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第一章
異常2
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押忍!!男の中の漢。名は学。年は三十六歳です。今の目標はスミスさんに攻撃を当てる事だ!!やってやるぞ~~!!
「イヤ~~~~!!」
「んな、へっぴり腰でガードしてるつもりかガキィ」
「切れてるから!!体のいたる箇所が切れちゃってるから!!」
「当てねーとスキルのレベルが上がんねーって言われてるからな!!オラオラオラ~~」
「ギャ~~~~」
今、猛烈にこの世界に来たことを後悔している。
今日は防御の訓練をするらしく、盛大にマスに攻撃されている。怖い。マジで怖い。刃物ってあんなに怖いんだね。俺、今知ったわ。
スミスさんが鍛えてるのを皆に言ったところ、サラ以外が驚いていた。スミスさんは意外?と有名人で剣を習いたいと言ってきた人が後を絶たず、うんざりしてモークに来たらしい。スゲーな。
教えるのがめんどくさい。そんな理由で教えるのが嫌になったらしいスミスさん。元来、彼女は弟子どころか人に剣を教える事をしたことが無いらしい。皆が驚いたのも無理は無かろうと思う。
そして、なぜ教える気になってのか、だが最初は気まぐれだった。らしい。だが、俺の動きがどんどん良くなる事で教えるのが楽しくなったと言っていた。こんな事は初めてだ。なんて言ってお酒を飲んでいた。
そんなスミスさんを見て、マスが俺は防御を教えると言い、スナーチャさんがぽつりと魔法も教えようと言い。酒の入ったスミスさんが面白いと言い。
「オラオラオラ~~!!ガードしろや~~!!」
「見える速さで攻撃して~~~!!」
こうなっている。俺は何も言ってないからね?
言った事と言えば『え?俺を鍛えてくれるの?』
だ。バカか!!俺は!!こうなる事は少し想像すれば気がつくとだろが!!
「フ~~。休憩するか」
「……」
朝に始まった訓練。イヤ、もはやイジメはぶっとうしの4時間。俺は指一つも動かせない。
「……ちと、飛ばし過ぎたか?」
イヤ。ちょっとじゃない。マラソンをしようと言ってフルマラソンさせるようなもんだぞ。ツッコミもできん。
「これ飲め。ボスには内緒だぞ」
「……ゴフ!!」
「あ!!バカ!!吐き出すな。気合いで飲み込め!!」
気合も何もあなた瓶を無理やり口に押し付けてんじゃん!!吐き出すこともできねーよ!!
「ウッウッウ。ブハァ!!死ぬかと思った」
「お!!どうだ?体が楽になっただろう?」
「ん?おぉ本当だ。喋れるぐらいには回復した」
「まぁ、ダメージは残るからな」
「何飲ませたんだ?ポーション?」
「ん?そうだ。一本一万のポーションだ」
「高くない?」
「そうか?劣化ポーション並の値段だと思うが」
「すまん。うつ伏せのこの状態を変えてくれ。口に土が、ぺッ!」
「おら」
「足でやるのもどうかと思うぞ。助かった」
「別にいいだろうそのぐらい。どういたしまして」
俺の身体は全く力が入らない。間違った。力は入るが動かすことが出来ない。イヤビックリ。
「ポーションを使った事はスミスさんには内緒なのか?」
「あぁ。言うなよ?」
「分かった。なんで内緒なんだ?」
「ん?何でって。……あぁ、お前は知らないんだな?」
「ん?何が?」
「ポーションを飲むと体に毒が発生するんだよ」
「ハァ!!毒!!何それ。俺死ぬのか?」
「そんな毒じゃねーよ」
「どんな毒だ!!」
「ポーションの毒は神経毒だ。痛みや恐怖をマヒさせ快楽に変える」
「ポーション怖いな」
「この毒の怖い所は毒が抜けないんだ」
「解毒は?」
