31 / 33
外伝 バッドエンドしかない悪役令嬢になったのですけれど、推しの魔王を幸せにいたしますわ!
外伝1
しおりを挟む
「陛下、マンゴーミルクかき氷、マンゴーマシマシでお願いいたしますわ」
「いらっしゃいませお嬢さま。マンゴーミルクかき氷マンゴーマシマシお待たせいたしました」
「陛下のミルクはいつ頃いただけますでしょうか?」
「何度言ったら分かるのかな! 君、その下品な口を閉じないとマンゴーを丸ごと口に詰め込むよ!」
「なるほど、陛下はお口でするのがお好き」
「そんなこと一言も言ってないでしょうがあああああああああ! 営業妨害だよもう帰ってくれないか!」
「陛下におかれましては、いつ頃になればわたくしを陛下の寝室へお招きいただけますのでしょうか」
「招かないよッ!」
「では寝室ではなくてもよろしゅうございますので、いつか島へお招きいただけましたら甚だ幸いにございますわ」
「……まぁ、それは考えておこう」
そういえばあの島、わたくしとアホ殿下の婚約破棄のために尽力していただいた陛下へのお礼としての購入時に名前を見たのですがパイズーリ島と申しますのよ。
「陛下はお尻や足派であらせられますか。それとも胸派であらせられますでしょうか」
「君そんなのうっかり答えたら腕に胸を押しつけたり後ろから抱きついて背中に胸を押しつけたりする気だろうチョロい童貞をナメるなよ、そんなんされたら惚れてしまうぞ」
「なるほど、胸派であらせられますのですわね」
「うぐっ……。ち、ちがうもん……」
「おっぱいがお好きですのね?」
「おっぱいは童貞のみならず男なら誰でも好きでしょうが! だがご令嬢がおっぱいとか往来で口にしてはいけませんッ!」
陛下は相変わらず、怒ってもキャラが崩壊しても顔が大変よろしくていらっしゃいますわ。見惚れながらかき氷を口にいたしますと、ただのかき氷が何万倍も美味しくいただけるのでございます。これこそ推しが現世に実在する幸せというものでございますわね。ただいかんせん、わたくしの想いが陛下にどうもうまく伝わっていないようなのでございますの。
「陛下、親指と人差し指をこう、交差させていただけますかしら?」
「何だ一体……こうか?」
「ええ、ええ、さすが陛下。飲み込みが早くていらっしゃいますわ。陛下のハートマーク網膜に焼きつけましたわ」
「訳が分からない。本当に、営業妨害だから帰ってくれ……」
ぐったりと項垂れながら額を押さえた陛下のおくれ毛、ばっちり網膜に焼きつけましたのですわ。尊いの権化ですわ。わたくしを邪険にしながらも言われたことは素直にやってしまう陛下、かわいらしゅうございますわね。皆様もそう思いませんこと?
「陛下、わたくし思い付きましたの」
「なんだ」
魔王陛下であらせられます、エイン様のおっしゃることには魔界で人型の魔物は希少だそうなのですわ。わたくし先日、インキュバス三兄弟のお名前を伺った折に腹筋がよじれるのを堪えたのは近年で一番偉かったと思っておりますの。
だって、長男がナオシタ・イ・チンポジーで次男がサダマラナ・イ・チンポジーで三男がサリゲナ・イ・チンポジーだったのですわよ。チンポジくらい勝手に直してくださいませなのですわ。名前が過分にアレだというのに、三人とも芸術の神に愛されたような美青年でございました。眼福ですが、やはり陛下のご尊顔には及びませんわ。
「このかき氷屋台は見目麗しい男性が店番をしていると有名ですのよ」
「……そうなのか」
「ええ。ですので、店番の男性と記念の肖像画を描けるというスペシャル特典を一ドエロー金貨で受け付けるというのはいかがでしょうか」
「一……ドエロー……金貨……」
「時間がかかって回転数が稼げなくとも、おそらく貴族令嬢に大人気になりますわ」
ちなみに我が家は陛下へ料理顧問として年間二十ドエロー金貨をお支払いしておりますのよ。一ドエロー金貨は百エロイ銀貨と同等ですわ。帝国最高の名誉を賜るアナルローズ帝国騎士団の騎士は最低でも二十エロイ銀貨の月収がございますから、庶民が一生かかっても目にすることのない金額ですわね。
「一時間一枚として……一日六枚程度を見込むと……六ドエロー金貨……」
陛下は顔が世界遺産並みによろしいのですが、お金はお持ちではございませんの。ですからお金の話には敏感でございますのよ。それから股間と童貞のお話にも敏感ですわ。ですからきっと、色んな所が敏感だと推察できますのよ。敏感な陛下。素晴らしいですわね。敏感な陛下という語感だけで白米が三杯はいただけますわ。けれど残念なことに前世の知識から推察するにおそらく中世ヨーロッパ風のこの世界に、白米はございませんの。白米を求めていざ、大航海……は陛下の神聖な股間の魔王を美味しくいただいてからにしたいと目論んでおりますのよ。美味しい旅のお供は陛下ですわ。
