な目で僕を見つめるドワ娘さん。近い、顔が近いよ。
しかも酒くせえ! どんだけ飲んでるんだよ!?
ったく、ドワーフなのに髭もないし、十二分に可愛いんだから自重してくれって!
[何か?]
「昼の戦闘、実に鮮やかな弓捌きでした!」
[どうも]
「しかし、あの威力。あれは技術や武器の出来だけで出せるものではない」
[というと?]
「ライドウ殿、実は膂力も相当なものですな!?」
ドワ娘さんは楽しげにそう言った。
その通りだ。この世界に来てから、素殴りが通用しなかった相手は皆無だ。
[ええ、まあ……]
「ははははは! うん、気に入りました! 私と勝負してください!」
言うが早いか、彼女は僕らの前の酒と食べ物を腕でざざーっと片付けた。
何をしようと?
彼女は卓に肘をつき、右腕を僕に突き出した。
これは、腕相撲か? そうなのか?
「さあ!」
まあ、これは間違いないだろうな。よし、付き合うか、楽しそうだし!
[乗った!]
僕も立ち上がり、彼女と手を握り合う。
リノンはいつの間にやらトアさんの膝の上に避難していた。聡い子だ。
「嬉しいですな。我がドワーフ伝統の力比べを知っておられようとは」
腕相撲が伝統的なのか!? 不敵に笑うドワ娘は本当に楽しそうだ。
「ではリノン殿。はじめ、と声をかけてもらえるか?」
「いいよ! じゃあ、いくよ~はじめ!!」
瞬間、ドワ娘が一気に力を入れて僕の腕を持っていこうとする。
だが、僕はまったく動じない。だって彼女、非力なんだもん。
「ぬおおおおお! 何とおおお!」
[ふんっ!]
軽く力を入れ、左に腕を倒す。
「ふおっ!? のわっ!」
肘を支点にしてドワ娘がひっくり返った。
「お兄ちゃんの勝ち! 凄ーーい!」
パチパチと拍手がもらえた。リノンは目をまん丸にして驚いている。
「何とまあ、こんな負け方をしたのは生まれて初めてです。参りましたなあ、世の中は広い!」
ドワ娘は右手をさすりながら立ち上がり、豪快に笑ってまた飲みだした。今度はエルフ娘に絡んでいる。
澪に目をやると、彼女の食べた皿の片付けが追いついておらず、僕のすぐ横にまで空の皿が積み上げられ始めていた。
もっとも、僕も結構な量を食べまくっているのであんまし人のことは言えないんだけど。
仕方なく僕は、リノンの座っていた席に移動する。
前には、短冊状に切られたステーキ。その横に甲殻類っぽいやつを茹でたもの。
どっちも結構いける。ステーキの割にはあっさりとしていて、肉汁がうまい。
甲殻類の方は甘味の強いカニみたいだった。食感はふわっとしている。プリプリじゃないがこれはこれでうまい。
「楽しんでもらえているみたいで何よりです。どんなものが好きか聞いてなかったので、実は少し不安だったんですよ」
僕が美味しそうに食べているのに気が付いたのだろう。隣にいるトアさんが安心した感じで声をかけてきた。リノンはまだ彼女の膝の上にいる。
「全部おいしいよね、お兄ちゃん!」
リノンの言うとおりだ、ここまで出てきた料理でまずいものは一つもなかった。多少味は薄い気がするけど、そんなことが気にならないくらい美味しい。
素材はもとより、調味料をうまく使っているのだろう。
[美味しいです、凄く。澪も僕も感激してますよ]
彼女たちの選択は最高だと感じていたので、正直な感想を伝えた。
「ライドウさんの故郷はここと食習慣が違うみたいですが、味付けは大丈夫でしたか?」
[全体的に薄味かと思いますが、どれもとても美味しい]
「薄い、ですか。ここは濃い味付けで酒を飲ませるのがウリのお店なんですが……」
[おや、そうですか。では僕の故郷が濃いだけなのかもしれませんね。じつに美味しいです]
「ふふふ、ライドウさん、さっきから美味しいばかり! ……話が変わりますけど、明日は朝からすぐにギルドですか?」
楽しげに笑いながらも、含むものがありそうな表情でトアさんが続ける。
何か頼み事でもあるのかな?
