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冷や汗が出る。
ジルはいないようだ。
やばいやばいやばい、お手伝いさんっぽい女の人はともかく、軍服の男の人は絶対強いやつだこれ、え、逃げられる?
今走ればドアから出られる?
外にずらっと兵隊が居たりしない?
出た瞬間剣で刺されたり首を落とされたりしない?
嫌な想像をしていると、女性の方が優しい声で、大丈夫ですかと声を掛けてきた。
おばあちゃんみたいで、少しだけ安心する声。
「ユキ様の身の回りのお世話をさせて頂きます、アンヌでございます」
「……おせわ」
「ジル様からお聞きになられてないでしょうか」
「あっいえ、そういえば、信用出来る者を、って……言ってた……気が」
もごもごしてしまう。
このふたりが信用出来る者ってことで大丈夫なんだろうか。
確かに優しそうなおばあちゃんは悪いことしてなさそうだし、してたらショックだし、軍服っぽい人は真面目そう……だしよく見たら優しそうな顔をしてる気がする。
おれが信用していいかどうかはわからないけど。
「アンヌさん……と」
「モーリスとお呼び下さい」
「モーリスさん」
アンヌさんが世話をしてくれて、モーリスさんが……モーリスさんが何するんだ?
護衛?外に見張りがいるのとは別に?それともその見張りが居なくなるってこと?
「暇潰しですよ」
「え?」
「ひとりじゃ暇でしょう」
ベッドの前に来て、しゃがんだかと思うとにっと笑う。
真面目そうな人かと思ったら、笑った顔はいたずらっ子のようで、印象が変わる。
「モーリス様、そんな言い方はないでしょう」
「はは、すみません、予想していたよりずっとかわいらしい方だったもので」
「へ」
「失礼ですよ」
「丁度弟くらいだなあと思って。宜しくお願いしますね」
「あ、あの」
「はい」
「……じゃああの、モーリスさん、は何をしに……」
おれのその言葉に、アンヌさんとモーリスさんはふっと笑い、からかってすみません、と言った。
「普段は騎士団にいるのですが、暫くはここにいて欲しいとジル様が」
「騎士団……」
「ユキ様が不安がっているので護衛がてら話し相手にでもなればと」
「はぁ……」
ジルの心遣いということなんだろう、でも知らない人より遥陽に会わせてほしい。
アンヌさんもモーリスさんも悪い人には見えない。
見えないけど、本当にそうなのかどうかとかわからないじゃん。
信頼させてから殺すとかも出来る訳で。
優しそうだけど、良い人そうだけど、だからこそ完全に心を許しちゃだめだ、命がかかってる。
「昨日ここに来られてからわからないことだらけでしょう、私達でわかることであればお答えさせて頂きますよ」
「えっと……」
「はい」
「……遥陽のいる場所は」
答えてくれないだろうな、と思った。
でも訊かない選択肢はなかった。情報は少しでもほしい。
アンヌさんは、少し困った顔をして、隣のお城の方を指しただけだった。扉で全く見えないけど、多分そういうことだ。
詳しくは知らないのか、口にしないよう言われているのか。
まあそうだよな、そんなわざわざ召喚した神子のことをホイホイ話す訳ないか。
「神子って」
「はい?」
「皆の前で挨拶とかするんですか」
「……そうですねえ、その内式典とかあると思いますよ」
「モーリス様」
「いつかバレるんだし安心させてあげましょうよ」
「……それはそうですが」
「ねえ?ユキ様」
「あ……ありがとうございます……」
式典って見せてもらえるかな、いつあるか知らないけど。
でもそれが明日でも来月でも、それだけは必ず遥陽は大丈夫だってことだ、多分。
「そんなことよりお食事にしましょうか、昨日から何も召し上がってないのでしょう、ご用意致しますね」
「……」
そわそわとアンヌさんが部屋を出て行った。
……どうしよう、食べられる気がしない。
ジルはいないようだ。
やばいやばいやばい、お手伝いさんっぽい女の人はともかく、軍服の男の人は絶対強いやつだこれ、え、逃げられる?