「シリトア」
「はい、陛下。御前に」
「急ぎ絵を描くのが得意な者の中から特に、絵を仕上げるのが早い者を連れて来るように」
「かしこまりました」
さすが陛下、お金になると見込んだら行動が早いのですわ。そんなところも素敵ですわね。わたくし、早漏でも回数が見込めれば問題ありませんわ。陛下の陛下を見つめ、強く頷きましたの。陛下にもわたくしの気持ちが通じたのか、にっこり微笑んで頷いてくださいましたわ。
「礼を言うぞ、シリアナ嬢。しかし紳士の股間をじっくり眺めながらかき氷を食べるのは止めたまえ。それから帰ってくれ」
つれないところもまた陛下の魅力ですのよ。わたくしは渋々立ち上がって陛下へ手を振りましたの。きちんと手を振り返してくださるのが、陛下のおかわいらしいところですわ。
ドエロイゾ川沿いの大通りシリエロイ通りはドエロミナ城まで続くドエロミナの目抜き通りですの。普通の公爵令嬢ならば共も従者も連れずに一人歩きなど以ての外ですが、わたくしは少し普通とは事情が違いますのよ。
そう、わたくしには前世の記憶があるのです。前世でわたくしは「日本」という国で会社員という平民の暮らしをしておりましたの。まぁ、前世では大体の人間は平民なのですが。
そして前世でよくある異世界転生をしていると気づいたのは、わたくしが五歳の頃でございましたのよ。オシリスキナ公爵家では五歳になると東の森にあるダンジョンで腕試しをするのですが、そこでこの世界が乙女ゲーム「恋と魔法と精霊の約束」通称「こいまほ」の世界だと気づいたのでございますわ。そう。ゲームオタクなら見慣れたステータス画面がダンジョンへ入るなり現れたのです。
「マジ?」
その驚きと言ったら、思わず前世の口調で呟いてしまうほどでございましたのよ。公爵令嬢にあるまじき口調ですの。お恥ずかしゅうございますわ。
「こいまほ」はソーシャルゲームが主流の現代に於いて今どき珍しいオンラインゲームで、乙女ゲームでありながらバトルシーンにも手を抜かないことが売りでございました。メリバ万歳の万人受けするゲームではありませんでしたが、コアなファンが付いていることで有名でしたの。もちろん、わたくしはコアなファンでございましたのよ。このゲームの攻略対象は五人。けれど、二周目限定の隠し攻略対象が存在するのです。
その方がわたくしの最推し。
賢明な皆様はもうお分かりですわね? そう、魔王アナルパァル。エイン・ナゾルト・カイカーン陛下ですのよ。もうこの際、このゲームのキャラクターの名前がクソなことはここでは申し上げません。脚本家いい加減にしろ。アナルパールで会陰をなぞると快感ってどういうことだってばよ。尻とアナルでイクも大概だけども、ヒロインの名前からして三こすり半でイかせるとかどんだけだ。悪役令嬢の名前が尻穴ってどうなんだふざけてんのか。ただでさえ転生して戸惑ってるのに名前を毎回尻穴尻穴言われる身にもなってみろ。
失礼いたしました。少々取り乱しましたわ。そんなこんなで、わたくし最推しに会うために努力に努力を重ねて強くなりましたのよ。つまりわたくしの努力はすべて、陛下のためなのですわ。
ひとえに、推しを幸せにするために。
城門をくぐり、自室へ入ると天蓋付きベッドの脇へ置かれたフランベルジュを手に取りましたの。このフランベルジュには光の精霊王が宿っておりますのよ。本来ならばヒロインと契約するはずの精霊なのですが、何故かわたくしの剣に宿っておりますのよ。何故……、そう。この光の精霊王が殴られて喜ぶド変態だからでございますわ。
「鍛錬か? 鍛錬するのか? シリアナよ。我を思う存分打ち付けるがいいぞ!」
黙れド変態と言いたくなるのをぐっと堪えることができるわたくしはできる子ですわ。そう、やればできる。やればできる子なのです。いつか陛下もヤってしまえばこちらのモノですわ。そのためにも鍛錬は欠かせません。それにわたくしは、ヒロインよりも陛下よりも、誰よりも神よりも強くならなくてはなりませんの。
陛下を、幸せにするために。
「イチ。あの方は今、どうしておられますか」
「……調子、悪いようじゃぞ」
先ほどまで饒舌だった光の精霊王が何とも歯切れの悪い様子ですの。どうにも「あの方」について聞かれたくないようですわね。けれどわたくし、前世でこのゲームをディスクが擦り切れるまでプレイした女ですのよ。隠しキャラを含めてシナリオは全て攻略済みなのですわ!
