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朝までジルは一緒に居てくれた。
寝なさいと言われたけど、さっきまで倒れてたおれは全然眠くなくて、色々話を聞きたいと言うと、お茶を淹れてくれた。
なんだか躰がぽかぽかしてきて……後から思うとあれハーブティーみたいなものだったのかもしれない。
気付いたらうとうとしていた。
それでもやっぱりこの状態で寝るのは怖くて、寝たくないと言うと、ジルは子供みたいだな、と笑いながら添い寝してくれた。
それこそ子供みたいだ、そう思ったんだけど、意外と……近くにある体温に安心してしまって、ジルに寝かしつけをされるように寝てしまった。
結局あんまり……大事なことは話せてない気がする。
おれと遥陽はどうなっちゃうんだろう。
……遥陽に会いたい。
なんで一緒に来たのに、会えないんだろう。
本当に大丈夫かな、大事にされてるのかな、神子って何するんだろう、明日会えるかな、ちゃんと寝れてるかな、こわくないかな、遥陽……
◇◇◇
「おはよう」
「……へあ」
「よく眠れたみたいで良かった」
苦笑をしながら髪を梳かれる。
あ、気持ちいい……こういうの、こどもの頃以来だ。
なんだろう、普段なら触んなってなるんだけど、こういう時だからかな、安心する。
こういう時だからっていうか、ジルだからなのかもしれないけど。
おっきい手が、大丈夫だよって言ってるみたいで……
「目が覚めた?」
「あ、う、うん」
離れた手に、寂しいと思ってしまい、そんなことを考えてしまった自分に訳が分からなくなる。
……こ、こんな事態だから!だからちょっと不安になってるだけ!
「明るくなったし、俺も仕事あるからもうここを出るよ」
「えっ」
「後で食事を届ける、お腹も空いただろう」
「う……うん」
「ゆっくりしてて」
にこ、と笑顔を向けて、ジルはこの部屋から出ていった。
「……」
ゆっくりしててって何を?
ころんとベッドに横になる。え?やることなくない?なに、頭の整理とか?
そのまま部屋を見渡す。
広いだけの部屋だ。
でっかいベッドとテーブルとソファ、端の方にデスクがあるだけ。
当然漫画やゲームやテレビもなければ、本の1冊もない。
……寝ることしか出来なくないか?
暫くごろごろ転がる。
でっかいベッド気持ちいいなー、おれ10人くらい寝れるんじゃないか~?って流石にそんな訳ないしー!
……いやまじでひとりでぼけてひとりで突っ込むことくらいしか出来ない。
娯楽がないってこんな暇なのか……
気を抜くとまた寝てしまいそうだ。
「あっ、外!どうなってんだろ」
思い出したように窓まで走る。
走れるくらい広いのだ。この広さ無駄すぎない?こんなもん?
「うわ……」
時間はわからないけど、外の感じからして多分早朝。
爽やかな朝の空気の中、庭にはたくさんの花で埋め尽くされていた。
庭園なのかな?すごい、こんなの初めて見たかも。
ここは2階なのかな、上から見ると色々見えて絶景だ。
あんまり花とか興味ないけど、これだけ圧倒的だと素直に綺麗だと思う。
思うけど。
そんなに時間は潰せないんだよな~……
ちらりとドアを見る。
……外に見張りがいるって言ってたよな?
それはおれを守る為なのか、逃がさないようにするべきなのか。
あのドアの外にいるのか、玄関の内外にいるのか。昨晩トイレに行った時は誰もいなかった。でも今は?
……開けるか?
ごくりと喉が鳴る。
ドアノブに手を付けて、
……止めた。
またベッドに飛び込む。よくわからないままそんな自殺行為をするもんじゃない。
ちゃんと調べてからだ。
まぁこっから出なきゃ調べるもなにもないんだけどさあ。
やっぱり寝るのが一番の暇潰しになるのだろうか。
でもあんまり寝過ぎると夜眠れなくなるのはそれはそれでこわい。
でも寝るのも大事だよな、いざという時に逃げられないとか困る。
「っていざって時にどこに逃げるんだって話だよね~!あはは……はぁ……」
……返事ないの虚しい。
ひとりでこんなん呟いてんの馬鹿じゃん。
召喚される前はひとりでも全然平気だったのにな……
知らない世界でひとりぼっちがこんなにどうしようもないなんて。
「帰りてぇ……」
ぽつりと呟く。
帰れないのに。
はー……だめだまた泣きそう。
幾らなんでも涙腺弱すぎだぞ、泣くな、泣くだけで体力持ってかれる。
どうやって涙を我慢するか考えてると、ノックの音がした。
ジルか?早くないか?
でもそういえば食事を届けるって言ってたな、それかな……
「は、はい」
「失礼致します」
返ってきた声はジルのものではなかった。
年配の女性だ。
きぃ、と音がして扉が開く。
くすんだ黄色の長いドレス……ドレスなんだろうか、服を着た、60代くらいの女性が入ってきた。
次いで入ってきたのは、きちっとした軍服みたいなものを着た男性。
思わずベッドの上で姿勢を正した。
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