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陰謀詭計のジングシュピール
第149話
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修練場へ到着すると、イェレミーアスは双剣使いのインゴ・クレンゲルと激しい打ち合いの最中だった。木剣とは思えない重たい音をさせ、しかし早い動きで互いの斬撃を返している。ややイェレミーアスが優勢だろうか。しかしインゴも紙一重のところで逸らしている。
インゴは小柄な三十代後半と思しき、細身の男だ。イェレミーアスもインゴも集中しているようで、こちらに気づかない。
逆にローデリヒに稽古を付けていた槍術使いのクーノ・ヴェッセリーは、訓練用に先を潰した槍を落としてぼくの顔をぼうっと見ている。大きな体で筋骨隆々といった偉丈夫だが、こちらは二十代前半だろうか。
剣術指南に回るにはいささか若いが、左手を見て納得した。クーノの左手は、肘の辺りから切り取ったようになくなっている。怪我で退役を余儀なくされた騎士なのだろう。
「おい、クーノ。クーノってば! なぁ! スヴェンはあんな傾国の美女みたいな顔して、ものすげぇ怖ぇからな? おい、クーノ!」
「はじめまして、ヴェッセリー卿。スヴァンテ・スタンレイと申します」
ぺこりと頭を下げると、クーノはぼんやりぼくを見つめてぽつりと呟く。
「ローデリヒ様、妖精が、妖精が俺にしゃべりかけてますよ……? あれ、これ夢かな……」
「妖精もかくやという可憐な顔に騙されるなよ、クーノ。仕事は片付いたのか? スヴェン」
「ええ。決済書類に判を押す程度ですので。お待たせして申し訳ありません、シェーファー公」
「……スヴァンテ様が、事業の決済しておられるのですか?」
「ええ。ぼくには後ろ盾となる親がおりませんので、自分の食い扶持は自分で稼がなくてはならなくて。お恥ずかしい限りです」
頭を掻きながら答えると、シェーファーは目を丸くしてぼくを見つめた。ぼくは気にせず木剣のレイピアを手に取る。
「……ベステル・ヘクセ様にお願いすれば、いくらでも小遣いをくださるのではないのでしょうか」
半ば無意識、というような呟きだった。普通の貴族の令息ならそうしただろうことを、平民からのし上がり貴族を見て来たシェーファーはよく知っているからこそ、だろう。貴族というのは、幼い頃から悪気なく特権階級なのだ。ぼくはシェーファーと正面から向き合った。
「ルカ様はぼくの書類上の保護者ではありますが、ぼくの師匠です。小遣いをせびる弟子など、師の名を汚すだけでしょう。幼いからと恩を仇で返すほど、ぼくは恥知らずにはなれません」
「……失礼を申しました、スヴァンテ様。やれ、稀代の天才との呼び名はまことでございましたな。殿下は人を見る目がおありだ」
「そうだろう、そうだろう。オリバー、お前も話していただろう? 『偉大な物語』は、スヴェンが考案したゲームだ」
「なんと! 商才までおありとは」
「色々と手を出しておりますが、ありがたいことに何とか自分の生活を維持することができる程度の稼ぎは得ることができているような状態ですよ」
満足気に頷いたジークフリードへ苦笑いして見せる。こういう無邪気さが、ジークフリードの憎めないところだ。
「今度、シュテールナ歌劇団という小規模な劇団を立ち上げるのですが、公演が決まったらチケットをお送りいたします。楽しみの少ない皇国の冬に、皇都の皆さまへ娯楽を提供できればと思っているのですよ。ぜひ、奥方様といらしてください」
