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「ユキが独占欲を感じてくれてるなら嬉しいよ」
「……わかんないって言ってるのに」
「でもユキの顔はそうじゃないみたい」
「え」
かわいいね、とジルがおれの頬を手のひらで包み込む。
どんな顔してんの、おれ。このイケメンに見られて耐えられる顔をしてる?かわいいと褒められるような顔を?
そんな訳はない。
「……やっぱり趣味悪い……」
「本当にそうならユキを誰にも取られることはないって思っていいのかな」
ポジティブか。貶されてるんだぞ。
「ユキ」
真面目な顔で、でも目元は微笑んで、優しい声色でジルがおれの名前を呼ぶ。
心做しかだいじそうに、柔らかく。
そして指の背でおれの唇に触れて、次はここに口付けても?と訊いてくる。
訊くの?
え、おれが決めるの?おれがいいよ、って言うの?
どうしよう、なんて言えば……
その間もジルの指は唇に触れている。
ふにふにと触れて、指で拭って、唇を開かせようとしてる。
いいよって言えば、その指が唇に変わるんだろう。
きっと熱くて、柔らかくて、遥陽のものとは違う感触なんだ。
治癒の為のものではなく、快感を得る為のもの。
それを、おれが、許すの?
「嫌なら嫌と言っていいよ」
「……嫌、じゃない……」
嫌ではない。嫌悪感はない。生理的に無理とか思わない。
別に、しても……
してもいい、というか、それより、やっぱり、その……
「……して欲しい、かも……ンっ」
思わず出てしまった甘えた声に、聞くが早いがすぐに唇が重なった。
遥陽のものより、大きな口。
柔らかくて、でも食べられてしまいそうな、
「んう、は……んむ、ッん」
唇を舐められて、びく、と震えてしまう。
歯列をなぞられて、顎を少し下げられて、少し空いた隙間から熱いものが入ってくる。
「んっ!んんう!ん、っ」
「ごめん、驚かせたね」
慌ててジルの肩を押して離れたおれに、申し訳なさそうな顔で謝ってくる。
びっくりした、びっくりした、びっくりした!
遥陽の時と、ちょっと舌先が触れたのと違って、もっと、もっと口の中がいっぱいになった。
「……っ、」
「嫌だったかな」
「ちがうっ」
いやじゃない、と言いかけて、ジルの顔を見たおれの口が止まった。
……そんな、嬉しそうな顔、しなくたって。
おれだよ?おれなんかとキスして、それで、いやじゃないって言っただけで、そんなしあわせそうに笑うの?
自惚れてしまいそうになる。
そんなにおれとキス出来たのが嬉しいのかって。
「……び、びっくりしただけ……」
「……そう、またしてもいいかな」
「えっ!?えあ、え、う、い、今?」
「今」
「は、はやい……」
「嫌ならしないよ、ユキの嫌がることをしたくない」
「いやじゃない……けど」
「けど?」
「……恥ずかしい、のと、思ってたのと違って……心臓、爆発しそう」
「ふふ」
「なんで笑うの……」
「こっちこそ、ユキが愛しくて爆発しそうだよ」
「~……っ!」
眩しい笑顔に胸がぎゅうぎゅうする。
きゅんとするってのはこういうこと?
