月が導く異世界道中extra

あずみ 圭

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extra64  澪の果てしない道のり③

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 ゴクリ。
 誰かが唾を呑む音が妙に大きく響いた。

「さ」

「さ?」

「三軒目に寄った店で出てきたら気にせず食える味っす」

 ライム=ラテは着席したままでスプーンを椀に戻した。
 おお、と。
 彼の答えに感嘆の声があがる。
 既に五回目を数えた亜空での料理試食会。
 整った形に切られた数種類の野菜と燻製肉が浮かぶスープは遂に試食者全員の完食という偉業に到達した。
 味への評価は亜人たちからは概ね好評、ツィーゲを拠点にしていた元冒険者ライムからすれば美味くも不味くもない記憶に残らない一品だった。
 流石にそのまま口にするのは憚られたライムは言い回しを多少変えたが意味合いはまあそのままだ。
 正直に思った通りの感想を述べよ、と言われていても本当にそのまま伝えてしまって良い時と駄目な時がある。
 理不尽だが、世の中そういう時もある。
 カツラムキという響きに戦慄する程度には経験を重ねたライムは前の仕事をしていた時には身につけられなかった気遣いなるものを習得して、この場に座っていた。

「……つまり面白みは無くともレシピ通りの味になっている、という事ね?」

 料理を作った本人、澪からの追撃。
 経験から抵抗を諦めたライムはこくりと頷いて応えた。
 ほどなく、ふぅ、と小さな溜息が澪の口から漏れる。
 それは疲れや失望ではなく、安堵から発せられていた。
 亜空に住む亜人や魔物達はそもそも味についての許容量が幅広い。
 飢えと戦っていた様な環境に常時身を置いていた彼らからすると、ライムが辛うじて吐き出した前回のスープですら美味い美味いと食べられるのだ。
 澪がライムの舌を一つの基準として見るのも無理はない。

「なんとか、スタート地点に辿り着けましたか。良かった……」

 彼女が発した後半の呟きは実に感情のこもった、心からのものだった。
 試食者が何とか踏ん張れた第三回を最後に巴はこの場に同席していない。
 次は自信作が出来た時に呼ぶように伝えると、彼女は己の趣味しごとに戻っていった。
 澪の熱意に触れて住民からも料理に興味を持ちだす者が現れ、試食会に参加するメンバーを巴自身が揃える必要が無くなったというのも大きな理由だ。

「では、まずはスープを一品! 美味しいレベルにまで持っていきます!」

 飲める温度の汁物を出すのはパンを炭にしている頃から澪にも出来た。
 つまり彼女にとってスープというのは何とか料理らしきものになる出発点、まずはここから手をつけようという取っ掛かりになっていた。
 故にツィーゲで最初に弟子入りした店はスープが有名かつ澪の舌にも美味しいと感じられる店を選んだのである。
 当然の様に真も気に入った店でもあったのだが、これは彼女の動機そのもので割愛してよい。
 あらゆる選択において最初の前提となっていて言及する意味がないのだ。

「応援してます! 頑張ってください!」

 ライムを筆頭に亜人達も心からの声援を澪に送る。
 この場が本当にただ料理を試食するだけで良くなるのならこんなに有難い事は無い。
 澪が励めば励む程美味しい物が出てくる可能性も上がる。
 WINWINとはまさにこの事だ。
 ドワーフから手に馴染むよう改良を続けてもらっているマイ包丁を渡されると、澪は上機嫌のまま亜空からツィーゲに移動する。
 これと決めたら一直線なのは澪の長所にして短所だ。
 それでも亜空でこなしておくべき仕事についてはアルケーを中心にきちんと最低限の指示を忘れない。
 行動の優先順位もシンプルながらきちんとついている証だろう。
 料理人見習いといっても澪の場合、料理人として生計を立てたい訳でも店を持ちたい訳でもない。
 彼女にとって料理は金と無関係の場所にある。
 澪の場合、ちょっと冒険者ギルドに顔を出して半日も動けば料理人の年収など軽く超える稼ぎが得られるのだ。
 良い作用としては金の心配をすることなく料理に打ち込める訳だが、悪い作用としては相場の感覚を身につける邪魔になったり扱うべき食材を見誤ったりもした。
 澪自身の「これは美味しい」という勘も、澪ならそのままでも美味しく食べられたりはする。
 けれど多くの生物にとってはきちんと工程を踏まなければ猛毒だったり食材にすらならなかったりだ。
 金に困らない所と味覚とキャパシティが広すぎる所に悩まされながら、それでも澪はようやくヒューマンが普通に食べられる料理を作って見せる段階にまできた。