[明日は巴と合流して、まずは冒険者ギルドで登録をしようかと。それから商人ギルドに顔を出して、あとは観光ですかね]
「あら、観光なさるんですか」
[ええ、この街は初めてですから。旅行、好きなんです]
「うふふ。何だかライドウさんって本当に貴族みたいですね。どれだけ大きな商会の跡継ぎ様なのか」
[世間知らずですみません]
旅行ってこの世界だと結構凄い趣味になるのか?
「いえいえ。それでは明日の夜にでも一度、宿にお邪魔してもよろしいですか? 澪様の連絡先を伺うのも兼ねて」
そういえば、ルビーアイの瞳をもらうときに四人に澪の連絡先を教えて欲しいと頼まれたっけ。
要するに、「メアド交換してください」って意味だね。
別に構わないからOKしたんだったな。……明日の夜か。そうしたら巴と澪と僕と三人分渡すか。
[ええ、構いませんよ。明日の夜ですね]
明日は予定がみっちりだなあ。
まずは巴と澪を連れて冒険者ギルドに行く。それから商人ギルドに行って、僕の商会を立ち上げたあと、観光がてら街中を見て回るか。この世界の地図と、それから周辺の地図を買って――。
……それにしても。
今日は本当に楽しい夜だなあ。
宴は夜遅くまで続いた。
料金はたったの金貨一枚。
あれだけ食って飲んでその程度。実に安い。最高だ!
――ツィーゲ。
世界の果て周辺では最も栄えている場所。
言いかえれば、ヒューマンが住む地への入口。
僕の荒野の旅もここで終了。
やー、長かった。
そしてうまかった! 楽しかった!
2
巴から連絡がない。
確かに昨夜は飲みすぎて、彼女に連絡をし損ねた。だが、向こうからも連絡がなかったのは少々気になる。
宿の部屋で門を作り、澪と亜空に入ってみたが、巴は亜空に戻っておらず、この大陸のどこかを走り回っている模様。ちなみに僕も絶野を出て少しした頃に、亜空を行き来する門を作り出せるようになった。
僕が頼んだ「調査」をしているならそれはもう嬉しい。でも、連絡をしてこないことから察するに、武者修行に夢中なのだろう。
僕が門を作れるようになり、亜空に自由に出入りできるようになったため、亜空での巴の行動についてはある程度住人たちからの報告でわかる。しかし入れ違いも多く、伝言による報告が多くなっているから、詳しくはわからない。まあ、「念話」という新たなコミュニケーションツールである程度補えるんですけどね。
僕も最近会得したこのスキル、なかなかに便利なのだ。
念話は、繋げた相手に声を届けるだけの、比較的簡単な魔法の一つだ。特別な素質などは必要なく、巴や澪も当然使える。お互いに簡単な詠唱を使って、事前に念話でやり取りすることを承認しておかないと〝繋がらない〟とか、発信者と受信者の力量によって通話範囲が大きく変わるとか、携帯電話に比べて色々不便なところはあるけど、この世界の通信手段としては結構優れている。僕と巴、澪の場合は主従の契約も絡んでいるので、今説明した一般的な特徴と違いがあるかもしれないが、それはまだ調査中だ。
近頃の巴は、そんな便利な念話での連絡すら寄越さない。
困ったもんだ。
「にしても……凄いスピードで進んでいるねぇ」
感嘆半分、呆れ半分で独りごちる。
三週間前に資材を用意したばかりだというのに、僕の家の建設予定地はすっかり均され、基礎部分らしきものができている。場所によっては外壁や柱などの建築がもう始まっていた。
すでに結構形になってきたんだな。作業は順調に進んでいるみたい。
しかし、とにかくでかい。これ、出鱈目な大きさで作ろうとしてる? ツィーゲにも大きな建物はあったけど、今ここに建てられようとしているものは、正直、ケタが違う。
僕の隣にいる澪は、建築現場を見て唖然としている。
考えてみて欲しい。
亜空の総人口は数百人です。
この建物造りに従事している人数や、労働時間を考えると、申し訳ない気持ちになってくる。
僕は不在にすることが多いし、急いでもらう必要はないんだけどなぁ……。
「若様の邸宅建設は最優先事項ですから!」
澪と僕に付いてくれているエマさんが話す。彼女はハイランドオークのお嬢さんで、コミュニケーションスキルが高い。亜空の取りまとめ役として、各種族の間を忙しく動いてらっしゃるお方だ。
「エマさん。僕の家なんて後回しでいいですよ。他に急ぎの仕事があるのでは?」
「それはそれで進めています。まだ都市というものをどこに造るのか本格的に決まっていませんから、共同でやる仕事はこれくらいなのですよ」
エマさんは笑顔で話を続ける。
「若様の邸宅は住人たちの集会所としても使う予定なので、ご心配なく」
なるほどね。なら、別に良いや。ありがたく建築してもらうとしよう。
しかし、本当に良くできた人だ。亜空での用事は、巴よりもエマさんにお願いしようかな。割と本気で。
「そうですか。大歓迎ですからどんどん使ってくださいね、会議でも集会でも。ところで、巴は……」
「巴様は亜空世界の現状を確かめると言って数日前からお一人で出かけておいでです。多少、気になることもいくつか出てきておりますので、そちらの調査も兼ねていただいています」
言いにくそうにエマさんは巴の動向を伝えてくれる。完全に趣味で動いているわけじゃないみたいだ。ちょっと安心した。
「気になること、ですか。エマさ――」
「若様!」
「はい!?」
突然呼ばれ、思わず「はい」とか言ってしまった。
「私どもに敬語で話すのは止めてください。普通に話してください!」
エマさんはご立腹の様子。やー、僕、結構素で敬語使っちゃうタイプなんですけどね?
