バッドエンドしかないとかいう悪役令嬢とやらに初めてをもらってくださいと言われた魔王だが聞いてくれ

吉川 箱

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一 「バッドエンドしかない」という悪役令嬢とやらの従者になったのだが、聞いて欲しい

一の3

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 疑問が顔に出ていたようだ。シリアナ嬢が大きく頷く。
「ロイルートでのシリアナは殿下と結婚し、帝国に平和が訪れたかに見えたその時、魔物が帝国に侵攻するのです。しかしヒロインである聖女より力の弱いシリアナは魔王に破れ、命を落としますの。実質、生贄として差し出されての死亡ですのよ」
「え、僕なんで侵攻したんだろ?」
「『我らを悪とした女神を篤く信仰する帝国を滅ぼし、地上に我らの国を作る』とかなんとかおっしゃっておられましたわ」
「……」
 察するにダンジョンから魔物の財産を奪われその補填と賠償に追われ、国庫が空になったからヤケを起こして攻め入ったんだろうなぁ……。もうどうにでもなぁれ、って。そしたら運よく聖女としては実力弱めのシリアナ嬢が出て来たので偶然、勝ててしまったんだろう。多分、あっさり聖女に勝てて一番びっくりしているのはその「るーと」とやらの僕だぞ。
「でもそれ、帝国えらいことになっちゃうんじゃないの?」
「帝国どころか世界中に魔物が溢れることになる世界で、愛のために世界を混乱へ陥れた罪悪感から元ヒロインの聖女はロイと共に魔物討伐の旅に出るところでゲームが終わりますのよ。穏やかな性格で生徒思いの優しいロイ先生が、己の愛を貫いた結果帝国を破滅に導いたことで自責の念に駆られ想いが揺れる表現が大変美しゅうございましたの。『例え世界と引き換えにしても、君を愛さずにはいられなかった。これは僕への罰だ』とヒロインを抱き寄せるロイのスチルは完璧でしたわ……」
 ほんとにろくでもない未来しかないな。絶句した僕をシリアナ嬢は何やらうっすらとした笑みを浮かべて見つめている。これはいつもの顔がいいと鳴くのを堪えている顔だ。エイン知ってる。こほん、と一つ咳をして話を続けた。
「まぁ今回は僕がここに居るし、攻め込むことはないだろうから聖女と淫行教師をくっつけることに全力を尽くした方が良くない?」
「それでもやはり、複数の保険をかけておきたいところですわ」
「となると、シリアナ嬢が平穏に暮らせそうなのは第一王子アナルアルトと、淫行教師のるーとで、一番避けねばならんのは毒殺されてしまう第二王子のシリアナルるーとということになるな」
「シリアナル殿下はアナルアルト殿下の弟君であらせられますから、当然避けては通れないのです。ヒュース様はアナルアルト殿下の護衛騎士で殿下と顔を合わせる時には必ず同席しておりますしこれまた避けようがないので、全く無関係なのは次期大司教候補のアナルディル様だけなのですわ……」
「え、待って。大司教候補と聖女はどうやって出会うんだ?」
「ヒロインは学園入学前から、オシリアナ神殿に足繁く通う敬虔な女神の信者なのです。なのである意味、入学前からアナルディルルートは確定しているということなのですわ」
「貴族令嬢がそんなに頻繁に神殿に通うのか?」
「ヒロインは平民なのですが、イカセル子爵の私生児だと判明して入学前に子爵家に引き取られるのです」
「イカセル子爵は他に子供が居ないのか?」
「ゴコス・リ・ハンデ・イカセルというご令息が居られましたが、ゲーム通りなら去年に流行り病で亡くなっているはずです」
「跡継ぎが居なくなったから引き取った、というわけか」
「そうです」
 胸糞悪いなイカセル子爵。まぁ貴族なんてそんなもんか。権力を持つと他人を自分の思い通りにしてもいいと勘違いするバカは一定数現れるものだ。
「シリアナ嬢は大司教候補とは面識ないのか?」
「現時点ではございませんの。洗礼式の時しか顔を合わせないと思いますわ」
「じゃあまぁ、大司教候補はあまり警戒しなくてもいいか。聖女と既にデキていたとしても、君が関わらなければいいだけだしな」
「ですわね。最終手段として帝国で洗礼式を迎える前に他国で冒険者として暮らす選択肢もありますし」
「女神信仰が盛んなのはアナルファック帝国だけだからな」