そう、『椿の咲くころ』にヒントを得て、ぼくはイェレミーアスの評判を上げるための歌劇を行うことにしている。父を謀殺された心優しく清い騎士である少年が、麗しい精霊の力を借りて仇を討つためにどんな苦難も乗り越え、己の地位を取り戻す話だ。
「何故、歌劇なのだ? スヴェン」
ぼくが歌劇を通してイェレミーアスの現状を世間へ広める計画を話した時、ジークフリードはそう問いかけた。
「土台を作るのです、ジーク様」
「土台?」
「そうです。けなげな美少年の苦難に満ちた物語。大衆はそういう物語に弱い。そして物語と近い境遇の人間が現れたら、過度に同調し、同情する。そんな物語が語られた後、実際に同じ境遇で、同じように悪事を働いた者が現れたらどうなるでしょう?」
「……誰もが悪党を憎み、いつまでもその悪事を忘れず、後ろ指を指す……」
「ましてや、それが先祖に裏切り者として有名な人間が実在する家系であればなおさら。物語と共に、その悪行は語り継がれるでしょう。そうなるべきだ、とぼくは思っています」
「お前は本当に……いや、今さらか」
深くため息を吐き、ジークフリードは僅かに眉を寄せて首を振った。イェレミーアスは無言でぼくの頬へ顔を寄せた。ぼくを抱きしめた手へ、自分の手を重ねた。
ぼくは自分自身のためにも、イェレミーアス親子のためにも、最大限にミレッカーを追い込むつもりだ。そしてイェレミーアスの復讐を、正当かつ崇高なものであると人々へ刻み付ける。
イェレミーアスを、止めるためにも。
それがぼくの願いだ。
イェレミーアスの怒りは、いつ爆発してもおかしくない活火山のようなものだ。抑止力になるものは、いくつあっても足りない。
「イェレ兄さまへ、まずは名誉を取り戻してさしあげますからね」
「……それが復讐へと繋がるなら、受け取ろう。私はヴァンを信じている」
その盲目的なぼくへの過信がつらい。けれどもう、奏で始めた音楽を止めることはできない。伴奏は始まっているのに舞台の上で演者が立ち尽くす歌劇など、目も当てられない。
ぼくは、最後まで己すら欺き踊り切る覚悟を決めた。
「それにぼく、どうしてもシェーファー公を味方にしたいんですよね。剣の腕はウード公のお墨付き。もう貴族ではないから、どこの派閥にも属さない。平民だけれど、ミレッカーとておいそれとは手を出しがたい。他に適任が居ない」
「歌劇が、何故シェーファーと関係するのだ?」
「自分の息子の死が実は暗殺だったと噂が流れた後、似たような状況で父を暗殺されたイェレ兄さまの苦境を想わせるような歌劇に招待されたら、どうします?」
「是が非でも、お前と一対一で話しをしたいと願うだろうな」
怪しくないわけがない。絶対に探りを入れたくなるだろう。ジークフリードの答えに、ぼくは頷いて見せた。
「……しかし、妖精の助けを得て、とはな」
大まかな流れを書いた台本を読み、ジークフリードは苦笑いした。ぼくは心底同意して頷いて見せた。
「都合の悪いことは全部妖精に助けてもらえるなんて、物語は楽ですよね……」
「いや、そういう意味じゃないんだが。相変わらず自覚はないのだな。まぁ、いいか……」
実際、ぼくらが行っているような証拠集めをするんじゃ、演劇としては地味だからね。麗しい妖精が主人公のため、けなげに助ける方が盛り上がるでしょ。
一つ不満があるならば、妖精の容姿である。
地味なんだよ。赤毛に鳶茶色の瞳なんだ。麗しい妖精との淡い恋物語も必須だろう、とぼくが言ったら忙しいはずのベッテが何故か頑なに「妖精の容姿はこれでなくてはなりません」と譲らなかった。イェレミーアスも強く頷いていたし、ジークフリードが「妖精の容姿はこれでなくては人死にが出るぞ、スヴェン」と脅すので仕方なかった。
「赤毛に鳶茶色の瞳と聞いて、何か思い至らないのか? スヴェン」