「お、澪様じゃねっすか!! 今日も良いのが入ってますよ!!」

「じゃあ一通り貰います。つめて下さいな」

「極上のコカトリスにレッドビーも入ってますぜ! 今日は運よくガインクラブなんてレア物まで仕入れられたんで!」

「……見合う腕を持ったのに売りなさいな。いつもの燻製肉と腸詰、それから山鳥に……」

 店に行く前にいつもの市場を歩いて食材を買い込む澪。
 お使いでも仕入れでもない。
 全て澪が店で練習する用の食材だ。
 澪は屋台なら一日分かと思う程の量をさっさと慣れた様子で買っていく。
 この光景も最早市場では見慣れた様子になっているが、澪の振舞いの方はどんどん変化していっていた。
 まだ食材そのものの目利きなどはロクに出来ない彼女だが、買うべき食材、自分が扱い得る食材をきちんと選んで買えるようになっていた。
 良く出回る野菜やハーブは一通り。
 荒野産のレア物や地方から偶然入ってきたようなものには手を出さない。
 肉も一般人が手に取るようなものしか見ないし買わない。
 こちらも澪自身は絶対に美味しくなると思う荒野の魔獣肉などには手を出さない。
 まだ自分では扱えないという線引きが出来るようになっていた。
 美味かろうが不味かろうが練習に使った食べ物は全て自分で食して捨てるような真似はしないが、それでも悲惨な結末を迎えさせてしまった食材を前にすると澪も悲しい気持ちにはなる。

(そのまま食べた方が余程美味しかったなど、無残としか言い様がありませんものね)

 そして店主と下働きの二人でやっているこじんまりとした人気店に到着すると、澪は当然の様に裏の勝手口から店に入った。
 当初の予定では三日も練習させてもらって近くで料理工程を全部見せてもらえば自分の物に出来るだろうと思っていた美味しいスープだが、随分と経った今でも再現など夢のまた夢といった有様。
 ここに通う内、澪は少しずつ料理というスキルの複雑さや難しさを知り、覚えれば覚える程に深くなっていくその世界に魅了されつつあった。
 だが基本的な食材の下処理や最低限の調理については身に付いてきたのは事実で、澪は確かに自分の成長を感じていた。

「良いか、澪。自分を出すとか個性を大事にするとか、そんな色気は出すでないぞ。本来塩味の料理を甘く仕上げてみせて驚きと美味で場を沸かす、いわゆる型破りな行為はな? まず型がきちんとしてなければ単なる暴走、十中八九は大失敗じゃ。日々皆が口にする料理で十回に一回しか成功せんような暴挙は必要ない。型とは基本じゃ、書かれている事、言われた事をそのままにやってみせる事。若とてそう仰る、耐えるんじゃぞ?」

 悔しいが巴の言葉は今になって澪にも納得できるものとなっていた。
 普通の事が普通に出来てようやく次の事、新しい事が活かせる土台となるのだと。
 袖を上げ、手を洗い、やるべき事を済ませて店が仕入れた食材の下処理をテキパキと進めていく澪。
 かなり上達している。
 先にこの店で働いていたマルタを速度では上回る。
 精度はまだ一歩譲るが、店の許容ラインは十分に超えている。
 使っている道具が桁外れに良いというのも一因だが、澪自身の努力と熱意、それに潜在能力あっての事。
 野菜を料理に合わせて切り、肉類の筋切りと下味付け。
 スープに使う香草を小さな布袋にまとめて口を閉じる。
 下ごしらえで出た野菜くずと骨などを寸胴に入れてたっぷりの水を投入、火をかける。
 そこまでを終えた時点で勝手口が開く。
 大体澪の計算通りだった。
 案の定、澪にとって料理修行最初の先輩となったマルタが出勤してきた。
 こうして仕事を済ませておけば、空いた時間を彼女を教師代わりにして技術の習得や料理への質問にあてられるという訳だ。

「う……澪さん、どんどん早くなってますね」

「おはようございますマルタ。あらかた終わってますよ」

 実は澪よりも早く仕事を始めているマルタ。
 仕入れと荷の受け取りを終えると一度方々への支払いやら何やらで店を開けるのだが、その間に澪がやってくるというのがいつもの流れになりつつあった。
 大体の仕入れ先は月末払いで済むのだが、店主の気まぐれや急な取引、新規で仕入れに使う様になった店とはその時々の現金払いで付き合う事もある。
 マルタは長く勤めてい信用されているからか店主がルーズなのか、ともかく彼女は店の金に触れられる立場にいた。

「おはようございます。でも澪さん駄目じゃないですか」

「……? あら、何かしくじりましたか?」

「昨日、食材の目利きも知りたいって」

「……あ」

「じゃあ下処理は後回しにして仕入れた野菜やお肉をじっくり見てもらいましょうか、て」

「言ってましたわ、ね。つい……いつもの感覚で」

 素直にしゅんとなる澪。
 出会った冒険者が脇に避けて直立不動で見送る女傑がこんな仕草を見せる。
 マルタは困ったような、しかし楽し気な苦笑を漏らしてしまう。

「まあ、そんな事もあろうかと来る途中でちょっと買い揃えてきましたけど」

 そう言って背に隠したカゴを見せる。
 中には数は無いが様々な種類の野菜類。

「マルタ! 流石です!」

「今日はお野菜だけで。お肉は明日店に届いたのと……後はいずれ一緒に市場を見ないとですね」

「是非!」

 教わる時間を増やす為に手際よく済ませた下ごしらえで墓穴を掘ってしまった澪だが、何とかこの日は勉強を前に進める事が出来た。
 本来の立場は天と地ほども違う澪とマルタ。
 しかし今この場所でだけは仲の良い先輩と後輩、いや友人同士の様に見えた。


