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「は……ん、う」
アルベールの指が抜かれると、何だかさみしそうな声が漏れてしまった。
勝手に出てしまう声って、なんでそんなに正直なんだろう。
「終わり……?」
「指はね」
「……アル兄さまの、も、挿入る?」
「大丈夫?」
「うん……」
頷いたけれど、勿体ないな、とも思う。終わってしまうのが。
恥ずかしいけど、気持ちよすぎるのはこわいけど、でもふたりにいちばん近い今が終わるのが勿体ないな、と。
でもおれがいつまでイヴでいられるかわからない。
後三十分かもしれない、五分かもしれない、明日かもしれないし三年後かもしれない、死ぬまでイヴでいられるかもしれない。
でもアンリはおれに報告も出来ないくらい急にいなくなってしまった。
だからきっと、おれにも唐突にその日は来る。だから早くしなくちゃ。
ふたりとの思い出、ちゃんと忘れないように深く跡を残してほしい。
「この体勢で大丈夫?イヴの楽にしていいよ」
「ん、これだとふたりとも、見える、から……」
だからそれはつまり、おれのかおも見られるというのももうわかってるけど。隠せないことだって。
それでもふたりのかおがみたい。
おれのこと、
今だけはイヴじゃなくて、おれのことがすきだっていうかおが見たい。
おれがこの世界でちゃんと出来たってことを、教えてほしい。
「じゃあ、力抜いて」
「……ん、」
「それじゃあ逆かな」
「うあ」
力が入っちゃってる、と苦笑したアルベールがおれのものに触れる。
ずっと放置されていたそこはもうだらだらと涎を垂らしていたみたいで、ぬちゃっと嫌な音がした。
アルベールの綺麗な手が上下して、いやらしい音を立てながらその手を汚していく。
この姿勢だとそんな景色がよく見える。
瞳を逸らしたり閉じれば済む話なんだけれど、アルベールの妖艶な表情から目を離せないのと、先程レオンに咥えられたことを思い出してしまって逸らせないのと半々。
「んッ、う、や、あっ」
「そう、上手、イヴはいいこだねえ……力ちゃんと抜いててね、ほら、レオンさまの手、ぎゅうってしてようか」
「ン……う」
アルベールの褒める声は甘いお菓子のようだ。
もっともっとと、こどものように強請ってしまうような、そんな。
言われるがまま、既に指先を絡めているだけになっていたレオンの手をぎゅうと握る。
手のひらがあつい。繋いだところから溶けてしまいそうで、それでもいいかな、と思ってしまう。
そうやって少し、おれを置いていけたらいいのに。
イヴが戻ってきても、ずっと穏やかに、しあわせに暮らしていても、イヴがいちばんで、お互いがすきでいていいから、おれのことも忘れないでね。
ふたりにはおれとイヴの違いなんてわからないかも、気付かないかもしれないけど。
でもこうやって、躰を繋げたこと、忘れないでね、
「……ッう、」
「ん……イヴのナカ、あっつい」
「は、う、っうあ」
「ほらもう少しだ、頑張ろうな」
「んうう……ん、ッあ、う!」
ぐぐ、とアルベールの腰が進んで、気持ちいいとこを押しながら深くなっていく。
それだけで腰が甘く痺れたような感じになるのに、レオンがまた胸元に触れ始めた。
さっきは先端に少し、触れたくらいだったのに。
今度は明らかにそのつもりで指先を伸ばしている。
突いて、潰して、捏ねるように抓る。
その度に信じられないくらい甘い声が自分の喉から漏れていく。
どうしよう、こんなところ気持ちよくなっちゃって。
ひとりになったらここ、自分で触っちゃうようになるのかな。
「ンあ、う、んん……」
「……レオンさまがそこを触るとイヴのナカが」
「気持ちいいだろう」
「ええ」
おれだってわかる、アルベールのものをぎゅうぎゅう締め付けてしまっていることくらい。
でもこんなの、自分でコントロールなんて出来ない。
ずっと甘い痺れが続いてるような、そんな感覚。
「ん、ンぅ、んー……っ」
「ほらまた唇を噛んで」
「んぃ……ん、うう」
お前は隠すか噛むかしか出来ないのか、とレオンの手が胸元から離れて唇に触れた。
その唇をこじ開けるように親指が咥内に侵入する。
舌先でその指を押してしまうのは反射だ。
レオンはふ、と笑って、小さな口だなあ、と零した。
「ん、ふ、ッあ」
「舌も歯も小さいな、ちゃんと食事出来るのか、この口で」
「レオンさま、それは多分気の所為です、イヴの口は小さいけれどエディー程じゃないでしょう」
「……そうだな、心配し過ぎたか」
「ん、ん……っ」
レオンが大きいんだと思う、とは言えなかった。
口の中に入った指先が、舌を押さえたり、上顎を擦ったりするものだから、話せない。
柔らかな舌先が口の中をいっぱいにするのも気持ちよかったけど、硬い指先が口の中を擦るのも、苦しいけど、気持ちいい。
「は、……ん、う」
「……お前は本当にかわいいな、こどもみたいだ」
気がついたらその指に夢中だった。
ぢゅう、と吸って、舌先を絡めていた。
赤ちゃんのおしゃぶりみたいだなんて、レオンに笑われるまで気付かなかった。
口の中を気持ちよくしてくれる指を離したくなかったのかもしれない。