ジークフリードに問いかけられたが、「地味ですね」以外に何の感想を持てというのだろう。分からない。
ともあれ、皇国の冬は寒く、厳しい。外出もままならない日が続く。社交のない冬に、皇都の貴族の心を掴んでおく算段である。平民向けにも演劇と、紙芝居を準備している。
「もちろん、台本もスヴェンが書いたのだ。多才だろう?」
「……まっこと、傑物とは公子のためにあるような言葉ですな」
「父上が惜しむほどの才能だ。オレはスヴェンが幼なじみで得をした」
からからと笑うジークフリードの向こう側で、シェーファーの視線がぼくを捉えている。見慣れた色の浮かんだ虹彩を悠然と、そして真っ直ぐに見つめ返した。
「それでは、本日もご指導お願いします」
ぼくが頭を下げると、途端にシェーファーは騎士の顔をした。大きく踏み出すふりで、小刻みに左右へ揺さぶる。
「まるで剣舞だな」
ジークフリードの声が耳に届いた。気にせず踊り、踊らせ続ける。
速いステップから、大胆に、繊細に。サイドチェンジ、ターン、スピン。ウィスク、インピタス、シャッセ。コルテ、ピポット、ヘジテーション。
優雅に足を運び、視線と表情で嘘を吐き、相手を踊らせ、踊らずには居られぬよう追い込む。思った場所へ。有利な状況へ。
シェーファーの瞳に、再び見慣れた色が宿った。今ならその色が、どんな色なのかはっきりと分かる。
怪物を見る目だ。けれど、それで構わない。
ぼくのように非力な子供が、大人に勝つには真っ向勝負など以ての外だ。一撃必殺なんて狙えるわけがない。小さく、小狡く立ち回り、土台を削り、足を削ぎ。
狡かろうが、小賢しかろうが、関係ない。放置したそのささやかな傷が、腐って膿んで致命傷になるように立ち回るのみ、だ。
一度死んだ身だからか、この世界で死ぬのも不思議と怖くない。現実味が湧かないというのが正しいかもしれない。
けれどぼくには、守りたい人たちが居るんだ。できれば幸せに暮らしてほしいし、できるだけ天寿を全うしてほしい。そのためならぼくは、どこまでも下種に策を弄して縋って泥臭く生き抜いてやる覚悟を決めた。
インゴは小柄な三十代後半と思しき、細身の男だ。イェレミーアスもインゴも集中しているようで、こちらに気づかない。
逆にローデリヒに稽古を付けていた槍術使いのクーノ・ヴェッセリーは、訓練用に先を潰した槍を落としてぼくの顔をぼうっと見ている。大きな体で筋骨隆々といった偉丈夫だが、こちらは二十代前半だろうか。
剣術指南に回るにはいささか若いが、左手を見て納得した。クーノの左手は、肘の辺りから切り取ったようになくなっている。怪我で退役を余儀なくされた騎士なのだろう。
「おい、クーノ。クーノってば! なぁ! スヴェンはあんな傾国の美女みたいな顔して、ものすげぇ怖ぇからな? おい、クーノ!」
「はじめまして、ヴェッセリー卿。スヴァンテ・スタンレイと申します」
ぺこりと頭を下げると、クーノはぼんやりぼくを見つめてぽつりと呟く。
「ローデリヒ様、妖精が、妖精が俺にしゃべりかけてますよ……? あれ、これ夢かな……」
「妖精もかくやという可憐な顔に騙されるなよ、クーノ。仕事は片付いたのか? スヴェン」
「ええ。決済書類に判を押す程度ですので。お待たせして申し訳ありません、シェーファー公」
「……スヴァンテ様が、事業の決済しておられるのですか?」
「ええ。ぼくには後ろ盾となる親がおりませんので、自分の食い扶持は自分で稼がなくてはならなくて。お恥ずかしい限りです」
頭を掻きながら答えると、シェーファーは目を丸くしてぼくを見つめた。ぼくは気にせず木剣のレイピアを手に取る。
「……ベステル・ヘクセ様にお願いすれば、いくらでも小遣いをくださるのではないのでしょうか」