「出来ない。詳しく説明すると、このポーション事態に毒は無い。体に回復の効果が現れる事で体が毒を生成しちまうんだと。体はそれをいいことだと思って常に毒を生成。ポーションを飲むことで更に毒が生成される。その繰り返しだ。その毒が神経やら脳みそなんかに作用。恐怖や痛みをマヒさせ快楽に変える。って感じだ」
「一本だとどのくらの作用がある」
「全くないな」
「は?」
「この毒はポーションを正しく使わない事で起こる現象だ。ただ、たまに一本飲んでも起こる場合がある」
「十分怖いんだけど!!」
「まぁ、正しく使わないってのはポーションを連続で飲んだりすると駄目だ」
「俺の話聞いてます?!」
「聞いてるよ。で、なんで俺がお前に黙って欲しいかと言うとお前をここまでやるなと言われたからだ。バレたら怖い」
「え~~。マスの所為じゃん。俺関係ないし。どうしようかな?」
「……そうだな。……ボスに攻撃を当てられるようにしてやるって言ったら?」
「話さない!!よろしく頼む!!」
「任せろ。…………まぁ、今よりも辛いが、大丈夫だろう」
「ん?マス最後の方が上手く聞き取れなかったんだけど、何か言った?」
「いや。何でもない」
何を言ったんだ?全く聞こえんかった。後ろ向いて喋ったから口も見えなかったし。喋ってなかったのかな?
にしても、この世界のポーションは怖いな。恐怖や痛みを快楽に変えるのか。でも、考えてみればポーションを使う奴って大体が戦ってる連中だろう。むしろそっちの方がいいのかもしれなのか?と考えてしまう。だが、手や足にケガをした子供にポーションを飲ませる親もいるだろう。でもその子供が痛みや恐怖が快楽に変わったら、ダメな大人になりそうだな。簡単に変態の道に落ちそうだ。高いポーションを子供の傷に使うか?金持ちはやりそうだな。金持ちの子供に変態が多いのはポーションが原因だったのか。この世界のお金持ちは知らんがな。
「で、どのくらい成長したんだ?どんなスキルを覚えてんだ?」
「ん~と。ダメだ。体が動かないから見れない。もう少し経たないと確認できないや」
「そうか。動きは少々よくなってきたな。本当にボスが言ってた通りだ。鍛えれば鍛えるほど面白いぐらいに成長するな。実に面白い」
人で楽しむな!!お前はどっかの大学准教授か!!
「お前、午後はスナーチャさんか?」
「たしかそうだったな。どうかしたのか?」
「それまでには回復するかどうか」
「ポーションの連続投与はダメなんだろう?」
「…………あぁ」
「さっきの間が怖いんだが?」
チッって顔するな!!飲ます気だったのかよ!!
「よっと」
「おわぁ。担ぐな!!」
「回復は寝た方がしやすい。時間まで寝てろ」
「……持ち方が雑すぎる」
服を持って軽々と肩に担がれた。納得いかん。解せぬ。
こいつの体は何でできているんだ?人間じゃないんじゃないか?たぶんそうだな。
「ここで寝てろ」
「ブ!!」
前にサラに連れてきてもらったフカフカの椅子のある応接室だ。顔面ダイブはさすがに痛いぞ!!
「も、もう少し丁寧に頼む~」
「じゃあな~」
置いて行った。そのまんまだな。
「寝るか」
体が動かない以上は寝るしかないか。
どのくらい寝ただろう。意識が覚醒した俺は体を動かす。
「グハ!!メッチャクチャ痛い!!動かすのがメッチャ痛い!!」
たぶん筋肉痛だと思うが、尋常じゃない痛みだ。表面はマスに切られた切り傷に体の中は筋肉の痛みのダブルパンチ。
「……目が覚めた?」
「あ、はい。えーといつからそこに?」
「……少し前。……寝てたから。……待ってた」
「なるほど。グハ!!」
「……。<癒しの風>どう?」
「…………。スゲー」
体に風が纏わり、気持ちのいい感覚が俺を包み込んだ。そして風が止むとその感覚も消えた。
人間自分に起きたことがデカ過ぎると簡単なことしか言えないんだね。スゲーしか言えねー。
「痛みがなくなりました」
「ん」
いやいや。目線を本に戻さないで!!