「小娘」
「何ですの、ド変態王」
「ぐぬ……。おぬし何故、闇の精霊王より先にワシと契約したのじゃ」
ド変態ということに異論はないのですわね。光の精霊王がド変態だなんて、誰が想像できたでしょうか。ド変態ですけれどもこの光の精霊王、顕現すると金髪碧眼のなかなか美形ですのよ。このゲームのキャラクターで変態ではない人物など魔王陛下以外に居りませんでしたわね。納得でございますわ。
「あの方に会うためですわ」
「……おぬしでは、まだちとあの方には届かぬぞ」
「分かっていますわ。それでも、あの方を止めなければ陛下は幸せになれない」
シリアナ・ス・バラシーク・オシリスキナ。このゲームの悪役令嬢。ヒロインの邪魔をし、ヒロインと攻略対象の絆を深めるためだけの存在。そもそも悪役令嬢であるシリアナは聖女ではありませんが、悪役ゆえに戦闘能力は弩級チートで最強なのですわ。二周目で魔王陛下がヒロインと共に倒すラスボスはシリアナですの。
ラスボスのくせに、陛下を幸せにするために強くなるとは何事か、ですございますか? そこですわ。ラスボスがわたくしということは、陛下とは逆の属性でなくてはゲームバランス的におかしいのではなくて? シリアナは、ヒロインという聖女が現れたにも関わらず聖女候補からなぜ、外されなかったのか。
明敏な皆様は、大体予想がついておられますわね?
それでも神を屠るには、届かない。
ゲームでは用意されていない、未来を陛下に。
けれどもわたくし、この世界に転生したと理解した時からそれだけを目指してまいりましたの。
そのためだけに、己を鍛えた。そのためだけに、陛下に会った。そのためだけに、ヒロインの邪魔をした。そのためだけに。
「わたくしの願いはただ一つですの」
陛下の願いを叶える。ただそれだけ。
「そのためには、光の攻撃魔法を使う聖騎士団と戦って実戦に備えられればいいのですけれども」
「聖騎士団に喧嘩を売る気か」
「光の精霊王のあなたが、光の神ドライオル・ガズムを信奉するデラエロイケツ聖騎士団と戦うのはいかがかしら?」
「……めちゃくちゃ興奮しますっ!」
「……その己の癖に全力投球な姿勢、正直ドン引きですわ」
けれどヒロインと光の精霊王が契約してしまえばドライオル・ガズムの力が上がると予想されるからには、わたくしが先に契約してしまうのが一番ですわ。徹底的にヒロインの邪魔をする。それがわたくしの願いを叶えるために必要なのです。血の滲むような努力の結果、わたくしは闇と光の精霊王と契約を叶えたのでございますの。あとは、陛下の知らぬところで速やかに実行するのみ。
都合のよいことに陛下は魔物たちを東の海にある孤島へ移住させるため、大変お忙しくていらっしゃいますの。きっと気づかれませんわ。ラストダンジョンもなくなった今、わたくしは毎日ドラゴンの巣へ赴き鍛錬を欠かさぬ毎日でございますのよ。
「ラストダンジョンも制覇したので、もうそろそろ光のドラゴンが現れてもいい頃ですのに……」
「魔王が討伐されてないからなぁ」
「陛下に刃を向けるなんて、わたくしとてもできませんわ」
「代わりになるような闇の存在を討伐すれば、あるいは」
「……」
「……」
イチと同時に視線がわたくしの尻の下で恍惚の表情を浮かべるド変態精霊王に注がれましたの。
「……! 魔王の代わりに、我を討つ気か……!」
「陛下に刃を向けるわけにはいきませんでしょう?」
「我には刃を向けていいのか! 外道め!」
「大丈夫ですわ。ダンジョンボスも倒しても何度でも復活しておりましたもの」
「簡単に言うな! そもそもダンジョンの魔物は瀕死になったら魔界へ転送されるように魔王が魔法をかけた上で、回復魔法も蘇生魔法も付与されておるのだぞ!」