半ば無意識、というような呟きだった。普通の貴族の令息ならそうしただろうことを、平民からのし上がり貴族を見て来たシェーファーはよく知っているからこそ、だろう。貴族というのは、幼い頃から悪気なく特権階級なのだ。ぼくはシェーファーと正面から向き合った。
「ルカ様はぼくの書類上の保護者ではありますが、ぼくの師匠です。小遣いをせびる弟子など、師の名を汚すだけでしょう。幼いからと恩を仇で返すほど、ぼくは恥知らずにはなれません」
「……失礼を申しました、スヴァンテ様。やれ、稀代の天才との呼び名はまことでございましたな。殿下は人を見る目がおありだ」
「そうだろう、そうだろう。オリバー、お前も話していただろう? 『偉大な物語』は、スヴェンが考案したゲームだ」
「なんと! 商才までおありとは」
「色々と手を出しておりますが、ありがたいことに何とか自分の生活を維持することができる程度の稼ぎは得ることができているような状態ですよ」
満足気に頷いたジークフリードへ苦笑いして見せる。こういう無邪気さが、ジークフリードの憎めないところだ。
「今度、シュテールナ歌劇団という小規模な劇団を立ち上げるのですが、公演が決まったらチケットをお送りいたします。楽しみの少ない皇国の冬に、皇都の皆さまへ娯楽を提供できればと思っているのですよ。ぜひ、奥方様といらしてください」
そう、『椿の咲くころ』にヒントを得て、ぼくはイェレミーアスの評判を上げるための歌劇を行うことにしている。父を謀殺された心優しく清い騎士である少年が、麗しい精霊の力を借りて仇を討つためにどんな苦難も乗り越え、己の地位を取り戻す話だ。
「何故、歌劇なのだ? スヴェン」
ぼくが歌劇を通してイェレミーアスの現状を世間へ広める計画を話した時、ジークフリードはそう問いかけた。
「土台を作るのです、ジーク様」
「土台?」
「そうです。けなげな美少年の苦難に満ちた物語。大衆はそういう物語に弱い。そして物語と近い境遇の人間が現れたら、過度に同調し、同情する。そんな物語が語られた後、実際に同じ境遇で、同じように悪事を働いた者が現れたらどうなるでしょう?」
「……誰もが悪党を憎み、いつまでもその悪事を忘れず、後ろ指を指す……」
「ましてや、それが先祖に裏切り者として有名な人間が実在する家系であればなおさら。物語と共に、その悪行は語り継がれるでしょう。そうなるべきだ、とぼくは思っています」
「お前は本当に……いや、今さらか」
深くため息を吐き、ジークフリードは僅かに眉を寄せて首を振った。イェレミーアスは無言でぼくの頬へ顔を寄せた。ぼくを抱きしめた手へ、自分の手を重ねた。
ぼくは自分自身のためにも、イェレミーアス親子のためにも、最大限にミレッカーを追い込むつもりだ。そしてイェレミーアスの復讐を、正当かつ崇高なものであると人々へ刻み付ける。
イェレミーアスを、止めるためにも。
それがぼくの願いだ。
イェレミーアスの怒りは、いつ爆発してもおかしくない活火山のようなものだ。抑止力になるものは、いくつあっても足りない。
「イェレ兄さまへ、まずは名誉を取り戻してさしあげますからね」
「……それが復讐へと繋がるなら、受け取ろう。私はヴァンを信じている」
その盲目的なぼくへの過信がつらい。けれどもう、奏で始めた音楽を止めることはできない。伴奏は始まっているのに舞台の上で演者が立ち尽くす歌劇など、目も当てられない。
ぼくは、最後まで己すら欺き踊り切る覚悟を決めた。
「それにぼく、どうしてもシェーファー公を味方にしたいんですよね。剣の腕はウード公のお墨付き。もう貴族ではないから、どこの派閥にも属さない。平民だけれど、ミレッカーとておいそれとは手を出しがたい。他に適任が居ない」