「ええ。他国ではほとんどが原初神ドライオル・ガズムを信仰しているので、聖女選別の洗礼式は行いませんもの」
 そう。この世界の人間は八割が創世神話に出て来る原初の神ドライオル・ガズムを主神とするエロアーナ教を信仰している。アナルファック帝国は建国の英雄である英雄王ケツアナ・アナ・ル・イジリスキー・アナルファックが女神オシリアナのお告げと加護を得て魔物が跋扈し混乱する国を治めたことから、女神を崇めるオシリアナ教が国教なのである。また聖女は英雄王ケツアナを助け、建国後王妃となったために篤く信仰されている。このミナエロイ大陸に於いて、一番歴史の浅い国でもあるのだ。
 つまり女神オシリアナのお告げのせいで元々この地に住んでいた魔物は魔界へ追いやられ、地上では『昏き場所』にしか留まらないという約束をドライオル・ガズ厶とする羽目になったんだ。今度会ったら常に鼻毛が一本だけ長く伸びる呪いをかけてやる。
「じゃあ淫行教師るーととやらを推し進めつつ、シリアナ嬢に僕の魔力を注ぐ方向で行こう」
「淫行教師ですけれども淫行教師ではありませんわ。魔法理論の担当ですのよ」
 いや在学中の学生に手を出す教師なんて即刻クビだろ。倫理観ゼロじゃん。どうなってんのこの国。どうなってんの人間界の常識。人間怖い。いやしかしこの茶葉最高か。二杯目はミルクティーにしよう。シリアナ嬢と自分のカップへ温めたミルクを注ぎながら思考を巡らせる。ミルクティーにするならば、一度使った茶葉を長めに蒸らして飲んでもいいがオシリスキナ家はお金持ちなのでそんなけち臭いことはしない。新しい茶葉を豪快に入れてティーポットへティーコジーを被せる。
「ゲームの時は悪役令嬢とはそういうものと思っておりましたが、自分の現実となってみると顔が良くてもご遠慮願いたい殿方ばかりなのですの……」
 虚無を湛えたシリアナ嬢が静かにミルクティーを啜る。小さな手がティーソーサーへカップを戻す。微かに陶器が触れ合う音がした。
「……他にもシリアナ嬢的には穏便そうで交渉の余地がありそうな兄上るーとも視野に入れておこう」
「分かりましたわ」
「で、なるべく他の攻略対象とやらとは交流しない」
「それは難しいですわ」
「まぁ一人は淫行教師だしな……」
 そこまで口にして気づく。三つ目のスコーンに手を伸ばしたシリアナ嬢を目路に入れつつ、カップへ紅茶を注ぐ。僕とシリアナ嬢は鏡合わせのようにカップを持ち上げ、ミルクティーを口に含む。
 うん。ファーストフラッシュの薄い美しい水色とふくよかな香りとミルクの仄かな甘みが最高だ。一般的にミルクティーにはコクが出やすいブロークンリーフの方が向いているが、僕は繊細な香りとミルクの甘みが楽しめるフルリーフのミルクティーも好きだ。フルリーフの繊細な味わいを、ミルクが消してしまうというのだろうが一般論なんてくそくらえだ。僕は薫り高い繊細な味わいの紅茶をミルクティーで楽しみたいのだ。僕はそれを最高に美味いと思う。そう、純然たる僕の好みだ。好みの問題なのだ。だって贅沢だろう? ああ美味い。人間界バンザイ。
「……婚約者が決まっている身分の高い貴族令嬢は領地内に留まり家庭教師を付け、学園に通わない者もあると聞く。このまま学園に入学せず、皇妃候補として学ぶことに専念するとかなんとかそれらしい理由を付けて領地に帰るという選択肢もありなのではないか?」
「……! アリですわね」
 シリアナ嬢はすでに学園入学程度の教養は身に付けているようだ。魔法や剣術も特S級冒険者なのだから当然マスターレベルで、今さら誰に学ぶこともなかろう。家門的にも領地で皇妃を教育するに相応しい教師を雇う余裕もあるだろう。
「ヒロインも攻略対象も大半が学園で出会うのだよな。攻略対象とヒロインの恋愛も九割方学園の中で育まれる。そこにシリアナ嬢がいなければ、シリアナ嬢がヒロインと衝突する事態は避けられる」
「ただ、そうなると誰が攻略されているかの進捗が窺えないのでは?」
「そこは兄上に報告してもらえばよかろう。それにその場に居ない人間に罪を被せようにも被せようがない。オシリスキナ領は首都より離れた遥か西南の地。皇妃教育に専念すると言えばおいそれとは呼び出すこともできまい。皇太子とも疎遠になれる。一石二鳥だ」
「……一理ございますわ」
「関わってないなら断罪されようがないからな」