……むう。亜空に住んでいる身としては、一番偉い人間がこんな調子じゃ困るというわけか。
人間よりも上下関係に厳しいのかね、魔物さんってのは。
「気をつけま、いや、気をつけるよ。……それでね、エマさん。気になることって言ってたけど、詳しく聞きたいな。あと、この数週間の報告も簡単にお願い」
口調を改めたのが嬉しかったのか、エマさんは少し機嫌を直してくれたようで、先ほどまでの秘書さんスタイルで報告をしてくれた。
「では、前回お見えになったときに若様が気にされていた点から報告いたします。まず、住環境ですが、これはどの種族にとっても問題ありません。巴様の転移のおかげで皆家はありますし、ご心配いただきました転移の際の損傷なども現状起こっておりません。住む場所についても、特に問題なく分配し終わっています」
巴の転移は相当便利みたいだ。事実、この亜空でも元々家のない僕はテント住まいだったけど、オークやドワーフみたいに集落ごと来ている種族は住居に苦労していない。転移の際に家財を纏めて外に出していたけど、家の損傷がなかったのなら必要なかったのかも。
「アルケーの皆様は森と山岳部に住居を構えると言っておられます。私たちオークとリザードマンたちで、交流も兼ねて家造りのお手伝いをしておりますが、大きな問題はありません。周辺の調査も同時に進めてくれるとのことです」
「ええ、あの子たちから報告が上がってきています。見つけた動植物などの情報もまとめてくれていますわ」
澪が補足する。アルケーと澪は眷属、というか親子関係のような間柄。連絡も一番に澪へと入るようだ。
「周辺の調査をしてくれるのは頼もしいね。あとでお礼を言いに行かなきゃな、澪」
「過分なお言葉、ありがとうございます若様。あの子たちも喜びますわ」
エマさんも澪へ感謝の言葉を口にする。
「本当に助かっております。また、澪様が亜空へいらしてから新たにできた森などの調査ですが、まだ進んでおりません。近々手をつけるつもりで準備しております。それから、我々の探索で集まった情報の整理ですが、お屋敷がある程度できてきましたら、そちらでやらせていただこうと思うのですが、よろしいでしょうか?」
「もちろん、構わないよ。ドワーフたちはどんな感じ?」
「彼らは、建物の建設や修繕を進めてくれております。武具の製作も担当していただいており、優秀な鍛冶師たちが、寝る間も惜しんで若様、巴様、澪様の装備される品を試作しています」
そういや以前、武具の献上がどうとか言っていたな。この間もらった矢だけじゃなく色々進めてくれているのかな。
「最後にリザードマンのみなさんですが、各集落の警護、農地利用を考えている場所の開拓、それから資材・食料の調達などを担当していただいています。統制がとれているので、作業の進行はスムーズですね」
ほほ~、あの人らは純粋な武官としてだけではなく、開拓とか資材調達もできるのか。ただ戦うだけじゃないんだな。しかし、もう農地がどうとかいう話まで出ているのか。なんか、手を広げすぎな気がするけど……。
亜空の住人たちはそれぞれ一芸を持ち、なおかつ適材適所でやっている。だから順調に進むのはわかる。でも、事を急ぎすぎて、慢性的な人手不足に陥る可能性があるんじゃないだろうか。
僕の屋敷建設はペースを落としてもらい、その分他に人員を割いてもらいたいな。ここははっきりとエマさんに伝えておこう。