「ニイにはどれも必要ありませんわね。お好きでございましょう? そういうの」
「んんんん好きぃぃぃぃぃぃ!」
大変気持ち悪うございますわ。微塵も迷いなく討伐できます。ありがとう、ニイ。ド変態闇の精霊王。あなたに勝てないわたくしが、あの方に勝てるはずもありませんものね。正直、どれだけ外見が美形でも触りたくありませんが仕方ありませんわ。
「けれどわたくしの部屋を破壊するわけには行きませんわ。陛下に気取られないよい場所はないかしら」
「あるぞ、よい場所」
フランベルジュからトコロテンを押し出すようににゅっと上半身が出ている美形というのは、なかなかにシュールなものがございますわね。フランベルジュと繋がっている見えそうで見えない下半身のソレを、切り離してしまいたい気持ちをぐっとこらえて尋ねましたのよ。
「どこですの、イチ」
「ドライオル・ガズムが初めに降り立った地の神殿だ」
「……そこは法王直轄ではなくて?」
ミナエロイ大陸の中央に女王が治める技術大国ケツナメル王国。お父さまの祖国ですわね。その北西に建国神話でドライオル・ガズムから『この地を治めよ』と聖剣エスジケッチョウを渡された皇王の子孫が治めるエロスキーネ神皇国。エロスキーネ神皇国で広められている教義は大変厳しく、エロアーナ教の中でも区別してエロアーナ教クンニ派と呼ばれますのよ。南西に多民族国家であるカ・ツヤクキィン共和国。一部近海の島ではシャーマニズム信仰が盛んでメチャケ・ツエロイという森林の精霊を崇めているのですわ。森の精霊であるメチャケ・ツエロイと交信することができるシャーマンをムチャエ・ロイと呼ぶんだそうですわよ。獣人が多く暮らす国ですわね。ケモ耳好きにはたまりませんの。北東に神聖メ・スイキ法王領。エロアーナ教の主神であるドライオル・ガズムが初めて降り立った地、デラエロイケツを守る法王インランド・ヘンターイを主とした宗教国家ですのよ。そして南東のここがアナルファック帝国ですわ。
純然たる日本人の皆様におかれましては、ここまで説明したら発狂しそうなわたくしの気持ちがお分かりいただけるかと思いますのよ。そう、この世界人名だけではなく地名もクソでございますの。新しい地名や都市の名前を聞くたびに新鮮に脚本家への殺意が芽生えますわ。
「いらっしゃいませお嬢さま。マンゴーミルクかき氷マンゴーマシマシお待たせいたしました」
「陛下のミルクはいつ頃いただけますでしょうか?」
「何度言ったら分かるのかな! 君、その下品な口を閉じないとマンゴーを丸ごと口に詰め込むよ!」
「なるほど、陛下はお口でするのがお好き」
「そんなこと一言も言ってないでしょうがあああああああああ! 営業妨害だよもう帰ってくれないか!」
「陛下におかれましては、いつ頃になればわたくしを陛下の寝室へお招きいただけますのでしょうか」
「招かないよッ!」
「では寝室ではなくてもよろしゅうございますので、いつか島へお招きいただけましたら甚だ幸いにございますわ」
「……まぁ、それは考えておこう」
そういえばあの島、わたくしとアホ殿下の婚約破棄のために尽力していただいた陛下へのお礼としての購入時に名前を見たのですがパイズーリ島と申しますのよ。
「陛下はお尻や足派であらせられますか。それとも胸派であらせられますでしょうか」
「君そんなのうっかり答えたら腕に胸を押しつけたり後ろから抱きついて背中に胸を押しつけたりする気だろうチョロい童貞をナメるなよ、そんなんされたら惚れてしまうぞ」
「なるほど、胸派であらせられますのですわね」
「うぐっ……。ち、ちがうもん……」
「おっぱいがお好きですのね?」
「おっぱいは童貞のみならず男なら誰でも好きでしょうが! だがご令嬢がおっぱいとか往来で口にしてはいけませんッ!」