 思い付きで言ってみたが、結構いい作戦なのではないだろうか。断じて敬語を覚えるのが面倒になったとか、シリアナ嬢に付き添って学園とやらに行くのが面倒になったとか、やたらとダメ男限定の吸引力が高いひろいんとやらが怖いからではない。ないったら。
「ではお父さまに掛け合ってみます」
 四つめのスコーンへ伸ばされたシリアナ嬢の手を押さえる。見つめ合い静かに首を横へ振る。
「陛下におかれましては顔の良さが暴力的に圧倒的美麗さを日々更新しておられるのですわ」
 何の話だ。それより今は君の体重管理について話をした方がいいと思う。
「太るぞ。やめておけ」
「く……っ! 陛下のスコーンは美味しすぎるのですわ……っ! 大丈夫ですわ。この後、ドラゴンの巣で軽く運動してまいりますもの」
 そうだろう、そうだろう。このスコーンはバターがふんだんに使えることが嬉しくて少々カロリーを無視し、味わいのみを追求したレシピになっている。あとな、あとな、秘密は何度も生地を折り重ねて層を作る様にしているのだ。それがふんわりさくさくほろほろの秘訣だ。すごかろう? 僕天才だろ? お料理楽しい。人間界の食材最高。あと、ドラゴンの巣へジョギング感覚で軽く運動へ赴く人類は君だけだシリアナ嬢。最近ドラゴンからなぜか僕へ苦情が来ているからやめないかシリアナ嬢。あいつらドライオル・ガズムの眷属ってことになっているのに泣きつく時は僕に泣きつくんだどいつもこいつも厄介事ばかり僕を頼りやがってこんちくしょーめ。
「……魔界には」
「はい」
「人間界の食材は存在しない。生態系が違うからな。人間界の食材に味が似たものを探したが、存在しなかった。だから僕は長年人間界に来たいと思っていたんだ。本の中に書かれた人間界の風景や食事は実際はどんなものだろうとずっと考えていた。だから今、楽しくて仕方ない。シリアナ嬢には感謝している」
 あとぶっちゃけ公爵家のお賃金オイシイ。このまま三年とは言わず百年くらい雇ってくれないだろうか。
「……わたくしこそ、突然訪れて無茶な要求をしたわたくしを信じてくださって感謝しておりますわ、陛下」
 さてと。話すべきは話した。椅子を引いてティーセットを乗せたワゴンの横に立つ。片手でそっと今まで自分が座っていた椅子を戻し、背を伸ばした。ノックはきっちり三回。
「シシィ、ボクだ。入ってもいいかい?」
「ええ、エリィお兄さま」
「かわいいかわいい兄様のシシィ、アナルファック帝国のに咲いた匂い立つ美しき薔薇姫。兄様にキスしてくれないのかい?」
「……うふふ、お兄さま。しゃがんでくださいませ」
 妙な沈黙の間にぼそっと「だから尻の穴だもん臭いますわよね」とシリアナ嬢が呟いたが何のことだかさっぱり分からない。僕はいつも通り無視した。
「シシィのキスが貰えなければ兄様の世界はくすんでしまうから、毎日兄様へのキスを忘れないでおくれね、シシィ」
 シリアナ嬢の横へ少し屈んで頬を差し出し、すっかり緩んだ表情を見せているこの青年が攻略対象であるエロアナル令息だ。シリアナ嬢が軽く頬へキスをすると満足した様子で頷き向かいへ歩いて来る。椅子を引いて軽く頭を下げる。
 従者らしくテーブルの脇へ立ち、エロアナルの前へ静かにティーカップを置く。ハイティースタンドからスコーンを選び、クロテッドクリームをたっぷり乗せて口へ運んだエロアナルは頷きながら目を閉じた。
「シシィはとてもいい従者を見つけたね」
「ええ。エインのスコーンは帝国一ですわ。それに護衛としても優秀ですのよ。詳しくは申し上げられませんが、エインが負けることは絶対に有り得ませんのよ」
「特S級冒険者のシシィがそこまで言うとは。彼の実力は折紙付きなのだね」
 魔王だからねっ! とはさすがに言えない。人間には負けるはずもないし、魔物が僕に従わないわけもなく。神とて僕を排除できず、「昏き場所」は魔物の領域と認めたわけだから。
「それに彼のセレクトした紅茶はとてもボク好みだ」
 ティーカップから立ち上る香りを楽しむ優雅な仕草。閑雅なアーリーティータイム。僕の求めていたのはこれだ。
「光栄です」
 だってここの家の人たちどんなに高い食材買って来ても、何も言わないんだもん大好き!
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