「聞いている限りだと、人手が明らかに不足している気がするけど?」
遠慮せずに尋ねる。無理をしては元も子もないのだから。
「確かにそうですね。しかし、どの作業もそれ自体の規模はまだ小さなものですので、現状人手は問題になっておりません」
エマさんの答えは、僕が予想していたものとは違っていた。
「開拓やら開墾やらはとにかく人手だと思うんだけど?」
再度、エマさんに問う。
「……無節操に拡げるだけでしたら、若様の仰る通りです。ですが、まだ試験段階なので、順序や手順の確立を優先しています。なので今は、情報の把握と理解のできる人材が重要なのです」
「というと?」
「現在行っている作業の進行に欠かせないのが若様からの情報です。ところがそれは、我々の知らない言語で書かれておりますので、理解のできる巴様に随時確認を取りながら進めておりました。しかし、やはり効率が悪いのです。数日前からはその巴様もおりませんので、各所から出される『この動物は何だ、この植物は何だ』といった類の報告書の処理が進みません。亜空の動物や植物などは若様の知識に一致するものが多いとお聞きしていますが、我々には全く想像できないものが多く、困っております……」
彼らは、巴が僕の記憶を画像みたいにして、図鑑としてまとめたものを頼りに作業をしている。
……そうか、失念してた。僕の記憶の中では当然、日本語が使われている。そりゃあオークやリザードマンの方々が見て困っちゃうのは当たり前だ。
ちなみに、亜空の発展に不可欠だ、という理由で、僕の記憶は結構な部分が閲覧可能になっている。もちろん、以前巴に伝えて封印したものや、閲覧不可の記憶もあるけどね。
私もまだ少ししかわからないのでなかなか……とエマさんはこっちを見ている。彼女の視線の意味はわかる。期待、だ。いるならちょっと翻訳やってよ、ってことだろう。
てか、日本語の文章を理解できていた巴が凄まじいのか。好きこそ物の上手なれとはよく言ったもんだなぁ……恐るべし時代劇。アイツにごく短期間で日本語を習得させたのはお前か。
だが、その巴も完全に理解しているわけではないだろうし、ずっと辞書代わりに使われては爆発もしようってものだ。……それがここ最近の音信不通の理由かは不明ですけど。
「キュウドウ?」
[そうです。実戦というよりは習い事の一つ。弓を構えて的に当てる。そこに礼法を組み合わせたものです]
「意味がわからない」
[でしょうね。特殊なのです。突き詰めると、弓の技術よりも精神の向上が目的だといえるでしょう。僕の最初の動作はその名残です]
「それがあの威力と命中力を生むの?」
[全てではありませんが、そうですね]
「キュウドウ……未知のもの。凄かった」
エルフ娘はサラダ中心ではあるが、ちゃんと肉も食べている。雑食性のようで安心した。
弓の一件から、僕に結構興味を持っていたんだな。それまでの関係が希薄すぎて全然気づかなかったよ。
抱えていた疑問を直接ぶつけることができて満足したのか、エルフ娘は一気に酒をあおる。彼女の酒は深い赤色をしていた。乾杯は他の人に合わせてエールだったのだろうが、今飲んでいるのはワインっぽい、多分。
あとで僕も色々なお酒を頼んでみるか。潰れない程度に試してみよう。
「ライドウさん」
呼ばれたほうを見ると、錬金青年が席を立って隣に来ていた。円卓なんだから別に近くに来なくても良いだろうに。
[どうしました?]