陛下は相変わらず、怒ってもキャラが崩壊しても顔が大変よろしくていらっしゃいますわ。見惚れながらかき氷を口にいたしますと、ただのかき氷が何万倍も美味しくいただけるのでございます。これこそ推しが現世に実在する幸せというものでございますわね。ただいかんせん、わたくしの想いが陛下にどうもうまく伝わっていないようなのでございますの。
「陛下、親指と人差し指をこう、交差させていただけますかしら?」
「何だ一体……こうか?」
「ええ、ええ、さすが陛下。飲み込みが早くていらっしゃいますわ。陛下のハートマーク網膜に焼きつけましたわ」
「訳が分からない。本当に、営業妨害だから帰ってくれ……」
ぐったりと項垂れながら額を押さえた陛下のおくれ毛、ばっちり網膜に焼きつけましたのですわ。尊いの権化ですわ。わたくしを邪険にしながらも言われたことは素直にやってしまう陛下、かわいらしゅうございますわね。皆様もそう思いませんこと?
「陛下、わたくし思い付きましたの」
「なんだ」
魔王陛下であらせられます、エイン様のおっしゃることには魔界で人型の魔物は希少だそうなのですわ。わたくし先日、インキュバス三兄弟のお名前を伺った折に腹筋がよじれるのを堪えたのは近年で一番偉かったと思っておりますの。
だって、長男がナオシタ・イ・チンポジーで次男がサダマラナ・イ・チンポジーで三男がサリゲナ・イ・チンポジーだったのですわよ。チンポジくらい勝手に直してくださいませなのですわ。名前が過分にアレだというのに、三人とも芸術の神に愛されたような美青年でございました。眼福ですが、やはり陛下のご尊顔には及びませんわ。
「このかき氷屋台は見目麗しい男性が店番をしていると有名ですのよ」
「……そうなのか」
「ええ。ですので、店番の男性と記念の肖像画を描けるというスペシャル特典を一ドエロー金貨で受け付けるというのはいかがでしょうか」
「一……ドエロー……金貨……」
「時間がかかって回転数が稼げなくとも、おそらく貴族令嬢に大人気になりますわ」
ちなみに我が家は陛下へ料理顧問として年間二十ドエロー金貨をお支払いしておりますのよ。一ドエロー金貨は百エロイ銀貨と同等ですわ。帝国最高の名誉を賜るアナルローズ帝国騎士団の騎士は最低でも二十エロイ銀貨の月収がございますから、庶民が一生かかっても目にすることのない金額ですわね。
「一時間一枚として……一日六枚程度を見込むと……六ドエロー金貨……」
陛下は顔が世界遺産並みによろしいのですが、お金はお持ちではございませんの。ですからお金の話には敏感でございますのよ。それから股間と童貞のお話にも敏感ですわ。ですからきっと、色んな所が敏感だと推察できますのよ。敏感な陛下。素晴らしいですわね。敏感な陛下という語感だけで白米が三杯はいただけますわ。けれど残念なことに前世の知識から推察するにおそらく中世ヨーロッパ風のこの世界に、白米はございませんの。白米を求めていざ、大航海……は陛下の神聖な股間の魔王を美味しくいただいてからにしたいと目論んでおりますのよ。美味しい旅のお供は陛下ですわ。
「シリトア」
「はい、陛下。御前に」
「急ぎ絵を描くのが得意な者の中から特に、絵を仕上げるのが早い者を連れて来るように」
「かしこまりました」
さすが陛下、お金になると見込んだら行動が早いのですわ。そんなところも素敵ですわね。わたくし、早漏でも回数が見込めれば問題ありませんわ。陛下の陛下を見つめ、強く頷きましたの。陛下にもわたくしの気持ちが通じたのか、にっこり微笑んで頷いてくださいましたわ。
「礼を言うぞ、シリアナ嬢。しかし紳士の股間をじっくり眺めながらかき氷を食べるのは止めたまえ。それから帰ってくれ」