「魔法教えてくれるんですよね?」
「……ちょっと待って。……今、いいとこ」
「わかりました」
俺は持ったよ。結構待った。
「……終わった」
「そうですか。もう晩ご飯ですよ。スナーチャさん」
「な!!」
スナーチャさん本を読むのが遅すぎる。一ページ読むのが十分ぐらいか?何ページあるか分からないがそこまでページがある本ではない。なのにこんなに時間がかかるとは。
まぁ俺としては体を休めたからいいけど。
いいとこって言われてすることがないから遅めの昼ご飯を食べて、スマホを開きマスと鍛えたスキルを確認した。
今日の編成は<素早さスキル><速さ上昇スキル><防御スキル><先読みスキル><ガードスキル>だ。
新しく取得したスキルは<ガードスキル>だけだ。あまり増やしても鍛えられないし、攻撃にも防御にも速さは必要だしな。
昨日はPTを組んでいたが今日はしていない。昨日のうちに解散した。昨日、サラが仕事中に体から力が沸き上がって仕方なかったらしい。すごい効果だなPTは。
そんでもって今日の上昇率を見てみると。……称号がどれだけすごいのかわかった気がする。
軒並み上がり方が異常だな。平均五レベは上がってる。最低でも三、最高で七。ヤバイな。
一番上がったのは<ガードスキル>で上がらなかったのは<素早さスキル>だ。まぁこれが一番レベルが高いしな。
「……じゃぁ。魔法の才があるかを確かめる」
「どうやって確かめるんですか?」
「……手を貸して」
「こうですか?」
俺は右手をスナーチャさんに差し出した。
スナーチャさんは俺の右手を上下で挟むようにして両手を置いた。触れるのでなく、少し空間がある。何をするきだ?
「……今から魔力を流すから。……魔力が分かったら。……言って」
「はい」
魔力が流れてるかが分かる?どんな感じだ?
「……どう?」
「何もわかりません」
何かしてるのか?
「……どう?」
「まったく」
不安になってきた。
「……どう?」
「ん?なんかくすぐったい感じがします」
おぉ。なんかくすぐったい。
「……どう?」
「あ、消えました」
まったく何も感じなくなった。
「……どう?」
「温かい感じがします」
ポカポカする。
「……どう?」
「とくには」
消えた。どうなってるんだ?
「……どう?」
「ん?何か感じますけど、どう表現したらいいかわかりませんね」
むにゃむにゃ?ぐにゃぐにゃ?って感じがする。
「……」
「どうですか?」
「……異常」
「は?」
「……君は異常」
「な、なぜですか?」
「……魔法の適性が三種類もある。……これは異常。……通常の人は持っていて一つ。……三つは無理。」
「??」
スナーチャさんのしゃべり方がアレなので俺が説明すると。
まずスナーチャさんがどう?と聞いてたのは魔力の波長を変えて七種類それぞれの属性を俺に流したらしい。
そして、俺が適性のある物は風と木と陽らしい。
そして、三つの適性を持つのは不可能らしい。三人が一緒になった生命体なら可能らしいが。うん。無理だね。
スナーチャさんは使えるのか聞いたら無理だとのこと。適性を調べる程度のことは出来ても発動はできない。らしい。
天才にも適正を二つ持つ者はいないらしい。違う属性を使うことができる者はいるがそれが天才。
つまり、俺は異常。だとのこと。
ちなみに適正は火、水、木、風、土、陰、陽があるらしい。陰と陽ってなんだよ!!知らん属性なんですけど!!