「ライドウさんはルビーアイの瞳をどうするのです!? やはり道具や武具への付与ですか!?」
だいぶでき上がってる。ドワ娘に相当飲まされたな。
[いや、今回はギルドの依頼があったのでそれに使おうかと]
「なんと! 勿体ないですぞ!」
[いやいや、依頼主が商会の人でして。僕としては人脈作りになるかと思いましてね。そういうわけでお譲りいただいたんです]
「ほほーう、人脈ですか! 確かに、商売には必要ですな。紹介がないだけで、薬の効能もろくに確認せず足元を見てくる輩もおりますから!」
[すみませんね、貴重なものをいただいてしまって]
「いやいやいや!! むしろ、我々は貰いすぎなくらい素材を分配していただいたのです! こちらがお礼を言いたいくらいです!」
[再出発には色々と入用でしょうから、あれだけだと足りないかもしれないですが]
「なんの、十分です! 夢みたいな幸運の数々に、僕は今なら空が飛べるんじゃないかと思いましたね! 宿だっていつもよりランクが上なのですよ!」
大袈裟な人だな。草食系かと思っていたが、酔うと性格変わるのか。宿のランクがどうとかって辺りは庶民的で微笑ましい。
[それは良かった。あの分配で本当によかったのか心配していたのですよ]
「全くお気になさらないでください! ははははは。明日はギルドにいますから、一緒に他の連中を驚かせましょーー!」
青年が席へと戻って行く。一人で何かに乾杯して楽しそうにまた飲んでいる。愉快な人だ。
「おー! 飲んでますか! 飲んでますな! ささささ、もっと飲みましょう! 食べましょう!」
今度はドワ娘さんか。
この人は酔うと明るくなるんだな。おっさんっぽくなるともいえるが……元気です! ってのが全面に出ていて好感が持てる。モテる飲み方ではないと思うけど……。
今も右手で酒をあおりながら、左手にはジョッキを二つ持ってるし。
二つのジョッキは飲む用なのか、それとも飲ませる用なのか……どっちでも納得できる雰囲気が怖い。
[もちろん、楽しくやってますよ]
「それはいい! 酒を楽しまないのは、生まれたことへの冒涜ですからな!」
そこまで言いますかってくらいの下戸全否定。
地精霊を信仰しているらしいけど、酒信仰の間違いじゃないだろうか。
だけど、この雰囲気の彼女がそう言うとなんだか、そうかもな~って思えてきて困る。
「ところで」
いきなり好戦的な目で僕を見つめるドワ娘さん。近い、顔が近いよ。
しかも酒くせえ! どんだけ飲んでるんだよ!?
ったく、ドワーフなのに髭もないし、十二分に可愛いんだから自重してくれって!
[何か?]
「昼の戦闘、実に鮮やかな弓捌きでした!」
[どうも]
「しかし、あの威力。あれは技術や武器の出来だけで出せるものではない」
[というと?]
「ライドウ殿、実は膂力も相当なものですな!?」
ドワ娘さんは楽しげにそう言った。
その通りだ。この世界に来てから、素殴りが通用しなかった相手は皆無だ。
[ええ、まあ……]
「ははははは! うん、気に入りました! 私と勝負してください!」
言うが早いか、彼女は僕らの前の酒と食べ物を腕でざざーっと片付けた。
何をしようと?
彼女は卓に肘をつき、右腕を僕に突き出した。
これは、腕相撲か? そうなのか?
「さあ!」
まあ、これは間違いないだろうな。よし、付き合うか、楽しそうだし!
[乗った!]
僕も立ち上がり、彼女と手を握り合う。
リノンはいつの間にやらトアさんの膝の上に避難していた。聡い子だ。
「嬉しいですな。我がドワーフ伝統の力比べを知っておられようとは」
腕相撲が伝統的なのか!? 不敵に笑うドワ娘は本当に楽しそうだ。
「ではリノン殿。はじめ、と声をかけてもらえるか?」
「いいよ! じゃあ、いくよ~はじめ!!」
瞬間、ドワ娘が一気に力を入れて僕の腕を持っていこうとする。
だが、僕はまったく動じない。だって彼女、非力なんだもん。
「ぬおおおおお! 何とおおお!」
[ふんっ!]