つれないところもまた陛下の魅力ですのよ。わたくしは渋々立ち上がって陛下へ手を振りましたの。きちんと手を振り返してくださるのが、陛下のおかわいらしいところですわ。
ドエロイゾ川沿いの大通りシリエロイ通りはドエロミナ城まで続くドエロミナの目抜き通りですの。普通の公爵令嬢ならば共も従者も連れずに一人歩きなど以ての外ですが、わたくしは少し普通とは事情が違いますのよ。
そう、わたくしには前世の記憶があるのです。前世でわたくしは「日本」という国で会社員という平民の暮らしをしておりましたの。まぁ、前世では大体の人間は平民なのですが。
そして前世でよくある異世界転生をしていると気づいたのは、わたくしが五歳の頃でございましたのよ。オシリスキナ公爵家では五歳になると東の森にあるダンジョンで腕試しをするのですが、そこでこの世界が乙女ゲーム「恋と魔法と精霊の約束」通称「こいまほ」の世界だと気づいたのでございますわ。そう。ゲームオタクなら見慣れたステータス画面がダンジョンへ入るなり現れたのです。
「マジ?」
その驚きと言ったら、思わず前世の口調で呟いてしまうほどでございましたのよ。公爵令嬢にあるまじき口調ですの。お恥ずかしゅうございますわ。
「こいまほ」はソーシャルゲームが主流の現代に於いて今どき珍しいオンラインゲームで、乙女ゲームでありながらバトルシーンにも手を抜かないことが売りでございました。メリバ万歳の万人受けするゲームではありませんでしたが、コアなファンが付いていることで有名でしたの。もちろん、わたくしはコアなファンでございましたのよ。このゲームの攻略対象は五人。けれど、二周目限定の隠し攻略対象が存在するのです。
その方がわたくしの最推し。
賢明な皆様はもうお分かりですわね? そう、魔王アナルパァル。エイン・ナゾルト・カイカーン陛下ですのよ。もうこの際、このゲームのキャラクターの名前がクソなことはここでは申し上げません。脚本家いい加減にしろ。アナルパールで会陰をなぞると快感ってどういうことだってばよ。尻とアナルでイクも大概だけども、ヒロインの名前からして三こすり半でイかせるとかどんだけだ。悪役令嬢の名前が尻穴ってどうなんだふざけてんのか。ただでさえ転生して戸惑ってるのに名前を毎回尻穴尻穴言われる身にもなってみろ。
失礼いたしました。少々取り乱しましたわ。そんなこんなで、わたくし最推しに会うために努力に努力を重ねて強くなりましたのよ。つまりわたくしの努力はすべて、陛下のためなのですわ。
ひとえに、推しを幸せにするために。
城門をくぐり、自室へ入ると天蓋付きベッドの脇へ置かれたフランベルジュを手に取りましたの。このフランベルジュには光の精霊王が宿っておりますのよ。本来ならばヒロインと契約するはずの精霊なのですが、何故かわたくしの剣に宿っておりますのよ。何故……、そう。この光の精霊王が殴られて喜ぶド変態だからでございますわ。
「鍛錬か? 鍛錬するのか? シリアナよ。我を思う存分打ち付けるがいいぞ!」
黙れド変態と言いたくなるのをぐっと堪えることができるわたくしはできる子ですわ。そう、やればできる。やればできる子なのです。いつか陛下もヤってしまえばこちらのモノですわ。そのためにも鍛錬は欠かせません。それにわたくしは、ヒロインよりも陛下よりも、誰よりも神よりも強くならなくてはなりませんの。
陛下を、幸せにするために。
「イチ。あの方は今、どうしておられますか」
「……調子、悪いようじゃぞ」
先ほどまで饒舌だった光の精霊王が何とも歯切れの悪い様子ですの。どうにも「あの方」について聞かれたくないようですわね。けれどわたくし、前世でこのゲームをディスクが擦り切れるまでプレイした女ですのよ。隠しキャラを含めてシナリオは全て攻略済みなのですわ!