「ガクさん。スナーチャさん。食事の準備ができましたよ?」
「今行く!!」
「ん」
どうして俺は異常なんだ?……頭がイカレてるってことじゃないぞ!!
「イヤ~~~~!!」
「んな、へっぴり腰でガードしてるつもりかガキィ」
「切れてるから!!体のいたる箇所が切れちゃってるから!!」
「当てねーとスキルのレベルが上がんねーって言われてるからな!!オラオラオラ~~」
「ギャ~~~~」
今、猛烈にこの世界に来たことを後悔している。
今日は防御の訓練をするらしく、盛大にマスに攻撃されている。怖い。マジで怖い。刃物ってあんなに怖いんだね。俺、今知ったわ。
スミスさんが鍛えてるのを皆に言ったところ、サラ以外が驚いていた。スミスさんは意外?と有名人で剣を習いたいと言ってきた人が後を絶たず、うんざりしてモークに来たらしい。スゲーな。
教えるのがめんどくさい。そんな理由で教えるのが嫌になったらしいスミスさん。元来、彼女は弟子どころか人に剣を教える事をしたことが無いらしい。皆が驚いたのも無理は無かろうと思う。
そして、なぜ教える気になってのか、だが最初は気まぐれだった。らしい。だが、俺の動きがどんどん良くなる事で教えるのが楽しくなったと言っていた。こんな事は初めてだ。なんて言ってお酒を飲んでいた。
そんなスミスさんを見て、マスが俺は防御を教えると言い、スナーチャさんがぽつりと魔法も教えようと言い。酒の入ったスミスさんが面白いと言い。
「オラオラオラ~~!!ガードしろや~~!!」
「見える速さで攻撃して~~~!!」
こうなっている。俺は何も言ってないからね?
言った事と言えば『え?俺を鍛えてくれるの?』
だ。バカか!!俺は!!こうなる事は少し想像すれば気がつくとだろが!!
「フ~~。休憩するか」
「……」
朝に始まった訓練。イヤ、もはやイジメはぶっとうしの4時間。俺は指一つも動かせない。
「……ちと、飛ばし過ぎたか?」
イヤ。ちょっとじゃない。マラソンをしようと言ってフルマラソンさせるようなもんだぞ。ツッコミもできん。
「これ飲め。ボスには内緒だぞ」
「……ゴフ!!」
「あ!!バカ!!吐き出すな。気合いで飲み込め!!」
気合も何もあなた瓶を無理やり口に押し付けてんじゃん!!吐き出すこともできねーよ!!
「ウッウッウ。ブハァ!!死ぬかと思った」
「お!!どうだ?体が楽になっただろう?」
「ん?おぉ本当だ。喋れるぐらいには回復した」
「まぁ、ダメージは残るからな」
「何飲ませたんだ?ポーション?」
「ん?そうだ。一本一万のポーションだ」
「高くない?」
「そうか?劣化ポーション並の値段だと思うが」
「すまん。うつ伏せのこの状態を変えてくれ。口に土が、ぺッ!」
「おら」
「足でやるのもどうかと思うぞ。助かった」
「別にいいだろうそのぐらい。どういたしまして」
俺の身体は全く力が入らない。間違った。力は入るが動かすことが出来ない。イヤビックリ。
「ポーションを使った事はスミスさんには内緒なのか?」
「あぁ。言うなよ?」
「分かった。なんで内緒なんだ?」
「ん?何でって。……あぁ、お前は知らないんだな?」
「ん?何が?」
「ポーションを飲むと体に毒が発生するんだよ」
「ハァ!!毒!!何それ。俺死ぬのか?」
「そんな毒じゃねーよ」
「どんな毒だ!!」
「ポーションの毒は神経毒だ。痛みや恐怖をマヒさせ快楽に変える」
「ポーション怖いな」
「この毒の怖い所は毒が抜けないんだ」
「解毒は?」
「出来ない。詳しく説明すると、このポーション事態に毒は無い。体に回復の効果が現れる事で体が毒を生成しちまうんだと。体はそれをいいことだと思って常に毒を生成。ポーションを飲むことで更に毒が生成される。その繰り返しだ。その毒が神経やら脳みそなんかに作用。恐怖や痛みをマヒさせ快楽に変える。って感じだ」