この誰が見ても格好良いねっていう男がかわいくてたまらない。抱き締めたくなる。
自分より年上のイケメンをつかまえていう言葉じゃないのはわかってるんだけど。
なんだよ、やっぱりおれ、ジルのことすきなのかも。すきで合ってるのかも。
「……前、その、えっちなこと、した時……くち、にしなかったなと思って」
「急ぎ過ぎては駄目だと思ったんだ」
……キスよりやばいことをしておいて?感覚どうなってんだ。
「ハルヒに越されるならあの日無理にでもしておけばよかった」
「無理矢理はちょっと……」
イケメンだからって何でも強引にして許されると思うなよ。
「それは言い過ぎだったかもしれないけど。でも本当に後悔したんだ、余裕ぶってもあれは良くなかった」
「……」
「そしてさっき初めてだったと聞いて尚更自分への情けなさと怒りがわいた」
「そんなに……」
「そんなにだよ」
おれの頬を撫でる大きな手に自分の手も重ねる。あやされてるようで恥ずかしくて、でもこの手に撫でられるのがやっぱりすき。
酷く優しい手つきが、おれのことをだいじだと代弁してるようで。
瞳があって、一瞬、ふたりとも静かになって、それが合図のように瞳を閉じると、またジルの唇が落とされた。
両手で頬を挟まれて、逃がさないというように強引さもあって、でもこわくはない。
包まれた頬も熱くて、口の中も、すぐに舌が入ってきて熱くて、全部食べられてしまいそう。
前、舌まで小さいと言われたことを思い出す。
何言ってんだ、と恥ずかしいばかりだったけど、ジルの舌で口の中がいっぱいになるのを考えると、確かにおれの舌は小さかったのかもしれない、いや、遥陽だって小さかった。だからきっと、ジルが大きいんだ。
赤ずきんを食べる狼みたい。
「ん、う、ぅう、んッ」
離れたと思うと、すぐに帰ってくる唇。舌が絡まって、軽く噛まれて、更にじゅうっと吸われて、肩がびくっとなってしまう。
でも逃げられない。
逃げたい訳じゃない、嫌なんじゃなくて、その、勝手に躰が反応しちゃうだけ。
だってこんなの初めてだ、おれの知識にはこんなキスはない。
「んう、ん、まっ、んぁ、じる、」
苦しい、と伝えると、すぐに唇が離れた。ごめん、大丈夫か、と口の端から垂れてしまった唾液を拭ってくれる。
「息、出来ない……」
「……そう、練習しようね」
「練習……いっぱいするってこと?」
「嫌かな」
「……ジルならいいよ」
他の奴にさせる気はないよ、そう真顔で言って、ジルはまたおれの唇を撫でた。
……触れられ過ぎて、唇が腫れてしまいそうだ。
「……わかんないって言ってるのに」
「でもユキの顔はそうじゃないみたい」
「え」
かわいいね、とジルがおれの頬を手のひらで包み込む。
どんな顔してんの、おれ。このイケメンに見られて耐えられる顔をしてる?かわいいと褒められるような顔を?
そんな訳はない。
「……やっぱり趣味悪い……」
「本当にそうならユキを誰にも取られることはないって思っていいのかな」
ポジティブか。貶されてるんだぞ。
「ユキ」
真面目な顔で、でも目元は微笑んで、優しい声色でジルがおれの名前を呼ぶ。
心做しかだいじそうに、柔らかく。
そして指の背でおれの唇に触れて、次はここに口付けても?と訊いてくる。
訊くの?
え、おれが決めるの?おれがいいよ、って言うの?
どうしよう、なんて言えば……
その間もジルの指は唇に触れている。
ふにふにと触れて、指で拭って、唇を開かせようとしてる。
いいよって言えば、その指が唇に変わるんだろう。
きっと熱くて、柔らかくて、遥陽のものとは違う感触なんだ。
治癒の為のものではなく、快感を得る為のもの。
それを、おれが、許すの?
「嫌なら嫌と言っていいよ」
「……嫌、じゃない……」
嫌ではない。嫌悪感はない。生理的に無理とか思わない。
別に、しても……
してもいい、というか、それより、やっぱり、その……
「……して欲しい、かも……ンっ」
思わず出てしまった甘えた声に、聞くが早いがすぐに唇が重なった。
遥陽のものより、大きな口。
柔らかくて、でも食べられてしまいそうな、
「んう、は……んむ、ッん」
唇を舐められて、びく、と震えてしまう。
歯列をなぞられて、顎を少し下げられて、少し空いた隙間から熱いものが入ってくる。
「んっ!んんう!ん、っ」
「ごめん、驚かせたね」
慌ててジルの肩を押して離れたおれに、申し訳なさそうな顔で謝ってくる。
びっくりした、びっくりした、びっくりした!