「小娘」
「何ですの、ド変態王」
「ぐぬ……。おぬし何故、闇の精霊王より先にワシと契約したのじゃ」
ド変態ということに異論はないのですわね。光の精霊王がド変態だなんて、誰が想像できたでしょうか。ド変態ですけれどもこの光の精霊王、顕現すると金髪碧眼のなかなか美形ですのよ。このゲームのキャラクターで変態ではない人物など魔王陛下以外に居りませんでしたわね。納得でございますわ。
「あの方に会うためですわ」
「……おぬしでは、まだちとあの方には届かぬぞ」
「分かっていますわ。それでも、あの方を止めなければ陛下は幸せになれない」
シリアナ・ス・バラシーク・オシリスキナ。このゲームの悪役令嬢。ヒロインの邪魔をし、ヒロインと攻略対象の絆を深めるためだけの存在。そもそも悪役令嬢であるシリアナは聖女ではありませんが、悪役ゆえに戦闘能力は弩級チートで最強なのですわ。二周目で魔王陛下がヒロインと共に倒すラスボスはシリアナですの。
ラスボスのくせに、陛下を幸せにするために強くなるとは何事か、ですございますか? そこですわ。ラスボスがわたくしということは、陛下とは逆の属性でなくてはゲームバランス的におかしいのではなくて? シリアナは、ヒロインという聖女が現れたにも関わらず聖女候補からなぜ、外されなかったのか。
明敏な皆様は、大体予想がついておられますわね?
それでも神を屠るには、届かない。
ゲームでは用意されていない、未来を陛下に。
けれどもわたくし、この世界に転生したと理解した時からそれだけを目指してまいりましたの。
そのためだけに、己を鍛えた。そのためだけに、陛下に会った。そのためだけに、ヒロインの邪魔をした。そのためだけに。
「わたくしの願いはただ一つですの」
陛下の願いを叶える。ただそれだけ。
「そのためには、光の攻撃魔法を使う聖騎士団と戦って実戦に備えられればいいのですけれども」
「聖騎士団に喧嘩を売る気か」
「光の精霊王のあなたが、光の神ドライオル・ガズムを信奉するデラエロイケツ聖騎士団と戦うのはいかがかしら?」
「……めちゃくちゃ興奮しますっ!」
「……その己の癖に全力投球な姿勢、正直ドン引きですわ」
けれどヒロインと光の精霊王が契約してしまえばドライオル・ガズムの力が上がると予想されるからには、わたくしが先に契約してしまうのが一番ですわ。徹底的にヒロインの邪魔をする。それがわたくしの願いを叶えるために必要なのです。血の滲むような努力の結果、わたくしは闇と光の精霊王と契約を叶えたのでございますの。あとは、陛下の知らぬところで速やかに実行するのみ。
都合のよいことに陛下は魔物たちを東の海にある孤島へ移住させるため、大変お忙しくていらっしゃいますの。きっと気づかれませんわ。ラストダンジョンもなくなった今、わたくしは毎日ドラゴンの巣へ赴き鍛錬を欠かさぬ毎日でございますのよ。
「ラストダンジョンも制覇したので、もうそろそろ光のドラゴンが現れてもいい頃ですのに……」
「魔王が討伐されてないからなぁ」
「陛下に刃を向けるなんて、わたくしとてもできませんわ」
「代わりになるような闇の存在を討伐すれば、あるいは」
「……」
「……」
イチと同時に視線がわたくしの尻の下で恍惚の表情を浮かべるド変態精霊王に注がれましたの。
「……! 魔王の代わりに、我を討つ気か……!」
「陛下に刃を向けるわけにはいきませんでしょう?」
「我には刃を向けていいのか! 外道め!」
「大丈夫ですわ。ダンジョンボスも倒しても何度でも復活しておりましたもの」
「簡単に言うな! そもそもダンジョンの魔物は瀕死になったら魔界へ転送されるように魔王が魔法をかけた上で、回復魔法も蘇生魔法も付与されておるのだぞ!」
「ニイにはどれも必要ありませんわね。お好きでございましょう? そういうの」
「んんんん好きぃぃぃぃぃぃ!」
大変気持ち悪うございますわ。微塵も迷いなく討伐できます。ありがとう、ニイ。ド変態闇の精霊王。あなたに勝てないわたくしが、あの方に勝てるはずもありませんものね。正直、どれだけ外見が美形でも触りたくありませんが仕方ありませんわ。
「けれどわたくしの部屋を破壊するわけには行きませんわ。陛下に気取られないよい場所はないかしら」
「あるぞ、よい場所」
フランベルジュからトコロテンを押し出すようににゅっと上半身が出ている美形というのは、なかなかにシュールなものがございますわね。フランベルジュと繋がっている見えそうで見えない下半身のソレを、切り離してしまいたい気持ちをぐっとこらえて尋ねましたのよ。
「どこですの、イチ」