「一本だとどのくらの作用がある」
「全くないな」
「は?」
「この毒はポーションを正しく使わない事で起こる現象だ。ただ、たまに一本飲んでも起こる場合がある」
「十分怖いんだけど!!」
「まぁ、正しく使わないってのはポーションを連続で飲んだりすると駄目だ」
「俺の話聞いてます?!」
「聞いてるよ。で、なんで俺がお前に黙って欲しいかと言うとお前をここまでやるなと言われたからだ。バレたら怖い」
「え~~。マスの所為じゃん。俺関係ないし。どうしようかな?」
「……そうだな。……ボスに攻撃を当てられるようにしてやるって言ったら?」
「話さない!!よろしく頼む!!」
「任せろ。…………まぁ、今よりも辛いが、大丈夫だろう」
「ん?マス最後の方が上手く聞き取れなかったんだけど、何か言った?」
「いや。何でもない」
何を言ったんだ?全く聞こえんかった。後ろ向いて喋ったから口も見えなかったし。喋ってなかったのかな?
にしても、この世界のポーションは怖いな。恐怖や痛みを快楽に変えるのか。でも、考えてみればポーションを使う奴って大体が戦ってる連中だろう。むしろそっちの方がいいのかもしれなのか?と考えてしまう。だが、手や足にケガをした子供にポーションを飲ませる親もいるだろう。でもその子供が痛みや恐怖が快楽に変わったら、ダメな大人になりそうだな。簡単に変態の道に落ちそうだ。高いポーションを子供の傷に使うか?金持ちはやりそうだな。金持ちの子供に変態が多いのはポーションが原因だったのか。この世界のお金持ちは知らんがな。
「で、どのくらい成長したんだ?どんなスキルを覚えてんだ?」
「ん~と。ダメだ。体が動かないから見れない。もう少し経たないと確認できないや」
「そうか。動きは少々よくなってきたな。本当にボスが言ってた通りだ。鍛えれば鍛えるほど面白いぐらいに成長するな。実に面白い」
人で楽しむな!!お前はどっかの大学准教授か!!
「お前、午後はスナーチャさんか?」
「たしかそうだったな。どうかしたのか?」
「それまでには回復するかどうか」
「ポーションの連続投与はダメなんだろう?」
「…………あぁ」
「さっきの間が怖いんだが?」
チッって顔するな!!飲ます気だったのかよ!!
「よっと」
「おわぁ。担ぐな!!」
「回復は寝た方がしやすい。時間まで寝てろ」
「……持ち方が雑すぎる」
服を持って軽々と肩に担がれた。納得いかん。解せぬ。
こいつの体は何でできているんだ?人間じゃないんじゃないか?たぶんそうだな。
「ここで寝てろ」
「ブ!!」
前にサラに連れてきてもらったフカフカの椅子のある応接室だ。顔面ダイブはさすがに痛いぞ!!
「も、もう少し丁寧に頼む~」
「じゃあな~」
置いて行った。そのまんまだな。
「寝るか」
体が動かない以上は寝るしかないか。
どのくらい寝ただろう。意識が覚醒した俺は体を動かす。
「グハ!!メッチャクチャ痛い!!動かすのがメッチャ痛い!!」
たぶん筋肉痛だと思うが、尋常じゃない痛みだ。表面はマスに切られた切り傷に体の中は筋肉の痛みのダブルパンチ。
「……目が覚めた?」
「あ、はい。えーといつからそこに?」
「……少し前。……寝てたから。……待ってた」
「なるほど。グハ!!」
「……。<癒しの風>どう?」
「…………。スゲー」
体に風が纏わり、気持ちのいい感覚が俺を包み込んだ。そして風が止むとその感覚も消えた。
人間自分に起きたことがデカ過ぎると簡単なことしか言えないんだね。スゲーしか言えねー。
「痛みがなくなりました」
「ん」
いやいや。目線を本に戻さないで!!
