穏やかに生きたい悪役令息なのに、過保護な義兄たちが構いすぎてくる~イヴは悪役に向いてない~

鯖猫ちかこ

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 寝ているよりも不安定な体勢だった。
 レオンに突かれると、アルベールごと揺さぶられるような。でもその密着感は安心する。

「あっ、あ、ん、ッう、あっ……は、ん、ぅゔ」
「……この体勢、お腹苦しくない?大丈夫?」
「んっあ!あう、ンっ、ゔ、う……っう?は、ぁ……え?」

 アルベールが心配そうにお腹を撫でる。
 その手をレオンが軽く押すと、びく、と腰が跳ね、よくわからないまま腹とふたりの手を汚していた。
 それでもレオンはぐっぐっと何度もその手を押すものだから、お腹の中がずっと甘い。

「あっ、いや、やっ、押さない、でえっ……」
「すごい、レオンさまのもの、ここまで挿入ってるんですね……」
「んう、う、やあ……っあ、ァう」

 達したばかりなのにレオンはその手も腰の動きも止めてくれなくて、おれは泣いてるように声を漏らすことしか出来ない。
 アルベールの腕を抱き締めたまま、そこから逃げる選択肢もない。
 視界がちかちかする。苦しくて、ずっと気持ちいい。
 自身からずっとだらだらと涎を垂らしながら、それでもまだ更に自分でも腰を揺らしていることに気が付いて頬があつくなる。
 気持ちいい、もっとほしい。

「はっ、あ、ん……っれお、さまっ」
「ん?」
「おく、っ」
「奥がいいか」
「ン……きもち、いっ、んぅ、う」

 浅いとこも奥の方も気持ちいい。
 でも今はふたりの手がある奥の方が、頭がおかしくなるくらい気持ちいい。
 逃げたいのに、躰はもっとそこ、と快楽に素直だ。
 こんなこと言うの、本当はすごく恥ずかしい。
 すきなひとに変態だとか淫乱だとか思われたくないし、ひとりだけ真っ裸にされてるのも恥ずかしいし、みっともない、情けない、感じてるかおもきっとおかしいと思う。
 全てを曝け出すのはこわい。
 おれのせいでイヴもそう思われたらどうしようって、ごめんねって思うのに。
 今気持ちいいだけで負けてしまうのはだめだとわかってるのに。

 それでも馬鹿正直に口にしてしまうのは、願ってしまうのは、ふたりなら許してくれるとわかっているから。
 優しい声も手も、少し粗暴な言葉も、視線があつくて、でも柔らかくて、すきだよって言ってくれてるみたい。
 悪戯だとか、ただの発散じゃなくて、ふたりがちゃんと、イヴのことを愛してると伝えてくれるから、恥ずかしくてもその躰も言葉も拓くことが出来た。

「あっ、あ、ふぁ……う、ンっ、う」
「ずっとナカがうねってるみたいだ」
「ずっと気持ちいいんでしょうね」
「ん、ン……」
「……お前は本当に、」

 近付いたレオンに気が付いて瞳を閉じた。
 それが合図のように唇が重なって、少し唇を湿らせる程度で離れてしまう。
 キスをすると息苦しいのだけれど、それでもされると嬉しい。
 いっぱいしたいな、一生分、忘れたくても忘れられないくらい、ふたりの癖を知りたい。

「アルにぃさま……」
「うん?」
「あるにーさまも、あ、ッん、して、ほし」
「……うん」

 少し驚いて、すぐに理解したようにアルベールもキスをしてくれた。
 舌を差し込むような深いものではなく、じゃれつくような軽いものを何度も。
 レオンがふ、と息を漏らした。
 そんな遊びのようなキスでもお前は気持ちよくなるんだな、と言われて、何のことだかわからなかったのだけれど、どうやらその軽いキスをする度にレオンのものを締め付けていたらしい。
 なんて素直で単純な躰なのだろう、我ながら呆れてしまうくらい。

「でもレオンさまも気持ちいいでしょう」
「ああ、残念だがもう搾り取られそうだ」
「まだ出来るでしょう?」
「それはお前もだろう……まあイヴの躰次第だな」

 ふたりのあつい視線にこくりと頷いた。望むところだ。
 明日のイヴの躰には申し訳ないが、大怪我をする訳でもない。
 ふたりを結びつけたご褒美として我慢してもらおう。

「……いーよ、今日はいっぱい、しよ……っゔ」

 言うが早いが、レオンのものがぐっと奥に挿入ってきた。
 お腹はもういっぱいだけど、でもほしいものがもうひとつ。

「……レオンさま、も、出して……」
「……」
「なか……」
「腹に?」
「うん……い、一緒に、」

 レオンはかおを上げて、アルベールと視線をあわせると、これは実際に口にされると堪らないな、と漏らした。
 この世界で、同性で婚約をしても、その先はゲームで描かれなかったからこどもの作り方とかわからなかった。
 でも先程からその話題が出てこないということは、きっと同性だと普通には出来ないんだと思う。能力を使うとか、そんなことなんだと。
 でもだからいいよね、イヴのこと、最後にそんな心配を残していかなくても。
 想い出だけ貰ってってもいいよね?
 もう二度と、こんなお願いなんてすることないんだもん、ふたりがくれるもの、ありったけ持っていきたい。

「……レオンさまも、アル兄さまも、ほしい」
「……ッ」
「ずっと、う、だいすきだからね」

 忘れないでね、

「あっ……あ、えっ、ゔ、あ、いッ……あ、あ……っ」

 レオンのものが何度も奥を突いて、その度にお腹がきゅうっとなって、何度目かであついものを感じた。
 レオンの熱っぽい吐息を感じる。アルベールの視線も。お腹の中、どくどくしているものも。

「あは……」
「……大丈夫か、辛くないか」
「らいじょ、ぶ、お腹、混ざっちゃったな、って」

 おれが女の子だったらこのまま帰ってふたりの子を育てるのもありだったな、と思った。
 全てにおいてそれは有り得ないことだったけれど。

 まだ意識はある。
 考えられる。
 ふたりのこと、もっと感じることが出来る。
 時間が勿体ない、おれの躰はまだ大丈夫。

「次はまたアル兄さま?」
「え」
「おれ、まだ足りない、ね、もっと……」

 そんな雑な誘い方でもきっとふたりは乗ってくれる。
 イヴのことを愛してるから。

 ねえ、でもちゃんと、おれの間はおれのこと、愛してくれてたんだよね?
 おれがイヴに戻っても、この期間のおれのことも、さんにんでちゃんと結ばれたことも、覚えていてね。

「……ごめんね、」

 イヴになってしまったこと、
 ジャンに優しくできなかったこと、
 レオンとアルベールの間に割って入ってしまったこと、
 この世界を変えてしまったこと。
 我儘だけど、後悔していないこと。

「本当はまた、おれのこと、見つけてほしい……」

 そんなことを言ったって仕方ないし、困らせるだけなのに。
 わかっていても、それが本音だった。
 持っていけるものは全部持っていく。それでも本当は、この心地好い世界にいたい。
 でもアンリのように返さないといけないのもわかるから。
 だから呪いだけ置いていくんだ。
 それがおれの出来る、最大の悪事。

 伊吹のことも、忘れないでねって。
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