軽く力を入れ、左に腕を倒す。
「ふおっ!? のわっ!」
肘を支点にしてドワ娘がひっくり返った。
「お兄ちゃんの勝ち! 凄ーーい!」
パチパチと拍手がもらえた。リノンは目をまん丸にして驚いている。
「何とまあ、こんな負け方をしたのは生まれて初めてです。参りましたなあ、世の中は広い!」
ドワ娘は右手をさすりながら立ち上がり、豪快に笑ってまた飲みだした。今度はエルフ娘に絡んでいる。
澪に目をやると、彼女の食べた皿の片付けが追いついておらず、僕のすぐ横にまで空の皿が積み上げられ始めていた。
もっとも、僕も結構な量を食べまくっているのであんまし人のことは言えないんだけど。
仕方なく僕は、リノンの座っていた席に移動する。
前には、短冊状に切られたステーキ。その横に甲殻類っぽいやつを茹でたもの。
どっちも結構いける。ステーキの割にはあっさりとしていて、肉汁がうまい。
甲殻類の方は甘味の強いカニみたいだった。食感はふわっとしている。プリプリじゃないがこれはこれでうまい。
「楽しんでもらえているみたいで何よりです。どんなものが好きか聞いてなかったので、実は少し不安だったんですよ」
僕が美味しそうに食べているのに気が付いたのだろう。隣にいるトアさんが安心した感じで声をかけてきた。リノンはまだ彼女の膝の上にいる。
「全部おいしいよね、お兄ちゃん!」
リノンの言うとおりだ、ここまで出てきた料理でまずいものは一つもなかった。多少味は薄い気がするけど、そんなことが気にならないくらい美味しい。
素材はもとより、調味料をうまく使っているのだろう。
[美味しいです、凄く。澪も僕も感激してますよ]
彼女たちの選択は最高だと感じていたので、正直な感想を伝えた。
「ライドウさんの故郷はここと食習慣が違うみたいですが、味付けは大丈夫でしたか?」
[全体的に薄味かと思いますが、どれもとても美味しい]
「薄い、ですか。ここは濃い味付けで酒を飲ませるのがウリのお店なんですが……」
[おや、そうですか。では僕の故郷が濃いだけなのかもしれませんね。じつに美味しいです]
「ふふふ、ライドウさん、さっきから美味しいばかり! ……話が変わりますけど、明日は朝からすぐにギルドですか?」
楽しげに笑いながらも、含むものがありそうな表情でトアさんが続ける。
何か頼み事でもあるのかな?
[明日は巴と合流して、まずは冒険者ギルドで登録をしようかと。それから商人ギルドに顔を出して、あとは観光ですかね]
「あら、観光なさるんですか」
[ええ、この街は初めてですから。旅行、好きなんです]
「うふふ。何だかライドウさんって本当に貴族みたいですね。どれだけ大きな商会の跡継ぎ様なのか」
[世間知らずですみません]
旅行ってこの世界だと結構凄い趣味になるのか?
「いえいえ。それでは明日の夜にでも一度、宿にお邪魔してもよろしいですか? 澪様の連絡先を伺うのも兼ねて」
そういえば、ルビーアイの瞳をもらうときに四人に澪の連絡先を教えて欲しいと頼まれたっけ。
要するに、「メアド交換してください」って意味だね。
別に構わないからOKしたんだったな。……明日の夜か。そうしたら巴と澪と僕と三人分渡すか。
[ええ、構いませんよ。明日の夜ですね]
明日は予定がみっちりだなあ。
まずは巴と澪を連れて冒険者ギルドに行く。それから商人ギルドに行って、僕の商会を立ち上げたあと、観光がてら街中を見て回るか。この世界の地図と、それから周辺の地図を買って――。
……それにしても。
今日は本当に楽しい夜だなあ。
宴は夜遅くまで続いた。
料金はたったの金貨一枚。
あれだけ食って飲んでその程度。実に安い。最高だ!
――ツィーゲ。
世界の果て周辺では最も栄えている場所。
言いかえれば、ヒューマンが住む地への入口。
僕の荒野の旅もここで終了。
やー、長かった。
そしてうまかった! 楽しかった!