「魔法教えてくれるんですよね?」
「……ちょっと待って。……今、いいとこ」
「わかりました」
俺は持ったよ。結構待った。
「……終わった」
「そうですか。もう晩ご飯ですよ。スナーチャさん」
「な!!」
スナーチャさん本を読むのが遅すぎる。一ページ読むのが十分ぐらいか?何ページあるか分からないがそこまでページがある本ではない。なのにこんなに時間がかかるとは。
まぁ俺としては体を休めたからいいけど。
いいとこって言われてすることがないから遅めの昼ご飯を食べて、スマホを開きマスと鍛えたスキルを確認した。
今日の編成は<素早さスキル><速さ上昇スキル><防御スキル><先読みスキル><ガードスキル>だ。
新しく取得したスキルは<ガードスキル>だけだ。あまり増やしても鍛えられないし、攻撃にも防御にも速さは必要だしな。
昨日はPTを組んでいたが今日はしていない。昨日のうちに解散した。昨日、サラが仕事中に体から力が沸き上がって仕方なかったらしい。すごい効果だなPTは。
そんでもって今日の上昇率を見てみると。……称号がどれだけすごいのかわかった気がする。
軒並み上がり方が異常だな。平均五レベは上がってる。最低でも三、最高で七。ヤバイな。
一番上がったのは<ガードスキル>で上がらなかったのは<素早さスキル>だ。まぁこれが一番レベルが高いしな。
「……じゃぁ。魔法の才があるかを確かめる」
「どうやって確かめるんですか?」
「……手を貸して」
「こうですか?」
俺は右手をスナーチャさんに差し出した。
スナーチャさんは俺の右手を上下で挟むようにして両手を置いた。触れるのでなく、少し空間がある。何をするきだ?
「……今から魔力を流すから。……魔力が分かったら。……言って」
「はい」
魔力が流れてるかが分かる?どんな感じだ?
「……どう?」
「何もわかりません」
何かしてるのか?
「……どう?」
「まったく」
不安になってきた。
「……どう?」
「ん?なんかくすぐったい感じがします」
おぉ。なんかくすぐったい。
「……どう?」
「あ、消えました」
まったく何も感じなくなった。
「……どう?」
「温かい感じがします」
ポカポカする。
「……どう?」
「とくには」
消えた。どうなってるんだ?
「……どう?」
「ん?何か感じますけど、どう表現したらいいかわかりませんね」
むにゃむにゃ?ぐにゃぐにゃ?って感じがする。
「……」
「どうですか?」
「……異常」
「は?」
「……君は異常」
「な、なぜですか?」
「……魔法の適性が三種類もある。……これは異常。……通常の人は持っていて一つ。……三つは無理。」
「??」
スナーチャさんのしゃべり方がアレなので俺が説明すると。
まずスナーチャさんがどう?と聞いてたのは魔力の波長を変えて七種類それぞれの属性を俺に流したらしい。
そして、俺が適性のある物は風と木と陽らしい。
そして、三つの適性を持つのは不可能らしい。三人が一緒になった生命体なら可能らしいが。うん。無理だね。
スナーチャさんは使えるのか聞いたら無理だとのこと。適性を調べる程度のことは出来ても発動はできない。らしい。
天才にも適正を二つ持つ者はいないらしい。違う属性を使うことができる者はいるがそれが天才。
つまり、俺は異常。だとのこと。
ちなみに適正は火、水、木、風、土、陰、陽があるらしい。陰と陽ってなんだよ!!知らん属性なんですけど!!
「ガクさん。スナーチャさん。食事の準備ができましたよ?」
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