「歌劇が、何故シェーファーと関係するのだ?」
「自分の息子の死が実は暗殺だったと噂が流れた後、似たような状況で父を暗殺されたイェレ兄さまの苦境を想わせるような歌劇に招待されたら、どうします?」
「是が非でも、お前と一対一で話しをしたいと願うだろうな」
怪しくないわけがない。絶対に探りを入れたくなるだろう。ジークフリードの答えに、ぼくは頷いて見せた。
「……しかし、妖精の助けを得て、とはな」
大まかな流れを書いた台本を読み、ジークフリードは苦笑いした。ぼくは心底同意して頷いて見せた。
「都合の悪いことは全部妖精に助けてもらえるなんて、物語は楽ですよね……」
「いや、そういう意味じゃないんだが。相変わらず自覚はないのだな。まぁ、いいか……」
実際、ぼくらが行っているような証拠集めをするんじゃ、演劇としては地味だからね。麗しい妖精が主人公のため、けなげに助ける方が盛り上がるでしょ。
一つ不満があるならば、妖精の容姿である。
地味なんだよ。赤毛に鳶茶色の瞳なんだ。麗しい妖精との淡い恋物語も必須だろう、とぼくが言ったら忙しいはずのベッテが何故か頑なに「妖精の容姿はこれでなくてはなりません」と譲らなかった。イェレミーアスも強く頷いていたし、ジークフリードが「妖精の容姿はこれでなくては人死にが出るぞ、スヴェン」と脅すので仕方なかった。
「赤毛に鳶茶色の瞳と聞いて、何か思い至らないのか? スヴェン」
ジークフリードに問いかけられたが、「地味ですね」以外に何の感想を持てというのだろう。分からない。
ともあれ、皇国の冬は寒く、厳しい。外出もままならない日が続く。社交のない冬に、皇都の貴族の心を掴んでおく算段である。平民向けにも演劇と、紙芝居を準備している。
「もちろん、台本もスヴェンが書いたのだ。多才だろう?」
「……まっこと、傑物とは公子のためにあるような言葉ですな」
「父上が惜しむほどの才能だ。オレはスヴェンが幼なじみで得をした」
からからと笑うジークフリードの向こう側で、シェーファーの視線がぼくを捉えている。見慣れた色の浮かんだ虹彩を悠然と、そして真っ直ぐに見つめ返した。
「それでは、本日もご指導お願いします」
ぼくが頭を下げると、途端にシェーファーは騎士の顔をした。大きく踏み出すふりで、小刻みに左右へ揺さぶる。
「まるで剣舞だな」
ジークフリードの声が耳に届いた。気にせず踊り、踊らせ続ける。
速いステップから、大胆に、繊細に。サイドチェンジ、ターン、スピン。ウィスク、インピタス、シャッセ。コルテ、ピポット、ヘジテーション。
優雅に足を運び、視線と表情で嘘を吐き、相手を踊らせ、踊らずには居られぬよう追い込む。思った場所へ。有利な状況へ。
シェーファーの瞳に、再び見慣れた色が宿った。今ならその色が、どんな色なのかはっきりと分かる。
怪物を見る目だ。けれど、それで構わない。
ぼくのように非力な子供が、大人に勝つには真っ向勝負など以ての外だ。一撃必殺なんて狙えるわけがない。小さく、小狡く立ち回り、土台を削り、足を削ぎ。
狡かろうが、小賢しかろうが、関係ない。放置したそのささやかな傷が、腐って膿んで致命傷になるように立ち回るのみ、だ。
一度死んだ身だからか、この世界で死ぬのも不思議と怖くない。現実味が湧かないというのが正しいかもしれない。
けれどぼくには、守りたい人たちが居るんだ。できれば幸せに暮らしてほしいし、できるだけ天寿を全うしてほしい。そのためならぼくは、どこまでも下種に策を弄して縋って泥臭く生き抜いてやる覚悟を決めた。
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