遥陽の時と、ちょっと舌先が触れたのと違って、もっと、もっと口の中がいっぱいになった。
「……っ、」
「嫌だったかな」
「ちがうっ」
いやじゃない、と言いかけて、ジルの顔を見たおれの口が止まった。
……そんな、嬉しそうな顔、しなくたって。
おれだよ?おれなんかとキスして、それで、いやじゃないって言っただけで、そんなしあわせそうに笑うの?
自惚れてしまいそうになる。
そんなにおれとキス出来たのが嬉しいのかって。
「……び、びっくりしただけ……」
「……そう、またしてもいいかな」
「えっ!?えあ、え、う、い、今?」
「今」
「は、はやい……」
「嫌ならしないよ、ユキの嫌がることをしたくない」
「いやじゃない……けど」
「けど?」
「……恥ずかしい、のと、思ってたのと違って……心臓、爆発しそう」
「ふふ」
「なんで笑うの……」
「こっちこそ、ユキが愛しくて爆発しそうだよ」
「~……っ!」
眩しい笑顔に胸がぎゅうぎゅうする。
きゅんとするってのはこういうこと?
この誰が見ても格好良いねっていう男がかわいくてたまらない。抱き締めたくなる。
自分より年上のイケメンをつかまえていう言葉じゃないのはわかってるんだけど。
なんだよ、やっぱりおれ、ジルのことすきなのかも。すきで合ってるのかも。
「……前、その、えっちなこと、した時……くち、にしなかったなと思って」
「急ぎ過ぎては駄目だと思ったんだ」
……キスよりやばいことをしておいて?感覚どうなってんだ。
「ハルヒに越されるならあの日無理にでもしておけばよかった」
「無理矢理はちょっと……」
イケメンだからって何でも強引にして許されると思うなよ。
「それは言い過ぎだったかもしれないけど。でも本当に後悔したんだ、余裕ぶってもあれは良くなかった」
「……」
「そしてさっき初めてだったと聞いて尚更自分への情けなさと怒りがわいた」
「そんなに……」
「そんなにだよ」
おれの頬を撫でる大きな手に自分の手も重ねる。あやされてるようで恥ずかしくて、でもこの手に撫でられるのがやっぱりすき。
酷く優しい手つきが、おれのことをだいじだと代弁してるようで。
瞳があって、一瞬、ふたりとも静かになって、それが合図のように瞳を閉じると、またジルの唇が落とされた。
両手で頬を挟まれて、逃がさないというように強引さもあって、でもこわくはない。
包まれた頬も熱くて、口の中も、すぐに舌が入ってきて熱くて、全部食べられてしまいそう。
前、舌まで小さいと言われたことを思い出す。
何言ってんだ、と恥ずかしいばかりだったけど、ジルの舌で口の中がいっぱいになるのを考えると、確かにおれの舌は小さかったのかもしれない、いや、遥陽だって小さかった。だからきっと、ジルが大きいんだ。
赤ずきんを食べる狼みたい。
「ん、う、ぅう、んッ」
離れたと思うと、すぐに帰ってくる唇。舌が絡まって、軽く噛まれて、更にじゅうっと吸われて、肩がびくっとなってしまう。
でも逃げられない。
逃げたい訳じゃない、嫌なんじゃなくて、その、勝手に躰が反応しちゃうだけ。
だってこんなの初めてだ、おれの知識にはこんなキスはない。
「んう、ん、まっ、んぁ、じる、」
苦しい、と伝えると、すぐに唇が離れた。ごめん、大丈夫か、と口の端から垂れてしまった唾液を拭ってくれる。
「息、出来ない……」
「……そう、練習しようね」
「練習……いっぱいするってこと?」
「嫌かな」
「……ジルならいいよ」
他の奴にさせる気はないよ、そう真顔で言って、ジルはまたおれの唇を撫でた。
……触れられ過ぎて、唇が腫れてしまいそうだ。
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