今走ればドアから出られる?
外にずらっと兵隊が居たりしない?
出た瞬間剣で刺されたり首を落とされたりしない?
嫌な想像をしていると、女性の方が優しい声で、大丈夫ですかと声を掛けてきた。
おばあちゃんみたいで、少しだけ安心する声。
「ユキ様の身の回りのお世話をさせて頂きます、アンヌでございます」
「……おせわ」
「ジル様からお聞きになられてないでしょうか」
「あっいえ、そういえば、信用出来る者を、って……言ってた……気が」
もごもごしてしまう。
このふたりが信用出来る者ってことで大丈夫なんだろうか。
確かに優しそうなおばあちゃんは悪いことしてなさそうだし、してたらショックだし、軍服っぽい人は真面目そう……だしよく見たら優しそうな顔をしてる気がする。
おれが信用していいかどうかはわからないけど。
「アンヌさん……と」
「モーリスとお呼び下さい」
「モーリスさん」
アンヌさんが世話をしてくれて、モーリスさんが……モーリスさんが何するんだ?
護衛?外に見張りがいるのとは別に?それともその見張りが居なくなるってこと?
「暇潰しですよ」
「え?」
「ひとりじゃ暇でしょう」
ベッドの前に来て、しゃがんだかと思うとにっと笑う。
真面目そうな人かと思ったら、笑った顔はいたずらっ子のようで、印象が変わる。
「モーリス様、そんな言い方はないでしょう」
「はは、すみません、予想していたよりずっとかわいらしい方だったもので」
「へ」
「失礼ですよ」
「丁度弟くらいだなあと思って。宜しくお願いしますね」
「あ、あの」
「はい」
「……じゃああの、モーリスさん、は何をしに……」
おれのその言葉に、アンヌさんとモーリスさんはふっと笑い、からかってすみません、と言った。
「普段は騎士団にいるのですが、暫くはここにいて欲しいとジル様が」
「騎士団……」
「ユキ様が不安がっているので護衛がてら話し相手にでもなればと」
「はぁ……」
ジルの心遣いということなんだろう、でも知らない人より遥陽に会わせてほしい。
アンヌさんもモーリスさんも悪い人には見えない。
見えないけど、本当にそうなのかどうかとかわからないじゃん。
信頼させてから殺すとかも出来る訳で。
優しそうだけど、良い人そうだけど、だからこそ完全に心を許しちゃだめだ、命がかかってる。
「昨日ここに来られてからわからないことだらけでしょう、私達でわかることであればお答えさせて頂きますよ」
「えっと……」
「はい」
「……遥陽のいる場所は」
答えてくれないだろうな、と思った。
でも訊かない選択肢はなかった。情報は少しでもほしい。
アンヌさんは、少し困った顔をして、隣のお城の方を指しただけだった。扉で全く見えないけど、多分そういうことだ。
詳しくは知らないのか、口にしないよう言われているのか。
まあそうだよな、そんなわざわざ召喚した神子のことをホイホイ話す訳ないか。
「神子って」
「はい?」
「皆の前で挨拶とかするんですか」
「……そうですねえ、その内式典とかあると思いますよ」
「モーリス様」
「いつかバレるんだし安心させてあげましょうよ」
「……それはそうですが」
「ねえ?ユキ様」
「あ……ありがとうございます……」
式典って見せてもらえるかな、いつあるか知らないけど。
でもそれが明日でも来月でも、それだけは必ず遥陽は大丈夫だってことだ、多分。
「そんなことよりお食事にしましょうか、昨日から何も召し上がってないのでしょう、ご用意致しますね」
「……」
そわそわとアンヌさんが部屋を出て行った。
……どうしよう、食べられる気がしない。
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