◇◆◇◆◇◆◇◆


 澪は店で勉強させてもらってはいるが、ホールに立つ事は無い。
 雇われている訳ではないし、澪にとって接客は何の意味も持たないからだ。
 よって接客に当たるのはマルタ一人という事になる。
 澪は厨房や店の隅から客の様子を観察をするくらい。
 料理の出来上がりはもちろん、香りや店主の手際をつぶさに確認しながら皿洗いなどを受け持っている。
 店の隅から客の様子を見るにしても客の視界に入るような事はしない。
 この店を訪れている誰一人、ここで澪が皿を洗っている事は知らないだろう。
 当然澪が下処理をした野菜や肉を食べている事すら知らない。
 夜。
 昼はまだそれほど酒を頼む客はいないが、日が暮れてからは話は別だ。
 美味い料理には美味い酒。
 客筋が良い方のこの店では酔って暴れるような客は滅多にいない。
 愛嬌良く客に合わせた接客をこなせるマルタがいるのも手伝ってトラブルなど滅多に起きる事はない。

「あの、お客さん。もう終わりなんです……」

 その滅多にないトラブルがこの夜起きてしまった。
 ハイペースで酒を飲んでいた若い女が大分長い時間店に居続け、他の客に絡んだりする悪い酒ではなかったが結果的に店内に彼女以外誰もいなくなってもチビチビと飲み続け、閉店時刻を過ぎる頃には半分寝ているような状態で話を聞いてもらえない状況だった。
 マルタも店主も困り顔だ。
 週末とはいえ、ここは昼と夜の両面営業型。
 朝まで一人の客の為に店を開けておく事など出来ない。

「ああ、澪さん。最後の客があんな様子でね。困ったもんだよ。まあ後は俺らで済ませておくから、澪さんはもうあがってください」

 店主がホールに顔を出した澪に気付いて声を掛ける。
 滅多にない困った客だが、一度もない訳ではない。
 客商売をやっていれば普通のお客さんばかりでは済まない。
 店主もその辺りはよく心得ていた。

「……ここは酒に呑まれるような店ではないでしょうに、あら?」

「?」

「知った顔じゃありませんか。情けないこと」

「澪さん?」

 澪はスタスタと歩を進め丸テーブルに突っ伏す若い女の横に立つ。

「ちょっと澪さん。お客さんですから乱暴は一応」

 マルタからの視線と言葉に、澪は意外そうに目を丸くして見せた。

「手は出しませんよ。ここに迷惑をかける真似は致しません、ふんっ」

『!?』

 そして少しだけ口を尖らせた澪がわかってますとばかりに安心させる言葉を吐いた瞬間。
 ちょっとだけ澪は若い女に向けて怒気を放った。
 ほんの少しだけだ。
 しかしそうであったとしても、澪の怒気だ。
 店主とマルタは微かな余波でブルリと背筋が意味なく震えるのを感じた。
 直接ソレを向けられた女はといえば……バッと体を起こして周囲を汗まみれの顔で見渡した。

「お目覚め?」

「客に殺気放ってんじゃ……?」

 掛けられた声に反応して顔がそちらを向き、そして怒りのまま口を開き。
 本能的に口をつぐむと、何が起こっているかわからない表情でにっこり笑う澪を見つめる若い女性。

「確か……冒険者ギルドの受付でしたわね」

「で、でで、でででえ」

「は?」

「出たーーーーーーー!!!!」

 バッと立ち上がったその女性、冒険者ギルド受付アーシェス嬢は絶叫と同時に全力疾走で店から出て行ってしまった。
 椅子が倒れて音を立てるのと店の入り口が勢いよく閉まる音が同時に聞こえたんじゃないかと思えてしまうほど素早い動きだった。

「……ええっと、食い逃げ、ですか?」

「いえ澪さん。あの方、そこにお財布置いていってます」

 フロアを指さすマルタ。
 置いていったのではなく落としていった、が正しい。

「なら食い逃げじゃない?」

「うーん?」

 そんな間の抜けた会話が店内で交わされている事など知る由もなく。
 アーシェスは夜の闇に消えていった。
 たまの一人酒、飲みたい夜を迎えたその日に何故この店を彼女が選んでしまったのか。
 半分意味がわからないままに翌日手土産片手にお詫びに来たアーシェスは悪夢でも何でもなく本当に澪が店にいた事に顔を引きつらせつつ、もうこのお店来れない、と涙目になったのだった。
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