2
巴から連絡がない。
確かに昨夜は飲みすぎて、彼女に連絡をし損ねた。だが、向こうからも連絡がなかったのは少々気になる。
宿の部屋で門を作り、澪と亜空に入ってみたが、巴は亜空に戻っておらず、この大陸のどこかを走り回っている模様。ちなみに僕も絶野を出て少しした頃に、亜空を行き来する門を作り出せるようになった。
僕が頼んだ「調査」をしているならそれはもう嬉しい。でも、連絡をしてこないことから察するに、武者修行に夢中なのだろう。
僕が門を作れるようになり、亜空に自由に出入りできるようになったため、亜空での巴の行動についてはある程度住人たちからの報告でわかる。しかし入れ違いも多く、伝言による報告が多くなっているから、詳しくはわからない。まあ、「念話」という新たなコミュニケーションツールである程度補えるんですけどね。
僕も最近会得したこのスキル、なかなかに便利なのだ。
念話は、繋げた相手に声を届けるだけの、比較的簡単な魔法の一つだ。特別な素質などは必要なく、巴や澪も当然使える。お互いに簡単な詠唱を使って、事前に念話でやり取りすることを承認しておかないと〝繋がらない〟とか、発信者と受信者の力量によって通話範囲が大きく変わるとか、携帯電話に比べて色々不便なところはあるけど、この世界の通信手段としては結構優れている。僕と巴、澪の場合は主従の契約も絡んでいるので、今説明した一般的な特徴と違いがあるかもしれないが、それはまだ調査中だ。
近頃の巴は、そんな便利な念話での連絡すら寄越さない。
困ったもんだ。
「にしても……凄いスピードで進んでいるねぇ」
感嘆半分、呆れ半分で独りごちる。
三週間前に資材を用意したばかりだというのに、僕の家の建設予定地はすっかり均され、基礎部分らしきものができている。場所によっては外壁や柱などの建築がもう始まっていた。
すでに結構形になってきたんだな。作業は順調に進んでいるみたい。
しかし、とにかくでかい。これ、出鱈目な大きさで作ろうとしてる? ツィーゲにも大きな建物はあったけど、今ここに建てられようとしているものは、正直、ケタが違う。
僕の隣にいる澪は、建築現場を見て唖然としている。
考えてみて欲しい。
亜空の総人口は数百人です。
この建物造りに従事している人数や、労働時間を考えると、申し訳ない気持ちになってくる。
僕は不在にすることが多いし、急いでもらう必要はないんだけどなぁ……。
「若様の邸宅建設は最優先事項ですから!」
澪と僕に付いてくれているエマさんが話す。彼女はハイランドオークのお嬢さんで、コミュニケーションスキルが高い。亜空の取りまとめ役として、各種族の間を忙しく動いてらっしゃるお方だ。
「エマさん。僕の家なんて後回しでいいですよ。他に急ぎの仕事があるのでは?」
「それはそれで進めています。まだ都市というものをどこに造るのか本格的に決まっていませんから、共同でやる仕事はこれくらいなのですよ」
エマさんは笑顔で話を続ける。
「若様の邸宅は住人たちの集会所としても使う予定なので、ご心配なく」
なるほどね。なら、別に良いや。ありがたく建築してもらうとしよう。
しかし、本当に良くできた人だ。亜空での用事は、巴よりもエマさんにお願いしようかな。割と本気で。
「そうですか。大歓迎ですからどんどん使ってくださいね、会議でも集会でも。ところで、巴は……」
「巴様は亜空世界の現状を確かめると言って数日前からお一人で出かけておいでです。多少、気になることもいくつか出てきておりますので、そちらの調査も兼ねていただいています」
言いにくそうにエマさんは巴の動向を伝えてくれる。完全に趣味で動いているわけじゃないみたいだ。ちょっと安心した。
「気になること、ですか。エマさ――」
「若様!」
「はい!?」
突然呼ばれ、思わず「はい」とか言ってしまった。
「私どもに敬語で話すのは止めてください。普通に話してください!」
エマさんはご立腹の様子。やー、僕、結構素で敬語使っちゃうタイプなんですけどね?