「ドライオル・ガズムが初めに降り立った地の神殿だ」
「……そこは法王直轄ではなくて?」
ミナエロイ大陸の中央に女王が治める技術大国ケツナメル王国。お父さまの祖国ですわね。その北西に建国神話でドライオル・ガズムから『この地を治めよ』と聖剣エスジケッチョウを渡された皇王の子孫が治めるエロスキーネ神皇国。エロスキーネ神皇国で広められている教義は大変厳しく、エロアーナ教の中でも区別してエロアーナ教クンニ派と呼ばれますのよ。南西に多民族国家であるカ・ツヤクキィン共和国。一部近海の島ではシャーマニズム信仰が盛んでメチャケ・ツエロイという森林の精霊を崇めているのですわ。森の精霊であるメチャケ・ツエロイと交信することができるシャーマンをムチャエ・ロイと呼ぶんだそうですわよ。獣人が多く暮らす国ですわね。ケモ耳好きにはたまりませんの。北東に神聖メ・スイキ法王領。エロアーナ教の主神であるドライオル・ガズムが初めて降り立った地、デラエロイケツを守る法王インランド・ヘンターイを主とした宗教国家ですのよ。そして南東のここがアナルファック帝国ですわ。
純然たる日本人の皆様におかれましては、ここまで説明したら発狂しそうなわたくしの気持ちがお分かりいただけるかと思いますのよ。そう、この世界人名だけではなく地名もクソでございますの。新しい地名や都市の名前を聞くたびに新鮮に脚本家への殺意が芽生えますわ。
0
あなたにおすすめの小説
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます
なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。
過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。
魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。
そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。
これはシナリオなのかバグなのか?
その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。
【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】
前世ブラックOLの私が転生したら悪役令嬢でした
タマ マコト
ファンタジー
過労で倒れたブラック企業勤めのOLは、目を覚ますと公爵令嬢アーデルハイトとして転生していた。しかも立場は“断罪予定の悪役令嬢”。だが彼女は恋愛や王子の愛を選ばず、社交界を「市場」と見抜く。王家の財政が危ういことを察知し、家の莫大な資産と金融知識を武器に“期限付き融資”という刃を突きつける。理想主義の王太子と衝突しながらも、彼女は決意する――破滅を回避するためではない。国家の金脈を握り、国そのものを立て直すために。悪役令嬢の経済戦争が、静かに幕を開ける。
転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!
木風
恋愛
婚約者に裏切られ、成金伯爵令嬢の仕掛けに嵌められた私は、あっけなく「悪役令嬢」として婚約を破棄された。
胸に広がるのは、悔しさと戸惑いと、まるで物語の中に迷い込んだような不思議な感覚。
けれど、この身に宿るのは、かつて過労に倒れた29歳の女医の記憶。
勉強も社交も面倒で、ただ静かに部屋に籠もっていたかったのに……
『神に愛された強運チート』という名の不思議な加護が、私を思いもよらぬ未来へと連れ出していく。
子供部屋の安らぎを夢見たはずが、待っていたのは次期国王……王太子殿下のまなざし。
逃れられない運命と、抗いようのない溺愛に、私の物語は静かに色を変えていく。
時に笑い、時に泣き、時に振り回されながらも、私は今日を生きている。
これは、婚約破棄から始まる、転生令嬢のちぐはぐで胸の騒がしい物語。
※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。
表紙イラストは、Wednesday (Xアカウント:@wednesday1029)さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎子供部屋悪役令嬢 / 木風 Wednesday
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる