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19巻
19-3
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「……ライドウ殿? イズモ様の講師を務めておられるライドウ殿? いろは様の許婚、イクサベ=イズモ様の――」
「聞こえてます。聞いてますよ」
……。
ショウゲツさんの話は厄介事の臭いがほのかに――どころか、全部それだった。
聞いているだけで耳が腐りそうなほどに。
端的に言えば、いろはちゃんの家――オサカベ家でにわかに慌ただしくなったお家騒動。
お世継ぎが……ってやつ。
巴の大好物な時代劇的シチュエーションそのものである。
だからあいつ、一瞬で首を突っ込む事に決めたんだろうな。
行き先もそのまんまカンナオイ。
ヤソカツイの大迷宮は、領地の特産物なんかの利権が絡む感じで、なんとか屋と、なんとか奉行と、幕府のなんとか様の出番になりそうだ。
地元の殿様のポジションは……この場合、オサカベの当主とかか?
ショウゲツさんの話では、病に臥せっていて余命幾許もないらしいから、これもある意味ぴったりか。
オサカベ家は今、実権を握る若君姫君を旗頭にする派閥と、その中に入れず、もしくは入らずに後のお家の集権の邪魔になると判断されて命を狙われている若君姫君の派閥に割れているらしい。
まんま一話分、もしくはスペシャル一回分で描かれそうな状況である。
立場も分かったし、もうあんたは巻き込まれているんだぜ、とショウゲツさんの目も語っている。
逃げるってコマンドもあるにはあるけど、この場合は巴が後ろに回り込むからな。
RPG名物、無限に続く王様のお願いしかり。
実質、関わるしかない。
僕らがカンナオイを訪れるタイミングがお家騒動の真っ最中というのが、偶然か、あるいは誰かの意図によるものかはともかく。
片が付くまで悠長に待っていたら、ツィーゲの独立騒動も終わっているだろう。
「いろは様はイクサベの家の血を招き、関係を深めるお役目を担っておられます」
……担う、じゃないだろ。
一方的に背負わせているだけだ。
幼い頃に結婚相手を決める事でね。
ただ結婚を政治に使うのは、ローレルに限らず、いつの時代、どの国でもある話だ。冷静になれば、それを責めるべきじゃない。
歴史の中で、恐らく僕がその例のほとんどを知らないだけで、現代でもきっとこういう事は続いている。そう考えると、地球と異世界の共通点……いや、人類共通なんだろうな。
親戚になるってのは、お互いを信用する――同じ陣営に加わる上で、シンプルだけど強力な意味があるわけだし。
庶民の感覚だけで考えるのは違っている。
結婚は恋愛の末が一番っていう価値観が根底にあるから、どうも違和感を覚えてしまう。とはいえ、あくまでも僕が感じているのは、現代日本人の常識や普通、だからなぁ。
「イズモの許婚ですもんね。しかも嫁入りじゃなくて婿取り、と」
お姫様の許婚っていうと、これもつい嫁入りの方を想像しちゃうんだけれど、当然逆もある。
「いわば両家の間にある永の諍いを穏やかに終結させるための一手。殿の平和を願う想いそのものです」
「結婚で諍いを収める。融和というか、同化を狙うって事ですか」
なんとも気が長い。
そもそもイクサベがナオイに、オサカベがカンナオイに領地を持つ以上、一組の婚礼が何かを劇的に変えるとは思えない。
一族の中には、それぞれの領地や血筋といった〝今の構造〟を守ろうとする人達だって少なからずいるはずだ。
「いろは様の他にも何組もの婚姻が約束されておりましたが、殿が病を患った途端に、これをよく思わぬ者どもが妨害に乗り出したのです」
「それでいろは……様も、お命を狙われていると」
本当に命まで狙われているんだろうか。
ミズハはカンナオイからそれなりに離れている。
暗殺のターゲットにまでなっているのなら、こんな所まで出歩くのは不用心に思える。
「ええ。それ故、今回の姫様の行動には、我々も頭を抱えております。既に七名の姫君が曲者の手にかかっているというのに、この時期に検地など……」
「……」
さらに、ショウゲツさんがぼそっととんでもない事を言った。
わざわざお部屋を脱出の上、家出までなされて、と。
検地云々の後にこっそり言ったのを、僕は聞き逃さなかった。
あの姫様、随分と行動力があるんだな。
露天風呂で泳ぐような娘だ、いわゆるお姫様とはちょっと違うって事か。
しかしかなり距離がある家出なんだけど?
この人達も、幼女の家出にどこまで振り回されているんだか。
「ですが、この地で偶然にもカンナオイを目指すライドウ殿達にお会いする事ができたのは、不幸中の幸い。これも精霊様と賢人様のお導きというものでしょうな」
機嫌良さそうに僕らを味方認定しているのは、ショウゲツさん一人だけ。
アカシさんとユヅキさんの目は僕をまだまだ信用してない。
女中さんズは特に感情も見せずに控えているだけで、会話に参加してくる気配もない。
「カンナオイまでご一緒するのは特に問題ありませんが……僕らも商談で迷宮に赴く身でして、そちらが望まれるようなご協力はあまりできないかと……」
ちゃんと予防線は張っておく。
こっちの目的と両立できる範囲までなら多少の面倒事は構わないけど、向こうの都合を優先して迷宮に行くのを後回しにはできない。
ツィーゲのために動いているのが、僕らがローレルに来た一番の理由だ。
そこは忘れちゃいけない。
「構いませんとも。ライドウ殿にはいろは様をお連れになってカンナオイを目指していただければ、それでいい。儂らがいろは様の影を用いて囮を務めます故、その間に隠れ蓑となって、目立たずいろは様を――」
と、ショウゲツさんが言いかけたところで――
「何奴っ!?」
ユヅキさんが叫んで構えを取った。
ここに窓はない。
出入り口にも気配はない。
なら……上か。
天井裏。
三人だ。
だったら……と、僕が考えはじめた時、轟音とともに前方の天井の一部が崩れた。
見つかって逃げるどころか、攻め込んできたか。
大胆だ。あるいは。最初から襲撃のタイミングを見計らっていた?
今の僕は、既に縄を解かれて自由の身。
相手を確認する。
崩れた天井のせいで埃が舞う中、武装した影が俊敏に動く。
顔を布で隠してはいるが、闇夜に紛れる黒装束ではなく、明らかに武装している。
最初から流血沙汰を望んでいる連中だったみたいだ。
三人それぞれがショウゲツさん一派に襲い掛かった。
「アカシ!!」
「分かってる、爺様と女どもは任せた!!」
こちらの護衛二人も優秀で、すぐに行動を開始する。
どうやらアカシさんが刺客を二人相手取って、ユヅキさんはショウゲツさん達のガードに回るようだ。
相手の存在に気が付いたとはいえ、狭い室内での奇襲なのに、混乱がない。
巴とやった時には分からなかったけど、この二人、場慣れしているし、連携も上手だ。
うーん。
これは僕が手を出すまでもなく終わるかな。
襲ってきた連中は念話を使っていなかった。
僕の周囲でやれば念話は傍受できるから、それは確実に言える。
盗聴なら任せてください。周囲三キロまでの念話なら全部やれます。
歩く盗聴器って認識されるのは色々嫌なんで……絶対誰にも言わないけど。
……待てよ。何かおかしい。
なんで逃走じゃなくて奇襲してきたんだ?
いろはちゃんが目当てなら、囮がいるって情報を仲間に知らせる事ができるかどうかはかなり重要なはず。
今の彼女の居場所を特定し得る情報を掴んだのに、念話をせずに襲撃を選ぶとしたら、連中の目的は……。
間一髪、思考が状況に先行して、その可能性に行き着いた。
「おらあ! 鍛えた腕があるなら、オレのとこに来な! 来なけりゃこっちから……って、何ぃ!?」
「武器持たぬ者を狙う下衆は、私がお相手……あら?」
アカシさんとユヅキさんが揃って驚きの声を上げた。
ショウゲツさん達を狙うと見せた連中の動きはフェイント。
三人が三人とも、座ったまま状況を目で追っていた僕の方に向かってきた。
なんでかな。
どう考えても僕はまだ準部外者だろ?
狙うなら最後じゃないのかと。
三人が三方向から一糸乱れぬ高度な連携で同時に攻撃態勢に移っていく。
かなりレベルが高い。
ローレルは間者のレベルが高いなんて、聞いた事もないのに。
そういうのに長けているのはアイオン王国だ。そのアイオンの間者をここのところ相手にしてきた僕でも、この三人のこなれた動きには驚いた。
これ……暗殺者の動きだ。
「シャープステップ」
「ディタ・コンヴィーク」
「リンガルテンプ」
刺客三人が同時にスキルを発動させた。
加速、攻撃力増加プラス確率即死付与、痛覚麻痺。
どれもパーティ全員に効果あり。
闇盗賊とその上位職の一つ、無影のスキル。
ツィーゲの知り合いがかつてその闇盗賊だったから、どのスキルも効果は分かった。
盗賊、暗殺者のどちらにしても、その上級に位置する職の三人が、何がなんでも僕を殺しにきている。
多方向からの同時攻撃は達人でも捌くのが難しいってよく言うけど、ファンタジーの世界では魔術がある。
『っ』
どの短剣も僕まで届く事はなく、僕を包む『魔力体』に阻まれた。
多少のエンチャントが加わった程度で、魔力体が破られる事はない。
「な、なんだぁ!?」
アカシさんが叫んだ。刺客が僕に襲いかかった事や、その攻撃が通らずに止まった事なんかに、まとめて驚いている。
ああ、やっぱこの中だとこの人が一番好きかも。
刺客達から話を聞くには痛覚麻痺が面倒だから、まずはその解除が必要か。
「せっかくのスキルだけど、解除させ――」
あ、聞く必要ないな。
この刺客達の目……そういう事か。
「人形か、可哀想に」
つい言葉が漏れた。
三人の刺客は全員、若い娘さん達だった。
その目は濃い魔力で濁っていて、強く探るまでもなく、全身がそれに侵されている。
僕はこれを知っている。
〝あいつ〟の力だ。
グリトニア帝国の勇者、岩橋智樹。
「……勇者様の御為に」
「お前は智樹様の敵」
「ライドウ、必ず殺すの」
命令と暴走……どこまでが本当に智樹の命令で、どこからが彼女達の暴走か。
それは分からない。
もう、どうでもいい事だ。
その気で全力を出せば相応に強いだろうに、まるで機械のように正確で、冷酷で、〝味気ない〟攻撃。
智樹の奴、変わっていないのか……。
「仕方ないか」
「……え?」
ユヅキさんが僕の気持ちの変化に気付いたのか、それとも他の何かに反応したのか、予想外といった声を漏らした。
タイミングからすると、行為を見ての言葉って線もあるな。
勘が良さそうな人だけに、判別し難い。
僕は右手側の刺客の首筋を隠蔽した魔力体で捕らえ、そのまま折った。
左側の刺客は同様に頭を掴んで壁で潰した。
正面の刺客は、幸い射線上に誰もいなかったから、ブリッドを三点連射して胸を貫通させた。
三角形の頂点を大きめの丸が三つ、そんな図形の風穴が向こうの景色を見せる。
三人とも、もう動く気配はない。
悲鳴がなかったのは静かでいい。時間も遅いし。
智樹までローレルで何か悪さをしているなら、適度にぶっ壊しておくのも悪くはないかもな。
話とか……今更あいつとはないわぁ。
もう一回阿呆な交渉してきたら、その時点で帝国を敵に回してもいいかなって思っている。
イズモからいろはちゃんの筋で巻き込まれたのかと思ったら、まさかの智樹陰謀パターンの疑いもあり、か。
本当にやれやれな。
「あ、う」
見ると、ショウゲツさん達が固まっていた。
「あ、すみません。僕が片付けたらまずかったですか? 刺客のようでしたけど」
一応智樹、帝国の干渉云々はまだ伏せておく。
どの程度の干渉なのか、確かな情報が欲しい。
これは持ち帰って、巴から別動隊の皆さんに情報を流してもらえればいいや。
「かなりの、使い手だったと思うのですが……」
「ああ、まあそこそこでしたね。ただ、僕もそれなりの修羅場は潜っていますので、この程度なら何人いようと問題ありませんよ。現役なんで」
一人は頭を潰しちゃったからアレだけど、残りの二人の顔は一応拝んでおこうかな。
僕は一人目と三人目の顔の布を剥ぎ取った。
……ん?
まさかの……どこかで見たような……。
あ、ああ、前に智樹が巴の代わりだとか言って、僕に寄越そうとした女の子達だ!
って事は、もう一人もそれか。
はー、あの後ローレルに派遣されていたとは。
可哀想に。
一応手を合わせておく。
来世では僕や智樹に関わらないようにね、と。
「見覚えでもあるのかよ?」
未だ戦いの興奮の中にあるのか、アカシさんが荒ぶる口調で聞いてきた。
「ありません。ただ戦いで生き死にはつきものですが、終わった後に手を合わせるくらい、別にしてもいいでしょう?」
少しだけ嘘だ。
顔だけは知っていた相手だから、なんとなく手を合わせた。
それが真相。
多少は僕を評価してくれたのか、アカシさんが態度を和らげた。
「まあ、あんたの自由だわな。……その、悪かったな。どうも商人って人種が好きになれないんだ、オレは。でも、あんたがそこらの商人じゃないってのは分かった。だから、短い間かもしれないが、よ、よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「……一切の気質の変化もなく、顔色一つ変えずに手練れの暗殺者を始末する。貴方の職がなんであれ、とてつもなく恐ろしいものを見せていただきました。以後、態度には気をつけます」
「それほどでも。僕は多少荒事に慣れているだけの商人ですから」
ユヅキさんも同様に……って、顔が青ざめている。これは評価なんだろうか。
態度には気を付けてくれるんだし、細かい事は気にしたら負けだな、うん。
ショウゲツさんは目を見開いている。
女中さん達はかなり顔色が悪い。
単に話を聞く必要もない敵を排除しただけなのに。
まったく、大袈裟だ。
まあ、これでなんとか、ショウゲツさんやいろはちゃんの方は丸く収まりそうだ。
巴の話だと、ウチの別動隊とも、カンナオイで合流するはずだったな。
なら、そこで情報交換か。
確かベレンは古巣がどうとかって言って山の方に行って、あとアルケーと森鬼っていう珍しいコンビが、ヤソカツイの渓谷とカンナオイ周辺を調査してくれているらしい。
あっちはどうなっているんだろうな。
◇◆◇◆◇
「いや、参ったねー。あの男、とんでもない手練れじゃねえか」
三つの骸に視線を投げ、剣を収めたアカシが頭を掻く。
「うむ。当面、いろは様は儂らとおるより、ライドウ殿に預かってもらった方が安全であろう。その間にこちらで刺客を炙り出して始末すれば、カンナオイに戻る頃には万事解決できよう」
ショウゲツの言葉を聞き、アカシが肩を竦める。
「子守りの次は釣り餌。最近忙しすぎるぜ、ほんと」
「そう言うでない」
「へいへい」
アカシは彼女の上役であろうショウゲツと、あまり丁寧でない言葉でやり取りを交わす。
ただそこに逆らう意図などはなく、命令や方針についてはしっかり受け入れているようだ。
口調はともかく、関係は良好だと窺える。
「ねい。すまぬが、いろは様の影武者を頼むぞ」
「御意」
ショウゲツが命じると、並んでいた女中のうち左に控えていた一人が、返事とともに身を翻す。
その姿は一瞬で姫の衣装を纏ったいろはその人に変じる。
見事な変身だった。
一連の手慣れた様子から、ねいと呼ばれた女中にとっては、その役割が――イレギュラーではあろうが――初めてのものではないと分かる。
「……」
ライドウが去った後、ユヅキは口元に手を当てたまま、一言も発していない。そんな相棒に、アカシが尋ねた。
「どうしたんだよ、ユヅキ。あいつを見送ってから、つうかあいつが刺客を始末してから、何か変だぞ?」
元々口数が多い方ではないユヅキだが、今回の沈黙は何か不自然だとアカシには感じられたようだ。
「少し、突っかかるような言い方もしておったな。彼の立場については一応明らかにしたつもりじゃが、不足でもあったか?」
アカシに続いて、ショウゲツもユヅキに尋ねた。
少なくとも現段階で、ライドウは彼らにとっては有益な人物であり、良好な関係を築く事は重要だった。
にもかかわらず、ユヅキの態度はライドウに対してあまり柔らかなものではない。普段ならアカシよりも先に状況に適応するユヅキにしては、やはりおかしな態度だった。
二人に追及され、ようやく彼女は口を開いた。
「二人はこの刺客どもとライドウ殿を見ていて……何も感じませんでしたか?」
「何もって。オレはさっきも言ったけど、ありゃただもんじゃねえなって。刺客も猫かぶってやがったな。正直、こっちに来られてたらまずかったかも、とは思った」
弱腰なアカシの発言を聞き、ショウゲツが眉をひそめる。
「アカシ、お前はそれでもいろは様の護衛か! あんな刺客三人程度、一人でなんとかせい! 大体、近頃の若い者は修業が足りん。どいつもこいつも小手先の技ばかりに逃げよる――」
近頃の……とショウゲツが口にした辺りから、アカシが始まってしまったとばかりにため息を一つ。
ユヅキも神妙な表情はそのままに、だが僅かに苦笑を、その口元に浮かべた。
「ショウゲツ様。もちろん修業は、今後も欠かしたりしませんが、今回はアカシの言葉にも一理あるのです」
「ユヅキ! お前までそのような事を申すか!」
「この三人、相当の腕です。気配と実力を隠す隠密の技も身につけていました。ライドウ殿だからあのように対処できたのでしょうが……私達では一対一だとしてもなんとか押さえ込めるかどうか」
ユヅキは話を進めるにつれ、再び考え込むように口を閉じた。
「聞こえてます。聞いてますよ」
……。
ショウゲツさんの話は厄介事の臭いがほのかに――どころか、全部それだった。
聞いているだけで耳が腐りそうなほどに。
端的に言えば、いろはちゃんの家――オサカベ家でにわかに慌ただしくなったお家騒動。
お世継ぎが……ってやつ。
巴の大好物な時代劇的シチュエーションそのものである。
だからあいつ、一瞬で首を突っ込む事に決めたんだろうな。
行き先もそのまんまカンナオイ。
ヤソカツイの大迷宮は、領地の特産物なんかの利権が絡む感じで、なんとか屋と、なんとか奉行と、幕府のなんとか様の出番になりそうだ。
地元の殿様のポジションは……この場合、オサカベの当主とかか?
ショウゲツさんの話では、病に臥せっていて余命幾許もないらしいから、これもある意味ぴったりか。
オサカベ家は今、実権を握る若君姫君を旗頭にする派閥と、その中に入れず、もしくは入らずに後のお家の集権の邪魔になると判断されて命を狙われている若君姫君の派閥に割れているらしい。
まんま一話分、もしくはスペシャル一回分で描かれそうな状況である。
立場も分かったし、もうあんたは巻き込まれているんだぜ、とショウゲツさんの目も語っている。
逃げるってコマンドもあるにはあるけど、この場合は巴が後ろに回り込むからな。
RPG名物、無限に続く王様のお願いしかり。
実質、関わるしかない。
僕らがカンナオイを訪れるタイミングがお家騒動の真っ最中というのが、偶然か、あるいは誰かの意図によるものかはともかく。
片が付くまで悠長に待っていたら、ツィーゲの独立騒動も終わっているだろう。
「いろは様はイクサベの家の血を招き、関係を深めるお役目を担っておられます」
……担う、じゃないだろ。
一方的に背負わせているだけだ。
幼い頃に結婚相手を決める事でね。
ただ結婚を政治に使うのは、ローレルに限らず、いつの時代、どの国でもある話だ。冷静になれば、それを責めるべきじゃない。
歴史の中で、恐らく僕がその例のほとんどを知らないだけで、現代でもきっとこういう事は続いている。そう考えると、地球と異世界の共通点……いや、人類共通なんだろうな。
親戚になるってのは、お互いを信用する――同じ陣営に加わる上で、シンプルだけど強力な意味があるわけだし。
庶民の感覚だけで考えるのは違っている。
結婚は恋愛の末が一番っていう価値観が根底にあるから、どうも違和感を覚えてしまう。とはいえ、あくまでも僕が感じているのは、現代日本人の常識や普通、だからなぁ。
「イズモの許婚ですもんね。しかも嫁入りじゃなくて婿取り、と」
お姫様の許婚っていうと、これもつい嫁入りの方を想像しちゃうんだけれど、当然逆もある。
「いわば両家の間にある永の諍いを穏やかに終結させるための一手。殿の平和を願う想いそのものです」
「結婚で諍いを収める。融和というか、同化を狙うって事ですか」
なんとも気が長い。
そもそもイクサベがナオイに、オサカベがカンナオイに領地を持つ以上、一組の婚礼が何かを劇的に変えるとは思えない。
一族の中には、それぞれの領地や血筋といった〝今の構造〟を守ろうとする人達だって少なからずいるはずだ。
「いろは様の他にも何組もの婚姻が約束されておりましたが、殿が病を患った途端に、これをよく思わぬ者どもが妨害に乗り出したのです」
「それでいろは……様も、お命を狙われていると」
本当に命まで狙われているんだろうか。
ミズハはカンナオイからそれなりに離れている。
暗殺のターゲットにまでなっているのなら、こんな所まで出歩くのは不用心に思える。
「ええ。それ故、今回の姫様の行動には、我々も頭を抱えております。既に七名の姫君が曲者の手にかかっているというのに、この時期に検地など……」
「……」
さらに、ショウゲツさんがぼそっととんでもない事を言った。
わざわざお部屋を脱出の上、家出までなされて、と。
検地云々の後にこっそり言ったのを、僕は聞き逃さなかった。
あの姫様、随分と行動力があるんだな。
露天風呂で泳ぐような娘だ、いわゆるお姫様とはちょっと違うって事か。
しかしかなり距離がある家出なんだけど?
この人達も、幼女の家出にどこまで振り回されているんだか。
「ですが、この地で偶然にもカンナオイを目指すライドウ殿達にお会いする事ができたのは、不幸中の幸い。これも精霊様と賢人様のお導きというものでしょうな」
機嫌良さそうに僕らを味方認定しているのは、ショウゲツさん一人だけ。
アカシさんとユヅキさんの目は僕をまだまだ信用してない。
女中さんズは特に感情も見せずに控えているだけで、会話に参加してくる気配もない。
「カンナオイまでご一緒するのは特に問題ありませんが……僕らも商談で迷宮に赴く身でして、そちらが望まれるようなご協力はあまりできないかと……」
ちゃんと予防線は張っておく。
こっちの目的と両立できる範囲までなら多少の面倒事は構わないけど、向こうの都合を優先して迷宮に行くのを後回しにはできない。
ツィーゲのために動いているのが、僕らがローレルに来た一番の理由だ。
そこは忘れちゃいけない。
「構いませんとも。ライドウ殿にはいろは様をお連れになってカンナオイを目指していただければ、それでいい。儂らがいろは様の影を用いて囮を務めます故、その間に隠れ蓑となって、目立たずいろは様を――」
と、ショウゲツさんが言いかけたところで――
「何奴っ!?」
ユヅキさんが叫んで構えを取った。
ここに窓はない。
出入り口にも気配はない。
なら……上か。
天井裏。
三人だ。
だったら……と、僕が考えはじめた時、轟音とともに前方の天井の一部が崩れた。
見つかって逃げるどころか、攻め込んできたか。
大胆だ。あるいは。最初から襲撃のタイミングを見計らっていた?
今の僕は、既に縄を解かれて自由の身。
相手を確認する。
崩れた天井のせいで埃が舞う中、武装した影が俊敏に動く。
顔を布で隠してはいるが、闇夜に紛れる黒装束ではなく、明らかに武装している。
最初から流血沙汰を望んでいる連中だったみたいだ。
三人それぞれがショウゲツさん一派に襲い掛かった。
「アカシ!!」
「分かってる、爺様と女どもは任せた!!」
こちらの護衛二人も優秀で、すぐに行動を開始する。
どうやらアカシさんが刺客を二人相手取って、ユヅキさんはショウゲツさん達のガードに回るようだ。
相手の存在に気が付いたとはいえ、狭い室内での奇襲なのに、混乱がない。
巴とやった時には分からなかったけど、この二人、場慣れしているし、連携も上手だ。
うーん。
これは僕が手を出すまでもなく終わるかな。
襲ってきた連中は念話を使っていなかった。
僕の周囲でやれば念話は傍受できるから、それは確実に言える。
盗聴なら任せてください。周囲三キロまでの念話なら全部やれます。
歩く盗聴器って認識されるのは色々嫌なんで……絶対誰にも言わないけど。
……待てよ。何かおかしい。
なんで逃走じゃなくて奇襲してきたんだ?
いろはちゃんが目当てなら、囮がいるって情報を仲間に知らせる事ができるかどうかはかなり重要なはず。
今の彼女の居場所を特定し得る情報を掴んだのに、念話をせずに襲撃を選ぶとしたら、連中の目的は……。
間一髪、思考が状況に先行して、その可能性に行き着いた。
「おらあ! 鍛えた腕があるなら、オレのとこに来な! 来なけりゃこっちから……って、何ぃ!?」
「武器持たぬ者を狙う下衆は、私がお相手……あら?」
アカシさんとユヅキさんが揃って驚きの声を上げた。
ショウゲツさん達を狙うと見せた連中の動きはフェイント。
三人が三人とも、座ったまま状況を目で追っていた僕の方に向かってきた。
なんでかな。
どう考えても僕はまだ準部外者だろ?
狙うなら最後じゃないのかと。
三人が三方向から一糸乱れぬ高度な連携で同時に攻撃態勢に移っていく。
かなりレベルが高い。
ローレルは間者のレベルが高いなんて、聞いた事もないのに。
そういうのに長けているのはアイオン王国だ。そのアイオンの間者をここのところ相手にしてきた僕でも、この三人のこなれた動きには驚いた。
これ……暗殺者の動きだ。
「シャープステップ」
「ディタ・コンヴィーク」
「リンガルテンプ」
刺客三人が同時にスキルを発動させた。
加速、攻撃力増加プラス確率即死付与、痛覚麻痺。
どれもパーティ全員に効果あり。
闇盗賊とその上位職の一つ、無影のスキル。
ツィーゲの知り合いがかつてその闇盗賊だったから、どのスキルも効果は分かった。
盗賊、暗殺者のどちらにしても、その上級に位置する職の三人が、何がなんでも僕を殺しにきている。
多方向からの同時攻撃は達人でも捌くのが難しいってよく言うけど、ファンタジーの世界では魔術がある。
『っ』
どの短剣も僕まで届く事はなく、僕を包む『魔力体』に阻まれた。
多少のエンチャントが加わった程度で、魔力体が破られる事はない。
「な、なんだぁ!?」
アカシさんが叫んだ。刺客が僕に襲いかかった事や、その攻撃が通らずに止まった事なんかに、まとめて驚いている。
ああ、やっぱこの中だとこの人が一番好きかも。
刺客達から話を聞くには痛覚麻痺が面倒だから、まずはその解除が必要か。
「せっかくのスキルだけど、解除させ――」
あ、聞く必要ないな。
この刺客達の目……そういう事か。
「人形か、可哀想に」
つい言葉が漏れた。
三人の刺客は全員、若い娘さん達だった。
その目は濃い魔力で濁っていて、強く探るまでもなく、全身がそれに侵されている。
僕はこれを知っている。
〝あいつ〟の力だ。
グリトニア帝国の勇者、岩橋智樹。
「……勇者様の御為に」
「お前は智樹様の敵」
「ライドウ、必ず殺すの」
命令と暴走……どこまでが本当に智樹の命令で、どこからが彼女達の暴走か。
それは分からない。
もう、どうでもいい事だ。
その気で全力を出せば相応に強いだろうに、まるで機械のように正確で、冷酷で、〝味気ない〟攻撃。
智樹の奴、変わっていないのか……。
「仕方ないか」
「……え?」
ユヅキさんが僕の気持ちの変化に気付いたのか、それとも他の何かに反応したのか、予想外といった声を漏らした。
タイミングからすると、行為を見ての言葉って線もあるな。
勘が良さそうな人だけに、判別し難い。
僕は右手側の刺客の首筋を隠蔽した魔力体で捕らえ、そのまま折った。
左側の刺客は同様に頭を掴んで壁で潰した。
正面の刺客は、幸い射線上に誰もいなかったから、ブリッドを三点連射して胸を貫通させた。
三角形の頂点を大きめの丸が三つ、そんな図形の風穴が向こうの景色を見せる。
三人とも、もう動く気配はない。
悲鳴がなかったのは静かでいい。時間も遅いし。
智樹までローレルで何か悪さをしているなら、適度にぶっ壊しておくのも悪くはないかもな。
話とか……今更あいつとはないわぁ。
もう一回阿呆な交渉してきたら、その時点で帝国を敵に回してもいいかなって思っている。
イズモからいろはちゃんの筋で巻き込まれたのかと思ったら、まさかの智樹陰謀パターンの疑いもあり、か。
本当にやれやれな。
「あ、う」
見ると、ショウゲツさん達が固まっていた。
「あ、すみません。僕が片付けたらまずかったですか? 刺客のようでしたけど」
一応智樹、帝国の干渉云々はまだ伏せておく。
どの程度の干渉なのか、確かな情報が欲しい。
これは持ち帰って、巴から別動隊の皆さんに情報を流してもらえればいいや。
「かなりの、使い手だったと思うのですが……」
「ああ、まあそこそこでしたね。ただ、僕もそれなりの修羅場は潜っていますので、この程度なら何人いようと問題ありませんよ。現役なんで」
一人は頭を潰しちゃったからアレだけど、残りの二人の顔は一応拝んでおこうかな。
僕は一人目と三人目の顔の布を剥ぎ取った。
……ん?
まさかの……どこかで見たような……。
あ、ああ、前に智樹が巴の代わりだとか言って、僕に寄越そうとした女の子達だ!