……むう。亜空に住んでいる身としては、一番偉い人間がこんな調子じゃ困るというわけか。
人間よりも上下関係に厳しいのかね、魔物さんってのは。
「気をつけま、いや、気をつけるよ。……それでね、エマさん。気になることって言ってたけど、詳しく聞きたいな。あと、この数週間の報告も簡単にお願い」
口調を改めたのが嬉しかったのか、エマさんは少し機嫌を直してくれたようで、先ほどまでの秘書さんスタイルで報告をしてくれた。
「では、前回お見えになったときに若様が気にされていた点から報告いたします。まず、住環境ですが、これはどの種族にとっても問題ありません。巴様の転移のおかげで皆家はありますし、ご心配いただきました転移の際の損傷なども現状起こっておりません。住む場所についても、特に問題なく分配し終わっています」
巴の転移は相当便利みたいだ。事実、この亜空でも元々家のない僕はテント住まいだったけど、オークやドワーフみたいに集落ごと来ている種族は住居に苦労していない。転移の際に家財を纏めて外に出していたけど、家の損傷がなかったのなら必要なかったのかも。
「アルケーの皆様は森と山岳部に住居を構えると言っておられます。私たちオークとリザードマンたちで、交流も兼ねて家造りのお手伝いをしておりますが、大きな問題はありません。周辺の調査も同時に進めてくれるとのことです」
「ええ、あの子たちから報告が上がってきています。見つけた動植物などの情報もまとめてくれていますわ」
澪が補足する。アルケーと澪は眷属、というか親子関係のような間柄。連絡も一番に澪へと入るようだ。
「周辺の調査をしてくれるのは頼もしいね。あとでお礼を言いに行かなきゃな、澪」
「過分なお言葉、ありがとうございます若様。あの子たちも喜びますわ」
エマさんも澪へ感謝の言葉を口にする。
「本当に助かっております。また、澪様が亜空へいらしてから新たにできた森などの調査ですが、まだ進んでおりません。近々手をつけるつもりで準備しております。それから、我々の探索で集まった情報の整理ですが、お屋敷がある程度できてきましたら、そちらでやらせていただこうと思うのですが、よろしいでしょうか?」
「もちろん、構わないよ。ドワーフたちはどんな感じ?」
「彼らは、建物の建設や修繕を進めてくれております。武具の製作も担当していただいており、優秀な鍛冶師たちが、寝る間も惜しんで若様、巴様、澪様の装備される品を試作しています」
そういや以前、武具の献上がどうとか言っていたな。この間もらった矢だけじゃなく色々進めてくれているのかな。
「最後にリザードマンのみなさんですが、各集落の警護、農地利用を考えている場所の開拓、それから資材・食料の調達などを担当していただいています。統制がとれているので、作業の進行はスムーズですね」
ほほ~、あの人らは純粋な武官としてだけではなく、開拓とか資材調達もできるのか。ただ戦うだけじゃないんだな。しかし、もう農地がどうとかいう話まで出ているのか。なんか、手を広げすぎな気がするけど……。
亜空の住人たちはそれぞれ一芸を持ち、なおかつ適材適所でやっている。だから順調に進むのはわかる。でも、事を急ぎすぎて、慢性的な人手不足に陥る可能性があるんじゃないだろうか。
僕の屋敷建設はペースを落としてもらい、その分他に人員を割いてもらいたいな。ここははっきりとエマさんに伝えておこう。
「聞いている限りだと、人手が明らかに不足している気がするけど?」
遠慮せずに尋ねる。無理をしては元も子もないのだから。
「確かにそうですね。しかし、どの作業もそれ自体の規模はまだ小さなものですので、現状人手は問題になっておりません」
エマさんの答えは、僕が予想していたものとは違っていた。
「開拓やら開墾やらはとにかく人手だと思うんだけど?」
再度、エマさんに問う。
「……無節操に拡げるだけでしたら、若様の仰る通りです。ですが、まだ試験段階なので、順序や手順の確立を優先しています。なので今は、情報の把握と理解のできる人材が重要なのです」
「というと?」
「現在行っている作業の進行に欠かせないのが若様からの情報です。ところがそれは、我々の知らない言語で書かれておりますので、理解のできる巴様に随時確認を取りながら進めておりました。しかし、やはり効率が悪いのです。数日前からはその巴様もおりませんので、各所から出される『この動物は何だ、この植物は何だ』といった類の報告書の処理が進みません。亜空の動物や植物などは若様の知識に一致するものが多いとお聞きしていますが、我々には全く想像できないものが多く、困っております……」
彼らは、巴が僕の記憶を画像みたいにして、図鑑としてまとめたものを頼りに作業をしている。
……そうか、失念してた。僕の記憶の中では当然、日本語が使われている。そりゃあオークやリザードマンの方々が見て困っちゃうのは当たり前だ。
ちなみに、亜空の発展に不可欠だ、という理由で、僕の記憶は結構な部分が閲覧可能になっている。もちろん、以前巴に伝えて封印したものや、閲覧不可の記憶もあるけどね。
私もまだ少ししかわからないのでなかなか……とエマさんはこっちを見ている。彼女の視線の意味はわかる。期待、だ。いるならちょっと翻訳やってよ、ってことだろう。
てか、日本語の文章を理解できていた巴が凄まじいのか。好きこそ物の上手なれとはよく言ったもんだなぁ……恐るべし時代劇。アイツにごく短期間で日本語を習得させたのはお前か。
だが、その巴も完全に理解しているわけではないだろうし、ずっと辞書代わりに使われては爆発もしようってものだ。……それがここ最近の音信不通の理由かは不明ですけど。
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