アルベールの指が抜かれると、何だかさみしそうな声が漏れてしまった。
勝手に出てしまう声って、なんでそんなに正直なんだろう。
「終わり……?」
「指はね」
「……アル兄さまの、も、挿入る?」
「大丈夫?」
「うん……」
頷いたけれど、勿体ないな、とも思う。終わってしまうのが。
恥ずかしいけど、気持ちよすぎるのはこわいけど、でもふたりにいちばん近い今が終わるのが勿体ないな、と。
でもおれがいつまでイヴでいられるかわからない。
後三十分かもしれない、五分かもしれない、明日かもしれないし三年後かもしれない、死ぬまでイヴでいられるかもしれない。
でもアンリはおれに報告も出来ないくらい急にいなくなってしまった。
だからきっと、おれにも唐突にその日は来る。だから早くしなくちゃ。
ふたりとの思い出、ちゃんと忘れないように深く跡を残してほしい。
「この体勢で大丈夫?イヴの楽にしていいよ」
「ん、これだとふたりとも、見える、から……」
だからそれはつまり、おれのかおも見られるというのももうわかってるけど。隠せないことだって。
それでもふたりのかおがみたい。
おれのこと、
今だけはイヴじゃなくて、おれのことがすきだっていうかおが見たい。
おれがこの世界でちゃんと出来たってことを、教えてほしい。
「じゃあ、力抜いて」
「……ん、」
「それじゃあ逆かな」
「うあ」
力が入っちゃってる、と苦笑したアルベールがおれのものに触れる。
ずっと放置されていたそこはもうだらだらと涎を垂らしていたみたいで、ぬちゃっと嫌な音がした。
アルベールの綺麗な手が上下して、いやらしい音を立てながらその手を汚していく。
この姿勢だとそんな景色がよく見える。
瞳を逸らしたり閉じれば済む話なんだけれど、アルベールの妖艶な表情から目を離せないのと、先程レオンに咥えられたことを思い出してしまって逸らせないのと半々。
「んッ、う、や、あっ」
「そう、上手、イヴはいいこだねえ……力ちゃんと抜いててね、ほら、レオンさまの手、ぎゅうってしてようか」
「ン……う」
アルベールの褒める声は甘いお菓子のようだ。
もっともっとと、こどものように強請ってしまうような、そんな。
言われるがまま、既に指先を絡めているだけになっていたレオンの手をぎゅうと握る。
手のひらがあつい。繋いだところから溶けてしまいそうで、それでもいいかな、と思ってしまう。
そうやって少し、おれを置いていけたらいいのに。
イヴが戻ってきても、ずっと穏やかに、しあわせに暮らしていても、イヴがいちばんで、お互いがすきでいていいから、おれのことも忘れないでね。
ふたりにはおれとイヴの違いなんてわからないかも、気付かないかもしれないけど。
でもこうやって、躰を繋げたこと、忘れないでね、
「……ッう、」
「ん……イヴのナカ、あっつい」
「は、う、っうあ」
「ほらもう少しだ、頑張ろうな」
「んうう……ん、ッあ、う!」
ぐぐ、とアルベールの腰が進んで、気持ちいいとこを押しながら深くなっていく。
それだけで腰が甘く痺れたような感じになるのに、レオンがまた胸元に触れ始めた。
さっきは先端に少し、触れたくらいだったのに。
今度は明らかにそのつもりで指先を伸ばしている。
突いて、潰して、捏ねるように抓る。
その度に信じられないくらい甘い声が自分の喉から漏れていく。
どうしよう、こんなところ気持ちよくなっちゃって。
ひとりになったらここ、自分で触っちゃうようになるのかな。
「ンあ、う、んん……」
「……レオンさまがそこを触るとイヴのナカが」
「気持ちいいだろう」
「ええ」
おれだってわかる、アルベールのものをぎゅうぎゅう締め付けてしまっていることくらい。
でもこんなの、自分でコントロールなんて出来ない。
ずっと甘い痺れが続いてるような、そんな感覚。
「ん、ンぅ、んー……っ」
「ほらまた唇を噛んで」
「んぃ……ん、うう」
お前は隠すか噛むかしか出来ないのか、とレオンの手が胸元から離れて唇に触れた。
その唇をこじ開けるように親指が咥内に侵入する。
舌先でその指を押してしまうのは反射だ。
レオンはふ、と笑って、小さな口だなあ、と零した。
「ん、ふ、ッあ」
「舌も歯も小さいな、ちゃんと食事出来るのか、この口で」
「レオンさま、それは多分気の所為です、イヴの口は小さいけれどエディー程じゃないでしょう」
「……そうだな、心配し過ぎたか」
「ん、ん……っ」
レオンが大きいんだと思う、とは言えなかった。
口の中に入った指先が、舌を押さえたり、上顎を擦ったりするものだから、話せない。
柔らかな舌先が口の中をいっぱいにするのも気持ちよかったけど、硬い指先が口の中を擦るのも、苦しいけど、気持ちいい。
「は、……ん、う」
「……お前は本当にかわいいな、こどもみたいだ」
気がついたらその指に夢中だった。
ぢゅう、と吸って、舌先を絡めていた。
赤ちゃんのおしゃぶりみたいだなんて、レオンに笑われるまで気付かなかった。
口の中を気持ちよくしてくれる指を離したくなかったのかもしれない。
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