って事は、もう一人もそれか。
はー、あの後ローレルに派遣されていたとは。
可哀想に。
一応手を合わせておく。
来世では僕や智樹に関わらないようにね、と。
「見覚えでもあるのかよ?」
未だ戦いの興奮の中にあるのか、アカシさんが荒ぶる口調で聞いてきた。
「ありません。ただ戦いで生き死にはつきものですが、終わった後に手を合わせるくらい、別にしてもいいでしょう?」
少しだけ嘘だ。
顔だけは知っていた相手だから、なんとなく手を合わせた。
それが真相。
多少は僕を評価してくれたのか、アカシさんが態度を和らげた。
「まあ、あんたの自由だわな。……その、悪かったな。どうも商人って人種が好きになれないんだ、オレは。でも、あんたがそこらの商人じゃないってのは分かった。だから、短い間かもしれないが、よ、よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「……一切の気質の変化もなく、顔色一つ変えずに手練れの暗殺者を始末する。貴方の職がなんであれ、とてつもなく恐ろしいものを見せていただきました。以後、態度には気をつけます」
「それほどでも。僕は多少荒事に慣れているだけの商人ですから」
ユヅキさんも同様に……って、顔が青ざめている。これは評価なんだろうか。
態度には気を付けてくれるんだし、細かい事は気にしたら負けだな、うん。
ショウゲツさんは目を見開いている。
女中さん達はかなり顔色が悪い。
単に話を聞く必要もない敵を排除しただけなのに。
まったく、大袈裟だ。
まあ、これでなんとか、ショウゲツさんやいろはちゃんの方は丸く収まりそうだ。
巴の話だと、ウチの別動隊とも、カンナオイで合流するはずだったな。
なら、そこで情報交換か。
確かベレンは古巣がどうとかって言って山の方に行って、あとアルケーと森鬼っていう珍しいコンビが、ヤソカツイの渓谷とカンナオイ周辺を調査してくれているらしい。
あっちはどうなっているんだろうな。
◇◆◇◆◇
「いや、参ったねー。あの男、とんでもない手練れじゃねえか」
三つの骸に視線を投げ、剣を収めたアカシが頭を掻く。
「うむ。当面、いろは様は儂らとおるより、ライドウ殿に預かってもらった方が安全であろう。その間にこちらで刺客を炙り出して始末すれば、カンナオイに戻る頃には万事解決できよう」
ショウゲツの言葉を聞き、アカシが肩を竦める。
「子守りの次は釣り餌。最近忙しすぎるぜ、ほんと」
「そう言うでない」
「へいへい」
アカシは彼女の上役であろうショウゲツと、あまり丁寧でない言葉でやり取りを交わす。
ただそこに逆らう意図などはなく、命令や方針についてはしっかり受け入れているようだ。
口調はともかく、関係は良好だと窺える。
「ねい。すまぬが、いろは様の影武者を頼むぞ」
「御意」
ショウゲツが命じると、並んでいた女中のうち左に控えていた一人が、返事とともに身を翻す。
その姿は一瞬で姫の衣装を纏ったいろはその人に変じる。
見事な変身だった。
一連の手慣れた様子から、ねいと呼ばれた女中にとっては、その役割が――イレギュラーではあろうが――初めてのものではないと分かる。
「……」
ライドウが去った後、ユヅキは口元に手を当てたまま、一言も発していない。そんな相棒に、アカシが尋ねた。
「どうしたんだよ、ユヅキ。あいつを見送ってから、つうかあいつが刺客を始末してから、何か変だぞ?」
元々口数が多い方ではないユヅキだが、今回の沈黙は何か不自然だとアカシには感じられたようだ。
「少し、突っかかるような言い方もしておったな。彼の立場については一応明らかにしたつもりじゃが、不足でもあったか?」
アカシに続いて、ショウゲツもユヅキに尋ねた。
少なくとも現段階で、ライドウは彼らにとっては有益な人物であり、良好な関係を築く事は重要だった。
にもかかわらず、ユヅキの態度はライドウに対してあまり柔らかなものではない。普段ならアカシよりも先に状況に適応するユヅキにしては、やはりおかしな態度だった。
二人に追及され、ようやく彼女は口を開いた。
「二人はこの刺客どもとライドウ殿を見ていて……何も感じませんでしたか?」
「何もって。オレはさっきも言ったけど、ありゃただもんじゃねえなって。刺客も猫かぶってやがったな。正直、こっちに来られてたらまずかったかも、とは思った」
弱腰なアカシの発言を聞き、ショウゲツが眉をひそめる。
「アカシ、お前はそれでもいろは様の護衛か! あんな刺客三人程度、一人でなんとかせい! 大体、近頃の若い者は修業が足りん。どいつもこいつも小手先の技ばかりに逃げよる――」
近頃の……とショウゲツが口にした辺りから、アカシが始まってしまったとばかりにため息を一つ。
ユヅキも神妙な表情はそのままに、だが僅かに苦笑を、その口元に浮かべた。
「ショウゲツ様。もちろん修業は、今後も欠かしたりしませんが、今回はアカシの言葉にも一理あるのです」
「ユヅキ! お前までそのような事を申すか!」
「この三人、相当の腕です。気配と実力を隠す隠密の技も身につけていました。ライドウ殿だからあのように対処できたのでしょうが……私達では一対一だとしてもなんとか押さえ込めるかどうか」
ユヅキは話を進めるにつれ、再び考え込むように口を閉じた。
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